魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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48.封印

 

 「そ、それって……」

 「あかん!!」

 

皆が俺の言葉に驚いてる時に、今度は当たり一杯に聞こえる大声で、はや姉が叫んだ。

そして俺の胸倉を掴むように移動する。

 

 「あかんで!絶対にそんな案は却下や!」

 「はや姉……でも」

 

こんなはや姉、俺は始めてみる。

 

 「ウィズ君、私も反対。そんなの駄目だよ」

 「何か他に手があるはずだよ。軽々しくそんな事を言わないで」

 

なの姉にフェイ姉が近くに寄ってきた。

本当に別の方法があるって、思ってる。

 

……いや、思いたいのか。

 

 

 「でも、もうコレくらいしかないよ。俺は元々その為に生まれてきたんだから」

 「そんなん関係ない!他に何か方法がある筈や!そやろ、ユーノ君!!」

 「そ、それは……」

 

顔を横にそらすユーノさん。

他のみんなの顔も曇る。

 

皆分かってるんだ。

無限書庫に無かったと言う事は、可能性が殆どゼロって言う事が。

 

それに、闇の書の闇、だっけ?

話に聞いた限りじゃアレとも違う。

言うなら、今回の相手は自然現象の様なものだ。

 

どれだけ技術が進んだ管理局でも、自然現象相手だとどうしようもない。

 

 「だから、俺がやるしかないんだ」

 「あかん言うてるやろ!他に方法が――」

 「あるのかよ!?」

 「っ――」

 

あ、って思ったときにはもう大声を出していた。

はや姉が息を呑むのが分かった。

 

 「他に方法が無いから、皆こうやってるんだろ!?俺に強く言って来れないんだろ!?」

 「そ、そんなこと……」

 

はや姉の両肩を持って、目を見て言う。

でも、それでもはや姉は納得できないらしい。

 

 「はや姉だって気づいてる筈でしょ?それしか、もう無いんだよ」

 「でもっ……でも、何か……」

 

必死に言葉を探してる。

はや姉だって分かってる筈だ。

 

でも、それをどうにかしたくて、でもどうにも出来なくて苦しんでる。

だから、言う。

 

 「はや姉。俺、前に言ったよね?」

 「…………」

 

俯いて、俺の言葉に反応してくれない。

掴んでる肩が揺れて、小さく嗚咽が聞こえるから、多分泣くのを我慢してる。

 

俺は構わず言葉を続ける。

 

 「どれだけ時間がたっても、みんなの、はや姉の所に帰ってくるって」

 

肩が少し揺れた。

 

 「絶対に帰ってくる。約束する」

 「……あかん」

 

顔を上げたはや姉。

目に一杯の涙を溜めて……。

 

 「やっぱりアカン!そんなウィズ一人が頑張る事あらへん!」

 「はや姉……」

 「なに言うても許さんで!やっと、やっとホンマの自由やんか!!なんでまたウィズがそんな目に合わないかんねん!」

 「っ。それって……」

 

多分今の台詞、俺の二年間の事を言ってるんだと、直感的に悟った。

シグナム姉さんには言わないでって頼んだから、はや姉、調べてたな。

実際調べたのはクロノ辺りだろうけど。

 

 

ま、考えたらそれが自然だよな。

この二年間は本当に自分の意思なんて関係なかったし、特に今年なんかは色々と自分に苦しめられたし。

 

そう考えたら自分の所属する部隊で悩んでたのって、スゲェ贅沢な事なのかも。

 

――でも、今はそう言う事は関係ないんだ。

 

 「俺、ウィズからも頼まれてるし、何より俺もそうしたいんだ」

 「なに言って……」

 「ゴメン、はや姉」

 

最後にはや姉に謝って、レイラを首にかける

 

 「ちょ、なにしてるん……っ!ウィズ――!!」

 

その言葉を最後にはや姉は姿を消した。

レイラでアースラに転送した。

 

もともとレイラには個人転送システムはあったらしい。

トウギはそれで、次元転送までしてたらしいからな。あのJS事件中の単独任務の時とか。

 

