魔法少女リリカルなのはStrikerS WitH LAST   作:八神煌斗

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04.誕生日

 「もう2月かぁ。早いな」

 「おや?そう言えば調度四ヶ月ですかね?」

 

カレンダーを見て呟いた俺に、肩に座ってたアテナが口を開いた。

ちなみにアナザー。

 

半年?

 

半年前っつったら6月だよな?

6月……6月……。

 

 「あ、はや姉の誕生日か。ってどうでもいい事に気づくな」

 「相棒の誕生日でもありますけど……何となく日付が一緒なら気になりません?」

 

今日は二月四日。

アテナが言うとおり四ヵ月後、つまり6月4日は俺とはや姉の誕生日だ。

 

 「なんだ、二人は同じ誕生日だったのか?」

 

思い出してすっきりした時に、アテナとは逆の肩に座ってたレイラが俺に聞いてきた。

ちなみに言うまでも無くレイラもアナザーだったりする。

 

 「まぁな。俺の誕生日なんて誰にもわかんねぇし、はや姉がどうせならって……」

 「そういえばマスターは記憶を消されていたのだったな」

 

きっかけが何だったのかは忘れちまったけど、昔なんかの拍子に誕生日の話になった。

そん時にはや姉は折角なら同じ誕生日に!見たいな事を言ってそうなったんだっけ。

 

まぁ、自分の誕生日が気にならないっつたら嘘になるけど、どうしても、って程じゃないしな。

 

と、ソコまで考えてレイラが顎に手を沿えて何か考えていることに気づく。

 

 「どうした、レイラ」

 「マスター。一ついいか?」

 「んぁ?なんだ、改まって?」

 「マスターの誕生日だが、ユリア殿なら知っているのではないか?」

 

 

 「冬」

 「……それだけか?」

 

思い立ったが吉日。俺は早速談話室で一人、ダレていたユリアを見つけ、誕生日を聞いた。

一瞬友達居ないのかってからかってやろうかと思ったけど、後が怖いからやめた。

 

で、聞き出したんたけど……それは生まれた季節だよな??

 

 「当たり前でしょ。そんな正確に生まれた日や時間がわかる訳無いでしょう?」

 「なんでだよ?まさか元がスライムみたいに徐々に出来上がったとか……うぇ」

 「自分で言って気持ち悪くなってどうすんのよ」

 

いや本当に。

自分がそんな感じに生まれたとか思いたくない。

 

 「確かに生まれは人工授精、だったっけ?そこから色々調整していくの。ココまでは分かるわね?」

 「さすがに馬鹿にしすぎだろ?」

 

俺がそう言うとユリアは「へぇ?」って言って例の眼を細めて挑発的な表情になった。

……もしかしてやっちまった?

ってか今のどこが気に入らなかったんですか!!?

 

とまぁ、俺の予想は外れることなく、ユリアはわざと難しい言葉を並べたりしてきやがった。

それも一時間以上こってりと。

 

 「ふぅ。気も済んだし、簡単に言うとね、お母さんもアンタと面識を持ったのはアンタが生まれてからって事ね。つまり知らないだけ」

 「今までの説明はなんだったんだよ!!?」

 「私を不機嫌にさせたアンタが悪い」

 

どこのガキ大将ですか、それ!!?

 

と、ひとしきり俺で遊んで満足したのか、ユリアは「ん~……」と唸りながら眼を瞑り、右手人差し指でこめかみをトントンと叩き始めた。

 

そして暫くしない眼を開き、指はそのままで俺を見た。

 

 「今記録を思い返して見たけど、多分お母さんがアンタと確り面識を持ったのは、アンタが生態ポットを出てからね」

 「そうなのか?」

 

さっきまでの行動はユリアの中にあるアリヤ……母さんの記憶を見返していたらしい。

 

