魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST   作:八神煌斗

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15.番外編02

 「なのは、お久しぶりです」

 「うん。久しぶり」

 

 「オリジナルは僕の事覚えてるか?」

 「うん……というか、名前……」

 

マテリアルの二人が現れて暫く、既にチビッコマテリアル組みはそれぞれ元となった二人と話してる。

 

それに比べて……。

 

 「だから痛いと言っているだろうが、塵芥!!」

 「やったらもっと行儀よくせんかい!」

 「王たる我の頭を叩くのがどれだけの狼藉か分かって――」

 「知るか!!」

 「貴様はもっと我を敬え!?」

 

はや姉とアーチェはさっきからずっとあの調子だ。

アーチェが机に足乗せるとか行儀の悪いことをして、はや姉が頭を引っぱたく。

それが恒例の形になっている。

 

 《相棒も傍から見たらアレと似たり寄ったりですよ?》

 「マジデか!?」

 

なんだか、凄く悲しくなりました。

 

 「ぬぅぅ、ウィズ!いい加減この塵芥をどうにかせぬか!」

 「いや、無理」

 「うぬぅああぁぁぁぁ!!!」

 

何故かアーチェが俺の事をウィズと言うようになったが、扱いはむしろ酷くなってる気がする。

なにせ不味くなったら直ぐに俺の方に助けを求める。

その度にはや姉から睨まれるし、断ったらアーチェに睨まれるし……さっきから変な圧迫感に包まれている。

 

 「さて、そろそろ私帰ってもいいですか?」

 「むっ。ダメだ。我が一人ぼっちになってしまう」

 「……王様、僕の事忘れてない?」

 

なの姉似のマテリアルが、満足したのか突然の帰って良いか宣言をした。

アーチェは言葉こそ冷静なのだが、どこか焦って居る様で、後ろに立っているフェイ姉似のマテリアルの事は完全に放置している。

 

 《さすがフェイトさんのマテリアル》

 「アテナ、それどう言う意味かな?」

 「今言ったのアテナだからね?バルディッシュは仕舞って欲しいな?」

 

フェイ姉の変な所に触れてしまったのか、俺の首元に金色の魔力刃が添えら、俺は冷静に対処する。

嫌なとこばっかり慣れおってからに、俺。

 

 「と、そう言えばお前等にも名前はあるのか?」

 

アーチェにも名前があったんだ。

当然この二人にも名前はあるだろう。

 

 《なの派にフェイ党ですかね?あ、ならアーチェさんははや亭が本名ですか??》

 「……お前何言ってんの?」

 《なにかビビッときました》

 「毎度毎度ご苦労さん」

 《いえいえ、それほどでも》

 

はてさて、コイツには嫌味と言うものが通じているのだろうか?

 

 《通じません。相棒の言葉は全て愛のある言葉に自動翻訳されます》

 「何その無駄な翻訳機能!!?」

 

 「私には一応シュテル・ザ・デストラクターと言ます」

 「で、デストラクター……?」

 「わ、私を元にしてるんだよ……ね?」

 《むしろ元にしているからでは?》

 「アテナ、何か言ったかな?」

 「今アテナって言ったよね?なんで俺に向かってレイジングハート向けてるのかな!?」

 

瞳からハイライトが消え、砲撃モードのレイジングハートを突きつけてくる。

って、冷静に解説してるけど俺だって気が気じゃない。

 

 「一応デストラクターと言うのは称号ですので、なのはは関係ないのですが……」

 

なんかシュテルが言ってるけど、なの姉が聞いてくれない。

んでもって、少しずつ桃色の光が集まってきている。

にしても、デストラクター……。思い出すのはティアナを撃墜した時の――。

 

 「ウィズ君?」

 「アテナ、言って良い事と悪いことがあるんだぞ?」

 《私を売るんですか!?》

 「お前だって今まで散々俺を売ってきましたよね!?」

 

にしてもデスとか、普段のなの姉とは全くの無関係な名前だよな。

確かに怒ったときとかはメチャクチャ怖ぇけど、それ以外だったら優しいし。

 

んで……。

 

 「レヴィ・ザ・スラッシャー!カッコイイだろ!!」

 《スラッシャー……。まぁフェイトさんのイメージ通りですか?》

 「レヴィっつう意味が分かんねぇけどな」

 

スラッシュって確か切るとか、そんな感じな意味だった気がする。

フェイ姉の魔法は殆ど斬撃に準じたものだし、これはあながち間違ってないってことか?

 

 「そして我が――」

 「ロード・ディアーチェやろ?」

 「我のセリフを返せ、この塵芥があぁぁぁぁぁ!!」

 

……仲が良いのは、良いんじゃないですか?

