【本編完結】どうやら私は学園のマドンナを口説き落としたらしいけど記憶にないんですけど!?   作:ステラ

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特別な日を

特別なあなたと





夏と祭りと花火、それから……

「テーマパークに来たみたいだね〜テンション上がるな〜!」

 

 お決まりの台詞を決めてやってきたぜお祭り会場!

 屋台ですよ屋台、わぁ⸜(*ˊᗜˋ*)⸝

 

 所狭しと並べられてるのぼり旗に書かれている焼きそば、たこ焼き、etc...コレだよね祭りと言えば!

 ねぇどうする? どこから買っちゃう!?

 端から順に買っちゃおうか!

 

「こーら、走らない」

 

 今にも駆け出しそうな私の手をグイッと引き寄せ待ったが掛かる、ちょっと紗良さん?

 子どもをあやすような言い方は良くないのではありません?

 

「分かってるなら子どもみたいにはしゃがないの。まだ花火が上がるまで時間があるのだから落ち着いて一通り楽しみましょうよ」

「そうだけど〜……んー!」

「まったく。ほら、あそこが空いてるから行きましょう」

 

 促されるままに先ず向かったのは食べ物屋さん。

 片手で食べられそうなフランクフルトを私が、イカ焼きを紗良が注文して先ずは一口。

 

 あ〜これこれ、この雑な味わい!

 

 お祭りといえばこういうチープな味こそが最高のご馳走なんだよ!

 

 オマケに今年の私は〜恋人がいる!

 つまり……

 

「ほら紗良、あーんして」

「ん……じゃあ、ありさも」

「あむっ……ん〜美味しい!」

「ええ、美味しい」

 

 お互いの齧った部分ごと食べさせ合いっこ、こんな背徳的なシチュエーション他にある?

 官能的ですらあるよね!

 

 これこそが夏祭りデートの真骨頂!

 幸せを見せつける義務が恋人にはあるんですよ〜☆

 ま、ここに居る恋人たちの中で圧倒的に私たちが幸せなんですけ・ど・♡

 

 あ〜お口の中が幸せでいっぱい(*´˘`*)♡

 

「次は甘いものたべようよ」

「じゃああっちのかき氷にする?」

「うん、いいよ〜」

 

 おっと、かき氷は片手で持てないんじゃないかって?

 

 あ〜(笑) 素人の方ですかね〜?(煽)

 

 もちろん恋人の居ない人達はシャクシャクとシロップの掛かった氷を寂しく食べるしか楽しみがないだろうけど(トドメ)

 

 通はこうやって楽しむのさ!

 

「本当に1個で良かったの?」

「うんっ! むしろ1個じゃないと、ほら紗良……あーんして」

「ああ、そういう……」

 

 紗良に持って貰ったかき氷をスプーンで掬い、小っちゃくて可愛いお口に流し込む。

 そこをすかさず私も一口だけいただく、これぞ王道の間接キスの完成!

 

 さっきの変化球もいいけど、やっぱりこういう時は王道に限るよね。

 満足した私はサッと紗良の手からかき氷を取り上げ、催促するように口を開いた。

 

「フフ、じゃあ今度は私が食べさせてあげる番ね。はい、あーん」

「あーん♡」

「まるで小鳥みたいね……可愛いわ」

 

 はゃ〜すっごく甘い!(色んな意味で)

 糖分の過剰摂取になっちゃいそうだ、甘みに溺れて息ができなくなっちゃいそう……♡

 

「あら、こっち向いて。ほっぺが汚れてるわ」

「え、なになにどうし……!!」

 

 クイッと私の顎を持ち上げ躊躇いなく唇とほっぺの中間あたりをペロリと舐めた紗良は。

 妖艶な雰囲気を感じさせながら見せ付ける様に舌を舐め取った。

 

 こんな往来の中でされるのは、ぜんっぜんイヤじゃないけどさすがの私でも心の準備が出来てなかったから少しだけ恥ずかしかった……!

