【本編完結】どうやら私は学園のマドンナを口説き落としたらしいけど記憶にないんですけど!? 作:ステラ
明日は紗良の卒業式。
もう同じ学園で過ごす事は出来なくなってしまうおめでたいけのだけれど……ちょっとだけ、おめでたくない日。
離れ離れになるのは単純に辛い。
それにこれまで何とか紗良との勉強会で保ってきた高成績を自力で何とかしなくてはならない最後の一年が始まってしまうワケで。
少し……いや結構……かなり不安。
「それじゃ、コレが最後の荷物だね。よしっ、終わり!」
最後の梱包を終えて何とか退去の準備を終えて少しだけ広くなったように感じる部屋を見渡す。
来年度の外部生と部屋をシェアする気はないからあと一年は1人きり……か。
初めてここに入った時はずっと1人だったのに。
それがとても嬉しかったのに。
今は全然そんな気持ちになれない。
この寂しさを抱えて過ごしていかなければならないのかと思うと、本当に不安だ。
「ねえ、ありさ。本当に2人で暮らさない?」
『貴女が望むならマンションを借りても家を建てても良いのよ?』
そう言ってくれた紗良の気持ちは嬉しいけれど、あくまで私たちはまだ学生なのだ。
節度を守った付き合いをするべきなのです(手遅れ)
「それは断りまーす、もうっ! 一方的に貰う関係はいやなの!」
まあ将来は紗良のコネで枢木グループの本社に入社する気満々なんだけど(オイ!)
それはそれだから。
せっかく国内有数の進学校なんだからいい成績で卒業しないと!
さて、それじゃ残り少ない同棲期間を楽しまなくっちゃね。
なんなら今日は私のベッドで眠っちゃう?
ね……久しぶりにシよっか?
「それはダメよ……まだ」
もー紗良は変なとこ真面目なんだから。
寮母さんだって私たちが付き合ってるの分かってるんだから、ちょっとぐらいシーツがグッチョグチョになっててもスルーしてくれるよ。
こういう頑固な所はいつまで経っても可愛いからいいんですけど。
でも私欲深いからなぁ……揶揄ってみようかな。
「まだ? じゃあ……いつならいいのかな? チュッ」
「!! もう、ダメだって言ってるでしょ」
「え〜わたし、なぁんにもしてないよぉ?」
白くて綺麗な肌がほんのり桜色になるのを感じながら、首筋を上から下へと軽くキスし続けながら鎖骨あたりに少しだけ強めに吸い付く。
あっ、やっちゃった……♡
制服ならギリギリ見えない箇所へマーキングしておいた。
明日の卒業生代表スピーチをする紗良に、みんなの視線が集まる紗良にこんなイケナイ事をしてると考えるだけで私の歪んだ独占欲は満たされていく。
こんなはしたない私はキライ?
「…………」
答える代わりに無言で私を押し倒した紗良は寝巻きの隙間から私の胸を掴み、フロントホックを外して先端の突起を優しく撫で始めた。
執拗に、何度も、壊れ物を触るように最大限配慮した動きで私の双丘を弄ぶ。
あっ……ほんと胸が好きなんだから……んんっ、こんなにねっとりされたら私、我慢でき───
「はいおしまい……続きはまた明日しましょうね?」
「? えっ、えっえっ!?」
散々人をその気にさせておいてベッドから立ち上がった紗良は、そのまま振り返ることなく向かい側の自分のベッドに潜り込んだ。
嘘でしょう生殺しなんて……そんな、こんなの絶対おかしいよ!
「絶対だよ! 絶対明日しようね! ふんっ、おやすみなさい!!」
「くすっ。ええ、おやすみなさい」
ちくしょう紗良のバカー!
好きだー! 抱いてー!
あー本当に寝たーー!
ぬわあーーーーー!