俺じゃそんな次元レベルは無理だけど、アースラに飛ばすことくらいは出来る。

 

 「クロノ、早く戻ってはや姉を抑えておいて」

 「……あぁ。……フェイト、なのは。二人も付いてきてくれ」

 

クロノは何も言わなかった。

なの姉とフェイ姉も、俺の方を少し見たが何も言わなかった。

ユーノさんとアルフさんも、二人についていった。

 

ここに残ったのは、俺と、夜天の守護騎士の皆。

皆俺の前に並ぶような形だ。

 

 「本当に、やるのか?」

 「うん。これ以外に方法はないしね」

 

シグナム姉さんが代表して聞いてきた。

俺も何度目になるか分からない言葉を返した。

 

 「本当はアインス姉さんも一緒に言って欲しいんだけど……」

 ――絶対にユニゾンアイトしないからな――

 「って言って聞かないんだよ」

 

苦笑いで言う。

 

アインス姉さんはさっきからそう言ってユニゾンを解除しようとしない。

最初は俺の体に負担が掛かるとか言って自分で解除しようとしてたのにな。

 

 ――それとコレとは別だ――

 

そうですか。

 

俺は心の中でそう呟いてマジックホールを見る。

 

マジックホールは既に、その大きさをサッカーボール程までにしていた。

当然、辺りを吹き荒れる魔力とかも始めとは比べ物にならない。

 

限界かどうかは分かんねぇけど、早くしたほうがいいのは明白だ。

 

 「って訳で、姉さん達も速くアースラに……っ!?」

 

そこまで言って、俺は言葉に詰まった。

……シャマル姉さんが、抱きついてきたから。

 

 「シ、シャマル姉さん?」

 「絶対……絶対に戻ってきて。そしたら、私が治してあげられるから」

 「うん」

 「戻ってこなかったら、アタシが一発くれてやる」

 「ヴィータ姉さん!?」

 

アイゼンを肩に担いだまま、半目のヴィータ姉さんが、シャマル姉さんの肩越しに見えた。

スッゴク物騒なことを言いながら。

 

いやまぁ、照れ隠しって事は十二分に理解してますけどね。

 

 「それがイヤなら絶対に戻って来い、と言う事だ」

 「ザフィーラ兄さん」

 

ヴィータ姉さんの後ろ。

そこで腕を組んで静かに言う兄さん。

 

俺はそれに何も言わずに頷いた。

 

 

そして、皆はアースラに戻っていった。

 

 

 

俺は今、マジックホールに向かって立っている。

 

 「ってカッコつけたのは良いんだけどよ、どうやったらいいんだ?」

 《……どうせそんな事だろうと思ってましたよ》

 ――まったく成長していないのだな、お前は――

 《相棒、なんでいつも最後でこけるんですか?》

 「俺だって知りたよ!?ってかそのほとんど、お前が原因だからね!?」

 《濡れ衣です!》

 「どこが!!?」

 

いやはや、緊張感ないね本当に。

こうしてる間にも魔力の流れが強くなってきてるってのに、なにやってんだか、マジで。

 

 《相棒、本当に良いんですね》

 

なのにコイツは、この土壇場になってそんな事を言ってきやがった。

 

 「良いんだよ。何度も言うけど死ぬ気はサラッさらないし。少しキツイ事をやる。それくらいだろ?」

 《……そうですね》

 

少し間があったけど、一応納得してくれたみたいだ。

 

 《良く聞いてくださいね、相棒。今から説明させてもらいますので》

 「了解。姉さんも聞こえるよね?」

 ――勿論だ――

 《では……》

 

 

アテナの説明ではこうだ。

 

俺が出来ることはたった一つ。

魔力の流れを乱さない……一定に保つこと。

だけどそれは常日頃から心得てることだ。難しいことじゃない。

 

それに対してアテナのすることは多い。

その代表が俺の中にある4番、そして五番拘束を解くこと。

 

元々俺は俺の事を知らなかったんだから、俺が何をしなくても封印……マジックホールの操作は出来るも当然か。

 

 

