魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST 作:八神煌斗
さて、どうしたモンかなぁ……。
《諦めるしか無いでしょうね》
「簡単に言ってくれるなよ……」
ユリアをみつけたその日、俺たちはどこにも止まることなく真っ直ぐ帰ってきた。
時間は既に19時前といい時間。
あの暴走族たちはスバルたちが既にゲンヤさんたちに引き渡して、現場も引継ぎ作業までやってくれてたから問題なく戻ってきたんだけど……。
「私、なんだかお腹痛いです」
「あ、あはははは……」
俺の後ろでお腹をさすってるティアナと苦笑いをしているスバル。
この後に起きる事が簡単に想像できるだけに二人の反応は間違ってない。
原因は俺の前でなんだかキャイキャイ言ってる二人なんだけど。
どうなることやら……。
「はや姉、いる?」
「ウィズか?開いてるよ~」
部隊長室の前に立ちノックをする。
まぁ、事前に連絡を入れてたし居るって事は分かってたけどな。
中に居たのははや姉一人だけだった。
リィンも居るもんだと思ってたけど、まぁ食堂あたりだろう。
時間もそんなもんだし、別に不思議なことじゃねぇか。
「あれ、ユリアはどないしたんや?」
「あ~……」
まぁ、当然の疑問だよなぁ。
ユリア探索ってことで出かけたんだし。
「その、さすがのアイツも今回の事には負い目を感じてるみたいでさ……」
勿論嘘っぱちだ。
いや、感じてるかも知れねぇけどだからって態度に表すヤツじゃねぇし。
因みに今は部隊長室の前で二人で色々計画を立ててるところだろう。
ふむ、ティアナたちを部屋に帰したのは間違いだったか……。
負担も少しは減ったかもしれないのに。
「まぁ、言う事は確かにあるけど、負い目を感じることでもあらへんのに」
因みに予め事情は連絡している。
だからこそこの理解力なんだけど……。
ゴメンはや姉、先に謝っとく。
今からすっごく疲れると思います。
主に精神的な感じで。
「アテナ、二人呼んでくれ」
《了解しました~》
「……二人?」
アテナの間の抜けた声にはや姉の疑問の声が続く。
と――
「やっほーはやて、一週間ぶり~」
「ユリアちゃん、まずは謝りましょうね?」
「え~……」
部屋に入ってきて早々に起こられてるユリア。
手を振りながら入ってきたんだけど、その手を母さんに掴まれて不満そうな顔をしてる。
っつか、そこは不貞腐れるところじゃねぇだろ。
「なぁ、ウィズ」
「ん?」
いつの間に俺の隣に来たんだろうか。
はや姉が視線はユリア達の方を見たまま、俺の肩を叩いてきた。
「私、疲れてんのかな?」
「働きすぎなのは否定しないけど」
「ユリアが二人居る様に見えるんやけど。しかも一人は凄い大人の雰囲気やけど」
「あ~、それは全然現実ですよ?」
「なによはやて、私に大人の雰囲気が無いって言うの?」
「ユリアちゃんはまだ9歳でしょ」
「ど、どういうことやーーー!!!」
はや姉が壊れた。
「ちょ、ウィズ!どう言う事かキッチリ説明せんかい!」
「す、する!するから胸ぐら掴んで揺するのは止めて欲しいかな!!」
「元気な子なのねぇ、はやてちゃんって」
「……お母さん、それ違う」
横でこんな会話が聞こえた。
「はやて、さっき凄い声がきこえたけどどうし……ユ、ユリアが二人ーー!!?」
あぁ、更なる騒ぎの予感。
「では改めまして、アリヤ・エテルノです」
「は、はぁ。起動六課部隊長八神はやてです」
「えと、ライニング分隊隊長、フェイト・T・ハラオウンです」
後から入ってきたフェイ姉も含めて話す事になった。
向かい合うようにソファーに座り、はや姉とフェイ姉。
俺の方は母さんを挟んで座ってる感じ。
で、調度今ユリアと再開したところから、母さんの事まで話し終えたところだ。
因みにユリアは途中から母さんの肩を借りて眠ってしまった。
今回結構ムリしてたみたいだし、皆何も言ってないけど。
にしても俺の本名、エテルノって言うのか。
ん?でも前にユリアが母さんの苗字って言ってたような……。
なら親父の名前が神埼なのか?
