魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST   作:八神煌斗

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13.エピローグ

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

 

 「はや姉、入るよ?」

 

外から一声かけて、俺ははや姉の居る部屋の中に入る。

はや姉の部屋は何度か来たことがある

 

 「どうしたんや? あ、もしかして私についてくる気になったか?」

 

相変わらず勘が良い。良いけれど、今回が少しだけ外れていた。

 

 「いや、進路の事を話しに着たんだけど、内容は違うかな」

 「ん? ならシグナムの下にでもつくんか?」

 「……なんでそうなる?」

 「え、だってシグナム、ウィズが下についてくれたらなぁ、って言ってたし」

 

何を言ってくれてるんだろうね、あのお姉さまは。

あの時言ってたの、やっぱり本気だったのね。

 

 「あ~、うん。そんなことより……」

 「進路の件やろ? 結局どうすることにしたんや?」

 

気のせいだろうか。

はや姉の空気が少し変わった気がする。

 

 「うん。俺、管理局を辞めようと思ってるんだ」

 

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

 

 

右腕に装備したセブンスを構え、俺は駆け殴るように姉さんに切りかかる。

 

 「はあぁぁあぁ!!」

 「その程度、今さら!」

 

だが案の定、簡単にレヴァンティンで防がれる。

が、このシルエットは相手に防がれてからが本領を発揮する!!

 

 「回れ!!」

 「――なに!?」

 

セブンスが甲高い音を立て、火花を散らしながら回転し始める。

 

セブンスシルエットは言わば回転刃。

 

このシルエットは雅に俺だ。

相手に攻撃を防がれる前提だったり、とにかくコレといった特徴がない。

 

俺が今までコイツを出さなかった理由のひとつだ。

 

だけど、俺のプライドの話だ。

完成していないシルエット、コイツで勝ちたい。

 

未完成でも、完成品に迫ることができるって、証明したい!!

 

 「くっ――」

 

火花を散らし、姉さんの剣を弾くことに成功する。

が、俺の右手のセブンスも一緒に弾かれる。

 

 「はあぁぁ!!」

 

だが弾かれることを予想していた俺はそのまま、体にかかる回転力を利用して姉さんに蹴りをくりだす。

 

その一撃は、俺にしては珍しく、姉さんのわき腹に一撃入れることに成功。

姉さんは横に飛ばすことができた。

 

 「どんどん行くぜ!!」

 「そう何度も同じ手を食らうか―ー!!」

 

空中で急制動をかけ、俺の方に文字通り飛んでくるシグナム姉さん。

レヴァンティンを構え、領域に入った瞬間に俺を切るつもりだろう。

 

それに対抗するために俺もセブンスを構え――

 

 「やっぱ無理だな!」

 「――は?」

 

姉さんの脇を潜るように、打ち合わずに交わした。

 

 「き、貴様! それでも騎士か!?」

 「あいにく、こちとら正面きって勝てないことくらい分か切ってんだよぉ!!」

 

振り向きざま更に切りかかってくる姉さん。

だかど俺の行動に気が緩んだのか、混乱してるのか。その太刀筋はさっきよりゆるい。

 

後ろにバク転し、交わし、足が付くと同時に体を屈め、足払いをかける。

 

 「くっ。騎士ならもっと正々堂々と――!!」

 「奇策でもなんでもって言ったのは、はや姉だぜ!」

 

足払いを交わしながら叫ぶ姉さん。

どうにも俺の行動でリズムか崩れたらしい。

 

それならそれでコッチのモンだ。

 

足払いを交わすために、飛ぶのではなく、跳んだ姉さんに両手を軸にしての蹴りを入れる。

 

もともと騎士らしくない、アクロバティックな動きは得意だ。

だからこそ、俺はテクニカルとハイペリオンを組み合わせた戦闘方法を一番多用してた。

 

だけどこのセブンスは両手が自由になるから、更に動きの幅が広がる。

 

 「このまま攻めきる! アテナ、宝剣展開!」

 《マスターコード、認証!!》

 

セブンスが急激に回転し始める。

 

 《――Lode(ロード) Cartridge(カートリッジ)!!――》

 

さらにカートリッジを5発ロード。

付け焼刃だとはわかってるが、姉さんがペースを取り戻す前に決める必要がある。

 

 「ブレード、オープン!!」

 《――Espada(エスパーダ)Open(オープン)!――》

 

出現する純銀の刃。

それは眩い光を放ち、本来の刃よりも圧倒的な存在感を持つ。

 

 「それが、本来の姿……と?」

 「どうだろうね?」

 

本来の姿、なんて立派なもんじゃない。

この刃を使ってるだけで俺の魔力はドンドン奪われていく。

5分、いや、3分も持たないだろう。

 

姉さんも調子を取り戻し始めてる。

ここで決めなきゃ最悪の形で終わる。

 

