魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd   作:八神煌斗

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06.ユリア【前編】

 「はや姉。目を覚ましたって本当?」

 「さっきシャマルから連絡があったわ。一緒に行くやろ?」

 「もちろん」

 

あの戦闘から一夜あけ、朝一番にはや姉から連絡があった。

 

それはユリアが目を覚ましたって言う内容だった。

ユリアは思った通り、背中に大きな切り傷があった。

シャマル姉さんによれば攻撃を受けてから甲冑を着たんだろうということ。

 

まぁ、怪我自体は出血の割りに傷は浅く、シャマル姉さんのおかげで大事に至らなかった。

そして俺は今はや姉と共に医務室へ向かっている。

 

 「シャマル、目が覚めたんやって?」

 「えぇ。そこに」

 

医務室に入ってすぐ横、何故かある横長のソファーに薄い灰色の髪の女性、ユリアが座っていた。

髪は三つ網じゃなくてストレートにしてるんだな。

あ、目の色は紫か。昨日は見てる暇なんて無かったからなぁ。

 

とりあえず、座ってるところを見ると、目が覚めたどころか結構元気みたいだな。

 

 「体調はどうや?」

 「まぁまぁね。とりあえず、この通り座れるくらいは元気になったわよ」

 

腕を組みながら言うユリア。

そういう性格なのか、見栄張ってんのか……。

 

 「そんなことより、私に聞きたいことがあるんじゃないの?」

 

座ったまま目を細め、はや姉に挑発的な視線を送る。

 

あ、こいつマジで余裕だな。

確証なんてないけど、何となくわかる。

 

 「そんなら詳しく聞かせてもらおか。いきなりやけど名前はユリヤでええ?」

 「? あぁ、ウィズから聞いたのね。その通りよ」

 

何で自分の名前を知っているのか不思議に思ったみたいだが、自分で答えを出していた。

その答えも間違ってないから凄いよな。

 

 「何で街中で戦闘なんてしたん?」

 「あれは私のせいじゃないわよ。あいつ等のせい。言っとくけど私は攻撃なんていたの一回だけよ」

 

ん?って事は俺を守ったときの一回だけ?

そういえば昨日の戦闘中もその時しか攻撃してなかったな。

あの意味不明な爆発のせいで近づけなかったってものあるんだろうけど。

 

 「私はただ追われてただけ。ま、そのせいで町があんな事になったのは否定しないけど」

 「何で追われてたんや?」

 「ウィズに会う為よ」

 「俺?」

 

はや姉が逃げる理由を聞いたら、ユリアはアッサリ俺だといった。

昨日もそうだったけど、コイツ……俺のこと知ってる?

 

 「お前……」

 「悪いけどその言い方は止めて。呼ぶなら名前で」

 「……ユリアは俺の事を知ってるのか?」

 「勿論。と言うかアンタは私の顔を見て何とも思わない訳?」

 

自分のことは名前で呼ばせておいて俺はアンタ呼ばわりか?

 

だけど自分に見覚えないか、とか。新手のナンパか?古いぞ。

馬鹿な事を考えながらも記憶を辿ってみるが、ユリアの顔には全く見覚えはない。

でも何か引っかかるモンもあるんだよなぁ。

 

そう考えてる時、ユリアがあ、と言って手を叩いた。

 

 「確か記憶無いんだったけ。覚えてないのは当然か」

 「……あんた、何者や?」

 

はや姉が最初とは比べ物にならない程、警戒した声でを出した。

シャマル姉さんも警戒し、俺の前に壁になるように立った。

 

無理も無い。

俺がロストロギア級の能力持ちと言うことや、FS計画の完成例だと言うことは既に管理局内に知られている。

 

だけど、俺の過去まで知っているのはこの起動六課のはや姉たち隊長陣だけだ。

俺の記憶が無いと言うことは外部に漏れることは絶対にない。

怪しむのは当然だ。

 

だが……。

 

 「私が答えてもいいけど……もう気づいてるんでしょ?アテナ、レイラ」

 「……本当か?」

 

目線を下ろし、首にかかっている二つの指輪を見る。

疑うわけじゃない。だけど、確かに昨日から様子がおかしかった。

 

レイラは兎も角アテナの口数が異常に少ない。

しかも時々念話を使って二人で話してるみたいだ。

 

デバイス同士が念話ってどうよ?

 

 《ありえません》

 「そんなことは無いわよ。現に此処に居るんだから」

 「おい、お前ユリアの事を知ってんのかよ?」

 

この様子だと、心当たりはあるみたいだな。

 

 《ユリア自身は私も知りません。ですが、魔力は知っています》

 「魔力?」

 《彼女の魔力……アリヤ嬢とまったく同じなのだ》

 「アリヤ?」

 

もったいぶった言い方しかしないアテナに変わってレイラが説明してくれた。

 

それにしても……アリヤ?

それって確か、母さんの名前だったよな?

魔力反応が同じ?

 

まさか……。

 

 「ウィズも気づいた見たいね」

 

腕を組んだまま、足も組み、見上げるように聞いてくる。

まるでこっちこ挑発するような。

 

 「ありえへん」

 「さっきも言ったでしょ。ここに居るのが事実であり、最大の証拠よ」

 

はや姉の言葉も真っ向から否定する。

ユリアはソファーから立ち上がり、俺たち三人を見据え、口を開いた。

 

 「私はユリア。FS計画で作られたアリヤのクローンよ」

 

紛れも無い真実を告げた。

 

 「そして、ウィズを守護するために生まれた騎士」

 「ウィズ君の……騎士?」

 

シャマル姉さんから絞り出すような声が聞こえた。

もう俺もはや姉も何も言わない。いや、言えない。

 

ユリアは信用云々以前に怪しすぎる。

俺が医務室に来てから、ユリアから聞く一言一言が突拍子の無いことばかりだ。

これでハイそうですかって言えるヤツはどうかしてる。

 

 「ま、そんな顔されるのは分かってたけど……。いい気分じゃないわね」

 

頭を搔きながら、呆れたような、疲れたような口調のユリア。

さて、どこから話したらいいかしら……。なんて言っている。

 

もう俺もどっから聞いたらいいのかわかんねぇよ。

 

 「簡単に説明してあげるわ。質問してくれたら答えてあげる。OK?」

 

しかもいつの間にか仕切ってる。

もしかしたらはや姉以上のカリスマ持ちかもな。

 

 「ならウィズのおか……アリヤさんのクローンって言うのはどういうことや?」

 「そのままの意味よ。生まれたのは確か……新暦66年だっけ」

 

闇の書事件の翌年か……って!

 

 「ちょっと待てぇ!なら何か!?お前――」

 「ユリア」

 「……ユリアお前何歳だよ?」

 「あんた計算も出来ないの?今年で9よ」

 「…………」

 

アリヤが年を言った瞬間、部屋の気温が急激に下がった気がする。

はや姉とシャマル姉さんは目を限界に挑戦しているのかってくらい開いている。

 

そうだよな。

だって見た目はどう見ても俺やはや姉より少し上に見える。20代とかその辺。

それが何だ。真顔で9歳。エリオよりも年下……。

 

 「あぁ、安心しなさい。私の肉体年齢は21よ」

 「なんでそっち言わねぇんだよ!?」

 「女は若く見られたいものなのよ」

 「限度があるだろ!?はや姉もシャマル姉さんも頷かない!!」

 

もうさっきまでの空気は綺麗さっぱりなくなっていた。

それどころかあの一言ではや姉が警戒心を解いてるっぽい。

まぁ俺だって悪いやつとは思わないけどさ。

なんだかなぁ……。

 

 

 

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