令和と昭和   作:◆QgkJwfXtqk

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神は真実な方です
あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、
試練と共に、それに耐えられるよう、
逃れる道をも備えていてくださいます

――新約聖書 『コリント信徒への手紙』 10章13節の     




接触期
1-1 状況/事の始まり


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 始まりは2020年代の後半。

 日本列島の近海、相模湾の一部で100年以上の過去に繋がった穴(ワームホール)、或いは(ゲート)が発見された事であった。

 それは唐突であり果てしなく偶然の出来事だった。

 訓練航海中であった海上自衛隊の護衛艦みらい(さくら型哨戒艦)が、何の偶然か穴を潜ってしまい、一時的な行方不明となった事が始まりであった。

 

 

 

――みらい事件

 訓練航海中、真昼間に通信が途絶し、行方不明となったみらい。

 当然、大騒動になった。

 捜索は先ずは記録が残されていた航路情報 ―― AIS(船舶自動識別装置)の記録から行われた。

 消息を絶った辺りを綿密に調査を行い、その結果、相模湾の一部で磁場/時空値の異常を発見したのだ。

 捜索の現場指揮官は、みらいが行方不明となっている状況である為に有人艦艇での接近は危険と判断、自律型のUSV(無人水上艇)による調査を選択した。

 10m級のUSVはAISの情報を基に、みらいの航路をトレースしながら磁場/時空値が異常値を示す海域に接近し、そして注視する護衛艦の前、数多の目の前で忽然と()()したのだ。

 正しく非常事態であった。

 即座に異常海域の封鎖を決定、日本政府への報告を行うと共に更なる情報収集を実施している最中、消えた筈のUSVが帰還したのだ。

 消えた時と同様に、忽然と現れたUAV。

 それはUSVを調査に出す際に入力(指示)していた命令通りの動きであった。

 

 帰還したUSVが収集してきた情報にはみらいが健在である事が示されていた。

 艦上に人が居る、動いている事も映っていた。

 みらいは健在である。

 只、問題は画像に帆船が写っていたのだ。

 特徴的なコニーテデ火山、富士山も遠くに写っている所からして日本である事に間違いなかったが、そうであるが故に、帆船が写っている理由が判らなかった。

 だが、歴史に詳しい海上自衛官が居た事で理由が判明した。

 船舶マニアでもあったが故に、コレが和船 ―― 弁才船である事を断言したのだ。

 それも、明治期に生まれた大和型船であるとも。

 大騒動になった。

 

 取り合えず、みらいへとUSVで連絡を取り、帰還させた。

 USVとみらいが複数回に渡って往復できた事で、穴は安定して存在している事が証明された。

 更に言えば、数日に渡って観察するが、穴が消える事は無かった。 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 夢幻の如く消えてしまうモノであれば記録を抹消して見て見ぬフリも出来るのだが、安定して存在し続けるとなれば話は別なのだから。

 日本政府はこの海域の封鎖*1と、調査を決定するのであった。

 

 

 

 

 

――調査と対応、そして原因の判明

 往復が問題なく行えているとは言え、次元の穴は唐突に表れたのだ。

 再び唐突に消えるというリスクがある為、調査は無人手段 ―― USV、或いはUUV(自律型無人潜水艇)が最初に投入された。

 都合9回行われた調査。

 結果、判った事は(ワームホール)が繋がっている先の環境は地球と同じであり、そして極めて過去に類似しているという事であった。

 上陸しての調査を行っていない為、詳細は不明だが観測された船舶 ―― 漁船や貨物船から、恐らくは明治時代だろうという事が判った。

 意味不明な状況。

 原因不明な状況。

 取り合えず、現場を封鎖して調査を行っていく日本。

 原因は、発見から1月程の後に意外な所から判明する事となる。

 アメリカだ。

 アメリカの大統領が緊急記者会見を実施し、その中で世界中で磁場と時空値異常が発生しており、場所によっては異世界への扉(ワームホール)となっていると公開したのだ。

 

 何故に異世界と言い切ったかと言えば、アメリカ国内はアイダホ州の地表近くに()が開いており、その先が異世界 ―― 現地住民と()()した際に魔法の存在したからだと言う。

