奇術師セイウンスカイと勝負師トレーナー   作:mashiyu

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9話 プロトコール

「あ〜いざやると決まったら何からするか迷うな。何から始めようか……今さら自己紹介なんてのも必要ねぇだろうし。まあ、とりあえずこのチームの名前でも決めるか」

 

「なんだっていいだろうがンなもん」

 

「わかってねぇなぁ。チームの名前が決まってなくて呼称が素行不良4人組だなんて呼ばれ方いやだろ。せっかく偉業を成し遂げるところだってのに」

 

「まあ確かに締まらないですね」

 

「てことで案を出していこう。俺の考えじゃ、この理論は一緒にトレーニングするウマ娘と絆が深いほど効果が上がるはずだ。それに因んで、友情トレーニング研究会なんてどうだ?」

 

「まあ、いいんじゃないかい?」

 

「まあセイちゃんはなんでもいいですけど〜」

 

「とっとと決めて、研究に入るぞ。時間がもったいねぇ」

 

「マジかよお前ら……? もっと意欲出してくれよ。こういう小さなやり取りが絆を深める上で大切だってのに」

 

「お前の言う理論通りなら大事なのはウマ娘との絆であって、お前との絆は関係ねェだろうが」

 

「俺ぁお前たちがもっといい名前を出してくれるって信じてたんだぜ? トレーニングと一緒で、高め合ってよりいい名前を出していくはずだったのに……」

 

「申し訳ないが、期待するところが些か間違っているとしか思えないのだがね」

 

「スタートがこんなんじゃ全然格好つかねぇよ。こういうのは普通、なんかいい感じの名前つけてやるぞー! ってするもんだろうが。こんな地味な名前でいいとか正気か? こいつら……」

 

「イジイジしてないで次に行きますよ、トレーナーさん」

 

「はぁ……んじゃ次は研究デザインについて決めてく。思いついたことをホワイトボードに書き出してくぞ」

 

「やはり必要なのはウマ娘だろうねぇ。このデータから読み取れる限り、現状わかってることは複数人でトレーニングを行うと効率が上がるということのみだ。そのためにはまず、道具や手順、対象者を決めなければならないようだ」

 

(補足してくれるから進めやすいな。モルモットにはならないといけなくなっちまったが、結果的には引き込んで正解だったかもしれん。1680万色に光らせられるのはしょうがねぇか……)

 

「あぁ。その為にも、仮説を建てていく。この理論の発足者である俺がまず話そう。さっきエアシャカールも言ってたが、絆を深めるほど効果量が上がると考えている」

 

「別に複数人でトレーニングをすることで効果量が上がるってのは否定しねェ。だが、絆ってのは何を根拠に言ってやがる?」

 

(適当に頷くんじゃなく疑問を持つのは話をよく聞いてる証拠だ。研究に対して前向きらしいな。それに何より、エアシャカールはデータの扱いに長けてる)

 

「データから関係値までは読み取れねぇが、俺が記憶してる限りでは特にトレーニング効果の高いものは、どれも一緒にトレーニングをするウマ娘と絆、要は関係値が深いやつだ。まだ仮説の段階。発生条件、具体的にどれくらい深めればいいのか、何人までこれが適応されるのかなんかは要検証だ」

 

「聞いてて思ったんですけど、単に関係値が深いだけなら、普段の授業の時みたいな状況でも起こるんじゃないですか?」

 

(どちらかと言えばこいつは検証係兼、俺の補佐としての役割を考えてたが、案外着眼点がいいな。俺の知識をそのままこいつらに渡せれば爆速で進むんだろうが、そりゃできねぇしな)

 

「いい着眼点だな。それも書いておこう」

 

その後も話を続けた。

 

「発生条件については、ある程度の関係値が築けてるウマ娘と共にトレーニングを行ったとき。何人までか、どれくらいの関係値を築けばいいかはまだデータが足りないって感じだな。あんまり大人数で一斉にってのもあんまりしないしな」

 

「ふむ、今日はこれで解散かな?」

 

「あぁ。今日はもう時間もねぇし、本格的なことは明日からだな」

 

「はい解散! おつかれ〜」

 

「軽すぎじゃないです? トレーナーさん」

 

「あんまり堅いと、それこそ俺との絆が深まらねぇだろうが。友情トレーニングに関係あるにしろないにしろ、チームとして動くならトレーナーの俺との間で空気が悪くても困る」

 

「それに、明日から仮説の検証に入るから、お前らにはそれなりに走ってもらうことになるからな」

 

「えぇ〜!? せっかく動かなくて楽だと思ってたのに」

 

「効率が上がりゃ必要なトレーニング数も少なくなるぜ」

 

「それならまあ頑張りますかぁ」

 

(ま、効率が上がったら上がったで、浮いた時間トレーニングするだけなんだけどな)

 

「……トレーナーさん、なんか隠してません?」

 

「そんなことはねぇさ。ちょっとこの先について考えてただけだ」

 

「ほんとですかね〜?」

 

こいつらには言ってなかったが、サポカにはそれぞれ得意なトレーニングがあった。それがこの世界だとなにがどうなのかも調べないとだな。

 

……やることがあるってのも、案外悪くねぇかもな。

 

それから俺達は研究を続けていった。

 

「えぇ……? トレーナーさんなんかめちゃくちゃ光ってますけど……」

 

「スカイ、覚えとけ。どんなものにも代価は必要なんだよ」

 

「たしかにそうかもしれないですけど、絶対そうはなりませんよ!?」

 

時にモルモットとして実験台になったり。

 

「ほら頑張れ頑張れ。あとちょっとだぞ〜」

 

「いやぁ、さすがにこれは……きついですねぇ……」

 

「……チッ、想定より負荷が高けェ……」

 

「おや、君たちまさかその程度なのかい?」

 

「チッ、上等だ。てめぇの挑発に乗ってやる」

 

「まっさか〜。でもそう言われちゃ、このまんまってわけにもいかないですよね!」

 

「素晴らしい、素晴らしいねぇ! それでこそだ!」

 

(確実にトレーニングの効果が上がってる。あいつらもなんだか仲が深まってるみたいだし、特にタキオンは着火剤になってくれる。本来はここまでギアを上げる必要はねぇが、これこそが友情トレーニングの正体なのか?)