ユリアは母さん自体は好きだが、その記憶を見るのは好いていない。

本人が前に「私生活を覗き見してるみたいでいい気がしない」とのこと。

普段はマルチタスク使って不必要なのは隅に追いやってるってのも言ってたな。

 

だけど、俺が今回みたいに聞いたら、自分から覗いてくれる。

 

 「多分、だってば。アンタもう普通に歩いてるし喋ってるし。出たばっかりじゃこうもいかない筈でしょうし」

 

実況中継をしている様に、だけど淡々と当時の記録を口にするユリア。

 

 「あっ」

 「ん?なんだよ?」

 

突然、ユリアが動きを止めた。

再び眼を瞑った。が今回は様子がおかしい。

 

眉間にシワを寄せて、まるで思えていない事を必死に思い出そうとするように、唸っている。

顔も徐々に俯いている。

 

 「おい。大丈夫――」

 「静かにして、気が散る」

 

ピシャリ、と有無を言わさずに言いくるめられた。

かなり深厚そうな顔をしてる。

 

そして時計で五分ほど経った事を確認したこと、ユリアが眼を開けた。

 

 「どうしたんだよ、急に」

 

コイツが回りくどいことが好きじゃないのは分かってるから、俺も率直に聞く。

 

 「少しお母さんの記録が前に出てきただけよ。今はまた仕舞っておいたから大丈夫」

 「なら良いけど」

 

もう表情も元に戻ってるし、そんなに難しいことがあった訳じゃなさそうだしな。

大丈夫って言ってるヤツを心配するのは、それはそれで失礼だ。

 

 「そんなことより」

 

コイツ、仮にも心配してやったことに対してそんなことだと?

なんていう理不尽。

 

少し悲しくなったぞチクショウ。

 

 「急に誕生日なんてどうしたのよ?」

 「ただの気まぐれ。ユリアなら知ってるかと思ってよ」

 

ま、その予想も外れたけどな。とは言わない。

言ってまた永遠と説明を受けるのもダルすぎる。

 

 「ふーん。あれ?じゃぁアンタ今までどうしてたのよ?はやてがそう言うイベント放っておく訳無いでしょうし」

 「ん?はや姉と同じだな、一応。6月4日」

 「あー……確かにしそうね」

 

座っていたソファーに深く背を預け、苦笑いで宙を見上げるユリア。

 

……よくよく考えたらコイツも六課(ここ)に来てまだ半年も経ってないんだよなぁ。

すっげぇ馴染んでるから忘れちまいそうになるけど。

 

 「もしかしたらお前も誕生日一緒にされるかもな」

 「あ、ソレ無いわね。私はちゃんと自分の誕生日知ってるもの」

 「……それもそうか」

 

右手をヒラヒラと、宙を仰いだまま返すユリア。

言われてみたらそうだよなぁ。コイツ、母さんの記憶は記録としてちゃんとあるし。

そもそも生態ポットから出たときには確りを自我もあったみたいだしな

逆に知らないほうがおかしいのか。

 

 「因みにいつなんだ、それ?」

 「ん~?6月16。何の冗談か、アンタ……と言うより、はやてと近いわね」

 「へぇ~」

 

確かに月だけだけど、一緒だとなんか縁を感じるよなぁ。

大体二週間後くらいか。

 

そんな事を考えてたとき、後ろから聞きなれた声が気味悪く聞こえてきた。

 

 「それは良い事聞いたなぁ」

 「うげ……」

 

その声を聞いて、さっきまで気の抜けた表情だったユリアの顔が歪んだ。

そして首が錆びたような動きを見せて、自身の後ろを見る。

 

 「はやて……」

 「折角やからお祝いしたろか?誕生日+8ヶ月ってことで」

 「や、意味わかんないし」

 

楽しそうに提案しながら、俺の隣まで来るはや姉。

そして疲れたように返すユリア。

 

正直俺はユリアの意見に賛成。

なんだよ、【+8ヶ月】って、意味わかんねぇよ。

 

 「ええやんか。妹の誕生日をお祝いするものお姉ちゃんの役目や」

 「だから私ははやての妹じゃ――」

 「あ、シグナム?帰りにケーキ買って来れるか?」

 「話聞いてくれないかしら!!?」

 

ユリアの話を余所に出かけていたシグナム姉さんに通信でお使いを頼む。

モニターの向こうの姉さんも困惑した様子で俺に視線を移してくる。

 

――何のことだ?