「ご卒業おめでとうございます桜花様! これ、貰ってください!」
在校生が卒業生へと送る卒業祝いのブーケを桜花様へと手渡す、もちろん桜花様の名前に因んで用意したのは桜だ。
昨日咲き誇ったばかりの枝を分けて飾らせてもらった渾身の品、年上だけれど無二の親友である桜花様の新たな旅立ちをこうして見送れるのは感無量である。
「……ありがとう、本当に嬉しいわ。とても綺麗ね、すごく……すごく嬉しい……ありがとう……ありがとう……!」
ブーケを受け取ってくださった桜花様はとても嬉しそうに香りを嗅いで、何度も感謝を述べては涙を流された。
きっと今日この日までの思い出を振り返って涙してるのだろう、わたしも思わず貰い泣きしてしまう。
こちらこそありがとうございました。
私、桜花様と友達になれて嬉しかったです。
「少しだけなら、許されるかしらね……ありさちゃん。お願いがあるの」
「わっ! お……桜花様!?」
「桜花、と……今だけ呼び捨てにしてくれませんか?」
ギュッと私のことを抱きしめる桜花様は消え入りそうな声でそう頼んできた。
ありさちゃん、なんて初めて呼んでくれたな。そうだよね、自惚でなければ私との別れを惜しんでくれているのだと思う。
そんな事で良いのなら幾らでもするよ。
だって私たちは親友だもんね!
「桜花……卒業おめでとう」
「ありがとう……ありさちゃん」
無理して頑張って聖華学園に入って良かった。
こんな素敵な人と出会えたんだから。
式が無事に終わって桜花様やお世話になった諸先輩方への涙ながらのお別れをしてから紗良との待ち合わせ場所へと向かう。
そこは小さな空き教室。
2年生の秋の頃に行われた文化祭で紗良が主演を務めた演し物、その練習の為に2人きりで台本を朗読した場所。
私たちが恋人になった場所。
「……“お待ちになりましたか、騎士様”?」
一言一句違わぬ言葉で窓の外を眺めていた紗良へ問いかける。
「“いいえ私も今来た所ですお姫様”……ふふ」
振り返った紗良も逡巡なく応える。
後ろ手に扉を閉めて施錠する。
これで誰かが来ても入って来れない、はず。
私たちの学園生活を最後に過ごす場所はここだと決めていた。
「随分と待たせたわね、帰ろうかと思っちゃったわ」
「ごめんなさい。はい、これで……許して?」
赤いバラを包んだブーケを手渡す。
花言葉は───愛しています。
私の気持ち。
「ありがとう……嬉しい」
受け取った紗良はふわりと表情を緩めてブーケを愛おしそうに抱き締めた。
嬉しいな、こんなに喜んで貰えるのならお小遣いを奮発した甲斐が有ったよ。
「おいで」
「うん」
ブーケを優しく置いて紗良は手を広げ私を誘った。私も同じ様にして抱き合う。
暫くそうして抱き合っていた私たちは……どちらからともなく手を離し、キスをした。
「……ん」
「あ」
スカートをたくし上げお尻を撫でられる、そのまま下着を下ろされ近くにあった机の上に座らされた。
長い舌を見せ付けるように蛇のごとくチラチラと印象付けてきて、私の体は大きく跳ねた。
こんな風に大胆にしてくるなんて想像すらしてなかった、立て付けの悪い机が私の動きに合わせガタガタ音を鳴らす。
それが涙目になる私の恥ずかしさを軽減してくれる。
「さ、さらぁ……っ!」
私の声なんか聞こえてないと言わんばかりに続く愛撫に、私の形だけの抵抗は完全になくなっていった。
「あんまり大声出したらダメよ……あ、でもありさはその方が興奮するの……かな?」
耳元でそんな風に囁かれ、羞恥心で顔が真っ赤になるのを自覚する。
なんで今日はこんなにドSなの……!?
「安心して、誰も近づけないようにしてるから……いっぱい鳴いていいからね」
その宣言通りに私はめちゃくちゃに鳴かされてしまった……もうお嫁にいけない。
あ、紗良に貰われるんだからいいのか……あは。
「それじゃあ、今度は来週末に会いましょうね♪」
ツヤッツヤのトゥルットゥルになった紗良はそう言い残して迎えに来た車に乗って家に帰っていった。
門前で見送った私は、ガクガクとする足腰を引きずって寮へと帰宅した。
「あらあら、若いわねぇ」
何もかも見透かされた笑みでお迎えしてくれた寮母さんの言葉に照れつつ、夕飯の時間まで部屋で過ごす事に───いややっぱりその前にお風呂入ろ。
なんでか聞くなし!
