翌日の夜。
ティカはある八本指の拠点に来ていた。
作戦はこうだ。
各拠点にアダマンタイト級冒険者が協力者であるレエブン候配下の部下を連れて襲撃。
拠点は八か所あるので最後の一つは襲撃が終わり次第手の空いた者が襲撃する、という物だ。
ティカは念のためにロックマイヤーという元オリハルコン級冒険者の盗賊を連れていた。
罠などがあった際に探知してもらう役だ。
ティカは堂々と正面から入ろうとする。
「
ティカが右手を掲げながら魔法を唱えると火球が飛んで行き、屋敷に着弾して爆発を起こした。
ティカはその間に門を腕力で捻じ曲げ開け、庭に入る。
「侵入者だ!」
「ぶっ殺す!」
「英雄気取りが、死にな!」
中に居た八本指の構成員たちがダガーや剣を手にティカに襲い掛かる。
「
お馴染みになりつつある第七位階の攻撃魔法を放った。
のたうちまわる龍の形をした雷が一人に着弾しそのまま他の者に襲い掛かる。
そうして一分も経たずに庭に出ていた者たちは死んだ。
「つ、強いな……」
遅れて来たロックマイヤーがティカの強さを見て戦慄する。
五分も経たずこの惨状を作れる実力者が味方でよかった、とほっとした。
「ふん。雑魚共では時間稼ぎも出来んか」
そこに男がやって来た。
筋骨隆々の男で、頭髪は無い。スキンヘッドだ。
体中に動物を模した入れ墨を入れている男であり、上半身は裸だ。
後ろにはローブを被った
炎を模した装飾が入ったローブを着ている。
ローブの中からは肉も皮もない骨の顔が見えている。
「闘気ゼロ! と不死王ディバーノック!」
ロックマイヤーが二人の名を叫んだ。
不死王、という言葉にティカは眉を潜めた。
その称号はお前の物ではない。それに相応しいアンデッドは他に居る、と。
「そうだ。女。どうだ? 今ならお前の強さに免じて六腕に入れてやってもいいぞ」
ゼロがニッと笑みを見せながら言った。
「斜陽の組織に入るつもりはないわ。それに、その程度のアンデッドを不死王なんて呼んでる時点で程度が知れてるしね」
ティカが右手をディバーノックに向けた。
「ならば死ね」
ゼロがそう言い構える。
「そこのアンデッド、そこの禿を殺しなさい」
ティカがそう言ったことにディバーノック以外の全員が疑問を抱いた。
「承った」
ディバーノックがそう言った事でゼロの表情が驚きに変わった。
「
ディバーノックがゼロに向かって火球を飛ばした。
「なんだと?!」
即座に
「何をしているディバーノック!」
「無駄よ。すでにそのアンデッドは私の支配下にあるわ」
「そういう訳だ、すまないゼロ。主には逆らえなくてね」
その言葉にゼロとロックマイヤーは戦慄した。
「馬鹿な!
しかもただのエルダーリッチではない。強固な自我を持ち、魔法を研鑽しているエルダーリッチだ。
魔法や
しかもただ手を挙げるだけでディバーノックを支配した。それが意味することはただ一つ。
ティカがとんでもない実力者だという事だ。
「ならば──!」
ゼロは即座に切り札を発動した。
ゼロのクラスにシャーマニック・アデプトというのがある。
獣の力を一時的に自身に付与するという自己バフのクラスだ。
ゼロが現在起動できるバフは五種類。
パンサー、ファルコン、ライノセラス、バッファロー、ライオン。全てを使う。
これによる技はゼロ自身碌に制御できない一撃だ。制御できないのでただの正拳突きとしてでしか放てない。
だがその分威力は非常に高い。六腕最強の名に恥じないだけの威力を持つ。
ゼロはそれを外見はか弱そうな乙女、ティカに向かって放った。
ティカはそれを見て素手で攻撃する。
ティカの種族は悪魔であり、悪魔は戦士系職業になる。
そのため
その素手でゼロの心臓を攻撃し──貫いた。
「あり……得ない……」
ゼロはそう呟き、絶命した。
ゼロは生命活動を停止……死んだのだ。
「すげぇ……」
「で、このアンデッドどうする?」
ティカがロックマイヤーに問いかけた。
「……取りあえず生け捕りにした、という事で拘束だけしておきましょうか」
「わかったわ。ローブあったかしら……」
更にスケルトン系アンデッドなので口を閉ざさせたところで喋れるので猿轡なども意味ないが、まぁ形式上必要な事だった。
この後ディバーノックは持ってる情報をすべて吐いた後、破壊された。
こうして王都から八本指は殲滅されたのだった。