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一日遅れのレナちゃん誕生日ネタ!
~キララ編~
レナの誕生日の前日、ツムギはゲヘナに来ていた。レナのために誕生日プレゼントを買おうと思って訪れたのだった。
「ゲヘナ製のファッションアイテムは見た目がいいものが多くて、人気なんですよね……ここならば、レナちゃんの誕生日プレゼントに相応しいものも見つかるはずです」
しかし、いざ探してみるとレナに似合いそうなものが見当たらない。もちろんレナに似合いそうなものという曖昧な目的で探していることも悪いのだが、残念ながらそもそもレナに比べてツムギはファッションの知識では大幅に劣る。何を買って行ってもレナは文句は言われないだろうが、百点満点を貰えるビジョンが思い浮かばないのだ。
「ううむ……やはりレナちゃんにアクセサリーとか買っていくのは難しいですね。こういう時、以前のようにファッションに詳しい人がいたらいいのですが」
以前レナにプレゼントとしてイヤリングを買っていったときは、トリニティのファッションに詳しいヨシミが傍にいてくれた。そういう人と選んだ商品ならば外れることは少ないだろう。
「しかし、そんないかにもファッションに詳しい人……ですかぁ」
ツムギはベンチに座って考え込むが、中々いい人物が思い浮かばない。そんなツムギに、一人の救世主が近づいていた。
「ハロハロ!どしたの?そんな風に沈んじゃってさ?あたしでよければ相談乗るけど?」
「ん……?ああ、そんなに深刻な悩みではないので心配しなくても……」
顔を上げたツムギが見たものは、『ギャル』だ。見間違い用のないギャル。モリモリでアゲアゲという雰囲気のメイクとヘアスタイルで、満面の笑みで話しかけてきている。指先までオシャレが詰まったその格好に、ツムギの直感が告げる。彼女こそ救世主だと。
「……すみません。失礼ですが、ファッションとか詳しかったりします?」
「ん~?もち!って言うのも恥ずかしいけど、でもめっちゃファッション誌とか読んでるし、友達のコーデしてあげたりしたことあるよ!」
ツムギは大袈裟な動きで立ち上がり、両手を天に広げる。
「なんという偶然、物語的な運命の出会い。私はあなたのようなヒロインを探していたのかもしれません」
「あはは!大げさすぎ~!それで、何を悩んでたの?」
「実は後輩の誕生日プレゼントのためにゲヘナにファッションアイテムを買いに来まして……ただ中々決まらずもう諦めてファッションアイテム以外にしようかとすら思っていたのですが……あなたがいてくれるなら話は変わりそうだ」
「あ、あたしの名前はキララ!好きに呼んでくれて構わないよ!」
「じゃあ、キララさん。私はワイルドハントの迷い人、椎名ツムギです」
「あはは!じゃあツムギちゃん!一緒にめっちゃイケてるファッションアイテム探そっか!」
キララは自然な動きでツムギの手を引いて歩き出す。普段からボディタッチも珍しくないのだろう。まさに陽キャのギャルそのもののノリだ。
「ところでゲヘナって角アクセとか羽アクセとかもあるけど、後輩ちゃんはどんな子?」
「残念ながら角も羽もありませんねぇ。この子です」
ツムギはレナの写真を何枚かキララに見せる。キララはじっくり見ながら、何度か頷く。
「へぇ~!可愛い子じゃん!」
「ええ、とっても可愛い自慢の後輩です」
「じゃあ、そんな可愛い後輩ちゃんに似合いそうなアイテム紹介してあげるから、ついてきて~!」
「おや、もう目星がついたんですか?」
「なんとなくの方向性はね!後は実際に見て決めてみよ~!」
今会ったばかりの人のための行動なのに、心底楽しそうに目的地に向かうキララを見て、ツムギも先ほどまで心配で少し暗くなっていたのが吹き飛んでしまった。
「さーて、ついたよ!商店街!」
到着したのは終わりが見えないほど長く続く商店街であった。しかも、十字路や路地まで無数にある。
「これは……下手に入ったら迷う奴ですね」
「ここら辺はあたしの庭みたいなもんだし!安心して!じゃっ、まずはあの店に行こ~」
商店街を歩き始めて少ししたら、クレープ屋の店員が話しかけてきた。
「お!キララちゃん!今日は他校の生徒さん連れてるのかい!クレープ中身おまけするから買っていかないかい!?そこの緑髪の子も一緒にさ!」
「マジ!?ねぇねぇツムギちゃん!ちょっと寄ってもいい?ここのクレープマジで美味しいからさ!」
「構いませんよ。そんなに急ぐ必要もありませんし、私も興味あるので」
「やったぁ!それじゃあ一緒に食べよ!あたしイチゴ頼む~」
「私は……チョコバナナにしましょうか」
