負けヒロインが多すぎる! IF ―156の負け 作:nelldrip
Web小説投稿サイトに作品を上げる活動。
先代の部長が続く取り組み。
更新を確認してみると、三万字。
古い洋館の喫茶店と、パイプオルガンと、焼きたてのスコーン。
先週まで「一文字も書けない」と言っていた人間の数字としては、多い。
そして、部室にはもう一人、鼻の利く部員がいた。
「なんか二人、距離、近くない?」
週明けの月曜日。
放課後の文芸部室には、先週末の京都の喧騒が嘘のような、いつもと変わらない、気だるい午後の光。
部長席に座る俺は、パソコンの画面を開き、Web小説投稿サイトの管理画面をチェックする。
文藝部の活動の一環として、先代部長から始めた取り組みだ。
「……よし。Webの方の進捗どう? 先週言ってた新作、そろそろ一話目上がってるはずだけど」
向かいの席で、キーボードを猛烈な勢いで叩いていた彼女が、びくっと肩を跳ね上げた。
「……ひ、ひぃ! ……な、なな、なんだ。……い、いきなり……話しかけるな。……心臓、止まる……」
「いや、部長として確認しなきゃだろ。……お、すごいな。もう三万字も更新してるじゃないか。」
画面に表示された文字数を見て、俺は素直に驚いた。先週までは「……む、無理。……一文字も……書けない。……い、引退……する……」と絶望していたはずなのに。
「……べ、別に。……な、なにも。……た、ただの……ぶ、部長、代理としての、執筆、だ。……ふ、ふん。……ぶ、部長の、分際で、驚くな……」
彼女はそっぽを向きながら、なおもブラインドタッチで文字を打ち込み続けている。
どれどれ、と投稿されたばかりの最新話をスクロールする。
「……『古びた洋館の、パイプオルガンの音が響く喫茶店。運ばれてきたスコーンの熱は、まるで秘めた恋心の温度のように……』。……お前、これ」
「……わ、わわわ! ……み、見るな! ……ま、まだ、推敲……してない! 」
顔を真っ赤にしながら、身を乗り出して俺のパソコンの画面を隠そうとしてくる。
その瞳には、先週末の京都で見た、あの「恨めしそうで、でも何かに取り憑かれたような」熱がまだ宿っていた。
「……いい描写じゃないか。取材に行った甲斐があったな」
小さく笑って言うと、彼女は「……っ」と声を詰まらせ、椅子に深く沈み込んだ。
「……お、お前。せ、責任……わ、分かって、る……んだろう、な……」
「え? ああ、部誌の代わりにWebの閲覧数伸ばすのが俺の責任だし、ちゃんと宣伝も——」
「……そ、そう、じゃ、ない ……そ、そういうことじゃ……ない……。……バカ……!」
彼女は膝の上に置いていたカバンをぎゅっと抱きしめ、机に突っ伏してしまった。
マフラーに顔を埋めた彼女の耳が、月曜の西日に透ける。
先週末の「ひのとり」のシートの色、鮮やかな赤を思い出す。
「……あ。そうだ、お前。他部員が来る前にこれ。……京都の駅で買った、あいつに見つかったら一番マズいやつ」
俺はカバンから、こっそり隠し持っていた「笹屋伊織」の小さな袋を、彼女の机の端に置いた。
彼女は顔を伏せたまま、その袋を泥棒猫のような素早さで自分の懐に引き寄せると、消え入りそうな声で呟いた。
「……あ、当たり前……だ。……あ、あいつには……ぜ、絶対…ひ、ひみつ……こ、これは……わ、私だけの……文藝………」
まぁ、見つかったら絶対酷い目に合いそうなのだ。当然だよな、と思いながら。
猛然と書き進められた三万文字の物語の中に、俺が教えた景色がいくつも散りばめられているのを見て、ほんの少しだけ、部長としての誇らしさを感じていた。
廊下から、他部員の騒がしい足音が近づいてくる。
俺たちは目配せ一つすることなく、それぞれの作業へと戻った。
二人だけの、京都の熱が残る静かな部室を、少しでも味わおうとするように。
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放課後の文芸部室。