 その場で記者たちに配られたPPC紙には人間に交じって、いわゆるゴブリンやオークと言う言葉の似つかわしい生き物が写されていた。

 沸騰する記者会見の場。*2

 数分だけ、それを許したアメリカ大統領は、これが世界規模であるから、国連の場で調査をする必要があると宣言した。

 と、ある記者が尋ねた。

 原因は何であるか、と。

 アメリカ大統領は極めて渋い顔で一言、チャイナ(中華人民共和国)と返したのだった。

 

 

 

 

 

――原因の判明、そして世界的対応

 アメリカ大統領が行った、新しい世界の要素 ―― 次元の穴(異世界へのワームホール)によって異世界に繋がったという情報の開示。

 それは世界に大きな混乱を与える事となった。

 取り敢えず中国は、次元振動弾が原因である事を否定した。

 但し、高位次元理論に基づいた次元兵器の開発自体は否定しなかった。

 ある種の政治的駆け引きの積りであったが、アメリカは取り合う気は無かった。

 黙って机を叩くと、中国に対して検証の為の技術情報の開示と、現時刻を以っての技術開発の全面停止を要求していた。

 当然、要求をのまない場合には制裁を行う事も宣言しての事だった。

 そこには、中国に対する全ての物資の輸出入の制限すら含ませる勢いであった。

 余りにも強い態度、或いは言葉であった。

 

 常であれば、対象となった中国以外の国から反発が出てもおかしくない高圧であったが、今回に限って言えば、そういう事は無かった。

 それは、状況を危険視するのがアメリカだけでは無かった為である。

 アメリカの言う次元の穴(ワームホール)は世界各地で発見されており、世界規模で中国への反発が広がっている事が理由であった。

 この時点で、次元の穴(ワームホール)は危険物と言う認識が出来上がっていた。

 

 世界に批判される中国。

 だがそれらの声に中国としては唯々諾々と従う訳にはいかなかった。

 次元兵器の開発には莫大な予算を投じている上、そもそも次元兵器は横暴な覇権国家であるアメリカや、国際社会(日本や欧州と言ったアメリカの属国)からの国防 ―― 圧力(中国虐め)に対する防衛の手段と言う側面があったのだ。*3

 中国にとっては、そういう意識であった為だ。

 又、アメリカが出しているのも状況証拠(推測)にしか過ぎない事も議論を複雑化させた。

 次元の穴が開いた為、次元の異常が原因と推測される。

 現時点で次元に関与干渉できそうな開発をしているのは中国である。

 それだけの理屈でしかないのだ。

 全くの中立の立場な(中国寄りの)国々が、アメリカの立場に批判的になるのも仕方のない面があった。

 

 喧々諤々となる会議。

 

 TVなどで会議の様子が流され、有識者(コメンテーター)が深刻そうな顔を作って解釈し、一喜一憂する様な日々。

 だが、それが一変する大事態が発生する。

 異世界との外交交渉の報告が行われたのだ。

 行ったのは綺麗事と同じ位に利益が大好きなドイツだ。

 ドイツ領内に発生した穴を、科学的好奇心と実利を希求する欲望とで前のめりに調査を行ったのだ。

 その中で異世界に存在する国家と接触する事となり、交渉を行い、そして暫定的ながらも外交関係を成立させたのだと言う。

 何とも衝撃的な一報であった。

 だがそれ以上に重要であった事は、異世界との外交交渉による利益 ―― 権益を得られるという事であった。

 ドイツが繋がった異世界の地理地形は、繋がっているドイツに良く似ていた。

 科学は余り発展しておらず、キリスト教に似た宗教が信仰されている、恐らくは近世時代(early modern period)めいた文明水準の国家()

 ドイツの研究機関は、異世界国家群とは文明、科学を伝え資源を得る関係の構築が可能、との研究結果を発表していた。

 特に重要であったのは()()()()()()だ。

 外交交渉の相手となった国々は、自分たちの住む領域外を()()と呼び、主権の届かない場所としていたのだ。

 であれば、此方で資源開発(植民地づくり)が可能になる。

 そう言う話、認識であった。

 余りにも乱暴、前時代的(植民地主義)なレポートであったが、そうであるが故に、強い(アピール)を有していたのだった。

 

 ()が議論の流れを変える。

 