 《そして相棒。魔力の流れの話はしましたが、それは二の次でいいです》

 「二の次って、それ以上に大事なこと……あるんだろうけど、なに?」

 《自分を保つことです》

 

自分を保つ。

それはある意味魔力の流れ以上に簡単なことだ。

 

だけど俺は覚える。

 

 「保つって……出来るのかよ。五番解いたら人じゃなくなる、とか言ってなかったか?」

 《はい。普段の相棒ならそうだったでしょう。ですが、今の相棒なら何とかなるかもしれないんです》

 「ん?」

 ――私、だな?――

 

俺が何が違うのか首を傾げていると、姉さんが口を開いた。

そして成る程、と納得した。

 

 「俺を内側から手助けしてくれる、って事か」

 《あくまで可能性の話です。お姉さんに聞いてみなくては》

 ――やって見よう。いや、違うな――

 

そこで一拍空いて……。

 

 ――任せろ。必ずお前の意識を繋ぎとめてやる――

 

力強い、頼もしいセリフを言ってくれた。

 

 「よし。アテナ、やるぞ」

 《はいっ!》

 

アテナを右手中指に嵌めながら、気合を入れる。

 

 「拘束封印魔術、解除申請。……第四、五拘束、解除」

 《……承諾しました。第四、五拘束、解除します》

 「――ぐっ……ガハッ!?」

 

途端、目の前が一瞬白くなる。

 

体の至る所から溢れそうになる魔力を、体中に力を入れて何とか押さえ込む。

喉元に何か詰まったような感覚を胸元を掴んで誤魔化す。

 

まだ、ここで終わりじゃない。

 

 《全拘束解除……確認》

 「続いて、魔力流動をアテナへ譲渡」

 《……魔力流動、譲受確認》

 

コレで俺の魔力をアテナが操作してくれる。

これで魔力に関しては乱さなければ……いいけど、無理かもっ。

 

 《相棒、魔力の乱れが大きすぎます!これでは私でもっ》

 「んなこと……言っても、俺だって……」

 

俺だって精一杯だ。

本来、ここは俺の意識は切り離して魔力の流れだけを徹底する場所。

それを意識を繋ぎとめることに大半を使ってるんだ。

 

魔力が乱れたってしょうがない。

 

けど、これで封印が失敗したら……っ!

 

 《魔力流動安定を確認》

 「なん……で」

 ――私だ。ウィズが思いのほか自身で意識を繋ぎとめていたからな。こちらに回れた――

 

どうも俺の変わりに姉さんが魔力の流れを安定させてくれたみたいだ。

 

だけど喜んでばかりいられない。

これで意識を繋ぎとめる補助が減ったと言う事だ。

 

更にきつくなるかもしれない。

 

でも、ここで負けるわけにはいかない。

俺は……帰るんだ。

 

コレで……最後……。

 

 「…………」

 《相棒?》

 

途端に、怖くなった。

 

一つ。そんな話じゃない。

一歩。そんなに大きくない。

 

目の前は自分の手さえ見えない真っ暗な闇。

そんな中を、足を下ろす場所を一箇所間違えば……俺は死ぬ。

 

イヤだ。

ここでヤメテも、誰も責めないんじゃないのか?

 

 

 「……ダメだ」

 

自分に言い聞かすように、呟いた。

 

 《相棒、どうしたんです――……》

 「対古代遺失物操作機能――」

 

ここで俺が、怖くなって逃げ出したら……

 

 「始動キー ――」

 

俺が、俺を許せねぇ!

 

 「――"WitH"」

 

途端、さっきまでとは比べ物にならない、魔力の爆発。

既に俺の操作範疇を超えてる。

 

もう意識が殆ど飛び始めている。

 

目も殆ど霞んで見えない。

辺りに吹き荒れていた魔力も、もう今は肌に感じられない。

 

人としての機能が無くなって来てるんだと、自分でも分かった。

 

 《始動キー、確認》

 

意識が遠退いていく。

 

 《魔力量、流動、共に安定を確認》

 

そんな時、俺の頭を過ぎった言葉はただ……

 

 《対古代遺失物操作機能、稼動開始》

 

死にたくねぇなぁ……

 

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