魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
俺の目の前に居る蒼髪の男、アング。
状況はもうアテナとレイラから聞いてる。
第三拘束も解除してる。
もう話す必要はねぇ。
コイツは――俺が倒す!!
「アテナ!テクニカルソード!!」
《――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)――》
先手必勝!
俺はハイペリオンを蹴り、アングに向かって跳び出す。
姉さん達を閉じ込めてる魔法は、時間を食うって言ったやがった。
あの魔法、いや。
反撃させる暇すら与えねぇ!
「はああぁぁ!!」
振り下ろす刃。
それは確実にアングに反撃の隙も与えない、自分でも出来すぎたタイミング。
だが、それは単純なシールド魔法に止められてしまった。
《マスター!!》
「遅い!」
奇襲とも言える俺の特攻が簡単に止められたことに俺は一瞬固まってしまった。
その隙をアングが見逃すはずも無かった。
「しまっ――!」
《――Hyperion(ハイペリオン)!――》
アテナの独自判断で展開されたハイペリオン。
それによってアングの攻撃は防ぐことが出来た。
俺は展開されたハイペリオンを壁蹴りの感覚で蹴り、アングから距離を取る。
「アテナ、消せ!」
俺の一言でハイペリオンが消える。
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!――》
「シングル……カラーズ!!」
その瞬間、俺は体を回転させ遠心力を利用、更にカートリッジを一本の魔力を注ぎ込んだ特大の一撃をくれてやる。
斬撃は迷わずアングに向かい、注ぎ込んだ魔力に比例した爆発を起こした。
俺は新たに展開したハイペリオンの上に降り立つ。
《仕留めては……いないのだろうな》
「だろうな。アレくらいで倒せてりゃ、ココまで事件は大きくなってねぇ」
《カートリッジを一本使ったシングルなんて久しぶりですよ》
そりゃそうだ。シングルは基本俺の魔力、術式を全部俺で行使する魔法だからな。
だけどカートリッジを使えば威力が上がるのは言うまでもない。
ならなんで多用しないのか。
理由は簡単。
俺の持ってる他の魔法が基本カートリッジを使用するからだ。
だから使わなくて良い魔法は使わないようにしてる。
だけど今回は別。
俺の腰に十字に巻いた二本のベルト。それに隙間無く付けられたカートリッジ。
出る前に、ユリアが渡してくれた。
なんでも戦闘では治療魔法の影響で出られないのは目に見えてたから予め作っておいたらしい。
血が繋がっていて、魔力の性質が似た俺とユリアだから出来る方法。
実際、この方法は昔シャマル姉さんがシグナム姉さんたちにやっていや方法でもあるらしい。
そう考えてるうちに、煙が晴れる。
予想通り、アングは立っていた。
どこかで見たことある様な群青の盾型デバイスを自身の前に展開させて。
「その盾、ヴィオルのだろ。なんでテメェが?」
「元々コレは僕のですよ。貸していただけです。そしてコレが――……」
デバイスがバラけはじめた。
そしてそのバラけた盾は、ただの部品になってアングの周りに停滞し始める。
「コレこそが、本当の姿。」
見る限り、ただの鉄塊にしか見えない。
だけど、このタイミングで出してきたってことは、それだけじゃないって事だろう。
下手に近づく訳にはいかねぇ……。
なら――!
《――Gun(ガン) Silhouette(シルエット)!――》
「ソードダンス……」
剣(つるぎ)の舞、四つ目のバリエーション。
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――》
1stが連撃、2ndが奇襲、3rdが破壊力なら、
4thの真髄は、絶対的な攻撃範囲!!
「フォース……カラーズ!!」
技名を叫び、ガンソードのトリガーを引く。
同時、剣先から打ち出される砲撃。
それは真っ直ぐにアングへと伸びる。
が、それは交わされてしまった。
――それでも良い!
