魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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05.激情の赤・離反の白

俺の目に写った三つの影。

 

一人は女性。

腰まである灰色の髪は三つ網に黒いリボンで結ばれている。

着ているのはバリアジャケットだろうが、煤などで汚れているせいで細かいことはマッタク分からない。

 

残る二人は男。

片方は全て逆立てている黒ずんだ赤い髪。着ているジャケットはライダースーツの様に体にフィットしていて、簡単なジャケットを羽織っている。

色は髪よりさらに黒ずんだ様なと赤。

 

残りの一人は、白い髪。

それも俺のような濁った色ではなく、純粋な白、純白である。

ジャケットも色が白とい言う点を除けば赤いヤツと全く同じ。

 

 

今の立ち位置は女性を二人の男が半壊した建物の上から見下ろしている形だ。

そして俺は女性の後ろに立っている。

お互いがお互いに集中しているようで俺の存在には気づいていない様子。

 

どうする?

 

考えている内に、間の前にいる女性が体を沈めた。

 

 「止まれ!時空管理局だ!」

 

ここで再び戦闘を再開させる訳には行かない。

俺はとっさに叫んでいた。

 

 「都内での魔法戦闘行為は禁止されている。全員、武器を納めて投降しろ」

 《武器なんて持っていないがな》

 《もう、相棒の慌てん坊さん》

 「水差すな、馬鹿共。特にアテナは気持ち悪い」

 《ヒドい!!》

 

アテナのKYさにウンザリしながらも、目の前の三人から目を離さない。

相手は抵抗し、俺に攻撃行為、又は逃走すると俺は思っていた。

 

しかし、俺の予想は大きく外れることになった。

 

 「ククッ……あはははははっ!」

 

赤髪の男が狂ったように片手で顔を隠しながら笑い始めたのだ。

隣にいる白いヤツも君の悪い笑みを浮かべている。

キモチワリィ……。

 

 「バカッ!何で出てきたのよ!?」

 「は?」

 

女に至っては駆け寄ってきて俺に罵声を浴びせてくる。一体なんだって言うんだ?

状況がまったく理解できねぇ。

 

 「は? じゃなくて……っ!危ない!」

 「!?」

 

突然、女が俺を突き飛ばす。

 

そしてほぼ同時、俺の居た場所が爆発した。

魔力弾が打ち込まれたんでもない。ただ爆発した。

 

 「なっ……どういう――」

 「早く立ちなさい!次、来るわよ!」

 「っ!」

 

女に即され立ち上がり、後ろに後退する。

そしてまた、俺の居た場所が爆発を起こした。

 

 「一体どうなってんだよ!?」

 

とにかくランダムに動き回りつつ、男たちを見る。

白いヤツは右手を俺に向けていた。

 

だが、それだけだ。

魔力弾どころか、魔方陣さえ展開されていない。

 

なのに――……。

 

 《マスター、右だ!》

 「くっ!」

 《相棒、好きだ!》

 「頼むからお前は黙っててくれ!空気がぶち壊しだから!!」

 

まるで打ち出しているように、俺の行く先々で爆発が起こる。

アテナ達によれば確かに魔力反応はあるみたいだ。

 

何かのレアスキルと見たほうがいいな……。

 

 「おい、女!」

 「何よ!今忙しいの……よっ!」

 

俺と同じように、爆発を避けていた女に問いかける。

横目で何度か見たが、どうにもあの男たちに向かっていこうとしていた。

それもあの不明の爆発に遮られてたみたいだけどな。

 

 「あいつ等とは敵対してるって考えていいか!?」

 

さっきまでの様子を見れば一目瞭然。

この女はあいつ等とは敵対している。

そして俺を庇った。

 

なら――。

 

 「当たり前でしょ!というか私はあんたの味方よ!」

 

やっぱり。

味方って言い切ってる事は少し気になるが、今は言ってる場合じゃねぇし。

もし嘘でも、少なくともこの状況を抜け出すまでは裏切らないだろう。

 

 「なら協力しろ!まずこの爆発は……」

 「何だと思う?」

 「づっ!!?」

 

最後まで言い切ることが出来ずに、背景が一気に前に流れる。

それが攻撃を受けての後退だと理解するのに少し時間がかかった。

 

 《相棒!大丈夫ですか!?》

 「あぁ、助かった」

 

俺は間一髪、甲冑を着ていた。

いや、性格にはアテナが着せてくれていた。

やっぱりこの辺は年季の差が出たらしい。

レイラも同じ事をしようとしたらしいが、俺に着せるのに少し時間がかかったらしい。

今更甲冑を変えてる暇も無いので、慣れたアテナフォームで行くことにする。

 

 「捜査妨害、一般市民への攻撃及び都内戦闘。軽くは無いぞ?」

 

最後通告。

しかし目の前の赤髪は何も言わない。

 

 「お前たちの目的は何だ?」

 「お前だよ」

 

今度は即答。

だが、俺?