 

時に実力を高め合ったり。

 

「はっ、俺の計算によれば8番が勝つ確率は97%。この勝負もらったぜ」

 

「ロジカルじゃねぇ。なんの根拠もねェだろうが」

 

「諦めたほうがいいですよ、シャカールさん。トレーナーさんに根拠なんて求めたって、そんなの勘だって言われるだけですから」

 

「全く理解できないねぇ。時間とお金の浪費にしか思えないのだが」

 

「黙れマッドサイエンティスト! モルモットになるのは了承したが、俺の口座から金を抜いて実験器具に使うのは了承してねぇからな! それにな、こういうのは応援してる側の気合が伝わんだよ! 差せぇ! 8番!!」

 

「どうせ泡銭だろう? であれば研究に有効活用するべきだとは思わないかい?」

 

「そうですよ。どうせトレーナーさんが持ってたところで全額賭けて溶かしちゃうんですから」

 

「お前たちの金を稼ぐために博打打ってんじゃねぇんだよ。そもそも倫理的にどうかと思うんだが?」

 

「まぁまぁ、レースに集中しようじゃないか」

 

「よっしゃぁ! よくやった8番!」

 

「嘘ぉ!?」

 

「信じられねぇ……」

 

「いったいどういうことなんだい……?」

 

「ギャンブルってのは確率じゃねぇんだよ。俺の熱が8番に伝わったんだ」

 

「彼女は金属でもないのだから、熱なんて伝わるはずがないだろう」

 

「さっき俺の計算によれば〜とか言ってたのはどこ行ったんですか……」

 

時に賭けをしたりして絆を深めた。

 

「研究もいよいよ大詰め。最後の仕上げってところか」

 

「んじゃ、まとめてくぞ。まず発生条件だが、これは一定の関係値を築いたウマ娘とトレーニングすることで起こる。これを友情トレーニングと以降呼ぶ。友情トレーニングの最低人数は2人、最高で6人。それ以上は発生しない」

 

「これは推測だが、7人以上になると発生しないのは、競争心や対抗心といった感情が分散されるからだと私は考えている」

 

「ご意見ありがとう。効果についてまだすべて分かったわけではないが、ウマ娘にはそれぞれ得意なトレーニングがあることがわかった。例えばシャカールならスタミナ、タキオンならスピード関係のトレーニングみたいな感じだ。3人以上同じトレーニング適性が重なると発生しない。まあ俺達は重なってねぇし、ここはそこまで気にする必要もねぇ」

 

「オレがスタミナなのはなんでか気になるが、流石にそこまで探る必要も時間もねェか」

 

ゲームなら同じウマ娘でも衣装によって違うトレーニングに適性があったりしたが、この世界ではスカイならスタミナとパワーってな感じで、全て一律らしい。

 

「てなわけで最大効率を目指すなら、6人でそれぞれ違う適性を持ったウマ娘たち同士でする必要がある」

 

「関係値――以降絆と呼ぶが、トレーニングを行う際に必要な絆は毎回リセットされる。といっても仲を深めたウマ娘とであれば補正がかかって上がるのが早くなるが、それでも30分くらいは一緒にトレーニングする必要がある」

 

(史実で関わりのあるウマ娘同士であれば更に絆が上がるのが早いらしい。ウマソウルが関係してんのか? まあ説明のしようがねぇし、言っても仕方ねぇから言わねぇが)

 

「今まで研究がされてなかったのは条件が厳しかったからだろうな。お前、よくデータなんて集めてたな?」

 

「まあな。サブトレーナーとしてそういうのは任されてたし、技術を学ぶうえで手っ取り早かった」

 

「さて、これで研究は一段落なわけだが、どうだ? 俺がお前たちの面倒を見てやってもいいんだぜ」

 

「その言い方は気に食わねェが、そのほうがオレとしては都合がいい。お前にこれからも協力してやる」

 

「私も構わないよ。貴重なモルモットを失うのは惜しい」

 

「皆さん素直じゃないですね〜。これからも仲良くしたいって素直に言えばいいのに」

 

「「「そんなわけねぇだろ!(ないだろう)」」」

 

「ほら。やっぱり仲がいい」

 

「「「………」」」

 

「……まあ、決まりだな」

 

次はもっとマシな名前を考えねぇとな。

 

例えば……そうだな。フロンティアとかか?

 

いや、俺達にはありきたりすぎるか。

ウマ娘の中で短編を作るとしたら誰がいいですか?セイウンスカイは作るのが決まってるので除外します。その他あれば感想ください。

  • エアシャカール
  • アグネスタキオン
  • マンハッタンカフェ
  • ナカヤマフェスタ
  • シュヴァルグラン
  • キングヘイロー
  • ミスターシービー
  • シンボリルドルフ
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