「はあぁぁ!!」
「なにっ?」
アテナを振る。
すると打ち出された砲撃は、さながら鞭の様に剣先に引っ張られ、アングを追う。
さすがのアングも普通は描かない砲撃の軌道に驚いたのか、一瞬動きが止まる。
「この程度で!!」
「なっ――!」
次は俺が驚く番だった。
アングは避けることが叶わないと分かると、再びバレけていたパーツが剣へとへ構成されで正面からフォースを切り伏せた。
フォースは四散し消えていった。
「正面から切られるとは思ってなかったな……」
《それよりも、あのデバイスは厄介ですね》
《可変型多機能デバイス、と言ったところか。私たちとは比べものにならないな》
確かにアテナやレイラも同じような機能持ちだ。
だけど、アレはそんなレベルじゃない。
剣や槍、杖だけのレベルじゃない。
前は盾で今は剣。明らかにその二つだけじゃないだろう……。
「さすがに驚きはしましたけどね」
「それだけかよ……」
俺にとってカラーズは一応なの姉でいうディバインバスターに当たると思うんだけどなぁ。
それを驚いただけって……マジでヘコむぞ。
――でも。
「攻撃の手を休めるって訳にはいかねぇんだよな。アテナ」
《――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)――》
アテナをテクニカルに戻して構える。
本当はエクタランテ辺りを使いてぇけど、さすがに無理だ。
あれはカートリッジの消費が激しすぎる。そこで勝負が決められなかったら……。
「攻められてばかりと言うのも気に入りません」
「――っ!」
いつの間にかアングが握っているのは剣では無く、杖。
「僕も、攻めに転じさせてもらいましょうか」
杖の先を俺に向けてくる。
そして直ぐに、杖に魔力が収束し始める。
深い、深い群青色の魔力。
《相棒!砲撃魔法、きます!!》
「見れば分かる!!」
《親切で教えたのに!!?》
《マスターは人でなしだ》
「お願い!こういう時はマジメにしてて!!」
って、こんなツッコミ入れてる場合じゃねぇ!
「ハイペリオン!!アテナ!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Hyperion(ハイペリオン) Hexagram(ヘキサグラム)!!――》
目の前に展開する、ハイペリオンと、上下に向いた剣十時三角形を合わせた形のヘキサグラム型ハイペリオン。
二つまでなら俺は魔法を同時展開できる。足場と、防ぐ為のシールド。
ハオペリオンは俺でも自分ひとりで展開できる。そしてヘキサグラムはアテナに単独で展開。
これまた普段は消費魔力が多いから滅多に使えねぇ魔法。
俺自身避わす方が多いし。
だけど、今回はアイツの砲撃スキルがどの程度かわからねぇなら、下手に避けるより守りを固めた方がいい。
ハイペリオンとヘキサグラム。この二重(デュアル)展開(オープン)の防御力はかなり自信がある。
いや、なの姉のSLB見たいな能力が無かったら、だけど。
「受けなさい」
そして撃ち出される群青の砲撃魔法。
真っ直ぐに俺の方へと向かい、ハイペリオンに直撃した。
「ぐぅっ……!」
何とか耐える、が、衝撃は半端じゃない。
添えている左手がぶれそうになるのを必死に右手で抑える。
しかし、俺の展開したハイペリオンはガラスのように砕け、ヘキサグラムに到達する。
だが、それは暫く耐えるとヘキサグラムに亀裂が入った。
「チィッ……!アテナ、もう一発使え!!」
《了解です!――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――》
更にもう一発、カートリッジを消費してヘキサグラムを強固にする。
「はあぁぁぁぁ!!」
唐突に、バンッ!という音と同時に砲撃が止む。
「はぁはぁはぁ……っ」
危なかった。
あそこでカートリッジを使ってなかったら、破られてただろう。
本当に危なかった。
息を整えて、アングを見る。
「強引に魔力任せの防御。単純ですが、故に強かった、ということですかね」
「うるせぇ。達観しやがって……」
《ま、言ってることは間違ってませんけどね》
「お前どっちの味方?」
《勿論相棒です》
なんだろうね。
分かってるけど余所余所しく感じるよ?
