魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST   作:八神煌斗

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03.謹賀新年

 

 「んぁ……もう朝か……」

 

体を起こしてベッドから出る。

アテナとレイラは……まだ寝てる。

デバイスに寝てるって表現はどうかと自分でも思うけど、あながち間違ってないんだな、これが。

 

特にアテナに関しては――。

 

 

 《あ、相棒。本当に私でいいんですか……?……むにゃむにゃ》

 「…………」

 

この通り、スリープモードのクセに寝言を言いやがるんだ、コイツ。

コレはレイラにも言えることなんだけど、本当にコイツらはデバイスなのか本当に疑わしい時がある。

 

って。

 

 「お前は何の夢を見てんだよ、コラ」

 《はぅ!!?》

 《……む?もう朝か》

 

アテナにデコピンを一発。

それでアテナの声が大きかったせいで、レイラも起きた。

 

 「起きたか?」

 《……おや?相棒、いつ服を着たんですか?というよりアナザーフレームはどこへ?》

 「……本当に何の夢を見てたんだ、この色欲デバイス」

 

新年一発目に見る夢じゃないのは確かだな。

年が変わってもコイツは変わらなかった、って訳だな。

 

いや、もう諦めてるからいいんだけどよ。

 

 《あ、忘れてました。相棒、明けましておめでとう御座います》

 「はい、おめでとー」

 

昨日のドンちゃん騒ぎから一夜。

年は変わって1月1日。つまり新年だ。

 

正月休みなんて管理局には無いが、はや姉の意向で皆全体的に三が日は仕事の量が多少減らされている上に、自宅に持ち帰りOK。

なので昨日帰った局員も多い。

 

現にスバルは家族で日を合わせたみたいで自宅に帰ってるし、ティアナやエリオ、キャロもついていった。

エリオたちはスバルに誘われて断りきれなかったらしい。

 

因みにシグナム姉さんたち守護騎士の皆も少し古巣に顔を出すとか言ってたのを覚えてる。

 

 《マスター、なぜ挨拶がおめでとうなのだ?》

 「ん? レイラ正月知らねぇのか?」

 《いや。知識としてはバンクに入っているが……。単純に気になっただけだ》

 「ゴメン、それは俺にはわからねぇよ」

 

まさかそっちの疑問なんて思ってなかった。

少し【ん?俺が答えてやるから言ってみ?】見たいな雰囲気を出した自分が恥ずかしい。

 

 「あ、そだ。レイラ。お前にお年玉があるんだよ」

 《私にか?しかしそんなモノを貰っても私は使い道が無い》

 《まぁ、そういわずに受け取っておいても損はありませんよ》

 《む?》

 

自分にはお年玉がないと言われているアテナが何も言わないことが疑問なのか、首を貸しが多様な声を出したレイラ。

 

ま、無理もないよ。

いつもならまた一人で大騒ぎしてるだろうし。

 

その光景を想像して苦笑いをしながら俺は昨日の晩にシャーリーさんから預かったものを机の引き出しから取り出す。

 

 《む!?ま、まさかそれは……》

 

珍しく戦闘以外でレイラが声を荒げた。

まぁ、それも仕方ないことだろうな。

 

いつもは冷静にしてたっぽいけど、本当に欲しかったみたいだからな。

 

 「そだよ。お前のアナザーフレームだ」

 《お、おぉ……。ようやく完成したのか》

 「ほれ。とりあえず接続してやるよ」

 

机の上に置いてあったレイラを手に取り、アナザーのベルトに接続する。

 

二、三秒程してアナザーの眼が開いた。

 

 「どうだ?」

 「ふむ……」

 

見るからにニヤケルのを我慢しながら、体を動かし始めるレイラ。

 

……

 

…………

 

………………

 

……………………

 

 「もういいだろ!!?」

 「……異常は見当たらないな。ラグも0.05をきっている」

 《な!?また私より性能が上ですか!!?なぜ!?》

 

アテナが叫んでるが、それを無視して俺とレイラは最後の微調整を始める。

 

レイラのアナザーは見た目アテナと真逆だ。

赤み掛かった首元辺りまでの黒髪に、黄色い瞳。

若干だが釣り上がった眼は、強気で冷静なイメージだ。

 

