「なンでお前がそのことを知ってる?」
(やっべぇ勢い余って口に出しちまったよ。めちゃくちゃ警戒されてんな)
「んなことが本当に重要か?もっと建設的な会話をしようぜ。俺はお前の計算を覆し得る手札を持ってる」
「ンなことが本当に信じられると思うか?根拠のねぇ話は聞けねェなァ」
「まあ話だけでも聞けよ、俺はトレーナーだ。見ろよこのバッジ?ピカピカだろ?運動会の時に参加賞で貰ったあのメダルを思い出すぜ。」
「ふざけてンのか?付き合ってられねェな。」
「ジョークだジョーク、アイスブレイクってやつだ。お気に召さなかったか?」
「……」
エアシャカールがこっちを射殺さんばかりの眼光で睨見つけてくる。
「さて、本題に入るが…トレーニングってのはどうやら他のウマ娘たちとするほうが効果量が上がるらしい。推測だが、恐らくその効果は共にトレーニングをするウマ娘との絆が深ければ深いほど効果量が高まる。」
「なんの根拠があって言ってやがる?本当にそんなもんがありゃとっくに証明されてるに決まってンだろ。時間の無駄だ。もう絡んでくンな。」
「努力して、あがいて。何度計算しても無理だったんだろ?ならアプローチの仕方を変えようぜ。」
「今日はもう日も沈んできたし、詳しい話は明日する。もし、お前がまだ諦めたくないってんなら俺に賭けてみろ」
「パッと現れて勝手なこと言いやがって!てめェはなんなんだよ!」
「俺はただ、確かめたいだけだ。お前にはその協力をしてもらいたいってわけ。今日これで終わりだ。続きは明日だ。じゃあな。」
(どうにか誤魔化せたか?こういうのは勢いと適当に意味深なことだけいってれば勝手に勘繰ってくれてなんとかなるもんだな)
「会わせたい人がいる?」
「あぁ。俺にとってもお前にとっても大事な大事な命運を握ると言ってもいい人物達に会いに行く。飛んだら殺されちまう」
「ついに闇金に手を出したんですか?セイちゃんを巻き込まないでくださいよ、トレーナーさん。」
「なわけねぇだろ。俺が借りるのは最悪踏み倒せる相手だけだ」
(まあそもそも選択肢がねぇんなら相手の選びようもねぇが)
「最低じゃないですか…大人としてどうなんです?」
「ガキはどうやって金を返すかを考えるかもしれねぇが、大人はどうすれば金を返さなくて良くなるかを考えるんだよ」
「トレーナーさんだけでしょそれ。主語を大人にしないでください。まともな大人の方々に失礼ですよ」
「お前が傘を売るとして、どうやって傘の売り上げを増やす?」
「う〜ん…デザインをよくするとか、機能を便利にするとかですかね?」
「そうか。俺は雨を降らすな」
「そんなんでどうやってトレーナーになったんですか…?」
「別にそう珍しいことじゃない。人の不幸に乗じて金儲けを行う人間はよくいる。自分が幸せになるために人を不幸にする。そうすることで社会は回る」
「ひねくれすぎでしょ…」
そんなことを話しながら移動する。
「ついたな。失礼のないようにしろよスカイ」
(変なことをされると俺の命があぶねぇ…)
「本当にいったい誰と会わせられるんですか私…」
ドアノブに手をかけ扉を開く。
「よぉ。待ったか?」
「待ったか?じゃねェだろなんでこいつがここにいる?」
「酷い言い草じゃないか。私も彼に呼ばれて来た身なんだがねぇ」
「その通り。お前とアグネスタキオンは同じ理由で呼んだ。つってもまだ細けぇことは説明してなかったよな。てことで今説明する」
「単刀直入に言えば、お前たちには俺の研究を手伝って欲しいんだよ」
「冗談じゃねェ、なんでオレがお前の研究なんかを手伝ってやらないといけねェんだ」
「同感だ。他人を手伝っているような暇はないのだが」
「まぁ待て。別にお前らに利がないわけでもねぇ。エアシャカール。計算ではお前は日本ダービーで7cm差で負けるんだろ?」
「…だったらなんだ?」
「俺の理論が実現できればそれまでとは比べ物にならないほどトレーニング効率が上がる」
「なンでそんなことが言える?」