 

「ちょ、紗良!?」

「んふ……ごちそうさま」

 

 ワザとです!

 みなさーん! この人ワザとです!!

 

 さっきからチラチラこちらを気にしていた男の子たちに見せ付ける様にやりやがりましたよ!

 

 牽制してくれてるのは嬉しいけど!

 

 もうちょっとやり方あったよねぇ!

 

「……こんなことして、私が我慢できると思ってるの?」

「あら、なんの事? よく分からないわ、教えて……ナニを我慢、してるの」(ニコッ

 

 私たちの雰囲気にあてられた人達は既に離れている、つまりこの人だかりに少しだけ空白が出来ている事を意味する。

 

 つまり今私たちが何かしたら目立つことこの上ない。

 

 じゃあ、そんなの。

 

 するしかないよね!

 

「しようよ、キス。ここで」

 

 繋いでいた手を握り直して指と指を絡める、いわゆる恋人繋ぎにして紗良と向かい合う。

 

 背の関係でこうして並んでしまうと、私が背伸びしなければ基本的に唇には届かない。

 だけど私は敢えて今そうしない。

 

 真っ直ぐ見上げて、潤んだ瞳で一点を見つめる。

 

「……かき氷、ちゃんと持っていてね」

 

 私たちは互いの瞳を見つめ合いながら次第に距離を縮めていく、触れるだけの優しいキスなんてしない。

 

 互いを求め合うように、強くしっかりと舌を絡めたっぷりと30秒は口付けを交わした。

 周りの反応は気にならない、紗良に言われていなければこんなかき氷なんてその辺に投げて体を強く抱き締めたかった。

 

「んっ…………むぅ、いけず」

 

 2度目のキスを求める私の唇を紗良の指先が塞いだ。

 どうやらこんな気分にさせて起きながらお預けを食らうらしい。

 それは酷くない?

 

 無言の抗議をクスッと優しく微笑んで誤魔化した紗良に促されるままついて行く。

 

 何人かすれ違う時に強い関心のような視線を覚えたけど直ぐにどうでも良くなって忘れた。

 ただまぁ子どもにはちょっと……刺激的だったかな?

 

 ごめんね呆然とこっちを見ていた少年。

 キミの性癖壊しちゃったかも。

 いつかキミにも素敵な恋人ができる日が来るよ(˶'ᵕ'˶)

 

 この後も私たちはずっと手を握ったまま屋台をハシゴし、花火が打ち上がる20:00までの時を楽しく過ごした。

 

 

 

 

 

「わぁ、これは予想外だったかな」

 

 花火が良く見える河川敷や橋上は既に人集りでごった返していたからどうしたものかと悩んでいると。

 

 おもむろに近くのビルにズカズカと入って行った紗良に連れられ見通しの良い屋上へと案内された。

 何故かシートやハンモックにジュースやお菓子などが準備されたテーブルなどが用意されており。

 障害物もなく花火を見られる絶好のポジションに着くことが出来たのである。

 

 あんなに花火大会に行きたがってた理由はこれかぁ……私と2人きりになってエッチなことしたかったんでしょ!(名推理)

 

 そんな予想を立てて聞いてみたら……

 

「どんな拍子で記憶が戻るか分からないでしょう、前みたいに急に頭が痛くなったりしたら困るから。ここならエレベーターもあるし病院にも近いし、花火も見やすいからと思って此処にしたの。

まさか今日になって急に記憶が戻るなんて思わなかったけれど」

 

 あ、ハイ。

 100%私への善意のお気遣いからでしたね。

 すみませんエッチなこと考えてたのは私の方です。

 

「あ、上がったよ」

 

 ドン! パラパラ……

 始まりを告げる合図から徐々に打ち上げられる花火を2人きりで見上げる。

 

 結んだ手のひらの温もりだけを感じて私たちは見上げていた。

 

