魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
レイラが俺のところに来て直ぐの頃だった。
自分よりスペックの高いレイラに対して、アテナが何とか劣っている所を探しだろうとしていたときだ。
その時、レイラが言った一言。
それが事の始まり。
《私には姉さんのような、シルエットの同時展開など出来ないぞ?》
その言葉に俺もアテナも少なからず驚いた。
レイラはアテナの後継機。
当然アテナより若干だがスペックは高いし、各シルエットの能力は比べるまでもない。
シールの能力なんかいい例だし、短距離なら空間跳躍も可能らしい。
そんなレイラに、同時展開が無い。
あの機能は普段の俺でも十分使えるし、何より使い勝手が良い。
その機能が無い。
始めはただオミットされただけかと思ってたけど、つい最近、違うって事が分かった。。
それはアテナがアナザーを作る時に自身を色々調整してた時だった。
アテナの中に、別にある未完成プログラムが見つかったんだ。
それがフルドライブ、コネクション。
それは各シルエットの能力を同時に発動させる機能だった。
見つけた時、一番驚いていたのはアテナだった。
自分の知らない機能、そんなモノがあるなんて思ってなかったらしい。
それからは二人でコネクションの扱い方を研究した。
各シルエットの能力を同時に発動できるって事は、その可能性はグンと大きくなる。
始めはまったくと言って良いほど使いこなせなかった。
それは魔力が足りないとか、そんな理由じゃなく単純に……組み合わせられなかった。
コネクション機能は未完成だったが故に俺が組み合わせを考えなければいけなかった。
二つの組み合わせでも、バランスよく組み合わせないと機能を上げるどころか下げてしまう。
今でも、四つしか作れてない上に、戦闘訓練はまったくと言って良いほど無い。
……それでも、今はそれに賭けるしかない。
コネクションなら、ヤツの思考にも対抗できる。
幸い、カートリッジにはまだ余裕がある。
コネクションを連続発動する分には困らない。
「(そうやな。今の状況で安全策なんて取ってられへんな。私は援護に徹する、でええな?)」
「(うん。お願い)」
それを最後に俺ははや姉も前に移動して、アングを睨む。
「いくぞ、アテナ!バスター、ガンソード!!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Buster(バスター) Silhouette(シルエット) and(アンド) Gun(ガン) Silhouette(シルエット)――connection(コネクション)!――》
二発のカートリッジを消費し、アテナがその姿を変える。
持ち手はガンソード、だが刀身部分は新しく出来た銃口の下部に取り付き、バスターの様に強大化している。
攻撃力強化プラス射撃!
そのアテナをライフルの様に両手構え、銃口をアングに向ける。
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――blanco(ブランコ) argentato(アルジェンタート) Buster(バスター)!!》
打ち出したのは白銀に輝く砲撃。
反動で体が後ろに持っていかれそうになるが、気合で踏ん張る。
「――っ。これは!?」
盾を作り出し、砲撃を防ぐアング。
だが直ぐに盾を残し自身の体を横にスライドさせた。
刹那、盾を分解させ、砲撃をやり過ごす。
「バスター、ダブルソード!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Buster(バスター) Silhouette(シルエット) and(アンド) Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット)――connection(コネクション)!――》
再び発光。
そして出てくるのはバスターより一回り小さい、厚い刃を持った二刀。
攻撃力プラス連撃!
「はああぁぁ!!」
「っ!」
切りかかる。
アングは一瞬虚を突かれた表情をしたが、剣を手に取り俺の攻撃を防いだ。
だが、攻撃は一度じゃねぇ!
右が防がれれば左、それでもなら再び右。
とにかく攻撃の手を休めない!!
「ちぃっ!小細工を――!!」
悪態をついて下がるアング。
だが、その先には。
「刃以(も)て、血に染めよ!穿(うが)て、ブラッディダガー!!」
襲い掛かる鮮血色の刃。
アングが気を取られてる間に!!
「ダブル、テクニカルソード!!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Doubul(ダブル) Silhouette(シルエット) and(アンド) Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット)――connection(コネクション)!――》
テクニカルより少しだけ短い、薄い刃を持った二刀。
連撃と速度。
この組み合わせで俺は、更に上の連撃を繰り出せる!
「これで!!」
「っ、しつこい!!」
今度はアングも二刀を取り出し応戦してきた。
「そんな付け焼刃で!!」
「――つぅ!!」
俺だって今の状態は殆ど初めてだけど、それでも二刀の戦闘経験は俺の方が上だ!