……本当にアテナのとは真逆だな。

 

 《なぜ!?相棒!私のフレームもバージョンアップを要求します!!》

 

うるさい。

 

 

 「むぅ……。結局バージョンアップは無しですか」

 「当たり前だろ」

 

と、いう訳で今はレイラとアテナ。二人が俺の左右の肩に座っている。

いうまでも無く、レイラが座るときにアテナが大騒ぎしたんだが、忘れさせてください。

 

 

 「マスター。今はどこに向かっているのだ?」

 「ん?食堂だよ食堂。はや姉からメールが届いててよ」

 

いつもの如く詳しくは書いてなかったけどな。

ただ食堂に来い、って感じの無いようだった。

 

まぁ、今日は正月だし。

昨日までとはいかなくても、また何かやるんだろ。

 

 「それよかアテナ。お前その着物どしたんだよ。俺つくってねぇぞ?」

 「さぁ?私も良く分かりません。気がついたら目の前に置いてあったので」

 

今のアテナは見覚えの無い着物を着ている。

黒地に白い斑点……雪か?そんなのがあしらってある。

 

 「色的に私のモノだと思ったのだが、姉さん宛と書いてあったのだ」

 「私も普段は黒はそうでもないんですけどねぇ」

 「なら私に着させてくれ」

 「イヤです」

 

即答かよ。

まぁ、白い髪が黒地のお陰で逆に映えて良いんじゃないか?

 

とは絶対に言わない。

調子に乗るのが見え見えだから。

 

 「それで相棒。私の着物姿、どうですか?」

 「……やっぱり聞くのか?」

 

当然です。と胸を張るアテナ。

さっき言ったとおり似合ってるとは思う。

 

上手いこと露出してる機械部分も隠れてるし。……肩以外は。

 

 「私の方が似合うはずだ」

 「レイラ。あなた最近生意気ですよ?」

 「姉さんに似たのだろう」

 「なんですとーー!?」

 

また始めやがった。

仲いいのは良いけどね、俺の両側で喧嘩するのはやめて欲しいんですよ、ほんと。

耳が悪くなったらどうしてくれるつもりだこの野郎。

 

 「あれ?相棒何か歌声が聞こえてきませんか?」

 

そんな時、アテナが突然そんな事を言い出した。

俺も耳をすます。

 

Petals of white

Cover fields flowing in grieving tears

And all the hearts once new,old and shattered now

Love can kill,love will die

Give me wings to fly

Fleeing this world so cold Ijust wonder why

 

 

 「あぁ、確かに聞こえるけど……英語?誰だ?」

 

俺の周りにこんなに流暢に英語喋れる人いたっけか?

俺やはや姉だって少しは話す事はできるけど……。

 

いやでも歌と会話は発音結構違うしなぁ……。

 

そもそもこの声誰だよ?

 

 「おや?この声、まさか……」

 「ん?心当たりあんのか?」

 「確証は無いので何ともいえませんが。おそらく間違ってないかと」

 

首を傾げてるアテナ。

予想ついてるお前が首傾げてたら俺はもっとわからねぇよ。

 

ま、この歌も食堂の方から聞こえてくるし。

誰か歌ってるとか分かるだろ。

 

そう思って俺は特に気にも留めずに食堂に足を向けた。

 

 

 「え~……これは予想外だわ……」

 「私は予想通りでしたが……驚いてはいます」

 

食堂にはやっぱり歌の主が居たんだが……。

 

 

When heavens divide

I will see the choices within my hands

How can we ever protect and fight with our tiny soul?

Let me shine like the sun through the doubts and fear

Do you feel the storm approach as the end draws near?

