どうやら私は学園のマドンナを口説き落としたらしいけど記憶にないんですけど!?   作:ステラ@毎日更新中

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あらすじ
基本的に何があっても内心はそこまで動じない(例外:記憶喪失)ありさであったが、流石に今回は爆弾発言過ぎてピヨッた。容赦ない現実はところ構わず押し寄せてくるものなのである。





同じ瞬間は二度と訪れないから

「日差しが強いわね、帽子被ってきて正解だったでしょう?」

「うん、そうだね……」

 

 アレキノセイダッタカナ

 

「もっと噴水の近くに行きましょ、暑くて服がベタついてきちゃった」

「うん、そうだね……」

 

 イヤヤッパリオカシイヨネ

 

「あら、風鈴だなんて珍しい……涼やかで綺麗なデザインね、私たちの部屋にも飾らない?」

「うん、そうだね……」

 

 ナンデコンナニフツウナノ

 

「んもう、さっきからから返事で心ここに在らずじゃない。なにかあったの?」

「えっ? そ、それはごめんなさい! …………いやいやいや何で紗良ってばサラッとさっきの話を流してるの!? どう考えてもおかしいよね!?」

「おかしいって……今のギャグがおかしいって意味なのよね?」

 

 別に紗良とサラッとをかけた訳じゃないよ。

 流石にそんなにつまらないギャグ言わな……たぶん言わないから!!

 

 そうじゃなくて会社だよ!

 

 潰れるってなんですかそれ。

 そんな今日の晩御飯はカレーよ〜ってお母さんが言う時ぐらい軽い言い方するような事じゃ無いよね!?

 

「ああ、大丈夫よ。会社が潰れてもきちんと従業員に補償はするし、大半の人はそのまま契約維持で別会社に移ってもらうから。良い機会だから貴女のお義父様も辞めて貰って、枢木本社の直系に入って頂くから」

「まさかのウチのお父さんリストラ危機だった!?」

 

 そんな重要なことこの前電話した時なーんにも言ってくれなかったじゃんお父さんってば!

 

 あ、いやーなんか言いたそうにしてた時もあった気が……いや、無いかな。

 

 流石に気付きそうなものだし。

 

『父さんはねぇ、お前のおかげで生かされてるだけだからねぇ……』

『そうだね、私の学費をちゃんと稼いでくれなくっちゃ! 元気でいてよね、せっかくお腹も凹んだんだし』

『ハハハ、そういうありさも体調には気を使うんだよ? そう、何かあってからじゃ遅いからね……色々と(小声)』

『大丈夫だよ、定期的に紗良のお医者さんに診て貰ってるし』

『そっかァ(白目)最近は社長から凄く気を使われてて働き辛いんだよねぇ……』

『ふーん、不景気ってやつ?』

『あー……多分そう、部分的にそう』

 

 うん、何もおかしい所はない。

 

 ごく一般的な親娘の会話だ。

 

「そんな事より」

「そんな事より!?」

「このチラシを見て、来週近くで花火大会があるらしいの。“絶対”に行きましょうね? ね?」

「う……うん、それは良いね」

 

 なんだろうか、今日の紗良からは普段より圧を感じるような……気の所為かな?

 

 しかし花火大会はテンション上がるっ!

 

 かき氷、綿あめ、りんご飴、焼きそば、他にもいっぱいある定番メニュー!

 射的とか風船釣りとか、私は型抜きが好きだけど都会でもあるのかな?

 輪投げもいいな〜まあ何をしても紗良と一緒なら最高なんだけどね♡(ノロケ)

 

 それに何より!

 締めの花火を恋人同士で手を繋いでロマンチックに見上げる、そして最高のムードで口付けを交わす私たち……キャー!

 

「うんうん! 花火楽しみ!!」

「そう、良かったわ。そうそう、もう1つ小さな花火大会が近日中に“起こる”のよ。それも楽しみましょうね」

「へぇ〜この辺って花火大会多いんだね」

「ええ、今年はそうみたいよ」

 

 やっぱ都会って凄い、何回もやるなんて地元とは大違いですわゾ。

 

 ……ん〜なんかよく考えると話を誤魔化された気がしないでもないけど、まあ正直デートの約束の方が大事だしいっか!

 

「そうそう、この辺にぃ……浴衣を着付けてくれる店、あるらしいわよ」

「……! あっ、そっか〜」

「見に行きましょ?」

「じゃけん行きましょうね〜」

 

 昔の私さぁ(クソデカため息)

 こんなネタまで振ってるの良くないと思うよ?

 

 真夏だからってこれは無い!

 

 紗良にこんな汚いネタ台詞を言って欲しくなかった(血涙)

 

 そんなだから記憶喪失になるんだよ( )

 

 

 

 

    †悔い改めて†

 

 

 

 

「今日はお招き頂いて嬉しいですわ」

「ありがとうございます桜花様、お約束通りいっぱい楽しみましょう!」

 

 学生の夏は忙しいね。

 毎日誰かしらが誘ってくれて嬉しいんだけど流石に全部受ける訳にはいかない(紗良最優先♡)それでも特に仲の良いクラスメイトやズッ友の桜花様とは流石に話が別。

 

 倶楽部活動の一環としても純粋な遊びとしても楽しまなくちゃ損っ!