ゆっくり、だけど早く。

早く、それでも確実に。

 

セブンスを装備している右手を後ろに、半身の体制をとる。

重心を落とし、全魔力をある一点に集中させる。

 

この体制は姉さんも一度見ている。

だからだろう。

 

姉さんが、一閃の構えを取ったのは。

 

向こうもそのつもりなんだ。

一撃で勝負を決める。

 

 「(アテナ、これで決めるぞ)」

 《(了解です)》

 

音が消える錯覚に落ちる。

 

 「紫電――」

 「龍牙――」

 

同時。

俺達は駆ける。

 

 「―― 一閃!!」

 

そうして振るわれるのはレヴァンティン。

俺もセブンスを振るい、抵抗しようとする。

 

――が。

 

 「なっ!?」

 

互いの刃はぶつかることなく、いや、レヴァンティンの刃がセブンスの刃がすり抜ける。

 

 

俺はそのまま自身の速度を殺さずに姉さんの後ろに回りこむ。

 

姉さんは今の一撃で決めるつもりだったようで一瞬だが反応が遅れている。

 

その隙に再び光刃を元の大きさに戻る。

 

 「――幻閃!」

 

俺の刃が姉さんの背後を捕らえた。

 

 

 

 「一つ、聞いていいか?」

 「なに?」

 

セブンスの刃先を姉さんの首筋に限りなく近づけた状態。

そんな状態で姉さんが声をかけてきた。

 

 「確かにお前の刃は存在していた。なのに何故すり抜けた?」

 「簡単だよ。そこに俺の刃は存在していなかった。それをあるように見せたんだ」

 

母さんと再会してから新たに知った俺の魔力の特性。

それは【発光】。

 

確かに言われて見れば俺の魔法は事あるごとに姉さん達とは少し違ってまさに光ってるって感じだった。

アテナにしてもシルエットチャンジする度に一々光りやがる。

思い出したらスフィアの暴発、あれもれさえも光ったりしていた。

 

そこを利用したのが今回の技、龍牙幻閃。

 

電球の光を電気の量で調節できるように、魔力の光量を魔力で調節する。

他者からは魔力刃が光を放っているように見えるが実際の刀身はかなり短くしてる。

 

その刀身を信じて打ち合おうとすれば当然相手の剣は光を切るだけ。手ごたえなんか無い。

 

そして最後に俺は刀身を伸ばして相手に切りかかる。

 

魔力刃と俺の魔力の特性を組み合わせて完成する、唯一の技。

 

以上のことをかいつまんで姉さんに話す。

 

 「なるほど、だから【一】ではなく【幻】か」

 

そう静かに言い、剣をゆっくり下ろす。

 

 「私の負けだ。……行くがいい」

 

あごで指す方向を見ればそこに居るのは戦う前には居なかった、はや姉の姿があった。

 

 

 

 

シグナム姉さんと一緒にみんなの所に戻ってきた。

俺は迷わずにはや姉の前に立った。

 

 「まさかシグナムに勝つとはなぁ。ビックリやわ」

 「俺もだよ。まぁ、シグナム姉さんが本気だったとは思わないけどね」

 

二人で小さく、苦笑う。

 

そしてはや姉は右手に持っていたカバン、俺の持ってきたモノを手渡してくる。

そこに言葉は無い。

当然の様に、俺も何も言わずに受け取る。

 

 「ウィズ、本当に勝っちゃったね」

 「どうだった? 俺、中々強くなったでしょ?」

 

話しかけてきたフェイ姉に左手で力コブを作りながら答える。

当然調子に乗らない、とか言われて頭を優しく叩かれた。

 

 「私が一年間鍛えたんだもん。強くて当然だよね?」

 「……シグナム姉さんとの模擬戦の記憶しかないですけど?」

 「あ、あれ? そうだっけ?」

 

目を泳がせるなの姉。

だけどココだけは譲れませんです、はい。

 

 《相棒、最後なんですからソレくらい譲りましょうよ?》

 「俺の血の一年間を偽れと?」

 「そうか、私との再戦がそんなに望みか」

 「ヒィィ!?」

 

頬にヒヤリとした何かを添えられ、仰け反る俺。

慌ててバックを下に落としてしまった。

 

 「なにするんですか!?」

 「いやなに。別れの前のおふざけだと思ってくれて良い」

 

えぇ、えぇ。確かに俺の中に確りと残りましたよ。

でもどうせだったらもっと良い思い出を残して欲しかったよ。

 

 「ってウィズさん、別れるってどう言う事ですか!?」

 

シグナム姉さんの言葉にスバルが声を上げた。

 

まぁ、それも当然だろう。

だってこのことを皆に言ったのは昨日の夜なんだから。

 

 

 

 「管理局を辞めてどうするんや?」

 