 

 

 「まさかのレイジングハート……」

 「ふむ。こんなにも歌が上手かったのだな。意外だ」

 

そんなの俺の方が意外だっての。

一応十年来の付き合いになんのにこんなに歌が上手い何て思いもしなかった……。

 

 「お、ようやく来たなぁ、寝坊介」

 「あ。はや、ねぇ……」

 「ん?どないした?」

 

首を傾げるはや姉。

いや、しょうがないじゃないですか

 

正月だからまた何かすると思ってたけど、まさか着物を着てるなんて思ってなかったし。

いや、着る事に関しては普通なんだろうけどさ、どっから調達したのよ、それ。

 

にしても水色ですか。

正直イメージには無かったけど……あると思います。

 

 「い、いや。なんでもないよ、なんでも」

 

むぅ……。最近どうもはや姉を意識しちまうな。

どうしたもんかね。

 

 「っと、それよりはやてさん。何故レイジングハートさんが?」

 

アテナがはや姉に聞いた。

まぁ、俺もソレは気になってたから聞いてくれてありがとうって感じだ。

 

 「それがなぁ、この前のウィズのフェイトちゃんのライブに感化されたらしいんよ」  

 「……レイジングハートが?」

 「レイジングハートが」

 

これまた意外だな。そんなキャラ?じゃ無いでしょうに……。

 

 「あら?ウィズじゃない。どしたのこんなに早く」

 「あん?……ユリアか」

 「シメるわよ?」

 

笑顔でそんな事言わないでください。怖いです。

 

 「ってお前も着物かよ?」

 「取ってつけたような言い方ありがとう。でもね、私たちだけじゃないのよ?」

 

そう言って目配せしたユリアの視線を追うと、何故今まで気づかなかったのか。

なの姉とフェイ姉を見つけた。

なの姉は桃色と赤、フェイ姉は薄紫と青の着物を着てる。

 

二人はテーブルに向かい合うようにして座って、何か喋ってる。

……二人とも普通にしてるって事はレイジングハートがああなのは周知の事実だったのか?

 

少し寂しくなったが、気を取り直してユリアに向き直る。

 

 「で、なんでお前も着物なんだよ?そんなのメンドクサイとか言って着なさそうなのに」

 「私だって自発的に来たわけじゃないわよ。……どこかの誰かが私の服を全部持っていったからコレしかなかったの」

 

棘の有る言い方をして睨むのは俺じゃなくてはや姉。

睨まれたはや姉は乾いた笑いを出しながら顔ごと視線を動かす。

ってかどれだけ強攻策なんだよ。

 

 「ま、いいけどね。なのはの方に行ってくるわ」

 

あ、照れ隠しだったのか。今分かった。

だって振り向く際の動きが軽かったし、今も若干スキップしたもん。

ふふふ……しっかり見たからな。

 

 「まぁ、アレなら結果オーライやな」

 「……本当だよ」

 

俺の隣で両腰に手を当てて何度も頷くはや姉。

なんでそこまで自信に満ち溢れてるのか聞きたい。

 

 「ほれ、ウィズもいくで」

 「っと!?行くってどこに?」

 

突然手を引っ張られコケそうになりながらも、何とか体制を整える。

 

 「どこって決まってるやろ。炊事場や?」

 「……なぜに?」

 

なんで朝から炊事場?

いやそもそもはや姉は着物を着てるじゃないですか。

え?俺が作るの?

朝には遅いし昼には早いですよ?

 

 「それがな、おせちがまだ完成してへんねや。だから手伝ってもらおう思てな」

 「あぁ。そういう事か。いいけど珍しいね?」

 「いや……私も昨日悪乗りしすぎて忘れとったんや」

 

昨日って言えば……あぁ。あの【おっきくなっちゃった】事件か。

確かにアレは落ち込んでもしょうがな……ん?

今はや姉悪乗りって言ってなかったか!?

まさか俺が寝てからまだ何か……いや考えるのはよそう。

 

 「ほらウィズなら作るの早いし、ちゃちゃっと出来るやろ?」

 

まぁ、確かに。

俺は量の少ない、ってかつまみみたいな軽く食えるのは得意だけど……。

旨くないの知ってるよな?味は普通なのよ?

 

 「それは知ってるから一緒に作るんやろ?」

 「そう言う事?」

 

その後もアテナとレイラが手伝いたいと言って参加したり。

ユリアが突然現れて俺の自信作を一人で食ったり。

餅をつまみ食いしたアテナが喉に詰まらせてお騒ぎしたり。

気づいたら同じものを永遠と作ってたり。

 

そんなハプニングが色々あったが最後にはそれなりに見れるものが出来上がった。

 

よく正月にしたことはその一年し続ける、とか起こり続ける、とか言うけど。

ソレを考えると少し嬉しくもあり、何故か泣きたくもなった年の始めでした。

 

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