魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
はやてside――――――――――――――――――
三人の核を抜いたアング達はまたあの機械のところに集まった。
「どうですか?」
「あぁ、確かに経験は十分だろう。これなら核になりうるだろうな」
聞くアングに答えたんはエストラ。
エストラとヴィオルの手中にも、核が握られてる。
「大丈夫!?」
聞こえた声はなのはちゃん。
見ると、核を抜かれたなのはちゃんのマテリアルが足元から崩れ始めていた。
さらに視線を動かす。
フェイトちゃんと戦ってた子も、足元から崩れ始めてる。
私はハッとして、自分のマテリアルを見た。
……やっぱり崩れ始めてた。
「主!」
「はやて!!」
シグナムたちもコッチに戻ってきてくれた。
けど私はマテリアルに近づく。
「大丈夫か?」
「……我を誰と思うての言葉か。ゴフッ」
吐血をしても強がってる。
シャマルに治療を、とも考えたけどこの子らを作ってた元が無くなってるんやから無理や。
アレを取り戻すにしても……。
「貴様、よもや我を助けようと考えてるのではあるまいな?」
「…………」
口元の血を拭きながら、まだ捻くれた事をいう。
何を考えてるんや。
「あまり我を貶めるな……。死に際くらい弁えている……っ」
もう腰まで消えてきてる。
手に持ってたデバイスはもうあらへん。
「またも闇の書の復活は叶わなかった、か……」
そう言えばこの子らはそれを目的に生まれてきたんやっけ?
記憶もそのままやって言うんなら、今回もそれが目的でもおかしくはない……か?
そしてとうとう胸元まで消えた。
もう時間はあらへんやろうと思う。
「覚えておけ塵芥。いつか、再び我はお前の前に現れる」
「何度来ても一緒や。返り討ちにしたる」
私がそういうと鼻で笑ったあと、完全に消えた。
なんや最後はえらい穏やかに逝きよったな。
まぁ、恨み言垂らしながら逝かれるよりかは全然マシやったけど。
私が再び見るのはアング達。
すでにあの子らの核はあの機械の側面にはめ込めれて一部になっていた。
なのはちゃんとフェイトちゃんの魔力が近づいてきた。
多分私の後ろに居る。
「貴様らの負けだ。大人しく投降しろ」
言うたのはシグナム。
マテリアルは全員消えたし、アング以外の二人もシグナム達にやられた筈や。
私も含めてみんな結構消耗してるみたいやけど、この人数差や。
絶対に勝てる。
自身はある。
「確かに……随分やられていたみたいですね」
「ふん」
アングの言葉にヴィオルは大きく鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
ハッキリいって、戦闘に参加してた二人は結構デメージを負ってるように見える。
シグナム達との戦いには手を抜いてた、演技って訳じゃないみたいやな。
「確かにこの感じはマズイですが……方法が無い訳じゃありません」
「なに言ってやがる?」
今度はヴィータ。
確かに今のはどう聞いても強がりや。
今の状態からの逆転なんて――。
それに、エストラも一瞬やけど、疑問を浮かべてたのを私は見逃さへんかった。
「おい、何かあんのかよ?」
なんとなく予想通り。
ヴィオルがアングに向き直って聞いた。
何がかんだでエストラも気になるみたいでアングの方を見てる。
私たちは直ぐにでも攻撃して、捕縛しないていけへんのに……アングのその自信が妙に気味悪くて動けないでいた。
「えぇ。知りたいですか?」
「当たり前だろぉが。さっさと言いやがれ」
「それはですね――……」
「――あ?」
消えるような声は誰の声だったか。
その消えそうな声が聞こえるほど……あたりは静かになった。
なぜなら――。
「て、テメエエエェェ!!?」
アングの腕が、ヴィオルを貫いていたから。
「アング!貴様何を――グフッ!?」
「煩いんですよ」
その事にエストラがアングに向き直った瞬間、今度はエストラをももう片方の手が貫く。
あまりの急展開に私は動くことが出来ない。
「き、貴様……何を考えて……」
「何を考えて?そんな事ずっと言っているでしょう?経験を積んだ核が欲しいと」
「なに、を……ガフッ!?」
腕を抜き取る。
既にヴィオルは意識が飛びかけてるのか、自分で飛ぶことも出来ないみたいだった。
エストラも傷ついてる筈やのに、ヴィオルを抱えた。
そんな力があることにも驚いたけど、私はそれ以上にアングの手に納まっているモノにも驚いていた。
その手にあったのは……マテリアルに使われていたあの核があった。
「な、何故それが……」
エストラが信じられないと言う口調や。
「簡単な話です。ユリアが裏切る可能性もありましたからね。予め保険を掛けておいたまでですよ」
つまり、アング以外の二人はあの核を元に作り出した偽者だった?
でも記憶があるってことは元の素体が居た筈や……。
まさか、死んだ中から選んだちゅうんか?