はや姉は特に驚くこともなく、俺に聞いてきた。

だから俺も特に慌てることも無く、普通に話す事ができた。

 

 「そうだな。とりあえず次元世界を旅でもしてみようかな、って思ってる」

 「そう言う意味やない」

 

あぁ、どうやら勘違いしてたみたいだ。

はや姉は驚いてないだけで、怒ってるんだ。

表情に出してないだけど、少しでもつつけば爆発しそうなくらいに。

 

 「うん。でさはや姉、ひとつだけお願いがあるんだ」

 「……なんや?」

 「俺をはや姉の特別固有戦力にしてくれないかな?」

 「アホな事いうんやない!!」

 

机を強く叩いて怒鳴るはや姉。

だけど俺はアホなことを言ってるつもりもない、マジメだ。

 

 「俺はロストロギアだ。言いたくないけどシグナム姉さん達だって特別固有戦力認定されてるだろ?」 

 

シグナム姉さんたちは夜天の魔道書の守護騎士プログラムとして、認定されている。

たしかに管理局に入隊してるし、階級も貰ってるけど、大前提は覆らない。

 

それを逆に利用させてもらう。

この一年で俺は自分の事を本当の意味で知れたし、考える時間もあった。

 

 「管理局に入った理由は、姉さん達の近くに居たいってのもあったけど、一番の理由は姉さん達を守りたいって思ったからなんだ。

  小さい頃からずっと思ってた。だけど、今のまま管理局に入ってたらどうしても守りたいときに近くに居られない」

 

それに、特別固有戦力なら管理局の機器も最低限使うことができる。

 

 「ウィズの気持ちは良く分かった」

 

俺の話をずっと聞いていたはや姉が口を開いた。

 

 「でもそれをはいそうですか、って頷くわけにもいかへん。私達にとってはウィズはまだ弱いんや」

 「うん」

 

そんなこと分かりきってる。

姉さん達を守れるほど自分に実力がないってのも。

だからこその次元世界の旅。

 

 「やから、条件がある」

 「条件?」

 「殺傷設定、卑怯な行為以外やったら奇策でもなんでも使ってええ。自分の持ってるもん全部出し切って、シグナムに勝ち。話しはそっからや」

 

 

 

 

 「ま、そう言う事があったんだよ」

 

昨日あったことを簡単にフォワードたちに簡単に話す。

勿論守りたいとかそういうのは恥ずかしいから言ってない。

 

 「それでその荷物だったんですね」

 「まぁな。負けるつもりで勝負なんかしねぇって」

 

キャロの頭に手を置きながら答える。

 

 《それで負けたら面白かったんですけどねぇ》

 「なんで他人事なのかな!?」

 《まぁ、所詮相棒ですので》

 「俺の存在って所詮程度!?」

 

このまま良い空気でいけると思ってた頃が俺にもありました……。

 

一回咳払いをして空気を落ち着かせる。

 

 「ま、そう言うことだ。だからなんかあったら俺に連絡してくれ」

 

フォワードにそう告げ、改めてはや姉に向き直る。

 

 「約束は約束やからな。私は何も言わんよ。ウィズのやりたい様にやり」

 「うん、ありがとう」

 

そこにあるのは笑顔を作ろうとしてるはや姉。

俺も笑顔なんて作れてないだろう。

 

いくら俺が望んだ進路だといっても、また離れ離れになるんだ。

仕方ないことだと、自分で思う。

 

 「いつでも連絡して。昔みたいに音信不通になることは無いからさ」

 「当たり前や。またなったら八神家総動員で探し出したるからな」

 

それは怖い。いや、シャレにならないって。

俺はカバンを持ち直す。

 

 「じゃぁ、行くね」

 「うん。ウィズ、頑張りや」

 

俺達に言葉は必要ない。

言いたいことなんて、全部わかる。

 

行って欲しくない。

別れたくない。

 

知られたくない事も、知りたいことも全部分かる俺達だからこそ。

お互い隠してるって分かってるからそこに触れずに会話する。

 

そして俺はインビエルノを出し、跨る。

 

 「いつでも戻っといで。美味しいご飯用意して待ってるからな」

 「ありがとう」

 

アクセルをふかし、俺は走り出す。

 

起動六課。

俺も一年間過ごした家が離れていく。

 

 

いつか、この一年間も思い出になって色あせていくんだろう。

けれども、俺は忘れない。

 

一年で学んだ俺の生きる意味と、思い出させてくれた生きる理由。

遥か記憶の片隅に隠れることになったとしても、忘れることなんか決してない。

 

俺は走り出す。

自分の為に。姉さん達の為に。可愛い後輩達の為に。

 

やりたい事を、大手を振って出きるように。

 

帰る場所は、願う限り、無くならない事を知ったから。

 

俺は、一歩踏み出すんだ。

 

 

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