 現時点で判明している穴の場所、主権国家の管理下(領土領海)にあるモノは7か所である。

 アメリカ。*4

 中国。*5

 ドイツ。*6

 日本。*7

 ルワンダ。*8

 ロシア。*9

 フランス領ギアナ。*10

 見事に世界中の散らばっていた。

 そして、時空値からの推測で南太平洋の何処かに存在する事が予想されていた。*11

 合計8つの次元の穴。

 そこから、如何に利益を得るのかが議題となる形となった。

 

 人類は新しい段階(ステージ)へと登ろうとしていた。

 

 

 

 

 

*1

 日本政府の公式な発表は、この相模湾の一部海域で磁場の異常が発生しており、護衛艦ですら電子装備が故障するので、一般船舶が近づいた場合に不慮の事故が発生しかねないと言うモノであった。

 故に、海上自衛隊の調査船及び海上保安庁の特別チームが配置される事となった。

 

 尚、国民はそんなモノかと納得し、相模湾で漁を行っている漁業組合も、特に重要な漁場では無い為に日本政府からの依頼を受け入れていた。

 

 

 

*2

 尚、アメリカ人記者の多くが興奮しながら大統領に尋ねたのは、その異世界にはゾンビが居るのか!? であった辺り、記者も実にアメリカ人であった。

 返答は「現在は鋭意調査中」というモノであった。

 その後、アメリカでは拳銃やライフル銃、ショットガンの売り上げが大きく伸びる事になる。

 自衛、或いは加虐的情動の結果と言えるだろう。

 尚、機関銃等の類は、そう言うモノが好きな人間は既に揃えている場合が大抵であったので、只、弾薬の買い増しをするだけであった。

 

 

 

*3

 日本やアメリカ(海洋国連合体)との対立が激化 ―― 軍事衝突すら忌避しない全面的な強硬姿勢を受け、中国は国家の存続に強い脅威を感じた。

 最新の科学技術が流入しなくなり(先進国サプライチェーンからの排除)、更には日米欧の市場からの事実上の締め出しを受けた結果、経済指数が明確に下降(衰退)傾向を示す様になった。

 そこに日本が、冷戦期以来の軍事予算の拡充を図ったのだ。

 経済規模や軍事予算で言えば、日本は中国にとって2000年代以前の様に恐ろしい相手では無かった。

 日本の在る弓状列島は中国の重要な海洋交易路に強い影響を与える事が可能な位置に在る事が問題であるが、その日本は衰退した旧列強。

 もはや脅威ではない朝貢国(属国)予備軍と言う扱いであった。

 その日本が中国への対立姿勢を鮮明化した影響(インパクト)は大きかった。

 古老たちは嘗ての、凶暴な時代の日本(Japan as Number One)を思い出した。

 情け容赦の無い経済戦争を正面からアメリカや欧州と繰り広げた狂犬であったという事を。

 或いは、帝國時代の日本が歴史と言う墓場から蘇って来たと言う感覚すらあった。

 抗日映画で見た、強大凶暴な日本の復活を幻視するモノすら居た。

 それは恐怖そのものであった。

 更に恐ろしいのは抗日戦争(日中戦争)時代と違い今の日本は孤独では無い。

 アメリカと強い同盟関係にあるのだ。

 日本帝國が、当時の中国の支援国家であったアメリカと隊伍を組んで襲って来ると言う状況である。

 恐怖と言う言葉すら生ぬるい(ジャパン・リアリティショック)と言う有様であった。

 

 さらに言えば、感情(恐怖)以外での実利的な問題はあった。

 日米は中国の東南アジア等に対する歴史的優先権を認めず、力による国境の変更を認めないと宣言している事も問題であった。

 掌握するべき台湾。

 或いは、握るべき権益のある南シナ海。

 中国の正当な権利の回復が許されないというのだ。

 それは勃興期にある大国 ―― 経済的強国として中華の地位(世界の中心)を取り戻したと言う自意識が横溢する中国にとってとても受け入れられるモノでは無かった。

 

 だが、中国が受け入れたくなくとも、日米はそれを強要する道を選んだ。

 軍事的な圧力と経済的な圧力とをこん棒の様に振り回して来るのだ。

 ()()()()()()

 日米に対して圧倒的な優位を持つ力を欲したのだ。

 それが高位次元兵器体系であり、次元振動弾であった。

 

 