「ですが……それだけではありませんね?」
「……っ」
気づきやがったか……。
「何を……したんですか?」
何をした、か。
別に俺が何をしたって訳じゃないんだけどな。
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
立ち上がりながら答える俺。聞き返すダミー。
その威圧は相変わらずだが、俺はもう怖気づかない。
いや、コレがコイツと初対面だったら……押されていて俺は消えていたと思う。
だけど……アングのときにこの感じは味わった。
もう、押されねぇ!
「自分を犠牲に全員救う度胸はねぇ、って言ったんだよ」
「ほぉ……」
腕を組み、聞いてやる、という態度をとるダミー。
「命あっての勝利だ。刺し違えるとか、この身を犠牲にとかは考えねぇ!」
「今のお前じゃ負けるぞ?」
そうだろう。
今の俺はFWに勝つのが精々だ。
だけど――。
「一人で戦う必要は無ぇ。姉さんたちと一緒に戦えば勝てる」
隊長室で掛けてもらった言葉。そして朝焼けの中での誓い。
あの言葉を裏切る訳にはいかない。
「そもそもなぁ、俺が出しゃばるまでもなく、姉さん達は強いんだよ。負ける前提で話すんな」
言い切った。
死んで姉さんを守ったとか、自己満足もいい所だってのも分かりきってるしな。
「クックク……クククククッ」
「んだよ、気持ちワリィな」
俺が言い切ると、ダミーが声を殺して笑い始めた。
なんか急に恥ずかしくなってきた。
これからは勢いで喋るのはやめよう……。
「いいぜ。テメェの覚悟、しかと聞いた」
そして次は、清々しいほどの笑顔でそんな事を言ってきやがった。
「今のお前になら預けられる。姉さんも……この体も」
「お前……やっぱり」
「あーー!それ以上言うな。言ったら消すぞ?」
「ゴメンナサイ」
とりあえず謝っていきました。
なんかさっきとは違う種類の威圧が来たんです。
言うなら怒った時の姉さん達みたいな。
「んじゃ、お前は戻れ。俺は消えっから」
「っ!おい!お前……消える必要ねぇんじゃ……」
コイツが今消えようとしているのは、俺の体の反応を鈍くしてるから。
それがコイツの故意的にやっていたものなら、やめられるはずだ。
なら、消える事ない。
「アホか。一つの体に二つの人格。それだけで体には負担が掛かるんだよ」
「……そうなのか?」
「そうなんだよ。……なんか急に不安になってきたぞ」
そんな可愛そうな目で見ないでください。
俺と同じ顔にそんな目でみられると姉さん達よりダメージ大きいです。
「とりあえず、三番を解除した時の上昇率っての?は上がると思うぜ?」
「そうなのか?」
「今までは俺も拘束の役割、その一端を担ってたからな。それがなくなるなら……」
三番と解いただけで余計にパワーアップするって事か。
それは嬉しいな。
正直強くて困ることなんて、そうそう無いからな。
「んじゃ、そろそろ行けや」
鎖に絡まれた扉とは真逆の扉。
人一人が通れそうな扉。
いくら小さいとはいえ、なぜ気づかなかったのか不思議だが……今はどうでもいい。
俺はダミーに声を掛けず、扉に向かって歩き出す。
「姉さん達によろしくな」
その一言を最後に――俺は扉をくぐった。
「まかせとけ」
・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「主人公は、こういうとき強くなるモンなんだよ」
《主人公は私ですよ!?》
《いや、私だ》
「こんな時まで!?しかもレイラまで加わっちゃった!!」
拝啓、トウギ殿。
レイラはアテナ色に完全に染まってしまったようです。
コレに関しては素直に謝れそうです。
「そうですか。それでは――」
再び杖を剣に戻り、構えるアング。
「続きといきましょう!!」