 

念話じゃない。コレはアイコンタクト。

 

――まぁ、はや姉の思いつき?

 

俺の意思も通じたようで、モニターの向こうでシグナム姉さんが小さくため息をついた。

 

 「ん?どないしたんや?」

 『いえ。それで主、どれ程買って帰れば良いのですか?』

 「そやなぁ――……」

 「はやて!?私の話――」

 

モニター越しだか、はや姉とシグナム姉さん、そしてユリアが話初めていつの間にかロンリーな俺。

別に寂しくなんてないし。

 

 「寂しい人程そうやって意地を張るものだ」

 「相棒。私が慰めてあげましょう!!」

 

左右の上着ポッケから顔を出す姉妹デバイス(アナザー装備)。

アテナもそうだけど、アナザーをプレゼントしてからレイラもコッチの姿が多くなった。

 

しかもその時は大抵俺の両肩か両ポケット。

因みに右がアテナで左がレイラのポジション。

 

 「む。何を言う。姉さんだと傷口に塩を塗りたくるの間違いではないのか?」

 「んなぁ!?レイラ、それはどういう意味ですか!!?」

 「言葉の通りだ」

 「ムキーーー!!」

 

こう……なんて言うのかな。

アテナは前からこうだったとして、レイラだ。

 

コイツもいつかトウギの野郎に返しさねぇとダメなんだけど……。

絶対に何か言われる。しかも俺が悪いのが眼に見えてっから言い返せねぇし。

 

コッチに来たときはかなりの真面目デバイスだったのに。

 

 「ウィズ」

 

頭を痛ませていると、話が終わったのかはや姉が俺の方に向き直っていた。

後ろでグッタリしている人?そんなのは見えません。

 

 「予定も大まかに決まったし。私らは料理でも作りに行こか」

 「料理って……はや姉仕事は?」

 「……人間、休養って大切やと思うんよ」

 

サボりか!!?

いや、はや姉……てか姉さん達は確かに休んだほうがいいと思うけど丸投げはどうかと思うよ!!?

そして俺を巻き込まないで!!

仕事結構溜まってるんです、お願いします!!

 

と、悲願にも似た思いでユリアを見る。

 

 「…………」

 

もう手を振るとか、睨むとか、そんなの一切無し。

コッチを見てくれさえしませんでした。

 

 「…………」

 「はや姉」

 「なんや?」

 

声色が変わった事に気づいてくれたのか、足を止め俺の方を見る。

俺は何も言わずにユリアを顎で指す。

 

ユリアはダレている様に見えるけど、また眼を瞑り、眉間にシワを寄せていた。

 

 「まぁ、ユリアも色々あるんやろ」

 「そんなもん?」

 

そりゃ、アイツが悩みとは無縁な性格だとは思わねぇけど、アレは少し違う気がする。

俺が気づいてるくらいだからはや姉も絶対に気づいてると思うんだけど……。

 

わざと気づかないフリしてるって事か。

 

 「ほら。いくで!」

 「うぉ!?ちょ、急に引っ張らないでほしいな!!?」

 

 

この後、はや姉も宣言どおりユリアの誕生日会は開かれた。

その時にはユリアもいつもの感じに戻ってたから、気にしないことにした。

 

したんだけど……どうもその辺りから記憶が無い。

ただ言える事は起きたとき、さながら地獄絵図の様で、あちこちに空になった酒瓶が転がっていた。

 

 

――そして三日後。

ユリアが姿を消した。

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