「頭痛てぇ……飲みすぎた」
二日酔いによる頭痛や吐き気を堪えて、なんとかトレセン学園まで来た。流石にハメを外しすぎたな……。
「大丈夫ですか? トレーナーさん」
「ただの二日酔いだ。」
「典型的なダメ人間じゃん……」
「仕方ねぇだろ。俺たちの初勝利だぜ? そんな時に飲まないでいつ飲むんだよ。」
「次の日に仕事があるのに飲むのがおかしいでしょ……」
「細かいこたぁいいんだよ。」
そんな事を話していれば、自然とアルコールも抜けてきた気がするな。まあ結果オーライだ。
「さて、選抜レースを終えた俺達の次の目標はメイクデビューだ。当然トレーニングも必要になる。」
「えぇー? なんとかならないんですか?」
「ならねぇよ、諦めろ。」
「これからについて大まかにレース計画を決めておきたい。なんか出たいレースとかあるか?」
「うーん……特に思い入れがあったりするレースはないかなぁ」
「それなら普通のクラシック路線でいいだろう。そこでならスペシャルウィークなどの同期とも戦える。」
そうなると、やっぱりメイクデビューの後、OP戦を挟んで弥生賞だな。
史実では2着だったが、俺たちが力を合わせりゃ一着だって取れるはずだ。
「さて、それじゃあレース計画もある程度決まったことだし、次はトレーニングだな。」
「あ〜……ちょっとセイちゃん体調が……」
「そりゃ仕方ねぇな。予定外の休みが入ると次回のトレーニング量が増えるが……体調が悪いんじゃ仕方ねぇか。」
「あー、今すっごく元気出てきた気がする! もう今すぐ走りたいくらい!」
「最初から変に嘘なんてつかずにやりゃいいものを……」
トレーニングを終えた後、スカイは今日は予定があるらしく、そのまま帰った。
俺はというと、トレーニング方法やこの先について考えていた。
「スピードやスタミナは順調に上がってきてるが、将来的なことを考えるとこのペースだと少し不安だな……」
俺はゲームの知識はあるが、それがどの程度この世界にも当てはまるのか、それが今はまだわかっていない。
例えるなら因子継承。ゲームであれば継承元の親が必要だが、この世界ではあれがどういう扱いになるかがわからない。
わからねぇことが多すぎる。ま、そうはいっても確かめる方法がねぇから、結局時間が経たないとわからねぇが。
「やあ、天城トレーナー。」
「……シンボリルドルフ? 生徒会長サマが俺に何の用だ?」
「いやなに、大したことでもないんだが、君がセイウンスカイと担当契約を結んだと聞いて少し気になってね。それと、私のことはルドルフでいい。」
皇帝シンボリルドルフ。
トレセン学園の生徒会長。
自分以外の多くの者のために身を粉にして働く、俺とは正反対の性格の持ち主。
それが眩しくて、俺ぁ苦手だ。
「そうか。スカイのやつ、ありゃすげぇ才能だぜ? あんな奴を担当できるなんて、俺は運がいい。」
「確かに彼女についても気になるが、今日私が話しかけた理由は君について気になることがあってね」
「あの皇帝に目をつけられるなんて俺も運がねぇな。それで?」
「君については率直に言えばあまりいい噂を聞かなくてね。君がセイウンスカイの担当に相応しいか疑わしく思っている」
(気分は良くねぇが、まあ疑われるのも仕方がない。才能のあるウマ娘が悪徳トレーナーに潰されないか心配ってところか。)
「生徒会長サマは随分疑り深いらしい。だがわからねぇな。あいつのことを知ってるなら昨日の結果についても聞いてるんだろ?」
「確かに聞いたよ。6バ身差の圧勝。しかし、彼女には元々才能があった。あれだけでは君の力によるものかそうでないかはまだわからない」
「ならどうする?」
「君にはウマ娘の能力を見ることのできる眼があると聞いた。今度行われるレースでどちらが一着をより多く当てられるかで競おう」
大っぴらには話してねぇはずなんだが。ジジィからか?