その状態で押されるわけが無い。
「ウィズ、下がり!!」
「っ。はや姉、了解!!」
後ろに下がる。
こう言ったら何だが、はや姉はもう自分のやる事、そして今の俺の弱点を既に分かってくれてる。
今の所、コネクションの弱点は多いが、目立つものは二つ。
一つはカートリッジの消費が激しいと言う事。
コネクション一回につき二発を消費するくせに、エクタランテと同じように一度発動をやめたら少しの間発動できない。。
これは今回、ユリアが用意してくれた山のようなカートリッジで埋められる。
そしてもう一つ。
それは同じ組み合わせを長時間展開出来ない上に、変える際には俺は隙だらけになる。
どうしても二つを展開する上にカートリッジを消費するせいで大きな隙が出来る。
それがアングなら、見逃すはずの無いほど大きな隙になる。
だからこそ、はや姉はその時間を稼ぐことに徹してくれてる。
「逃がしません!」
「クラウ・ソラス!」
追ってくるアングの進路を、はや姉の砲撃が拒む。
だからこそ、俺は安心してコネクションを発動できる!
「テクニカル、エクタランテソード!!」
《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)――Technical(テクニカル) Silhouette(シルエット) and(アンド) Eclatante(エクタランテ) Silhouette(シルエット)――connection(コネクション)!――》
両手に持っていた剣が、再び一つになる。
見た目はテクニカルが少し細長くなったよう。
そして、大きな違いは常に発光していることだ。
身体能力の上昇、その上からテクニカルの速力上昇。
これで……――
「――決める!アング!!」
「ぐぅっ――!!」
結局、俺が一番使ってたのはテクニカルだ。
基盤がテクニカルのコイツを使って、弱ったアング相手なら――!!
しかし、アングも引かない。
顔には苦しそうな表情を浮かべてるが、まだ付いてくる。
これだけ連続で攻撃方法、対応の仕方を変えたのに……まだ分割思考が残ってるって言うのか!?
――だが、残りは少ないのは明確だ。時間を与えるな。今のうちに叩け!――
姉さんの一押しで一瞬焦った気持ちを落ち着かせる。
「この程度で――!」
「っ!」
アングが横になぎ払った剣で、アテナを握る手が大きく横に弾かれた。
俺の腹は完全に無防備。
「これで――おしまいです!」
「――これ、くらいっ!アテナァ!!」
《――connection(コネクション) out(アウト)!――》
アテナがテクニカルとエクタランテに戻り、両手に納まった。
「――なっ……」
「はああぁぁ!!」
弾かれていない左手、そこに納まったテクニカルで、アングを切る!
苦しみの声を漏らしながら、後退するアング。
「逃がさねぇ!!アテナ!!」
《――Normal(ノーマル) Silhouette(シルエット)――》
唯一残ったノーマルシルエット。
コイツでも、出来ることはある。
アテナの剣先を横に広げ、姿勢を低く構える。
カートリッジを二発ロード。
今の俺に龍は無理でも……その牙なら!
――Hyperion(ハイペリオン)――
「っ!?」
突然、背後に展開されたハイペリオン。
一瞬アテナかと思ったが、その色、漆黒の色を見て誰かわかった。
――踏み込みが甘い。それを使え!――
「(姉さん……。ありがとう!!)」
背後に縦に展開されているハイペリオンに足をかけ、穿つつもりで強く蹴る。
「龍牙……――」
「くっ!アブソリュート!」
アングにももう思考は残っていないらしい。
慌てた様子でアブソリュートを集め、盾の形を形成しはじめる。
……今から俺が出すのは、斜め上からのカラーズに比べて単純な斬撃。
だが、コレこそ……今の俺のありったけ!!