「はい!イチゴとチョコバナナね!ちょっと待ってて、すぐ作っちゃうから!」
出てきたクレープは中身がマシマシで逆写真詐欺という状態であった。
「あはは!サービスしすぎ!」
「ゲヘナ楽しんでねお嬢ちゃん!キララちゃんが一緒なら大丈夫だと思うけど!」
「ふふっ、ありがとうございます」
ツムギは一口チョコバナナクレープを齧ってみる。確かにキララがおススメするだけあって生地はもっちり中身はボリューミーで最高のクレープであった。
「これは……美味しいですね!いつかレナちゃんと一緒に食べたいですね」
「ねぇねぇ!一口交換しようよ!その方が互いの味楽しめるじゃん!」
「ええ、いいですよ」
「じゃあはい、あーん!」
そうして互いに差し出したクレープを食べる光景は、まさにキラキラした日常の一枚であった。
その後もしばらく歩いて、キララはあるアクセサリーショップの前で立ち止まる。
「ここ、あたしのおススメなんだ!マジで最近の流行アイテムとかこの店に来れば大体あるから!」
店内に入ると店員が声をかけてきた。
「あ、キララちゃん。なによ今日は他校の子連れてきてくれたの~?新しいの入ってるから、ゆっくり見ていってね」
「マジ!?それじゃあゆっくり見させてもらうね!」
「……キララさんって顔が広いんですね。商店街に入ってからここに来るまでも何回か話しかけられましたし」
「まぁ、お喋りって楽しいし、知らない人と知り合うのも楽しいから自然とね~」
「ふむ、段々キララさんがどんな人かわかってきた気がします」
「マジ!?あたしもツムギちゃんのことがわかってきたな~って思ってたところなんだよね!お揃いじゃん!」
小物に必死に目を凝らしながら、棚を移動していくうちに、ツムギは段々と目が回ってきた。
「ううむ……本当に種類が多いですねこの店は」
「でしょー?マジ悩むって感じ~。でも、最近のトレンドとか抑えとくと選びやすいよ!最近のキヴォトスの流行はコレ!」
キララはファッション誌を広げてツムギに見せる。ファッション誌にはキララのメモ書きがびっしりと書いてある。
「よく勉強されてるんですね」
「あはは!普通の勉強はあんまり得意じゃないんだけどね!」
「そうなると……これとか良さそうですね」
ツムギが選んだのはあまり華美すぎないが、鮮やかに輝くネックレスであった。
「お~いいじゃんツムギちゃん!確かにいいセンスだと思う!最近の流行カラーも取り入れてるし!」
ツムギが選び終わってレジに商品を持っていこうとした時に、キララはまだ何か悩んでいる様子だった。
「じゃああたしは~~」
「おや?キララさんも何か買うんですか?」
「ん?そうだね!だってさぁ、あたしとツムギちゃんってもうマブダチな訳じゃん?」
「ふふっ、そうですね」
「それならそのマブダチの大事な人にはあたしもプレゼント贈りたいって思っちゃうじゃん!だからさ、あたしも一つ選ぶから」
普通は思わないだろう、先ほど知り合った人の、それもその知り合いに向けて誕生日プレゼントを買おうなんて。だが、だからこそキララはこんなにもキラキラしているのだ。そのことに気づいたうえで、ツムギからの返答はこうだった
「キララさんらしいですね、ありがたく預からせていただきます」
「ツムギちゃんちょっと外に出てて~」
「おや?私に見せてくれないんですか?」
「後輩ちゃんに渡してからのお楽しみってことで!ツムギちゃんのプレゼントより喜ばれちゃったらごめんね!」
ツムギが会計を終わらせて外で待っていると、ラッピングした何かを持って店からキララが出てきた。
「やーお待たせー!ごめーん店員さんとお喋りが長引いちゃってさぁ」
「全然待ってないので大丈夫ですよ」
「じゃ、これツムギちゃんに渡しとくから、後輩ちゃんにしっかりプレゼントしてあげてね!ゲヘナの夜桜キララよりって!」
「多分名前を出しても困惑すると思いますけど……」
「そん時はゲヘナでできたマブダチって説明してくれればいいから!あ、それならツーショットとか撮っておこうよ!」
「いいですね。プレゼントの箱を顔の横に持って、撮りましょう」
「はいチーズ!!」
その後、誕生日会当日、ツーショット写真と謎のプレゼントを見せられて困惑していたレナであったが、中身を見た瞬間満面の笑みに変わったことから、キララの渡したもののセンスがかなりよかったことだけツムギはわかった。中身を見せて欲しいと頼んでみたが、今度キララにお礼を言いに行く時に着けるから、見たいならゲヘナへのエスコートをするようにとレナに言われたツムギであった。
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