「いやはや恐れ入った。生徒会長サマは随分耳がいいらしいな。それで? 受けるメリットは?」
「君が勝てば、私の力の及ぶ範囲で君の望むものを与えると約束しよう」
「いいぜ。受けてやる」
「まだ負けた時のことを話していないが?」
「どうせ俺が勝つ」
ま、担当を降りろとかそんな感じなんだろうな。
勝負に勝ったところで、俺が実力を示せなければ意味はない。
だが、俺ぁ運は悪いがレース予想だけは得意だ。
「じゃあな。楽しみにしてるぜ」
目指すは完勝だ。
「……今なんて言いました?」
「いやだからその、あー……シンボリルドルフと賭けをすることになった」
「どうしてそんなことになるんですか!?」
「仕方ねぇだろ。受けなきゃあいつは絶対納得しない。だったら後々話が拗れる前に、早いとこ解決したかったんだよ」
「だからって、負けたらどうするつもりなんですか?」
「負けた時のことなんて考える必要なんざねぇよ。俺が勝つ。」
「考えてもみろ。あのシンボリルドルフに、力の及ぶ範囲とはいえ、何でも一つ聞いてもらえるんだぜ? 俺みたいな新人トレーナーの進退を賭けたって余りあるリターンだ。さて、何を聞いてもらうかな」
「なんでもう勝った気でいるんですか……せめてセイちゃんにひと言くらい相談してくださいよ」
「だから今言ったんだろ?」
「事後報告じゃないですか!」
「スカイ、よく覚えとけ。相談したら却下されるようなことも、事後報告であれば『知りませんでした』で言い逃れられるんだよ」
「……」
「痛ってぇ! 無言でどついてくるのやめろ! 俺が悪かったからよ!」
「はぁ……絶対勝ってきてくださいよ?」
「はっ、期待して待っとけ」
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『もしもし? 今平気か?』
『大丈夫だが、いったい何の用だ?』
『ちょっと金を貸してほしくてな。10万くらい』
『なんだ突然、用途は?』
『ちょっと賭けの軍資金にな』
『断る。そんな返ってくる保証もないのに10万も貸せるかよ』
『3倍でどうだ?』
『へぇ……やけに自信があるじゃねぇか?』
『俺ぁレースで外したことねぇんだ。お前も知ってるだろ?』
『それならそうと早く言え。なんなら100万までだったら貸してやるよ』
『現金なヤツだな。負けて返せなくても困るからいらねぇよ』
『よく言うぜ。負けることなんて考えてねぇくせに』
『レースに絶対はないんでね。じゃ、よろしくな』
そう言って同期との電話を終えた。
さて、シンボリルドルフに何を頼むかな。大抵のことはあいつなら叶えられるだろう。
なんたって、あのシンボリ家のご令嬢。しかもトレセン学園の生徒会長だ。
その権力は、やろうと思えば俺のクビなんて簡単に飛ばせるくらいには大きい。
あの性格からしてそんなことはしないだろうが、俺が悪徳トレーナーとでも見なされれば、話は違う。
まだ結果のない俺なんて、URAから見れば大した存在じゃない。
代わりはいくらでもいる。
だからこそ、今回の賭けは単に勝てばいいってわけじゃねぇ。
……まあ、それはそれとして。
勝ったら何をしてもらおうか?
俺の事務仕事でもなくしてもらうか? いや、流石に無理だな。学園長でもないと、そんなことはできねぇか。
ま、勝ってから考えればいいだろ。
ルドルフの口調がいまいちわかってないので違和感とかあったら教えてください。
ウマ娘の中で短編を作るとしたら誰がいいですか?セイウンスカイは作るのが決まってるので除外します。その他あれば感想ください。
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