魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH 2nd 作:八神煌斗
「そういえば俺の能力が欲しいって……また何かの制御装置か何かか?」
「そうよ。確か……魔力が集まる……何とかの渦がどうたらこうたら」
「曖昧だなぁ」
頭の隅にある記憶を手繰り寄せるように、思い出しながら答えるユリア。
いくら抜けたと言っても昨日まで仲間だって癖に。
「仕方ないでしょ。元々怪しまれてたから私に情報回ってこなかったんだし」
怪しまれてたって……。
もう少し上手くやれよな。
この件については、ユーノさんに調べてもらうことになった。
魔力が集まる渦。
これだけの情報で見つかるのかと不安になるが、何故かあの人なら見つけるだろうとも思う。
その後はユリアを含めた四人で少しの間だけ雑談を交わし、今は食堂に向かっている。
シャマル姉さんはまだ少し仕事が残っているという事なので医務室に残った。
「なぁ。さっき言ってたけどユリアってウィズの兄妹にあたるんか?」
そんな中、はや姉がユリアに質問をした。
「そうなるんじゃない?一応血のつながりもあるし。あ、お母さんのほうがいい?」
「いらん」
ユリアの話によると、俺の体は正確には元になったヤツの複製体じゃないらしい。
体の基盤は確かにその元になったヤツのモノ。
だが、母さんや親父のDNAも少なからず入っているのだと言うこと。
その過程で作られたのが俺と、アイスマン。
だから俺とアイスマンは瓜二つで、元のヤツとは逆に似ていないらしい。
つまり俺は単なるクローンでは無いと言う事。
そして母さんの血が流れてる俺と、母さんのクローンのユリア。
成る程。兄妹って言うのはあながち間違いじゃない。
「と言うことは……ユリアも私の妹って事やな」
「は?」
「はい?」
俺とユリアは足を止め、唖然とする。
あなた突然何言ってやがりますか。
「だってウィズは私の弟やし。その妹って事は私の妹でもあるやろ?」
うれしそうに話すはや姉。
でもそれ理に適ってる様に見えて言ってること滅茶苦茶だからな。
ほら、ユリアも頭抱えて唸ってるし。
「ウィズ、この人いつもこんな感じなの?」
「まぁ、比較的」
「はぁ……」
大きいため息だ事。
幸せ逃げるぞ。
「なんや、何か不満か?」
「不満ねぇ……。姉と言うなら責めて私より大きくなってから言いなさいよね」
不満げなはや姉に呆れたように返すユリア。
その視線ははや姉のある一点だけを見つめている。
はや姉はその視線の先を追い、たどり着いた瞬間顔に一気に赤みが刺す。
そして後ろに後ずさり、腕を組むようにしてその場所を隠す。
「う、うるさいわ!まだまだ発展途上なんや!これからや!」
「でも19なんでしょ?その年でそれだと望み薄ね」
「うぅ~……」
言っておくがユリアがいくら俺より年下、9歳だと言っても肉体年齢は21。
勿論成長するところはちゃんと成長している。
正直はや姉のとなの姉たちに比べて幼さも抜け切ってる。
美人とかカッコいいとかそんな言葉が似合う。
「そうね……あ、責めてあれ位は欲しいわね」
「え?」
「うん?」
ユリアが指差した先に居たのはフェイ姉となの姉。
二人ともいきなり見ず知らずの人に指差されて驚いている。
んで横では、はや姉が壁に頭をつけ、これ異常ないほどの負のオーラを出している。
そんなに、そんなに巨乳がええんか……。とか。
同性にまで巨乳であることを求められる時代になったんか……。とか呟いている。
いろんな意味で怖いから無視することにする。
「あ!あなた昨日の。元気になったんだ?」
「ええ。お陰様でね」
なの姉がユリアの事を思い出してフェイ姉と一緒にこっちに駆け寄って来る。
「よかったぁ。あ、私高町なのは。よろしくね」
「私はフェイト・T・ハラオウン。よろしく」
名前を名乗って握手を求める二人。
それにユリアも応じて手を出し、二人と握手をする。
「神崎ユリアよ。よろしく」
「え?」
「うん?」
「はい?」
コンボか決まった!