 

*4

 既に現地国家とも接触しているのだが、人間に対して非友好的な異世界存在(ファンタジー的動植物)との対応が強いられる為、資源調査その他は遅々として進んでいないのが現状であった。

 面倒くさい状況。

 とは言えアメリカは、この世界への感心を増しこそすれども、軽視する事は無かった。

 何故なら、この異世界には特殊な超常現象 ―― 所謂()()が存在しており、現地住人が操るなどしているのを把握している為である。

 未開発の資源と共に、アメリカにとっては極めて有望な新世界(フロンティア)であった。

 例え人間、人類種に対して攻撃的な生命体が存在しているとしても。

 或いは、その攻撃的生命体が組織化されているとしても。

 組織化された敵性生命体の首領が()()と呼ばれる相手であっても。

 

 

 

*5

 事実上、失敗に終わった次元振動弾の試射実験への対応を最優先としていた為、次元の穴(ワームホール)への対応はドイツは勿論、アメリカにすら後れを取る事となった。

 だが、そうであるが故にドイツとアメリカの情報を得るやいなや、試射実験の失敗を糊塗する様に、新疆ウイグル自治区に開いた穴の調査開発に邁進する事になる。

 莫大な利益が得られる()世界。

 それは日米との高い強度での対立構造と言う枷を嵌められた中国にとって、その劣勢を劇的に改善しうるモノであったからだ。

 しかも異世界は、アクセスを中国が管理し、他の国家群は関与できないが為に、煩く言われることも無く自由に強権を振るって開発しても問題は無いのだ。

 その上、異世界側には強力な国家、高度な文明国家が存在している様子はなかった。

 こちら側(新疆ウイグル自治区)と変わらない、低い水準に見えた事も、中国の判断を後押しした。

 結果、調査もロクにすることも無く入植団を組織し、資源開発その他に取り掛かる事となる。

 

 

 

*6

 平和裏の接触に成功した事で、他の穴を領内に有している国家群の先を行く事となったドイツであったが、同時に、異世界の国家群が平和裏の接触が行える程には高い文明を持っているが為、進出自体の速度は遅いモノがあった。

 向こう側で船舶を建造し、未開発の()()に植民し、資源を得る積りであった。

 又、異世界の国家群とも交易をおこなう積りであった。

 蒸気機関が主要産業のままである為、ディーゼル等の効率的な動力源だけでも高く売れるという目論見があったのだ。

 尚、入植に関してはドイツ国内に居る難民を労働力として動員する(Arbeit macht frei)事としていた。

 

 

 

*7

 他の穴が繋がった異世界と異なり極めて世界の過去に類似した世界である為、日本政府として極度な干渉に対して興味を覚えなかった。

 現実世界での貿易が利益を上げているという事もあり、又、対中対峙路線(Free and Open Indo-Pacific Strategy)に外交資源の多くを投入しており、正直、過去に干渉する事に旨味を感じなかったというのも大きかった。

 結果、文化的な調査を主軸とした不干渉、不接触を選択する事となる。

 その選択に異論を唱える声も日本国の内外から出ても居た。

 よりよい未来の選択肢を与えるべきと言う善導主義とでも類されるモノであった。

 だが、自分たちの過去を前提に、異世界の未来を選択するというのは些か以上に不遜であるというのが日本政府の考えであり、その方針を日本国民も支持したのだ。

 

 この日本の決定に諸外国が異論を唱え、或いは干渉して来なかった理由は、基本的に異世界への対応は、その世界と接続する穴のある位置の国家が主権を持つとされていたからであった。

 これが順守されているのは世界が良識的であったから、では無い。

 米中独仏ロと言った口煩いと言える国家群が、それぞれに(異世界)を持っている為、日本に干渉した結果、自分たちの権益に干渉されては堪らないからであった。

 

 

 

*8

 現時点で判明している中で唯一である非先進国として穴の主権を持ったルワンダは、コレを自分たちに与えられた光明と見ていた。

 アフリカの雄となる未来。

 或いは南アフリカに伍してアフリカの国家として先進国の座(G20への参加)すら可能となると夢見ていた。

 だが、そんな極彩色の未来予想図は、実際に異世界を調査する様になってから霧散する事となる。

 ルワンダが繋がっている異世界には文明は無かった(支配出来る相手は存在しなかった)