 

「素敵な装いですね! すっごく華やかなのに派手じゃないっていうか、なんていうか、その……すごくいい!」

「あらありがとう」

 

 くすくすと嫋やかに笑ってくれる姿は流石に美しいが過ぎる。

 くぅ〜語彙力皆無なのが悔やまれる。

 

 あまりにも存在規模がデカ過ぎるというか。

 桜花様がそこに居るだけで遠巻きにみんながため息混じりに見惚れていた。

 

 和傘に和服とかいう重たい感じになりそうなスタイルなのにとても似合っててお人形さんとしか思えない。 

 ドラマか何かの撮影と言われれば信じてしまいそうだ。

 

 横に添え物あるから余計に映えるしね(自虐)

 

「今日はですね〜」

「わくわく」

「じゃーん! 約束通りホラー映画を観に行きましょう、もうチケットも取ってあるんです!!」

「あらあら〜手際が良いのね」

 

 夏の映画といえばなんでしょうか?

 

 そうだねホラー映画ですね(*^ᴗ^)

 

 1人で観に行くのは正直怖いから嫌だったけど、こうして友達と2人なら怖さは半分に、楽しさは何倍にもなるって寸法なのさ!

 

「桜花様、映画鑑賞にはポップコーンです! それも塩味です、キャラメルとか他のフレーバーを選ぶのは正直バカです。通は塩一択なんですよね」

「そうなのね」

「はい、シェアしましょうね! 更に〜ドリンク! 両方一番おっきぃサイズにしましょう、何故なら足らなくなるからです!」

「何味が良いのかしら?」

「何でもいいですよ〜味の好みは人それぞれなので私にどうこういう資格はないですからね」

「あらあら〜?」

 

 どう考えても割高な値段でセット購入し、私たち以外殆ど人のいない真ん中の席で準備はバッチェ完璧。

 

 この為に人気のない小さな映画館を探し出した甲斐があるってもの。

 やっぱり映画は静かに鑑賞しなくっちゃね。

 

 パクパク……じゅるじゅる……

 

 んぉっ、今のは怖かった。

 でもやっぱホラーはお約束がキチンと守られてるのを堪能するものなんだよね、言わば作り手と観客の語らいっていうか、それなのに最近のホラーものは恐怖とビックリを混同してる作品が多くて困りますなぁ、今も主役の子達が突然出てきた幽霊に過剰に驚いちゃってまぁ……はいはいこういうのねいやー怖くないわービックリしちゃうだけだわー(早口)

 

 ま、まあ映画の醍醐味は観た後の語らいなのでね!

 

 桜花様は楽しんでくれてるかな〜頼まれた通りの作品を選べたと思うんだけど、うひっ! ふ、ふーん……今のは中々じゃん?

 まだまだだけど(強がり)

 

『ドキドキするような作品が観たいの、橘さんが選んでね』

 

 その言葉を思い出したと同時にふわりと、私の手に重なる体温があった。

 

(……桜花様?)

 

 チラッと横目で見ると、視線はスクリーンに釘付けのまま私の指とご自分の指をおずおずと絡ませてくる桜花様の手があった。

 うーん……これは間違いない。

 桜花様も怖かったんですね!

 

(確かに私もドキドキしてるし、もう少し怖くないのを選べばよかったかなぁ)

 

 もー仕方ない( ˶¯ ꒳¯˵)

 いやー桜花様が怖いのなら仕方ない、ほんっとうに仕方ないから私がその恐怖を取り払ってあげましょう!

 

(大丈夫ですよ、私が居ますからね)

 

 ギュって強めに力を込めて握り返した。

 

 それに気付いてこちらへと視線を向けた桜花様を安心させる様にニコッとノンデリピーカン笑顔で微笑む。

 

 安心されたのか微笑み返され桜花様の方からもギュってより強く握られた。

 

 そのまま残りの時間をお互い心強く過ごせた。

 

 あー本当に桜花様と来て良かったなぁ。

 

 もうあんまり怖くないや。

 

「あ〜楽しかったですね! まさか主役の子達の方が死んでて幽霊だったとは思いませんでしたけど」

「そうね、とても怖かったけど……でも観た甲斐があったわ」

「うんうん!」

 

 映画館を出て近所のカフェで感想を語らい合う私たち、とても良い笑顔な桜花様を見るに私の映画選びは間違っていなかったらしい。

 

 塩気を取りすぎて甘味が欲しくなったのでかき氷を2種類頼んでシェアしながら1時間ぐらいは感想を言い合った。

 

 桜花様はその間ずっとニコニコと私の話を聞いてくれていた、聞き上手過ぎて後半は私ひとりではしゃいでいた気がする。

 それから少しだけ散策して、お迎えの車に乗って去っていく桜花様と手を振ってお別れした。

 

 いやー満足感の高いお出掛けだったなぁ。

 

 




・枢木紗良 夏
大切なものは囲いこんで逃がさないタイプの女。
花火大会でより親密になる事を願って新しい浴衣を買いに行った、勿論やろうと思えば自分で着付けは出来る。

後日ありさが桜花と遊びに行ったのを聞いてジェラった。



・橘ありさ 夏
基本的に危機感が足らないので周囲の人間は気が気じゃなくなる天然誘い受け女。
桜花と遊んだ日の出来事を普通に紗良へと話した、マジかこの女(愕然)

何故か紗良がぷんすこするのを不思議に思っている。



・西園寺桜花 夏
ドキドキする映画を指定したのは複数の意味があったが、想定以上の成果を得られてご満悦である。

また遊びに行く約束も取り付けており、夏祭り当日もコッソリ参加する予定である。
一番いい空気を吸っている。
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