西日が差し込む中、二人、それぞれのノートPCに向かい合っていた。
相変わらずの、沈黙。
沈黙だけれど。
それは、以前のような「気まずい沈黙」ではなく、お互いの作業リズムを共有しているような、どこか馴染んだ空気感。
そこに、あの食いしん坊が、購買で買ったであろう揚げパンを片手に勢いよく踏み込んできた。
「ねえ、部長?」
俺と彼女の間にある「空気」を物理的に断ち切るように、ズイッと俺の顔の前に詰め寄ってきた。
「……な、なに。いきなり」
「な〜んか、おかしい。妙に二人、距離近くない? さっきから一言も喋ってないのに、なんか、こう……『通じ合ってます感』が漏れ出してるっていうか」
そう言うとジロリと俺を睨み、石像のように固まっている彼女へ視線を移す。
「あんたも。さっきから部長がキーボード叩く音に合わせて、リズム取ってタイピングしてない? 何その、熟練の連弾デュオみたいなシンクロ。怪しい。すっごく怪しい。……さては二人で、私の知らない美味しいものでも食べた?」
「……い、いや食べてないからね?なんでそうなるんだよ」
「食べ物の恨みは怖いんだからね? もし隠れて『プレミアム牛ロース』なんて食べてた日には、私、文芸部やめて食生活改善部に移籍するんだから!」
こいつの野生の勘…といっても主に食に関わるものが、正確に「何かがあったこと」を嗅ぎ取っている。
俺は冷や汗を抑えながら、隣の彼女を盗み見た。
案の定、「システム停止」の一歩手前である。
顔面は、こいつが持っているケチャップのかかった揚げパンより赤く染まり、指先はキーボードの上で虚しく空を切っている。
「……ひ、ひぃ! ……な、なな、なに……言って、るん、だ……っ!」
「どうなの?部長と何かあった? 相談乗るよ? 変なことでもされたらいつでもいってね? それとも美味しいお店の情報?」
執拗な追及に、彼女はついに限界を迎えた。
「……な、なにも……ない! ……た、……食べて……ない! ……ぶ、部長が……。……ぶ、部長の……ぶ、分際で……。……か、勝手に……横に、いるだけ……! ……し、死ね……!」
彼女は猛然とキーボードを叩き始めた。……が、画面に入力されているのは『部長しね部長しね部長しね部長しね部長しね部長しね部長しね部長しね』という、文藝のカケラもない呪詛の羅列である。
「……ねえ。この子、画面がすごいことになってるけど。これも取材の一環?」
「あー、うん、そ……そうだな。あいつは今、復讐に燃えるヒロインの心理を身をもって体験してる最中なんだ。多分。……ほら、そのパン、砂糖がこぼれそう。早く食べちゃいなよ」
俺は必死に話を逸らそうと、アイツの注意を食欲の方へと誘導する。
「……ふーん。まあいいけど。でも、隠し事はナシだよ? 私、鼻は利く方だからね。……特に、お出汁の匂いとか!」
「!?」
「聞いてよ!こないだ食べたきしめん!すっごいお出汁美味しかったんだけど!」
一瞬、心臓が跳ねた。
だが、どうやら、こいつは本当にただ適当に言っただけらしく、そのまま「あ、これ意外とサクサク」と揚げパンにかじりついた。
安堵して、俺は彼女の方を見る。
彼女はまだ机に突っ伏したまま、耳まで真っ赤にして「……お、お前の……せいだ……。……こ、殺す……。……も、最中、ぜ、全部……一人で……食って……やる……」と、呪文のように呟いていた。
うん、周りにはバレていない。……はずだ。
けれど、俺と彼女の間に流れるこの「隠し事」の熱量は、きっとこの先も、敏感なあいつらを苛つかせ続けるんだろう。
俺は、彼女の打ち込んだ呪詛の羅列をこっそり削除しながら、誰にも聞こえないように溜息をついた。
「……あ、あのさ?距離が近いっていうか、それはおまえの気のせいで、俺たちはただ部長としての業務連絡を極めて事務的に、かつ機能的に行っていただけであってだね!?」
俺は椅子をガタガタと鳴らしながら、詰め寄ってくるあいつから距離を取る。
こいつ、鼻まで鋭いのか?
