魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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45.フルパフォーマンス

 

 「ぐぅ――っ!」

 

アングに押し返され、後ろに弾き飛ばされた。

どれだけ、底力が上がっても、さすがに飛行スキルの差は――……。

 

 「ゴメンなの姉!」

 『へ?』

 

飛ばされた先には閉じ込められたなの姉が。

俺はその上に着地する。

 

目の前には追撃しようとこっちに飛来してくるアング。

 

 「なの姉、もっかいゴメン!アテナ!!」

 『へ?へ?』

 《――Buster(バスター) Silhouette(シルエット)――》

 「サード……カラーズ!!」

 『にゃあぁぁ!?』

 

ケージにバスターソードを叩きつけ、サードを発動する。

苦手な射撃砲撃より、力任せのコッチの方がマシだ。

 

だが案の定、それも例の盾で防がれてしまう。

 

 『う、ウィズ君、一言言って……。凄く響いたよ……』

 「あ~、いや……ゴメン」

 

耳を押さえながら、恨めしい声のなの姉。

だけど、直ぐに引き締まった顔つきに変わった。

 

 『……ねぇ、ウィズ君。一つ頼まれてくれないかな?』

 「頼み?」

 

思わず聞き返した。

 

 『うん。私は近づくことが出来ないから、代わりに聞いて欲しいことがあるんだ』

 

頷いてなの姉は俺に言った。

そして俺は、納得した。

 

確かに、いや。

逆に今まで知らなかったことが不思議なことだった。

 

……まぁ、何となく予想は出来ることでもあるんだけど。

 

 「わかった。聞いてみる」

 『お願い』

 

そして俺は再び、アテナをテクニカルに変更しアングに切りかかる。

 

 「はあああぁぁ!!」

 

かん高い金属音が鳴り響き、俺とアングは鍔迫り合いにある。

 

 「おい……一つ聞かせろ」

 「イヤです」

 「んなぁ!?」

 

再び押し返される。

――が、今度はケージの上ではなくハイペリオンの上に着地する。

 

 《真正面から否定されましたね》

 「うるせぇ。この際、許可なんているか!!」

 《開き直りだな》

 

うるさい。

 

 「アング!テメェ、何でこんなことしやがる!?」

 「……今更聞きますか?というより、大よそ、予想は付いているのでしょう?」

 「…………」

 

俺は何も言わずにアングを見るだけ。

だけど、それだけでアングには伝わったらしい。

 

 「管理局への報復。理由は分かりますね?」

 

分かるに決まってる。

これはトウギの話にも似たような話はあった。

まぁ、アイツはその前に俺への恨みがあったけど。

 

自分を勝手に作っておいて、道具のように扱う。

それはこの上ない屈辱だろう。

 

そんな気持ち、俺にも理解は出来るけど……分かるはずが無い。

俺は、生まれてから本当に楽しかったんだから。

 

 「この町の穴さえ確保できれば、兵士にも、魔力にもここを抑えれば困ることはありません」

 

兵士はヴィオルやマテリアルを構成していたモノで、魔力は言うまでもない。

確かにココを抑えれば、こいつなら……。

 

くそっ。

理由が単純、それで深いから厄介だ。

俺が一言二言言ったところで、何にもならない……。

 

 「さて、ここでもう少し貴方と戦うのも良いですが……あまり遊んで、足元を掬われても厄介ですし……」

 

再び杖に変わる。

 

 「なっ――……」

 

俺の目に映るのは、数え切れないほどのスフィア。

あの装置のマルチタスクを使ってってことか……!

 

 「精々、避けきりなさい」

 

俺に向かって、アブソリュートを持っていない手が向けられた。

 

 「アテナァ!」

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Hyperion(ハイペリオン) Hexagram(ヘキサグラム)!!――》

 

 

それをシールドに襲い掛かってくるスフィアを防ぐ。

 

 「――っ!」

 《相棒!》

 

だけど厳しい。

一撃一撃の攻撃力はそれなりにある。

いくらヘキサグラムでも……カートリッジを何発か使わねぇと……。

 

それなら――っ!!