 

 「王さまー、僕お腹すいた」

 「……アンタらの王さまはコッチや」

 

そしてマイペースのレヴィ。

当の王様はシュテルに帰らないで欲しいと上から目線のクセにひたすら頼み込むという、なんだか面白い図が出来上がっている。

 

 「シュテル!我を一人にして平気だというのか!?」

 「特にコレと言って心は痛みませんが?」

 「ぬうぅぅ!」

 

いや、どちらかと言えば頼み込んでるアーチェをシュテルがのらりくらりと交わしてる様に見える。

目線も横にズらしてるし、半目になっている。

どこからどう見てもヤル気が一切見られないのが、シュテルなんだろうな。

何となくだけど分かってきた。

 

 「成る程、それは名案かも知れませんね」

 「ん?」

 

急に静かになったと思って、見てみると何故かシュテルが俺を見ながらコッチに向かって歩いてくる。

 

 「ウィズさん、少し遊びましょう」

 「死亡フラグ!?」

 

突然この子は何を言い出してるかね!?

 

 「いえ、王が暇ならばウィズさんに相手をしてもらえば良いと言うので」

 「ちょっとアーチェ!?何いって――」

 「あ、僕もやるーー!」

 「第二段!?」

 

遊ぶ、という単語にレヴィまで反応しやがった。

さっきまではや姉とじゃれてたくせにいつの間にか俺の制服の上着の端を握って引っ張っている。

 

 「いや、遊ぶって――まさかとは思うけど……」

 「私と戦っていただきます」「僕と戦おう!!」

 「やっぱりかーーー!!?」

 

その場で素早く回れ右をし、その場から全力で逃走した。

 

 

 「で、ここは……?」

 《訓練場ですね》

 「結局誘導されたよ、チクショーー!!」

 

行く先行く先にマテリアルズが居るし、最後の方なんかは面白がったはや姉や、模擬戦が見てみたいとか言ってなの姉まで参加してきやがった。

そしてあれよあれよと言う間に気づいたらココに立たされていたんだよ。

目の前には既にシュテルとレヴィも立ってるし、横には――。

 

 「で、なんで姉さんまで居るのさ?」

 「主が良い機会だと言うのだ」

 「良い機会?」

 

そう。

何故か俺の横には既に甲冑を纏ったアインス姉さんが立っている。

良い機会って意味が分からずに俺ははや姉に通信を繋ぐ。

 

 『元々アインスはウィズに着いていって貰おうと思ってたんよ』

 「はい?」

 

はや姉の談はこうだ。

俺がはや姉の固有戦力になるのはもう決まったことだから何も言わない。が、しかしそれでも心配なことには変わらない。

ならばまだちゃんと認定を受けていないアインス姉さんを俺のデバイスとして認定させれば、俺を一人にすることもないし、俺自身の戦力アップにも繋がると。

現時点のアインス姉さんははや姉と契約する前の体で限界しているが、その核が故障していた為に本来の夜天の書の管理プログラムとしての力を十全と出す事はできない。

それは六課で修繕しても変わる事は無かった。

それに足してアインス姉さんの最大の特徴のユニゾン機能は俺としか作用しなくなってしまっているらしい。

ならば俺と一緒に居たほうが何かと良い、と言うのがアインス姉さんの案、だそうな。

 

 「そういうことだ。これから先の事を考えても、私も必要だと考えた」

 《言っておきますけれど、相棒は渡しませんからね?》

 「いらん」

 「その発言に傷ついた!?」

 

いらん、って何だよ!?

言葉が少ない分余計に傷つくよ!?

 

 「ウィズーー!早く始めるぞーー!!」

 「向こうやる気満々じゃねぇか!!?」

 

ジャケットを着たレヴィをが自分のデバイス、バルニフィカスを振り回しながら叫ぶ。

その横にいるシュテルもなんかジト目でコッチ見てるし……。

 

 《やるしかなさそうですね》

 「はぁ、なんでこんな目に……」

 

愚痴ってても仕方ないか。

俺はアテナをテクニカルにして、甲冑を装備する。

 

 「ウィズ。私は接近戦は心持たない。後方で援護に徹する」

 「ん……」

 

アインス姉さんに短く返しす。

正直姉さんが付いてくれてるって言っても、勝ち目が薄いことには変わらない。

昨日シグナム姉さんに勝って、それで直ぐ負けたら姉さんの面子を汚すことになる。

 

それに、俺はこれから負けるつもりなんか無い。

 

 「それじゃ、いくぞーーーー!!」

 「て、もう来るのかよ!?」

 