前々からどこか獣っぽいと思ってたけど、実は警察犬の血でも混じってるんじゃないか。もしここで「最中の香りがする」なんて言われたら、俺の平穏な高校生活は今日で終わる。
「え〜? でも部長、あんたさっきから目が泳ぎまくってるよ? 泳法で言ったら古式泳法くらい独特な泳ぎ方。ねえ、あんたもそう思うでしょ?」
「……っ、ひ、ひぃ……!」
話を振られた彼女は、キーボードを叩く手を止めて、置物のように硬直していた。
その視線は、俺と、俺の胸ぐらを掴まんばかりの勢いで身を乗り出しているこいつの間を、何度も往復していた。
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「……な、なな……な……」
「なになに? 言ってごらん?」
あいつが、楽しそうにわたしに顔を近づける。
だが、わたしが抱いた感情は、こいつが期待しているような「照れ」や「動揺」ではない。
わたしは、机の下で自分の膝をぎゅっと掴んでいた。
(……き、距離が、近い……?)
平然と言ってのける。
けれど、今この瞬間、彼のパーソナルスペースを土足で踏み荒らし、当然のように彼の顔を覗き込んでいたのはこいつだ。
(……お、お前たちの方が……よ、よほど……距離、近いくせ、に……。……ぶ、部長の……バカ……。……あ、あんなに……近づかれて……な、なんで……平気な顔、してるんだよ……)
わたしは、京都のあの静かな小道でさえ、袖を掴むだけで心臓が破裂しそうだったというのに。
ひのとりのプレミアムシートで、寝たふりをしながらアイツを見つめるのが、精一杯だった。
なのに、目の前の二人は、まるでそれが日常の風景であるかのように。
賑やかで親密な距離を保っている。
それが、たまらなく「恨めしい」。
「……あ、当たり前……だ……」
「どうしたの?」
あいつが、不思議そうに首を傾げた。
わたしは、燃えるような顔を上げ、二人を……いや、彼を射抜くような目で見つめた。
「……ぶ、部長。……お、お前……。……じょ、女子と……い、イチャイチャ……したい、なら……よ、他所でやれ……! ……ぶ、部室は……聖域……だ… ……し、死ね! ……バカ……!」
「ええっ!? わたしたちイチャイチャなんてしてないよ! むしろこれ、取り調べだから!」
「いや、声が大きいって! ほ、ほら!あいつもいってるだろ、誤解だから! 本当に、これには海より深い事情があるっていうか……!」
「……ふ、ふん。……じ、事情なんて……き、興味……ない……。……に、にしんの……呪いに、かかって……く、朽ち果てろ……!」
「なんでニシン?」
「さ、寒いとこ、いる…」
わたしは再び猛烈な勢いでタイピングを再開した。
そういうと「もう、二人とも変なの」と不満げに、揚げパンの最後の一片を口に放り込むと、ようやく解放してくれた。
目の前で、わたわたと言い訳をしていたあいつはあいつで、わたしの視線の奥に潜む「何か」に気づかない振りをしながら、必死に自分のPC画面へと逃げ込んでいた。
部室に響く、激しい打鍵音。
それは、自分でも制御できない「嫉妬」という名の感情を、物語へと叩きつけようとする一人の作家の、切実な叫びだ。
あいつはまだ、その叫びの本当の理由を知る由もないのだろうけど。
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あの揚げパン…あれはあれで、自分の気持ちに鈍いと言うか、向き合うのを避けてるくせに、他人の想いには鋭い。見透かされているようで、どうにも居心地が悪い