 

 「レイラ、シールランス!!」

 《――Seal(シール) Silhouette(シルエット)!――》

 

テクニカルを維持したまま、アテナを腰のベルトに差込む。

これで速力強化は消えない。

そして同時、レイラをシールに展開させる。

 

ヘキサグラムを残したまま、後退。

 

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――magic(マジック) cancel(キャンセル)……wave(ウェイブ)!!――》

 

元々レイラはアテナの姉妹機だ。

カートリッジの口径も合う。

 

レイラを両手で持ち、横になぎ払う。

それによって生じた衝撃波は、マジックキャンセラーと同じ性質を持っている。

 

言うなら3rdにキャンセラー付与したようなもの。

 

衝撃波は俺が展開したヘキサグラムごと、俺の正面に迫ってきていたスフィアを消し去る。

 

 

だが、無理だった。

あれだけの広域キャンセル魔法を使ったのに、スフィアはまだ残っている。

 

 「速力付与、最大展開!!」

 

レイラを待機モードに戻し、アテナを腰にさしたまま、テクニカルの速力強化を最大強化。

さっきの技は万能で高能力な分、連発できないのが欠点だ。

 

だからこそ、俺が次に取れる選択肢は交わすことしかない。

 

 《相棒、右から三発接近中です!》

 「くっ――っ!」

 

アテナの指示を聞いて右からのスフィアを交わす。

 

 《マスター、今度は後方だ!》

 

交わす。

が、今度は肩に掠ってしまった。

 

魔力はカートリッジのお陰でまだまだ余裕がある。

だが問題は……体力。

 

コレばっかりはどうしようもない。

 

 《相棒、左です!》

 《マスター、前方だ!》

 「お……おぉぅ!?」

 

む、無理っ!

 

 「くっ!ハイペリオン!」

 

アーラで体制を維持しながら、アテナを再び腰に挿す。

そして自由になった両手で右と前にハイペリオンを展開、何とかやり過ごす。

 

 「~~っ!」

 

響くなぁ、この野郎っ。

 

 《いけません、相棒!》

 「戦場て動きを止めるとは……バカですか!?」

 「っ!しまっ――!!」

 

上空。

そこから剣を持ったアングが俺に向かって降下してくる。

 

直ぐにアテナを抜き取り、迎え撃とうとする。

が――。

 

 「しまっ!?」

 

普段しないことをしたせいで、アテナがベルトに引っかかってしまった。

待機モードに……駄目だ、間に合わねぇ!

 

 《マスター!!》

 「っ!レイラ!ダブル・ランス!」

 《――Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット)!――》

 

アテナの柄から手を離し、レイラをダブルで展開する。

レイラの中でコレが俺の一番使いやすいシルエット。長さがアテナのダブルと殆ど変わらないからだ。

 

 「はあぁぁ!!」

 「ぐぅっ!!」

 

二本ほ槍をクロスさせ、アングの刃を防いだ。

高い金属音が響いた。

 

その瞬間、レイラから火花が飛び散った。

 

 「レイラ!?」

 「また余所見ですか!」

 「ごふっ?!」

 

しかし、防いだと思ったと同時、アングが俺の横腹に蹴りをお見舞いしてくれやがった。

俺は両手が塞がっていたため、モロにくらって弾き飛ばされる。

 

馬鹿か俺は!戦場で動きを止めるのは命取りだって、ヴィータ姉さんに言われたじゃねぇか……。

 

……姉さんに言われた?

アレなら……いけるか!?

 

 「レイラ、戻れ!!アテナ!」

 

空中で体制を整えつつ、レイラを待機モードに戻してアテナをベルトから引き抜く。

 

そのままハイペリオンを展開、強く蹴り、再びアングに向かって全力で突っ込む。

 

 「ソードダンス――……」

 「そんなもの――!」

 

アングは俺にカウンターを仕掛ける為、剣を構える。

 

――だけど!

 

 《――Hyperion(ハイペリオン)――》

 「なに!?」

 

俺とアングの間にハイペリオンを展開、ヤツの攻撃を防ぐ。

そして俺はそのハイペリオンを蹴りアングの後ろに回りこむようい跳び――。

 

 「シングル……カラーズ!!」

 

後ろからではなく、真上から、ほぼゼロ距離でお見舞いしてやる。

 

アングの姿が爆煙に消え、俺は後退、シグナム姉さんの上に着地する。

いや、魔力を少しでも温存しておきたいのよ。

 

 『ウィズ、今の組み合わせは……』

 「あ、やっぱり分かった?」

 

下に居たシグナム姉さんが話しかけてきた。

 

そう。今のシングルまでの流れは俺が六課に来て最初にシグナム姉さんと戦った時に出したやつ。

あの時は後ろに回りこむ間に防ぐ隙を作ったみたいだったから、今回は直ぐに撃った。

 

さすがに今のは防げなかったはずだ。

 

防げなかった……筈!