 

 「どういう意味だ?」

 

一瞬、ほんの一瞬アイスマンが頭に浮かぶ。

だがそれをすぐに否定する。

お世辞にも俺とは似ても似つかない。

 

 「他に意味なんてねぇよ。俺たちと来い。神崎ウィズ」

 

少し前かがみの状態で俺に手を差し出してくる。

意味が分からない。

 

管理局員を仲間に引き込む?しかも俺を?

メリットが無い。

 

 「おら、どうすんだ、兄弟?」

 「兄弟?」

 「ウィズから離れなさい!!」

 「ちっ」

 

会話を遮って、女が赤髪に攻撃にかかる。

赤髪の男は後ろに大きく飛び攻撃を交わし、女は守るように俺の前に立った。

 

 「わりぃ、たすか――」

 「悪いと思うならもう少し機敏に動きなさいよね」

 「……悪かったな」

 

一言目とは大きく意味の違う『悪かったな』。

でも流石にいいすぎだろ。相手の能力、まったく意味わかんねぇんだし。

 

 「こらユリアぁ!邪魔すんなボケ!」

 

赤髪は半壊した建物の上に膝をついてこっちに罵声を浴びせていた。

白いのも隣にいる。

口悪いな、あいつ。

 

俺の周りにあんな口の悪いの……いや、一人いたな。切れたらあんな口調になるチッコイの。

まぁあそこまでとは言わねぇけど。

それにしてもこの女、ユリアって言うのか?

 

 「ごめんなさいね。ウィズを守るのが私の仕事だから」

 

また俺のわかんねぇとこで話進んでるし。

何だ?

俺とユリア、昔に会ったことでもあるのか?

 

 「メンドクせぇ。お前今度こそ潰すぞ……」

 「できるならやって欲しいわね。出来るなら」

 

ユリアは悪魔で余裕の態度を崩さない。

だけど後ろにいる俺にはわかる。

背中が、赤く染まっていることが……。

 

 「いい度胸だ。ユリア覚悟できてんだろうな?」

 

赤髪が体をさらに沈める。

俺も迎え撃つ為にアテナをテクニカルにする。

だが、終わりはあっけないものだった。

 

 「ここまでだ、ヴィオル」

 「あぁん?」

 

今まで沈黙を保ってきた白いのが終了を告げた。

だが、赤髪は治まらないのか食い下がる。

 

 「ふざけんな!目の前にいんだぞ!今なら一人だ!俺たちなら……」

 「駄目だ。予め増援を呼んでいたんだろう。大きい魔力が近づいてきている」

 

俺も言われて魔力を探る。

あいつ等の能力か、魔力が乱れてて感知しにくいが確かに魔力が近づいてきていた。

これは……なの姉。スターズだな。

 

 「ちっ……」

 

流石に分が悪いと踏んだのか、赤髪の男も不満足下に立ち上がる。

 

 「覚えておけ、神埼ウィズ。必ず迎えに来る」

 

そういい残し、やつ等は俺たちの前から姿を消した。

すぐに後を追おうとするが……目の前でユリアが倒れた。

 

 「お、おい!大丈夫か!?」

 

上半身を抱き上げる。

 

 「平気よ。少し疲れただけだから静かにして」

 「お……おう」

 

そしてユリアは目を閉じた。

薄く胸が上下している所を見ると、多分寝たんだろう。

 

っていうか何で大丈夫なんだよ。

ジャケット越しに滲むほど出欠してんのに。

 

 「ウィズ君!」

 「! なの姉!」

 

どうしようか悩んでるところになの姉たちスターズがやってきた。

 

 「ウィズ君、その子は?」

 「戦闘してた一人。俺と協力して逃げたヤツと戦ってたんだけど……」

 「だけど?」

 「俺を知ってるみたいなんだ。俺を守るのが仕事、とか言ってた」

 「おいおい!それマジかよ!?」

 

なの姉の隣にいたヴィータ姉さんが驚きの声を上げる。

隣にいるなの姉、スバル、ティアナも声は上げてなくても同じような表情をしてる。

 

無理もない。俺だって驚いてるんだから。

アテナからある程度昔を教えてもらったけど、ユリアのことは聞いてない。

 

 「とりあえず、六課に運んでいいかな?」

 「私もそうしたほうがいいと思う。ヴィータちゃん」

 「ああ。アタシはウィズと一緒に戻る。こっちは頼んだぞ」

 

そして俺の、慌しい休日は終わりを告げた。

 

 

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