放課後の部室。揚げパンを咥えてこいつに詰め寄り、二人の「距離」を無遠慮に測り直そうとするそれは、わたしにとって「居心地が悪さ」という言葉そのものだった。
ノートPCの影に顔を半分隠しながら、わたしはモニターを睨みつける。
けれど、その視線の端では、楽しげに——あるいは無意識に——あいつのパーソナルスペースを遠慮なく侵食している姿が、嫌でも解像度高く映し出されていた。
わたしが何より我慢ならなかったのは、揚げパン齧りながら見せる「アンバランスな鋭さ」だ。
自分の心には蓋をするくせに。
自分の失恋や、今この瞬間、コイツに対して抱いているかもしれない微かな熱量から、驚くほど器用に目を逸らし続けて。
向き合うのを避け、食べることや騒ぐことで、その「本音」を煙に巻いている。
なのに、他人の機微には鼻が利く。他人の間の空気の変化や、隠し持っている秘密の匂いには、動物的な鋭さで踏み込んでくる。
(……お、お前……。……じ、自分の……『負け』は……なかったことに……してる……くせに……)
わたしは、キーボードを叩く指に力を込めた。
自分の胸の奥、京都の静寂で彼に預けてしまった「あの感情」が、濁りのない瞳に見透かされているような気がして、たまらなく落ち着かない。
まるで、書きかけの、誰にも見せられないほど耽美で扇情的なプロットを、勝手に音読されているような羞恥心。
鏡合わせの嫉妬と拒絶
「……な、なにも……ないって……い、言ってる……だろ……」
わたしの呟きは、カタカタという打鍵音に掻き消される。
わたしにとって、コイツの存在は眩しすぎるのだ。4Kではない、HDRというやつだ。
わたしがあんなに必死になって、特急の座席や、夕暮れの小道で、指先が触れるか触れないかの距離を測っていたというのに。
こいつはそれを、挨拶でもするかのように軽々と飛び越えて、部長の隣に立っている。
(……い、居心地が……悪い……。……こ、ここに……いたくない……。……で、でも……ぶ、部長を……こいつと……ふ、二人きりに……するのは……も、もっと嫌……)
「ねえ、聞いてる? あいつさ、最近ちょっと『部長面』しすぎじゃない?」
「……ひ、ひぃ! ……し、知らない! ……ぶ、部長の……か、顔なんて……み、見てない………っ!」
わたしは、さらに深くリクライニング……ではなく、パイプ椅子の背もたれに体を沈めた。
こいつの無邪気な追及は、わたしが大切に隠している「京都の記憶」という名の薄紙を、一枚ずつ剥がしていく。
見透かされているようだ。
自分が、あの前部長への想いを抱えたまま、隣にいるこの冴えない男に、どうしようもなく惹かれ始めていることを。
「……バ、バカ……。……ぶ、部長……。お、お前……な、なんとか……しろ……」
わたしの小さな声は、こいつの笑い声と、部長の困り果てた弁明の中に、跡形もなく飲み込まれていった。
けれど、わたしが打ち込み続けたテキストには、これまでよりもずっと生々しく、そして「居心地の悪い」熱を持った言葉が、びっしりと並んでいた。
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「……よし、今日はここまで。帰るぞ」
俺がノートPCを閉じ、カバンに荷物を詰め込み始めた時だった。
帰り支度の中、持っていた飲みかけのメロンソーダを机に「ドン!」と置いて、こいつは唐突に声を張り上げた。
「ねえ! 私、閃いちゃった! 合宿しよう、合宿!」
……嫌な予感しかしない。
俺は背筋を走る戦慄を抑えながら、できるだけ平坦な声で返した。
「合宿って。……また海の家で缶詰になってバイトさせられるやつ? 俺、あれでもう一生分のフランクフルト焼いたから。もうお腹いっぱいだよ」
