どうやら私は学園のマドンナを口説き落としたらしいけど記憶にないんですけど!? 作:ステラ@毎日更新中
などと思っているのは橘ありさだけであった。
良くも悪くも彼女の感情を動かせたのはたた1人だけ。
そしてその感情の激しさを知る者はこれまで誰1人として存在しなかった。
他ならぬ彼女自身すら。
感情を押し殺し生きてきた彼女が唯一執着するようになった存在。
ありさへと手を出す愚か者が現れた。
それはつまり彼女の逆鱗に触れたことを意味する。
記憶喪失から早2ヶ月。
どうやら自覚はなかったけどずっと知識として残っていた記憶たちに支えられ私の復習内容は遂に1学年分を終えた。
我ながら覚えが早いと思ってたらコレよ、眠れる才能が目覚めたかと思ったのに。
試しに解いてみた1年当時の過去問でもまずまずの結果を出せたので、私の努力は無駄ではなかった。
何より紗良の努力が無駄ではなかったと言う証を勝ち取れたのが嬉しい。
まー私は天才ですからー?(油断)
「あはは、という訳で次の試験のヤマを教えてください」
「いいけど、高いよん?」
「枢木様に教えてもらえばいいじゃん」
「あーあたしも聞きたい〜! ありさ払いでよろ」
同級生とも大分打ち解けた気がする。
まだ顔と名前が一致しない人も多いけど、そのうち何とかなるでしょう。
あと勝手に私の支払いにしてタダ乗りするんじゃありません。
全く……これだから独り身さんはw
「そんな事言うのはこの口か〜!?」
「イダダダダ、ギブ! ごめ、ごめんて!」
「あはは、ありさちゃんほっぺ伸びすぎ」
こんな風に軽口も叩ける様になった。
なんかすっごい学生してるよ私……失った青春を感じてるぜ〜なにせおばあちゃんだからね(17歳)
さてさて。
記憶喪失の私に何時までも優しい顔を見せてくれる程甘い聖華学園ではなかった。
定期テストこそ事情を鑑みてくれてるけれども、ずっと特例扱いする訳にもいかないのである。正論である。
私という学生の価値を証明しなければいけない、これでも成績優秀(笑)な外部生なのだ!
という訳で特別試験を受けることとなった。
出題範囲は……え〜1年から2年の全期間です。
言い方を変えるとこれまでの全部です。
もうね、これを聞いて私は絶望しましたよ。
人の心がない、鬼畜すぎる。
夏季休暇前に開催される事が決まってるので急いで今からひと月半で残りの2学年分の学習内容を詰め込んで脳を活性化させて試験に挑まなければならないのです……罰ゲームかな?
この試験で下手を打てば最悪夏季休暇はぜーんぶ飛んじゃうし、二学期初っ端からは3年の一学期の総復習テストまで控えている徹底っぷり。
はぇー。
ふざけんなよ!(ブチ切れ)
私を記憶喪失にしたやつ絶対許さないかんね、見付けたらタダじゃ置かないからねぇえええ! ふぁっきゅー!!
最悪の場合、紗良との水着デートや夏祭りデート! その他もろもろ全部潰れちゃうかもじゃん!
くっそ、はよ記憶ぜんぶ戻んないかな……我ながら断片的にしか思い出せてないから熱のある時に見る夢みたいに支離滅裂で話が繋がらないんだよ。
なんだよ急に『筍掘りに行きませんか?』って、どういう話の流れで何を考えて誘ってんだよ(困惑)
「お願い、私の青春が掛かってるの! 助けると思ってさ」
「って言ってもねぇ、ウチらよりありさの方が成績良かったんだし」
「先生の好きな傾向とかである程度絞れっけどー」
「やっぱり地道に勉強するしかないですわよ」
オホホホホ、いやですわ皆様ったら。
正論は時に人を大きく傷付けるんですのよ……ッ!(血涙)
「というか例の噂ってマジなの?」
「噂……? 何それ知らない」
「あー、ううんなんでもない! 今は勉強に集中してなよ」
「はいー? 内緒にされると気になるんですけど」
気にはなるけど確かに勉強を優先しなきゃいけないから正直この時の会話は直ぐに忘れてしまっていた。
だから本当にビックリした。
この何気ない噂とやらが、この夏に起きる一大イベントの始まりを告げるサインだったと言うことを、私は気付かなかったのである。
え〜結論から申しまして。
何とか合格点を頂き私にも夏季休暇を楽しむ権利が頂けました!
( °꒳ ° )Fooooooooo!!!!
ありがとう独り身の美奈子!
ありがとう彼氏持ちの綾ちー!
ありがとう婚約者の居る雫ちゃん!
そして何よりも私の恋人にして学園のマドンナの紗良!!
(1:1:1:7の割合)
「紗良が毎日遅くまで勉強に付き合ってくれたお陰だよ〜ひぃん、本当にありがとう!」
「それは違うわ、貴女が頑張ったからじゃない」
「紗良……」
「ありさ……」
私たちは初夏の暑さも厭わず抱きしめ合った。
試験スケジュールが決まってからは毎日勉強漬けでろくに恋人らしい事をしていなかったので今日くらいはもう、良いよね?
ここからは子どもには見せられない時間が始まるぞ(*゚∀゚)ムッハー!!
「あ、そういえば」
鞄に投げ入れていたテスト用紙を引っ張り出し間違った部分を紗良に質問する。
これこれこうやって〜と一見するだけで要点を抑えた解説をしてくれて本当にありがたい。
そうか私ってば本当に凡ミスが多いな。
気になってたから解決出来て良かった。
これで次の試験対策はバッ……ち……
「って違う!」
そうじゃないでしょありさ、なんで自然に勉強をしようとしてるのよ。
不味い……体が勉強に囚われている。
なんだか知らないけど不味い!