「それを証明するんだよ。どうせ覆らないんだったら最後の賭けに出ようぜ」
「シャカール君が協力する理由はあっても、私が協力するメリットはないように思えるのだがね?」
「アグネスタキオン。お前はウマ娘の限界、可能性を解き明かすために研究してる。だが実際はそれだけじゃない」
「お前、100%の力で走れないんだろ?そのガラスの脚じゃ本気を出してしまえば脚が壊れてしまう。故に壊れない方法を探してるわけだ」
「君がなぜそれを知っているのか、ぜひお聞きしたいのだが」
「見たら分かる」
「今はそういう事にしておこうか。だが、そうだったとして何の関係があるのかな?」
「俺だけが協力してもらおうなんてそんな都合のいいことは言わねぇ。お前のモルモットにでもなんでもなってやるよ。それに、この研究が成功すればより強く、効率的な練習ができる」
「何を根拠にンなことを」
「俺が3年間集め続けたデータだ。一人で行うときよりも複数人でトレーニングを行ったときのほうがトレーニングの効果が上昇している。それも、ジュニア期と比べてシニア期の方が圧倒的に上昇量が多い。しかもそれはいつでもそうというわけじゃなく複数人でかつ関係値が深いほどに効果が上がっているわけだ」
「確かにそうかも知れない。しかし、もしそうでなければ私たちは貴重な時間をドブに捨てるわけだ」
(まだ信頼がなけりゃ信用もされてねぇ。だから、今は他人に補ってもらう)
「入ってきてくれ」
「?いったいなにを…」
「失礼するよ」
「おや?会長がなぜここに…君が呼んだのかな?」
「その通り。彼の実力は私が保証しよう」
「会長がそういうならひとまずは信用しよう」
(まぁアグネスタキオンはそうだろうな。温情をかけられてる立場でもあるし、そういう意味でもシンボリルドルフは最強の特攻カードだ。問題はエアシャカールの方だが…)
「確かにそいつにはトレーナーとしての実力があるのかもしれねェ。だがそれはトレーナーとしてだ。研究者としてじゃねェ。この研究が成功する保証も何もねェのにどうやって信じろってんだ?」
(俺がこれ以上示せる信頼に値するような根拠は何一つない)
「俺はこの研究にトレーナー人生の進退を賭ける」
「…正気かい?」
「簡単に進退を賭けるなどと言うのはやめておいたほうがいい。君にはまだ未来があるだろう」
「どれだけ輝かしい未来が待っていようが俺が生きてるのは今だ。今でなきゃ意味がねぇ。今だから全てを賭けられる」
「さあ、聞こうか。乗るか、乗らないのか」
「ロジカルじゃねェ。だがそれ以外に方法もねェ。チッ癪だがお前に乗せられてやる」
「決まりだな」
「トレーナーさん、これ私いる意味あったんですか?」
「そりゃそうだろ。お前にも協力してもらうんだから」
「えぇ?私研究なんて手伝えませんよ」
「んなこたねぇだろ。実験台になるんだよお前は」
「モルモット扱いですか…」
「俺だけがモルモットになるなんて不公平だろ?俺は対等を意識してんだよ」
「そんなことにまで適用されるんですか?それ…」
「これでようやく研究ができるな。シンボリルドルフ、付き合わせて悪かったな」
「構わないよ。元々君を手伝う約束だ」
「これで貸し借りはなしってわけだ」
「もし必要であればいつでも言ってくれて構わないよ。なるべく手を貸そう」
「そりゃありがたいが、シンボリルドルフの手を煩わせるようなことはそう起こらねぇさ」
「では私はこれで失礼するよ」
「オールインの結果は俺の勝ちだな。久々にひりつく勝負だったぜ」
「これを賭け事として捉えてるのだいぶおかしいでしょ…」
「オールインってのは間違いだったな。まだ出してないチップがあった」
「他人をチップとして捉えるのやめてくださいよ。私は賭け事とは無縁なんですから…」
ウマ娘の中で短編を作るとしたら誰がいいですか?セイウンスカイは作るのが決まってるので除外します。その他あれば感想ください。
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