なんて考えてる間にも二人の体は消え始めてる。
「……そういうことか」
エストラは特に声を張り上げることも無く、そのままを受け入れたように静かに頷いた。
「覚えていろ。このままでは、終わらない……」
「覚えておきましょう。それでは――」
アングはエストラたちに背を向けた。
その行動に、一切の後悔なんて無かった。
そしてその手に持った二つの核を構えて――……。
「さようなら」
機械に組み込んだ。
瞬間、エストラとヴィオルがその場から弾けるように……消えた。
この場に相応しい言葉は、静寂しかない。
皆がその光景に言葉を無くしてた。
そんな中、アングだけが私たちに背を向けたまま機械を弄ってる。
「テメェ!!何考えてやがるんだ!!」
「はい?」
そんな時、ヴィータが怒鳴り上げた。
それでもアングは、何を怒っているのか分からない様子でコッチを向いた。
「テメェの味方だろ!!何で殺した!!」
「味方?殺す?何を言ってるんですか?所詮、プログラムでしょう」
「なっ――」
ヴィータだけじゃなかった。皆声が詰まった。
やけど、一人……。
シグナムだけが、一人飛び出していた。
「レヴァンティン!!」
ユニゾンした状態でレヴァンティンに炎を纏う。
「紫電―― 一閃!!」
上から切り伏せるように、レヴァンティンを振り下ろした。
……けれど――……。
「なに!?」
レヴァンティンの刃は、何も無い空間でその刃を止めていた。
「くっ――」
直ぐに後ろに引いて距離を取ろうとするシグナム。
でも今度は背中から何かにぶつかった様な動きを取ってその場に留まった。
「シグナム!」
「動いちゃ駄目だ!」
ヴィータが前に出ようとすると、それをユーノ君が大声を出して止めた。
日頃大声を出さないユーノ君が大声を聞いてヴィータの動きが止まる。
「ユーノ君!?」
「ユーノテメェ、何言って――」
なのはちゃんとヴィータ、二人が疑問の声を上げた。
「違うんだ。僕らはもう……囲まれてる」
重苦しい口調でそう言うた。
私はシグナムの動きを思い出して、ゆっくりデバイスで目の前の空間に――触れた。
他のみんなも私と似たような事して、同じ結果になっていた。
「どういうことだい、これ?」
まるでノックをするように横の空間を叩いて、みんなを代表して聞いた。
「僕にも分からない。なんだか、一瞬目の前が歪んだ気がして……」
「さすが、と言った所ですか?僕も気をつけたつもりだったんですが……」
私たちの方を見たまんま、手をあの機械に伸ばして何かのスイッチを押した。
すると目の前が薄くやけど、青く染まった。
いや、目の前だけやない。私を囲むように四角く青いモノに囲まれてる。
色のせいでわからんけど、様子を見るに皆もそう見たいや。
全員を一つに囲んでるんやない。一人一人別々に囲まれてる。
なんでこんな手間の掛かることを。
「言っておきますけれど、ただのクリスタルケージではありませんよ」
余裕の表情を更に強めて笑うエストラ。
確かに術式も半端やないくらいに複雑や。しかも硬いし……。
「空間干渉魔法の応用、と言いましょうか。さすがに、大きなものは無理でしたが、貴方たちを囲むように少しずらせばそれだけで完成します」
……つまり私たちとアングが居る場所は同じ。
やけど、その間の空間がズレてるってことかい。
こんな魔法、リミッター外した今なら高レベル魔法で吹き飛ばせれるけど、狭すぎる。
魔法を発動させたら私にまでダメージが来る。
そしたら……その隙に攻撃されてゲームオーバーや。
にしても、こんな高レベル魔法、あんな短時間で発動させられるんかい。
「腑に落ちない、という顔をしていますね。ではタネ明かしをしましょうか」
少しの間が空いた。
その間も私はアングを睨み続ける。
けれどアングはどこ吹く風で、再び口を開いた。
「この機械は、いわば分割思考(マルチタスク)そのものです。僕の代わりに、複雑な事を変わってくれます。まぁ、それでもそのケージの生成にはかなり時間を使いましたが……」
……だからさっきの核って訳かい。
経験を積ませた核。
核の一つ一つが、エストラたちの分割思考を持ってるとしたら、ユリアなんか比べモンにならないくらいなんちゃうか。
「待ちな。それだけのモノ、簡単に操作できるとは思わないよ」
言うたのはアルフ。
でもアルフは知らないんや。
アングの能力を。
「僕の能力は機械機器への干渉。事実上、僕ももう一つの思考、と言ったところですね。」
「それでも、戦闘中に片手間で制御出来るとは思わないが?」
今度はシグナム。
確かにそうや。話を聞いただけで分かる。
いくら能力があっても、そんな簡単に操作できるもんやない筈や。
「……鋭いですね。これに干渉し続けてる限り、他の機器には干渉できません」
「それは、ええ事聞いたなぁ」
強がりや。アングも気づいてるんやろう。
だから自分から弱点を言った。
今の私らは、どうする事もできへん。
「まぁ、そう言う事です。このまま貴方たちを始末してもいいんですが……先客のようです」
「先客?」
アングが視線を上に向けた。
私もつられて上を見る。
「――っ!」
単純に驚いた。
と同時に思った。
あの時、助けて欲しいと思ったら助けてって言った。
それがこんな早く、助けてもらうことになるなんて……って。
side out――――――――――――――――――
《こっちを見ていますね。気づかれた……んでしょうねぇ》
「そりゃそうだろ。俺、魔力隠すとかそんなの出来ねぇし」
《それを開き直りと言うのだ。情けない》
「こんな時までお小言ですか!?」
チクショウ。
どっからどう見ても今以上に俺がカッコイイシーンなんて無かっただろうに。
少しくらいかっこよくいさせて下さい。
「とにかく、空戦になるな。アテナ」
《了解です。――blanco(ブランコ) ala(アーラ)――》
背中に生やすビーム状の白い翼。
10秒と無いが、コレで俺も飛ぶことが出来る。
《見る限り相棒しか戦えなさそうです。助力は望めませんね》
「構わねぇ。元々、俺は姉さん達を助けたいと思って管理局入りしたんだ。それじゃぁ、行くか……」
そして俺は自分が立っていたハイペリオンから跳び下り、姉さん達と同じ高さまで降りる。
そして直ぐにハイペリオンを再び展開。
姉さんたちを背に、アングと向かい合う。
「ウィズ!?」
「ゴメン、はや姉。待たせた」