魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST   作:八神煌斗

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02.ユリア・過去と今

私は直感的にこれは夢なんだと理解した。

その夢を見れた事に嬉しさ半分、悲しさ半分ってところ。

だから見たくないってのも少しあったんだけど……見たくて見れるものでもないし。

私は見る事にした。

 

 

 

……意識は、気づいたらあったって感じだった。

でも私は、それが意識って事にも気づかないで、ただユラユラと映るものを見ていた。

本当にそれだけ。

 

私に自我が芽生えた時の事は今でもハッキリ覚えてる。

突然、私を常に囲んでいた液体が水位を下げて、生態ポットから出だ時。

 

肺に溜まった水を吐き出すため、地面にへたり込んで咳き込んでいたとき。

私にコートをかけてくれた女性研究員が一人いた。

 

 「大丈夫?」

 

その顔を見て走馬灯のように、私に自我と記録が目覚めた。

 

 「――っ!」

 「え……つっ!」

 

ソコからの行動は早かった。

私はその局員に飛び掛り、馬乗りになって両手で首を絞め始めた。

 

 「アナタ……どういうつもりかしら?」

 

それが、私がお母さんに始めて口を聞いた言葉だった。

 

 「どういう……って……」

 

アリヤは苦しそうな表情をしながらも私の問いに答えようとする。

幸い、ココにはコイツ以外誰もいない。

 

私にある記録が本当なら、ココから逃げることは簡単だし、目の前の局員を殺すことも分けない。

 

でも直ぐには殺さない。

せめて、言い訳位は聞かせてもらわないと割に合わない。

 

謝る?……殺す。

命乞い?……殺す。

逆切れ?……殺す。

 

私の頭の中にはコイツを殺すことしかない。

 

生まれたことに感謝?

ふざけんじゃないわよ。そんなのはね、純粋な生まれ方をしたヤツが言えるセリフよ。

クローン、しかも記憶まで受け継がせて……生まれたその瞬間から背負わされるなんて真っ平ゴメンだわ。

 

 「なにか言いなさいよ。私の気が変わるかもしれないわよ?」

 

そんなつもり一切無いのに、言った。

今思ったら私は、命乞いしてくるのを期待していたのかもしれない。

 

それで少しは自分の方が優れているって思えると思ったから。

 

でも、それは……。

 

 「私を殺すのは構わないけど……。むざむざヤられるつもりは無いのよ」

 「っ!バインド!?」

 

お母さん、アリヤの首を掴んでいた両手が引き剥がされて宙に固定された。

その隙にアリヤは抜け出し私から距離を開く。

 

 「……こんな、もの!」

 

だけど、結局は【私が作った】バインド。

私はバインドを解き、両手の自由を得た。

 

……けれど。

 

 「そういかせるモノですか!ってね」

 「!?またっ……」

 

だけど再び、今度は両足にもバインドが仕掛けられて身動きが取れなくなる。

 

 「くっ……」

 「あら、もう終わりなの?」

 

睨む私に、右手を向けて聞いてくるアリヤ。

聞いてきてるけど、意味は真逆……よね。

 

私がさっき両手分のバインドを解除している間に両手足分のバインドを作り出した。

最初のバインドにしたってそう。

私の手を捕まえた後で、バインドごと場所を移動させた。

 

私とアリヤは同じ辞書を持ってる。

けれどその辞書を使ったことが無い私には使い方が分からない。

 

今のままじゃ、勝てない。

 

 「ふぅ。私、戦闘は苦手なんだけどな……」

 「よく言うわよ。コレだけの事をしておきながら」

 

手を下げて深く息を吐いたアリヤに私はまた皮肉を言った。

 

 「それとこれとは別よ。大体、あなたの方が若干だけど私よりも優秀なのよ?」

 「ウソね」

 「ウソじゃないわよ。私をもう一人作るより少しでも有能な方が……あ」

 

言葉の途中、目線を逸らして気まずそうな表情になったアリヤ。

私に向けていた手も宙を泳いでる。……今なら簡単に逃げられる気がする。

 

 「もしかしなくても、気を悪くしたわよね?今の、聞かなかったことにしてくれない?」

 

多分私の方が優秀だって事も機密だったんでしょうし、私が聞きたくないこともポロッと言っちゃったみたいだけど。

それをいっぺんに言うのはどうかと思うわよ。

 

 「……アナタ、結構マヌケ?」

 「うぐ……」

 