地面にぶつかるかというギリギリのラインを低空滑走するレヴィ。

そのままコチラに向かって、バルニフィカスを振りかざした。

 

 「っ――。はえぇ!!」

 

バックステップを踏み、ギリギリの所でその刃を交わし、アテナを振るう。

鈍い鉄ががぶつかる音がして、俺とレヴィはそのまま鍔迫り合いになる。

 

このままバスターに切り替えて、押し切る。

んで、サードカラーで仕留めて――。

 

 《相棒、前を!》

 「前――っ!!」

 

レヴィに向けていた視線を少し上げると、紅の魔力光がコチラを向いていた。

 

 「行きます、ウィズさん!」

 「くっ!」

 

直ぐにその場を離脱しようとするが、思いの他レヴィの力が強くて振りほどくことが出来ない。

それに万が一ここを抜け出しても、レヴィの速さは本物だ。俺が抜け出すことは――。

 

 「アテナ、コチラにハイペリオンを張れ!!」

 

俺の言葉ではない。

チラリと後ろを盗み見ると、アインス姉さんの辺り一面に血の様に赤い、小さな刃がいくつも構成されていた。

 

 「アテナ!ヘキサグラムだ!」

 《――Hyperion(ハイペリオン) Hexagram(ヘキサグラム)!!――》

 

俺の背面に出来上がるヘキサグラム。

この一年の戦いと経験を得て、その防御力は中々もモノだと自負してる。

 

 「ブルーティガー……ドルヒ!!」

 

振り下ろされた右腕を合図に解き放たれる鮮血の刃。

いくつかはヘキサグラムにぶつかり、衝撃が俺に来るが、それでも大体の数はシュテルに向かって、襲い掛かる。

 

当然、チャージをしていたシュテルはそれを中断。

その場から大きく飛び、刃を避ける。

 

 「シュテル!!」

 「っ。――こんのやろ!」

 「うわっ!?」

 

アテナをバスターにして無理やりにレヴィを弾き飛ばす。

驚いたレヴィそその隙を突いて俺は一度アインス姉さんの元まで下がる。

 

 「ちっ、強ぇなクソッ」

 

当然と言えば当然なんだろう。

闇の書の中にあったマテリアルがなの姉とフェイ姉を元に作り上げたその体。

これで弱いはずが無い。

 

なにか、何か無いか。

あの二人を倒せる作戦が……。

 

 

 《相棒がカッコつけてます》

 「ふむ。そういう年頃……と言う解釈で良いのか?」

 《厨二病と言う解釈もありますね》

 「あんたら、何勝手な事言ってくれてるの!!?」

 

コッチが真剣に勝つ手段模索してるって時に!

 

 《あーだ、こーだと考えてる相棒が勝てるはず無いでしょう?》

 

む?

突然しんみりと何を言い出し取るんだコイツは。

 

 《相棒のスタイルは良く言えば行き当たりばったりでしょう?何の為に私の中に七つの剣が収められていると思っているのですか?》

 

不屈の心、レイジング・ハート。

閃光の戦斧、バルディッシュ。

祝福の風、リィンフォース。

 

俺もはや姉たちの弟だ。当然アテナにもその名はある。

剣の宝庫、アテナ。

 

 《私は相棒の為に全力を出します。力も頭脳も足りないアナタが無駄に考えても仕方ないでしょう》

 

アテナの叱咤を聞き、俺は感じていた。

口元が釣り上がっていくのを……。

 

 《目の前の、一秒先だけを考えて行動しなさい。足りない分は――》

 「っ! こら、ウィズ!!」

 

アインス姉さんが驚きの声を上げる。

だが俺はお構い無しに、足を一歩、さらに一歩と前に進める。

 

 「はぁ……ウィズ!思うようにやれ!今の私は、お前のユニゾンデバイスだ!」

 

姉さんの声に嬉しさを感じ、更にもう一歩踏み込む。

そして、俺の右手に納まっている相棒に最後の言葉を――。

 

 「足りない分は、お前が補え、相棒!!」

 《分かってるじゃないですか、相棒!!大好きです!》

 

その告白はいらなかったな。

 

 《酷い!?》

 

 

 

 

結果だけ言うと、俺は何とか二人に勝利を収めた。

とは言っても、何とか耐えたのは中盤戦までで、その後はアインス姉さんとユニゾン。コネクションを使ってのごり押しだった。

二人は模擬戦が終わると同時に魔力を使い切ったのか消滅。

それに怒ったアーチェにはや姉のハリセンが炸裂、本人も魔力が切れるまではや姉に監視されるなどしてこの人騒がせな珍事件は終わりを告げた。

 

 

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