 キラキラと空に咲き誇る星たちの輝きを。

 

 そんなつもりはなかったんだけどな。

 

 予定では花火に合わせてキスをしたかったんだけど。

 

 ……このままこうして一緒に見てるだけで。

 

 すごく満たされてるって感じる。

 

「花火……終わっちゃったね」

 

 余韻に浸っていた私たちは遠ざかっていく喧騒の中で2人ぼっちで取り残されていた。

 

 耳にこだましていた花火の音ももう聴こえない……さらさらと吹く風の音だけが私たちを包み込んでくれている。

 

 このまま目を瞑って寝てしまっても、まあ悪くは無いのかもしれない。

 

「ありさ」

 

 紗良の声はとても澄んでいた。

 

「貴女のことが好きよ、愛してる。きっと貴女が想像しているより大きく、ずっと強く」

 

 ギュッと繋いだ手のひらから伝わる温もりがとても嬉しい。

 

 強く想いを込めて握る手に力を込めた。

 紗良も同じ様にこの熱を感じてくれているといいな。

 

「私も紗良のことが好き。知ってると思うけど、いっぱい好き……愛してます」

 

 普段なら恥ずかしかったり気まずかったりでなかなか正直に声に出せない本当の想いを私たちは伝えあった。

 

 夏祭りで楽しんで、浮かれて騒いで、花火を見て。

 

 色々とあったからこの夢見心地な雰囲気にすっかり呑まれちゃったんだ。

 

 きっと何もしなかったらもうすぐこの余韻から覚めてしまう。

 

 だからその前にもっと素直になっておきたい。

 

「紗良……キスしていい?」

 

「うん」

 

 紗良に覆い被さるようにして。

 お預けされていた分を求めるように私はキスを何度も強請った。

 

 私の体を愛おしく抱きしめてくれるこの温もりにもっと近くで触れたくて。

 帯をずらし浴衣をはだけさせた。

 

 なんの抵抗もせず顕になった素肌へと触れる。

 ほんの少し汗ばんだ肌の感触とより近くなった温もりが伝わってくる。

 

 もうどうしようもないぐらい紗良のことしか考えられない。

 

「んっ……!」

 

 いつの間にか私の浴衣も脱がされ互いに下着だけが頼りなく体を守っていた。

 衝動のままに下着に触れ、少しだけ躊躇ってから脱がした。

 

「ありさ……」

 

 紗良の言葉に少しだけ正気が帰ってくる。

 

 これ以上はきっと取り返しがつかない事になる。

 

 きっと今日までの関係性とは良くも悪くも決定的に何かが変わってしまう。

 

「…………ここ」

 

 そんな私の葛藤を知ってか知らずか。

 私の右手を優しく掴んだ紗良は自らの秘所へと躊躇いなく誘った。

 

 触れてしまった。

 促されるままにゆっくりと流れに沿って動かす、その度に段々と赤みを増していく顔と汗や水気を含んだ淫靡な音が静かな夜の街に響く。

 

「あ、んん……んっ……ん」

 

 目尻に涙を浮かべた紗良は、自分の口から漏れ出る声を抑えようと空いている手で口を塞いでいた。

 

 それが少しだけ嫌で。

 無理やりその手を私の胸に押し付けて、唇を直接塞いだ。

 

 ビクリと反応する体は、いつしかその僅かな抵抗すらやめて私たちは溶け合った。

 

 もうそれが何なのか分からなかった。

 

 確かなことは。

 さっきまで躊躇っていたのは何だったのかと思う程に互いを夢中になって貪り喰らおうとしていたということ。

 

 愛してるという気持ちが溢れて何も考えられない。

 

 誰にも見せた事ない表情を、声を、姿を、何もかもを独り占めしたい。

 

 この日

 

 私たちは新しい絆で結ばれた

 

 

 




お幸せに

次回で本編完結


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