「―― 一閃!!」
「なっ――に!?」
俺の斬撃は……届いた。
アブソリュートが盾を形成する前に、俺はアングを切った。
アングはそのまま気を失ったらしく、海面へと落ちていく。
「あ、やば……」
その様子を見て気が抜けたのか、全身から力が抜けていくのを感じた。
――限界か。ウィズ、ユニゾンを解除するぞ――
「駄目。姉さん、今解除したらまた海に落ちるじゃん」
責めてアースラまではこのままで居るつもりだ。
それにコレは融合の影響なんかじゃない。
ただ慣れないことしたから疲れただけ、筋肉痛みたいなもんだ。
それに……。
「ウィズ!大丈夫か!?」
「はや姉……ゴメン、正直しんどい」
こうやって肩を貸してくれる人が、俺には居る。
「ウィズ君!」
「ウィズ!」
ふと後ろから声が聞こえて振り向いた。
なの姉たちだった。
アングが気絶したからケージも消えたんだろう。
「大丈夫!?」
「うん。なんとか……。でも直ぐに休みたいかも……」
皆俺の事を心配してくれて、声をかけてきてくれる。
シャマル姉さんは俺とはや姉に治療魔法をかけてくれてるし、クロノたちは海に落ちたアングを探してる。
まぁ、そんな中この人だけは少し違ったけどね。
「龍牙一閃……一閃を名乗るにはまだまだだな」
「ア、アハハハハ……」
「ウィズ、今のその姿……」
その時、はや姉がそこまで言って言葉を区切った。
他の姉さんズも俺を見てる。
ま、そうだよな。
「うん。俺は今アインス姉さんとユニゾンしてる」
姉さんたち、海中であったことを全部話す。
皆驚いてたけど、最後は納得してくれた。
「ほんなら、アースラに戻ったら直ぐにシステムを調べへんとな」
「ありがとう、だって」
ユニゾン中は外と話せないみたいで俺が通訳みたいな形で言葉を伝えてる。
これで、今回の事件は終わりだ。
そう思ってたんだけど……。
「こ、これで終わってたまるものですか……!」
「アングっ!」
夜の空、そこに、ボロボロになり、肩で息をしているアングが居た。
既に姉さん達はアングを囲んでいる。
俺もはや姉に肩を借りているが、一緒に囲んでいる。
ハッキリ言って、もうお終いだろう。
アブソリュートも無いでこの戦力差。
「もう抵抗するな。ここでお前の計画は終わりだ」
「……そう言う訳にはいかないんですよ!」
「なっ!?」
そう叫んでアングは自身の左手首を掴み……引き抜いた。
その傷跡から出たのは真っ赤な血なんかじゃく……火花だった。
「戦闘機人、だったのか……」
確かに、よく考えたら生身の人間が機器と感覚を共有できるなんておかしい。
FS計画で生まれたからって、考えが浅かった!
「こうなれば、この世界ごと消して見せます!」
「……駄目だ!クロノ、今すぐ彼を止めろ!!」
「おそい――!」
ユーノさんが叫ぶも、既に遅かった。
アングは引きちぎった左腕を握りつぶし、その場で自爆した。
皆が言葉を失う。
ここで自爆なんて方法を取るなんて思ってなかった。
しかし、それだけではなかった。
アングが自爆をした場所、そこから今までとは比べ物にならない程の魔力が噴出し、辺りに荒れ狂った。
「やられた!」
「ユーノ君!どう言う事!?」
「彼は……マジック・ホールをこじ開けたんだ。このまま放っていたら……」
「どうなる、ユーノ!?」
クロノが叫ぶ。
それ程、今の状況がヤバイってことだ。
「……貯蔵した魔力が尽きるまで暴走し続けて、対には地球だけじゃない。次元世界を取り込む。いわばブラックホールになるんだ」
「貯蔵って……でもアングが無駄遣いをしていたんだろう!?」
「それでも、10年間魔力を貯蔵し続けてたんだ。コレでも減ったほうだ」
辺りに再び重い空気が漂う。
当たり前だ。敵はブラックホールだと、そういわれたも当然なんだから。
「……それで、それ以外の方法は?」
そんな中、クロノがユーノさんに聞く、
けれど……ユーノさんは静かに首を横に振った。
「……どの文献にも対処方法は載ってなかった。そもそも発見すらあまりされてないんだ、暴走状態のことがあっただけでも、凄いほうなんだよ」
「そんな……」
もう思い空気どころじゃない。
絶望。
その二文字がぴったりだ。
どうしようもない。
みんなそう思ってる。
……俺以外は。
「ユーノさん。一つだけ、方法あります」
「本当かい!?」
俺の一言にユーノさんが食いついてきた。
ほかのみんなの視線が俺に集まってるのが分かる。
「あかん……」
はや姉が、俺にしか聞こえないくらいの声でそういったのが聞こえた。
だけど……ゴメン。
俺は、言うよ。
「俺を……俺が、封印する」