 故に資源も判らなかった。

 只々、余りにも深い森(ジャングル)が広がっているだけであったのだ。

 持ちこんだ飛行機で広範に調査しても、見渡す限りが緑の海であった。

 更にはルワンダ政府の管理の目をかい潜って冒険者(密猟者)や薪を望んだ民間人が異世界に潜りこみ、少なくない人間が帰って来れなかったのだ。

 更には、人の往来の影響でか、穴のこちら側にも異世界の植物が流入しだしたのだ。

 異世界の植物は恐るべき勢いで繁殖した。

 この状況に音を上げたルワンダは、G20に協力を要請する事となる。

 

 

 

*9

 ロシア領内にある穴はシベリアの奥地の更に奥地 ―― 人跡未踏と呼べる場所に開いていており、その捜索だけでも1年以上の時間が必要となっていた。

 正しく執念であった。

 だが発見した穴の先にあった異世界に人、知的生命体は居なかった。

 その様な矮小な存在では生きていけない、人外大魔境と言う言葉すらも生ぬるい場所であった。

 巨大な、小さいモノでも全高100mを超える様な機械の獣が闊歩していたからである。

 歩兵の持つ火器で太刀打ちする事は不可能。

 戦車や野砲でも、直撃しない限りは不可能。

 そして攻撃をすれば、即座に反撃をしてくる。

 とは言え火器の類は持たない。

 爪や牙、野生動物の様なソレでも無い。

 ただ単純に質量が武器であった。

 3桁tの金属の塊が突進して来くるのだ。

 踏みつぶすのだ。

 既存の兵器で勝てる筈も無かった。

 核兵器を投入すれば余裕であったが、それでは得られるモノが少ない。

 そもそも核兵器は高価であった。

 又、何かあれば核が使われる様な場所で働きたい労働者は、流石のロシアでも居ないのだ。

 ロシアは異世界への穴を封印する事を決断し、事前の策 ―― 異世界への()()に変わる相手を探す事となる。

 

 

 

*10

 経済的退潮の著しいフランスは、海外県(植民地)でとは言え欧州の国としてドイツと並んで異世界への権利(利権)を得た事に歓喜した。

 世界の中心に返り咲けるとの思いからであった。

 幸いな事に、繋がっている異世界は普通であり、魔王を称する相手が支配していたり、異常な森に覆われて居たり、或いは鋼鉄の魔獣が闊歩する事も無い異世界であった。

 人が居た。

 文明水準的には同じ位であったが、科学水準は劣る ―― 文明を支える主要な動力源は蒸気機関であった。

 外交に於いて主導権が握れる状況は、フランスに極彩色の夢を見させた。

 資源の確保。

 市場の獲得。

 フランス国内に流入した不逞な難民と称する人々の()()()としても使えると判断していた。

 他国民に言えない本音として、フランスの支配者層は第3期フランス植民地帝国とすら言っていた。

 異世界に問題は無かった。

 だが、フランス領ギアナの周辺は穏当では無かった。

 特に南米の雄と自認しているブラジルは、フランス領ギアナにある異世界利権はフランスでは無く南米に帰するべきであると認識し、その南米の代表としてブラジルが握るべきあると考えるに至っていたのだ。

 ここから、フランス領ギアナと国境問題を抱えているスリナムを焚き付ける動きをする事となる。

 

 

 

*11

 世界列強級の国家に於いて日米独仏ロ中と言った国々が異世界権益を得たにも関わらず、イギリスは得られなかったと言う事はいたくプライドを傷つけられる事態であった。

 特に独仏両国は、EUの会議の場でイギリスを煽る様な言動を行っているのだ。

 実に剛腹であり、そうであるが故にイギリスは形骸化しつつあった英連邦を動員し、南太平洋に存在すると推測されている今だ見つからざる最後の穴を探していた。

 アメリカの協力も得て行われた捜索によって恐らく穴はニュージーランドの東側、ポイント・ネモ(太平洋到達不能点)に存在するのではないかと絞り込む事まではで来ていた。

 只、その名の通り人類の生存圏からは極めて遠い為、その発見は出来ていなかった。

 

 

 




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 護衛艦(OPV)みらい、みらいとはボタン科の多年草であり、植物名です
 イイね?




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