うっ頭が───もうやだぁあああああ分かんない勉強したくないぃいい助けて紗良あああ!!───ぐっ、こんなどうでもいい時にピンポイントで記憶が戻ってくるなんて。
ぐわんぐわんと揺れる視界の中に過去の景色が流れては消えていった
───こんなの覚えたって人生の何の役にも立たないから、だから私は覚えないの───
───勉強するより胡麻の数を考えていたい、人の役に立つ仕事をしてたいから───
───何で6択なのよ2択でいいじゃん主張激しいなこいつ───
───必死に計算して何でズレてるの答え! 私じゃない、式が間違ってる!───
───沖縄行って首里城食べたい───
「ありさ!? 大丈夫、凄く顔色が悪いわよ」
「だ、だいじょぶ……ちょっと物理的に……(昔の私が)イタくって」
「頭が痛いの!? ダメよ! 動かないで横になってて、今医者を呼んでくるから!」
「あ……いやほんと……大丈……ぶぅ」
慌てた様子で部屋から出て行った紗良を止めようと伸ばした手が虚しく空を掻いた、違うよぉ本当に大丈夫だから……紗良が居てくれたら治るからぁ……ううっ。
おのれどうでもいい記憶め、貴重なイチャイチャの時間を奪いやがって。
あ、どうも寮母さんどうしました?
いや本当に大丈夫ですよ、え?
紗良にお医者さん呼んでくるまで診てて貰う様に頼まれた?
ありがとうございます、すみません。
あ〜……これは今日もお預けですねぇ(泣)
はい別日。
やっとデート出来る……嬉しい。
しかし困ったことになった。
「だめだめだめだめ! その格好はちょっと、刺激が強すぎますって……っ!」
「そうかしら? 機能性重視なだけよ」
あ〜いけません!
先ずポニテ! もう初手アウト、うなじが見えちゃってる!
こんなの通り過ぎる人みんな鼻血出して歩けなくなっちゃうよ。
スレンダーな美人が夏に薄手の白いトップスを着てるだけでもう反則なのに、肩出てるし!
なんだそのデザイン、こ、こんなのが街を歩いて許されるのか……?
ていうかスカート短い……短くない!?
ダメだよ生足が日焼けしちゃう、せっかく白い肌なんだから!
私が代わりに日に焼けて丸焦げになるからっ!!
結論:えっちすぎます。
お母さん許しませんからねそんな格好!!←???
「でもこういう格好、好きでしょ?」
「好きぃ……っ!」
「貴女に見せる為に着てるのだから、もっと見て欲しいわ。ほら」
くるっとその場でターンしてくれる。
えっ、めちゃくちゃ美しい……控えめに言って天使の舞踊かな?
背後に羽が舞ってない? 気のせい?
ちょっとこの世界のグラフィック担当手を抜きすぎでは?
はよアプデして、紗良の美しさに世界が追い付いてない!!
「うう嬉しい、素敵すぎゆ。けど誰にも見られたくない……っ、独り占めしたいぃ〜っ!」
「ん〜それもそうね」
その後薄手のカーディガンを羽織って貰い薄手のロングスカートに変えてもらって事なきを得ました。
危なかった、ただでさえ猛暑で頑張って生きてる人達が人界に降りてきた天使に魅了され倒れてしまうところだった。
私は世界を救ったと言っても過言じゃないぞ。
「じゃあ服も決まったしそろそろ行こ「待 ち な さ い」ヒョッ!?」
いつの間にか私の背後に回っていた紗良の熱の篭った囁き声、その声で即トリップした私はすっかり腰砕けになり体の自由を奪われてしまった。
優しく、しかし強く抱き留めた紗良は片手で私の体をささえもう片方で服のボタンをゆっくりと上から一つずつ外し始めた。
ま、待ってまだ日が高い内からこんな……こんな事するのは恥ずかしいよ。
そんな私の抵抗(0Ω)も虚しく何時しか下着と靴下だけの姿にされてしまった。
この後のことを想像し興奮しつつ目を瞑って───バサッと何枚もの服を投げつけられた。
「ねぇありさ? まさかと思うけれど、そんな野暮ったい格好で出掛けるつもりだった訳じゃないわよね?」
全身し〇むらコーデがよほどお気に召さなかったのか、何処からか引っ張り出してきた夏服を手に据わった目付きで私を見てくる紗良。
え……好き(キュン)
どこに需要があるのか分からないモブファッションショーの内容は割愛する。
私の尊厳のためにも……。
「あ、そうそう」
「ん〜?」
「私の会社が幾つか潰れるのよね」
「…………えっ?」
急 に 何 言 っ ちゃ っ て る ん で す ? ? ?
・橘ありさ 3凸
どうでもいい記憶ばかり蘇って来る事に不満がある。
最近は昔ほどオタク活動に精を出すことが無くなっており、それを勉強のせいだと思い込んでいるが実は……?
急な爆弾発言に宇宙猫になってしまった。
フリルワンピとバケットハットを被せられた、一見するとその辺の店で買った様な出で立ちだが素材の値段が馬鹿にならない。
襟元のワンポイントの宝石は紗良の誕生石のトパーズであり、勿論マーキングである。
・枢木紗良 臨戦
如何に最短かつ最高率でケジメをつけさせるかを考えて、躊躇いなく自社ブランド含めての自爆戦法を決行したヤベー女。
もうやる事は終わっており後は結果を御覧じろというスタンス、溢れる感情のリソース全てをありさへと注ぎ込む事を決めている。
今年の夏はいっぱい“仲良くなりたい”と思っている(意味深)