じゃなくて、今度の発言にはさすがになの姉たちだけじゃなくて俺も驚いた。
はや姉は相変わらず向こう側に居るけど。
まぁ、八神家……てか、はや姉に胸の話題はいろんな意味で禁句だからなぁ。
そしてはや姉を送った当の本人は「やっぱりこれくらいはいるわよね」とかいってる。
「おい、何で神崎なんだよ?」
「別にいいじゃない。お母さんの姓を名乗る資格なんてないし。別に兄妹なんだからいいでしょ?」
別に構わないけどよ。
何でこんなタイミングで、しかも兄妹とかサラッと言うかねぇ。
そんな事言ったら――……。
「え!?き、兄妹!?」
「ウィズ、どういうこと!?」
ほれ見ろ。やっぱりこんな状況になった。
「ウィズ!アンタまで巨乳派か!?フェイトちゃん達みたいなけしからんのがええんか!?」
「はやて、けしからんって何!?」
いやもう……勝手にしてください。
ここから先は言うまでもなく、ユリアが二人に説明をした。
二人とも滅多に見られない様な顔をして驚いてた。無理もないけどな。
因みにその間俺ははや姉に絡まれていた。
んで今は食堂。
俺が絡まれている間になの姉達とユリアは何故か仲良くなり、今は楽しそうに話しながら食事をしている。
何ていうか……なんでそんなにナチュラルに仲良くなってるのかな?
少しは疑っても良いと思うんだ、俺は。
そりゃ姉さん達が疑うことをあんまりしないのは知ってるけど。
だけど会って数時間も経っていない相手への接し方じゃないと思う。
「ん?なによウィズ?」
俺の視線に気づいてユリアが声をかけてきた。
「いや、なんでもねぇ」
「あ、もしかして……」
俺の素っ気無い返事に何か感じたのか、目を細め、既に見慣れた挑発的な表情をする。
もしかして疑ってるのが気づかれたか?
「私に惚れた?」
「ブーー!!?」
「うわ!?何やってんねん!?」
俺の予想を180度裏切る言葉に思わず噴出してしまう。
隣で食べていたはや姉は素晴らしい反射神経で料理を避けていた。
「でも駄目よ。私達は仮にも兄妹だからね。残念でした」
「違ぇよ!何その自信!?」
机を叩き、乗り出して言い返す。
ここでちゃんと否定しておかねぇと、後々言われそうだ。
「ムキになるって事は……図星?」
「だから違ぇ!」
《相棒……だから逆効果ですから……》
アテナが呆れたように言う。
って言うかここまで全く喋ってなかったくせに、一言目がツッコミかよ。
「あ、でもこの場合どうなるのかしら?」
「ユリア、どうしたの?」
何かを思いつき、考える素振りを見せたユリアにフェイ姉が不思議に思ったんだろう。
ユリアを挟むようになの姉と座ってたから、隣にいるなの姉もユリアも見てる。
「私の年、言ったでしょ?」
「うん。9歳でしょ?信じられないけど……」
「この場合ウィズって幼女趣味になるのかしら?ほらロリコンって言うの?」
本日二度目の気温低下。
冬に近づいている今、気温の低下は厳しいのです。
ほら、なの姉とフェイ姉の目が凄く冷たい。
俺が何かしましたか?
「あ、ウィズさーん」
なんな時、救いの手が差し伸べられた。
スバル達FW陣が来たのだ。
今日の朝練には参加してなかったし、今日始めて会うことになる。
「よう、スバルにティアナ。エリオとキャロも一緒――」
シュバッと。こっちに向かってきていたエリオとキャロ前に金色の光が現れた。
まぁ、言うまでもなくそれはフェイ姉なんだけど。
二人を庇うように前に立っている。なぜエリオまで庇ってるのかな?
「泣いてもいいかな?」
「げ、元気出して、ウィズ君!」
「そうやで!私はどんなウィズでも受け入れるで!」
普段そんな風に言われたら嬉しいんだけど、この状況では追い討ち以外のなんでもないですよ。特にはや姉。
FW陣は目を丸くして状況が掴めていない。
フェイ姉は体が勝手に動いたって、俺に色々説明してる。
なの姉とはや姉は苦笑い。
そしてこの状況を作り出したユリアは知らん顔で食事を再開しながら
「あ、妹萌えって言い方もあるわね」
とか言ってる。
《(これが俗に言うカオスですね)》
《(この会話を交わしている私達も含まれて、だろうがな)》
本当だよ、チクショウ……。
この状況はシグナム姉さん達が来るまで続いた。