「違うよ! あれは『労働』! 私が言ってるのは、もっとこう……青春! 創作! そして、その土地の美味しいものを心ゆくまで堪能する『文化的な合宿』のこと!」
「最後の一行が本音だろ。……お前はどう思う」
話を振ると、彼女はカバンを抱えたまま、幽霊のような足取りで後ずさりした。
「……ひ、ひぃ! ……が、がっしゅく……? ……む、無理……。……し、集団行動……じ、地獄……。……他人の……ね、寝息が……聞こえる……空間とか……。……せい、精神が……ま、摩耗……する……。……し、死ぬ……」
「ほら見ろ。こいつだってこう言ってるし、この話は——」
「え〜? あんた本当にいいの? どこか静かな温泉宿とかにこもってさ、美味しい料理……じゃなくて、創作に集中できる環境だよ? 部長だって、部長として部員の親睦を深める責任があるんじゃないかな?かな?」
そういうと、俺にジリジリと詰め寄ってくる。その瞳には、すでに「どこで何が食べられるか」という下書きが完成しているかのようだ。
そして、その鋭い視線は、再び彼女へと向けられた。
「それにさ。あんた、最近ずーっと部室で根詰めて書いてるでしょ? たまには遠くへ行って、刺激を受けないと。……ねえ、部長、どこかいい心当たり、ないの? とっておきのとことか!京都とかいいんじゃないかな?」
「……っ!!」
俺の隣で、彼女の肩が跳ねるどころか、椅子ごとひっくり返りそうな勢いで震えた。
あいつの言葉は、ただの「適当な振り」のようでいて、俺たちの隠し持っている『京都』という火種を的確に突いている。
「な、なな、ない! どこも……な、ない! ……ぶ、部長と……ど、どこかへ……行った……記憶なんて……。……あ、あったら、の、脳から……さ、削除したい……!」
「……お前、言い方。……はぁ、本当にないから。……合宿は、予算とか場所の問題もあるし、一旦保留だよ」
俺は冷や汗を拭いながら、早足で部室の出口へ向かう。
後ろからは「え〜、ケチ。部長のケチ。京都の呪いにかかれ〜」と、なぜかピンポイントで恐ろしい呪いを吐き出していた。
「……ぶ、部長」
部室を出て、階段を降りる途中で、彼女が俺の袖を小さく、本当に小さく引いた。
他部員に聞こえないような、蚊の鳴くような声。
「……な、なに?」
「……が、がっしゅく……。……あ、あいつ……と……お前……。……ふ、二人で……。……お、お風呂……とか……」
「いや、合宿なんだから部員全員で行くだろ。お風呂は男女別だぞ、あたりまえだ」
「す、すけべ……そ、そういう……ことじゃ……ない! ……し、死ねっ……!」
彼女は俺を鋭く睨みつけると、そのまま脱兎のごとく階段を駆け下りていった。
上気した顔。どこか恨めしそうな、それでいて何かを必死に拒んでいるような背中。
「……合宿、か」
俺は、一人残された階段で溜息をつく。
他部員の食欲。彼女の嫉妬と創作意欲。そして、俺が隠し通さなければならない京都の思い出。
それらが一つの屋根の下に集まった時、どんな地獄か、それとも物語が待っているのか、想像するだけで胃が痛み始めた。
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お土産は、笹屋伊織のお手作り最中です。
皮と餡が別々になっていて、食べる直前に自分で挟みます。
封を切った瞬間漂う、香ばしい皮の香りと焼き立ての食感。
時間が経つと餡の水分を吸って、しんなりして。
持って帰れるのに、持って帰った状態では完成しないように。
京都での思い出は、まだ。ここから。
ちなみに、名古屋のきしめんの出汁は、本当においしいです。
あれは関西とも関東とも違う、独自の系統。