「あ〜制服けっこうしわくちゃになっちゃった」
紗良が置いていってくれた予備の制服があるから来週の学校は良いけど、良いけども!
んもう……なんでクリーニング出してないの、紗良の匂い残ってるじゃん! くそぅ……ムラっとする。
「……会いたいな」
まだ別れて30分も経ってないのにこれとは我ながら女々しくて笑う。
ハァ……あと一年かぁ。
「……お風呂も広いなー」
まあ一年間一度も会えない訳じゃないけどさ。
私の呟きは誰にも届かず壁に吸い込まれ消えていった。
「ありさちゃんは春休みは寮に居るの?」
夕食後の談話中、寮母さんからの問い掛けに即答できなかった。
「あ〜迷ってます、帰ってもいいけど……ここに居たい気もするから」
ほかの皆は実家に帰って過ごすから毎年私は残って鍵を預かってた。
2年前は純粋に学園に残るのが楽しかったから、去年は記憶喪失で紗良のお世話になって……。
今年は……んー。
どうしようかな。
また出世しちゃった……わぁ(泣)って自虐風自慢してたお父さんに会いに行く気にはならないけど。
たまには帰って来なさいってお母さんに言われてるしなぁ〜。
「明後日までに決めておいてね、じゃあおやすみなさい」
「はーい! あっ、私部屋に戻りますね」
丁度良いタイミングで電話が来たから退室する、ふんふふーんと鼻歌を唄いながら通話をオンにして耳にあてる。
『まだ起きてる……?』
「アハハハꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)」
あんなに気分良さげに別れたのに不安そうな紗良の言葉が少しだけ面白くて笑ってしまった。
おんなじきもちだね。
『ちょっと……なんで笑ってるのよ』
「あは、ごめんね。なんでもないよー、ほんとだだってば」
『むぅ〜』
拗ねたって可愛いだけなので無駄ですよ〜。
こうして声を聞けただけでさっきまでの不安な気持ちは吹っ飛んじゃうんだから、我ながらチョロすぎか?
よーし決めた。
やっぱり家に帰ろう、そしてどうせなら……
「あのさ、紗良が良かったらなんだけど……春休みに私の実家に行かない?」
『……!!』
や〜やっぱり寮に籠ってたら紗良との思い出ばっかり蘇ってぷち辛いしね。
お母さん達も久しぶりに紗良に会いたいって言ってたし丁度いいよね。
『それってつまり……そういう(義両親への挨拶)ことよね』
「うんうん、そう(遊びに来て)だよ」
ガタガタっとなにか物凄い音が電話越しに聞こえたあと『行くわ! 絶対に行くから!!』すごく楽しそうな返事が聞こえた。
「ねえねえ、それより紗良ってば寂しいんでしょ? こんな時間に電話してくるなんてさ」
『まあ、そうだけど』
「私も寂しかったよ! でも安心してね、私たちは離れていてもずっと一緒だから。こうして声を聞いてるだけで明日からも頑張れるって気になる、ね? 明日起きた時もお話ししていい?」
『貴女の為なら何時でも大歓迎よ』
「嬉しい、絶対に電話するから聞き逃しちゃダメだからね。そうそう───」
今日まで一緒に居過ぎたからすごく不安だったけど、うん大丈夫だ。
離れ離れになっても私たちはきっと見えないところで繋がっている。
だからこれからも一緒にいっぱい思い出を作っていこう。
もしもう一回記憶を失っても今度もすぐ思い出して見せるから。
これからの未来も一緒に生きていこうね。
「紗良」
『なあに?』
「愛してるよ」
『……私も』
「私も〜?」
『ゴホン……愛してるわ』(イケボ
「ぴょえっ?!」
あはは
敵わないや
二次創作だったりなんだり何作品か書いてますけど、きちんと最後まで書けたの初めてな気がします。
本作は何個か番外編を追加して終わり、毎日投稿も今回で終了。