悔しそうな顔。

私はその顔を見て、笑った。

理由なんて分からなかったけど、なんだか面白かったから。

 

その次の日からだった。

アリヤは毎日私の所に顔を出して、私が襲い掛かる。

まぁその度に返り討ちにあってたんだけど……。

 

それからよ。

気がついたら私はアリヤが来るのを今か今かと待ちわびるようになって。

これまた気がついたらお母さんなんて呼んじゃって。

お母さんの事が凄く好きになってた。

 

 

 「ねぇ、もっとマシな服は無かったの?」

 「え? そ、そんなにダメかな? 結構良いと思ったんだけど……」

 

でよ。

お母さんの服のセンスは私には合わなかった。

 

それはもう白と黒くらいまったくの逆方向で。

記録にある……ウィズ?の服装もダサくは無いんだけど……私なら着せない服ね。

あんな白が基本なんかじゃなくて紫とか黒とか。

そっちの方がイカスでしょ?

 

 「ま、いいけどね。それで今日はなに?服を渡すために着たんじゃないんでしょ?」

 「あ、やっぱり分かる?」

 「当たり前でしょ。私はお母さんなんだから」

 「……その言い方あんまり好きじゃないんだけど?」

 「良いじゃない。私は良い意味で使ってるんだから」

 

今はお母さんを殺そうなんて思ってない。

もうお母さんLOVE。お母さん命。

自他共に認めるマザコンだからね、私は。

 

 「じゃ、早速。、ユリアちゃん?その喋り方、やめない?」

 「……は?」

 

私の予想の斜め上の用件。

また実験やら何やらだと思ってたんだけど……喋り方?

 

 「なに?実験に不備でもでるの?」

 「そう言う訳じゃないんだけど……ユリアちゃん、自分の外見年齢知ってる?」

 「12歳でしょ?」

 

そう。私がいくらお母さんの複製品だからって全てが一緒な訳じゃない。

見るからに違うのがその見た目。

お母さんは……詳しくは知らないけど20代前半位。

でも私は何でかこんな子供の体をしてる。

 

 「しかたないでしょ。中身は十分すぎるほど記録もってるんだし」

 「私が落ち着かないの。ねぇ、20歳に成るまででいいから、ね?」

 「ね?って言われても……」

 

8年間もそんな喋り方したらそれが普通に成っちゃうじゃないの……。

 

でもねぇ……。

そんな眼で見られたらスッゴク断りにくいんだけど。

ん~……。

 

 「わ、私。お母さんの事、大好きだよ!」

 

 

 

 

 「ゴメンなさいユリアちゃん」

 「そんなに!!?」

 

お母さんが遠い眼をして私の肩に手を置いてそう言った。

 

 「喋り方はユリアちゃんの好きにして良いからね?」

 「だから!私そんなに似合わなかった!?地味に傷ついたんだけど!?」

 

そりゃ可愛いって言われても嬉しくないけど、似合わないって言われるのも凄くイヤよ!

遠い眼って……そんなに似合わないの!?

……頑張ったのに。

 

 「あ、ユリアちゃん!?落ち込まないで!私が悪かったから!!」

 

もういいわよ。

絶対に、二度としないから。

 

 「ゴメンね!本当にゴメンね!!?」

 

 

 

 「……そーいえばあんな事もあったっけねぇ」

 

ベッドに寝転んだまま、呟いた。

あの少し後に反乱が起きてウィズを守って、見たいな事を言われたんだっけね。

 

今の生活も楽しいけど、あの頃はあの頃で楽しかったわよね。

服の趣味は最後まで平行線だったけれどね。

 

……にしても。

 

 「頭痛い……」

 

さすがにココ最近は飲みすぎた気がするけど……。

お母さんはそれなりに飲めた筈なんだけどなぁ。

やっぱりこの辺も慣れなのかしらねぇ。

 

 

フラフラする頭を抱えながらベッドから出て鏡を見る。

……酷い顔。

 

って言っても私化粧品なんて一つも持ってないし。

どうやって誤魔化すかなぁ……。

 

仕方ない。

悩んでも仕方ないから魔力で残ったアルコールを魔力で洗い流す事にした。

 

 「うん。少しマシになった」

 

少し強引だったけど、結果オーライって事ね。

後は服に着替えて…………。

 

 「は?」

 

クローゼットを開けて、柄にも無く私は思考を停止させてしまった。

だって、クローゼットにしまってた筈の私の服がはやてから貰った制服も入れて全部消えてたから。

 

もしかして私酔って捨てちゃった?