いやいや、二人共ミッド出身なんだからそんな訳ないか。
……まさか偽名?その可能性が一番高い……ってか自然か。
「にしてもはやてちゃん大きくなったわねぇ。覚えてる、私の事?」
「スミマセン、薄っすらとは覚えてるんですけど……」
「ま、まぁ、そうよねぇ。アハハ~……ハァ」
突然話題を切り替えた母さん。
その質問にはや姉は本当にすまなさそうに答えた。
母さんもショックを受た見たいで、隠そうとはしてるんだけど隠し切れてない。
っつか母さんは9歳の子供の記憶力にどれだけ期待してたんだろうか。
「フェイトちゃんだったかしら?そっちの子は始めてよね?」
「あ、はい」
「知ってるわよ~。高町さんに並んで有名ですもんね」
顔が赤くなるフェイ姉。
っつかなんか母さんおばさんくさい。シャマル姉さんあたりと仲良くできそう……。
「はぅ!!?」
顔の横を何かが掠った!
少し痛かったから絶対に切れてる!
「ウィズ君、私のことおばさんくさいとか思わなかった?」
「そんなことないです!!」
「そう?なら良いけど……とりあえず立ってなさい」
「はい……」
静に母さん達の後ろに移動する。
ユリアの感の良さは母さん譲りらしい。
どうも俺は家族間では考える自由すら無いらしい。
ほら、はや姉たちも苦笑いしてるじゃないか。
……いや、二人共いつもの事、見たいな顔してる!!
と、俺がショックを受けてるうちに今度は母さんの表情が真剣なものになった。
「にしても、本当にありがとうね。はやてちゃん、フェイトちゃん」
「えっ。あ、あの頭上げてください。急にそんなん言われても……」
「そ、そうです。私達そんな頭下げられることなんかなにも……」
急に頭を下げた母さんを見てはや姉が慌てだした。
どうにも母さんのペースにまだ付いていけないらしい。
「ずっとウィズ君の事、見守っていてくれたんでしょう?」
さっきまでのふわっとした空気を全部無くして、真面目な母さん。
その言葉にどれだけの感謝の言葉を込めたのか理解したのか二人も真剣な表情になった。
「気にしないでください、アリヤさんにも事情があったんですから」
フェイ姉が答える。
「そうですよ。それにウィズは家族なんですから」
続いてはや姉が。
かく言う俺はその光景を見て、ってか二人が言ってくれた事に少し泣きそうになってたりする。
なんて言うか、局に入ってから今までの事を思い出したから。
でもここで思い出すことじゃない。
こみ上げてくるものをグッと堪える。
思いだすのは、まだ先で良い。
「ならはやてちゃんも私の家族ね!!」
「は?」「は?」
人が少し欝ってる時に、空気をぶち壊す明るい声が響いた。
言っとくけど「は?」って声は俺じゃなくて姉さんたちな。
俺はタイミング逃したから。
「あの、アリヤさん?それは――……」
「ダメ!お母さんと呼びなさい!」
あ~……なんかこういう光景最近良く見てたなぁ。
はや姉の立場は逆になってるけど。
「はやてちゃんはウィズ君のお姉ちゃんなんでしょ?」
「まぁ、はい」
混乱してるのか相手が母さんだからか、いつも自信満々で答えてることが曖昧になってる。
「で、私にお姉ちゃんと呼べって言ったわよねぇ?」
「ユリア、起きてたの?」
「ついさっきだけどね」
フェイ姉に答えながらも頭は母さんに預けたままのユリア。
「(っつかお前はや姉のこと姉さんって呼ぶの嫌だったんじゃないのかよ?)」
「(お母さんが正義よ。ジャスティスよ)」
あそ。
よくそう言う事普通に言えるよな。
「私はウィズ君のお母さん。はやてちゃんはウィズ君のお姉ちゃん。だから親子、でしょ?」
言ってる事は間違ってない。
間違ってないけど、間違ってる。
前提がもうゴチャゴチャだ。
《(まぁ、ユリアさんのお母さんの前に、ユリアさんと同位体ですからねぇ)》
「(……納得した)」
このメチャクチャっぷり、少しの違いはあれどまさにユリアだ。
ん~、やっぱ俺は俺を掛け合わせたもう一人の方に似てるって事かね。