筈なのに……。

 

 「中々……今のは危なかったですよ」

 『あれを防ぐのか……』

 「少しは期待してたんだけどなぁ……」

 

煙が晴れると、アングは何食わぬ顔で立っていた。

盾で防いだ。それはヤツのデバイスを見れば一目瞭然だ。

 

だけど、今のは絶対に決まった筈。

なんで……。

 

 「腑に落ちないですか?」

 「――っ!……あぁ」

 

素直に頷く。

 

 「確かに、僕は反応できませんでした。僕には徹底的に戦闘経験が欠落していますから」

 「ならなんで……」

 「アレのお陰ですよ」

 

そう言って指差したのはまたもやあの機械。

今はアングの無限魔力供給機。そしてマルチタスク。

 

いくらマルチタスクが優れていても、考えなかったら意味はねぇだろ……。

 

 《なるほど、そういう訳ですか》

 「分かるのか?」

 

目を離さないで、呟いたアテナに聞く。

俺には全く予想が付かない。

 

 《ええ。おそらくですが、例のマテリアル、そしてエストラたちとして積ませた経験かと》

 「経験?」

 《足りない経験をあの核が積み重ねさせ、それで補う。機器と繋がっている今のアングなら。アングが反応できなくても、別の思考が反応した、と言う事でしょう》

 「……つまり何か?アレはマルチタスクでもあって、ついでに独立思考でもあるって言うのかよ?」

 

 「正解です」

 

アテナがソコまで説明したところでアングが口を開いた。

 

 「それでも、独立思考は最低限だけですけどね。あまり僕から離れられても困りますから」

 「――っ!!」

 

アングの野郎……。

言ってる事が全く関係ないタイミングで……。

 

 「そろそろ、おしまいです」

 

アングの回りには、さっきまでとは比べ物にならない程のスフィアの壁。

もう壁以外に現しようがないほど、その数がある。

 

 『ウィズ!逃げろ!』

 「言われなくても!!」

 《言われなくても!?なんだかカッコ悪いですよ!?》

 「知るかぁ!」

 

姉さん達は空間で閉じ込められてるから被害は無い。

 

 「アテナ!!」

 《速力付与、最大展開!!》

 

再び速力を挙げ、ソコから飛びのく。

 

そして同時、俺に向かって一斉に打ち出されたスフィア。

 

 「くぅっ!!」

 

避ける、避ける。

とにかく何も考えずに避ける。

 

今だけは姉さん達を助けることも考えない!

自分が生き残ることだけを考えろ!!

 

 《相棒!!》

 

突然、アテナが叫んだ。

 

 「遅い!」

 「っ!しまっ――!!」

 

気づいたときには手遅れ。

目の前にアングの姿があって――背景が物凄い勢いで前に流れた。

 

次に思ったことはただ、冷たい。と言う事だった。

 

 

 

はやてside――――――――――――――――――

 

 「ウィズーー!!」

 

ウィズが後ろから切られて、高い水柱を立てて海に落ちた。

 

 「ふぅ……思いの他、手こずってしまいましたね」

 

夜の空に浮かぶアングは静かに、ウィズが落ちた場所を見てる。

 

 「では回収……いや、ユリアが出てきていない事を考えると、逃げる前に向こうの確保が先……。そうですね。あちらは死んでいても体さえあれば良い訳ですし……」

 『アング、貴様!!』

 

そんな時、叫んだのはシグナム。

レヴァンティには紅蓮の炎が灯っとる。

 

 「いいのですか?そんな狭い空間で、魔法、それもそんな大きな魔法を使えば自身の身に返ってきますよ」

 「構わん!」

 

シュベルトクロイツを握りなおす。

このケージを破壊するには、半端な攻撃やったら意味あらへん。

大規模魔法位やないと……。

それが返ってくる?

構わん。死なへんかったらそれでええ!

 

 「まったく……ソコまでして守るものでもないでしょう?本来の目的とは別とはいえ、元々、貴方たちを殺す為のモノですよ?」

 「ちゃう!……ウィズは、家族や!!」

 

考える暇も無く叫んだ。

でも、間違ってへん。

あの子を、道具扱いなんかさせるかい!

 

 「……家族、ですか。なら」

 

冷めた目つきで、淡々と言いながら杖を私の方へ向けてきたアング。

 

 「その家族が死んだら……彼は壊れますかね?」

 「そんな訳あるかい。ウィズは強いんやで」

 「そうですか。それでは……」

 「……え?」

 

突然、目の前がガラスのように砕けた。

 

なんでそんな事を……?

 

そう思ったけど、次の瞬間、目に映ってきたものを見て納得した。

 

魔力が杖に収束し始めてた。

構える。

 

今が最後のチャンスや。

それを逃すわけにはいかへん。

私一人でも、倒したる。

 

そう覚悟して構えた。

 

その時やった。

 

私とアングの間に高い水柱が立ったんは。

 

 「テメェ……誰に手、出そうとしてやがんだ?」

 「っちぃ、しぶとい」

 

水柱が降りて、そこに居たのは大きな白翼と黒翼を背中に生やして、どこかで見た事のある深い紺色のジャケットを羽織った、ウィズやった。

 

 「ゴメン、はや姉。大丈夫?」

 

そう言ってコッチを向いたウィズの目は、赤かった。

 

 

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