……いやいや。私はどれだけ酔っても記憶は跳ばない。

実際機能はちゃんと自分で寝巻きに着替えて布団に…・・・って昨日私が脱ぎ捨てた分までなくなってるじゃない!!?

 

 「今あるのはこの寝巻きだけって……ん?ナニコレ」

 

自分の着てる寝巻きを見て視線を下に動かしたとき、大きな何かを包んだ紙と一枚の手紙を発見。

 

紙の方は広げてみると鮮やかな紫色の布が入ってた。

コレが何なのか気になるけど、一端置いておいて手紙の方の中身を見る。

 

 【やっぱ正月と言えばコレやろ!着方が分かれへんかったら呼んでな!】

 

 「……はぁ」

 

はやて、普通に考えて来れって不法進入よ。分かってるのかしら?

訴えても全然大丈夫よね?

 

 「で、そもそもこの布切れなんなのよ。随分上物っぽいけど……」

 

このタイミングだと服なのかしら?

いやでも袖は大きいし、長い別の布はあるし……。

ん?コレは同じ……いや、ちょっと違うわね。

 

色々広げてみたけど、逆に謎が増えただけだった。

多分私にはコレの謎は分からない。

 

だから素直に呼ぶことにした。

 

 

 「ユリアちゃん、どうしたの?」

 

そう。私が呼んだのはなのは。

この前一緒にケーキを作った辺りから仲良くなってるのよね。

 

はやてよ呼ぶのはなんだかシャクだった、って言うのもあるけれど。

 

 「それがね、はやてが私の服全部持って行っちゃったのよ」

 「そ、それはまたはやてちゃんも大胆だね……」

 「本当よ。それでね。変わりにソレが入ってたんだけど……」

 

そう言って私はベッドに広げた布切れを指差した。

 

 「わっ!ユリアちゃん、着物をそんな風に扱っちゃダメだよ!」

 

布切れを見た途端、慌てて布切れを広げなおすなのは。

そしてシワが出来ていないかとか、調べてる。

 

 「着物?着物ってなに?」

 「ユリアちゃん、知らないの?」

 

とりあえず頷いておいた。

 

説明を聞いたんだけど、纏めると日本で正月に着る服、って感じだったかしら。

日本独特の文化、ね。

そりゃ知らない訳だわ。

 

で、今はなのはに着付けって言うの?

それをやって貰ってる。

 

 「えっと、確か右が前……だっけ?」

 「そんなのも関係あるの?」

 「うん。和服は大体そうなんだ」

 「へぇ~……」

 

そんなのどっちでもいいと思うんだけどねぇ。

日本人も変な事にこだわるのね。

 

その後もなのはは所々忘れてたみたいだけど、何とか私は着物を着ることが出来た。

帯?を少しキツメに結んでるから少しキツいし、歩きにく事に眼を瞑ればそんなに悪くは無い。

 

 「ねぇなのは。裾、切り落としたらダメ?動き難いんだけど」

 「ダメだよ!?」

 「……膝下まででいいから」

 「だからダメだよ!どこまで切るつもりだったの!!?今でも十分似合ってるから!ほら、鏡見てみよう!」

 

似合ってる似合わないの問題じゃないんだけど。

 

焦った様子で私の背中を押して鏡の前まで押してきたなのは。

……鏡を見たとき少し嬉しくなったのは内緒。

 

髪はジャケットを着てないけど、三つ編みにした。

 

着物は紫色がベースの、少しクラデーションされた着物。

ハデさもそんなに無いし、うん。

私好みだ。

 

 「じゃ、ユリアちゃん。私は行くね?」

 「え!? あ、あぁ。うん。ありがとね、なのは」

 

なのはは笑顔で手を振りながら部屋から出て行った。

聞いたらなのはの方も着物をはやてから渡されてたみたい。

 

さすがに私みたいに服が全部無くなってる、ってことは無かった見たいだけど。

 

そんな時に私の方に来てくれたんだから、本当にいいヤツよ。

 

そして私はまた部屋に一人になった。

もう一度鏡を見る。

 

そこには見慣れない格好をした私。

 

 「ふふっ」

 

それから少しの間、色んなポーズを取って楽しんだのはしょうがないことだと思う。

 

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