トウギのヤツも母さんには似てねぇし。
「え、えっと……」
困った様に口ごもるはや姉。隣では何となく居づらそうなフェイ姉。
それなりに付き合い長いから分けるけど、諦めるしかないって分かってるけどなぁ~……ってかんじなんだろう。
「えぇと、急には恥ずかしいっていうか……」
「まぁ、そうよね。私だって急に言われたら混乱するわ」
なら言うなよ、とか思うのは無駄なんだろう。
母さんだし。
まだちゃんと会って一日も経ってないけど、正確は何となくわかった。
なんて言うか、勢いで生きてるって言うか、一個抜けてるって言うか……。
《(どうしたんですか相棒。自虐なんかしだして。新しい趣味ですか?)》
「(違うからね!!?なんだよ自虐が趣味って!?)」
《(相棒ならあり得る話ですので……)》
「(ないよ! そんなの全然ない!!)」
アテナは六課に居る間に徹底的に俺に対する考え方を改めさせないと駄目だな。
じゃないとこれから苦労しそうだ。
「だからはやてちゃん、一緒に晩御飯作りましょう!」
「……へ?」
俺の声ね。
はや姉たちはもう頭抱えてる。
「やっぱり親子の共同作業って言ったら料理でしょ!」
「なんでそうなるんや!?」
あ、はや姉口調が普段どおりになってる。
それだけテンパってるんだろうけど……まぁ、仕方ないよな。
「そうと決まればはやてちゃん!!」
「うわ!?」
サッと立ち上がったのでユリアが体制を崩した。
だけど母さんは気にしないではや姉の手を掴む。
「行くわよ!いざ、私達のヘブンへ!!」
「ヘブンってなんですか!?あ、ちょ、引っ張らんといて、こける!!」
「気合でカバーよ!」
「無茶な!ウィズ、助けて!ウィズゥゥゥ~~……」
「あ、待って!私も行く!」
はや姉の言葉に耳をかさずに部屋を出て行った母さんたちと、ソレを追いかけるユリア。
最後の叫び声が段々遠くなっていった。
部屋に何ともいえない空気が漂う。
「行っちゃったね」
「うん。なんか凄かった」
それしか言いようが無い。
「にしても晩飯作るって事は、後でまた呼ばれるんだろうなぁ」
「ならウィズ。模擬戦する?」
「なんで!?」
凄くいい顔で言われたけど、なんでそうなるのか分からない。
ってか何でそんな結論になった!?
「晩御飯までにお腹すかせておいたほうがいいよ」
「いや、確かにそうだと思うけどね!?」
「あと最近模擬戦してなかったし……どれくらい強くなってるか気になって」
結局そこですか!?
っつか仮にも俺今日結構な怪我してるからね、意識失ったりしてたからね!?
うん、ここは丁寧に断らせてもらおう。
「フェイ姉、気持ちは嬉しいけど、今日は……」
「テスタロッサの言うとおりだな」
「マジでか!?」
後ろからガシッと肩を掴まれた。
言わずもがなその主はシグナム姉さん。
あと、後ろにアインス姉さんもいた。
「主の叫び声を聞いて来てみたが、いいタイミングだったようだ」
いいえ、確実にバッドタイミングです。
まぁ、今目の前でフェイ姉も残念そうにしてるけど、別の理由なんだろうチクショウ。
「今日は体を動かした後見たいだな。これは期待できる」
何を根拠にそんな事を行っているんでしょうね、この人は。
「それにアインスとのユニゾン状態を慣らしておくのも大事だろう?」
「そうだね。じゃぁ行こうかウィズ」
何を思ったのかフェイ姉が空いている方の肩を掴んできた。
「む。まてテスタロッサ。私が先だ」
「駄目です。今回は私が先に提案したんですから」
あの二人共?
お願いですから俺の言う事も少しは聞いてくれないでしょうか?
とまぁ、そんな事も言えるはずもなく、どっちが先に戦るか揉めてる二人を見る。
「(アインス姉さん、助けてくれない?)」
「(諦めろ。それにユニゾンを調整するには良い機会だ)」
いや、まぁ、そうなんだろうけどね。
なんで俺の終わり方はいつもこんなんなんだろうね……。
《(相棒だからです)》
「(チクショーーーー!!)」