今夜の宿を探す。エリスとルイジェルドは宿じゃなくていいとは言うけど俺がこのままだと役立たずになる。だから二人にはしっかりしてもらわないといけない。ちゃんと眠ってもしもの時の俺を止めてもらわないと。
後、4日は頑張らないといけない。ここで投げ出すのが一番いけない。四十八人全員此処に避難させる。させなきゃいけない。
「ねえ!ルーデウスお城に行きたいわ!」
と、エリスが魔照石でライトアップされてる旧キシリカ城に行きたいと言ったけれど宿を取るために今日は我慢してもらった。四日後に行くならいいよ。
宿は持ち金で泊まれる最大のとこにした。ルイジェルドは心配ないだろうけど俺とエリスは魔大陸の病気や寄生虫に耐性が無い。出来るだけ衛生環境が整っている所にしないと。
部屋は二部屋しか取れなかったので男と女で分けようとしたらエリスが嫌と言ったので大人と子供で部屋を分けた。
エリスは不安なのだろう。知らない土地で分からない言語で話す人に囲まれる。普通の子供だったら耐えられない。
夜中エリスは寝ることなく夜空を眺めていた。
「寝れないの?」
「うん」
エリスの言葉はいつもの覇気がなく、弱々しい。
「ねえ、ルーデウス」
「はい」
「私たち、帰れるのかな……?」
「帰れるよ。俺が必ず帰してみせる」
「ねえ、ルーデウス。任せても、大丈夫よね?」
「大丈夫。何と言っても俺はエリスの先生何だから、さ。ほら、今日は寝よ。明日はペット探しの依頼があるんだから」
「……わかったわ。お願いルーデウス」
そう言ってエリスはベッドに入って眠りについた。
「あのー。依頼を受けて来たんですけどー。メルセルさんはいますかー!」
家がどの辺にあるのかはわかるけど何処にあるのかが分からないので大声を出しながら辺りを周る。
すると、ある長屋の扉ががちゃりと開く。出てきたのは、外見年齢7、8歳ぐらいの少女。トカゲのような長い尻尾と、先が二つに割れた舌が特徴的なホウガ族。
「わ、私がメルセルです」
「ハロー。俺は『ライデンシャフト』のルーデウス。ペットの依頼を受けて来た。なんかペットについての情報とか無い?」
「うちのミーを見つけてください」
メルセルは小さい子特有の要領の得ない話し方だったけれど――ペットの外見、三日前から行方不明な事、帰ってこない事、いつもは呼んだらすぐ来るのに来ない事、餌を食べてないからお腹が空いているはずという事。などなど。色んな事を話してくれた。正直眠くて内容は覚えてない。ごめん、一生懸命話してくれたのに。
ルイジェルドはメルセルの頭を撫でながら、
「必ず見つけてみせる。安心して待っていてくれ」
と、言ってくれていたから代わりに覚えてくれているはず。最悪、スペルドレーダーで解決するだろう。
「お、お願いします」
「ああ、任せておけ」
「あの、お名前はなんていうんですか?」
「ルイジェルドだ」
―――初恋を奪う瞬間始めて見た。
「ルイジェルド。見つけられそうですか?」
「もちろんだ。見つけると約束したからな」
おお、これは期待出来る。せっかくだし任せちゃおうかな。
そうして、ルイジェルドが猫の縄張りの匂いや足跡を見て追跡しているのを俺とエリスはついて行った。ルイジェルドはどんどん自分だけが見える痕跡をもとに進んでいく、どんどん路地裏を進んでいくと遂にスラムに着いた。
「エリス。剣を抜いて」
「どうして?」
「こういう所にいるのは武器がない相手を狙うから、武器を見せるだけでも牽制になる」
「そういうことね!」
時々睨まれたがルイジェルドが睨み返すと目を逸らす者ばかり。フッ根性なし。
しばらく歩いて行くと、ルイジェルドはある建物の前で足を止めた。
「ここだ」
視線の先には下へと下る階段があり、その先には扉。スラムにあるこんな場所悪いことをしてますって言っているようなものだろ。
それにしても獣臭い。多頭飼育で、飼育崩壊した近所の家がこんな匂いだった。
「中には何人?」
「人は一人もいない。生き物は多いがな」
「じゃあ行こうか」
誰もいないなら、特に迷うことは無い。俺は階段を降りて、扉に手を掛ける。鍵が掛かっている。……吹き飛ばす。どうせ人いないしいいだろ。
中は暗い廊下が続いていたから、魔術で照らす。
「エリスは背後を警戒していて」
「わかったわ」
先を照らしている俺がここからは先頭になって進む。奥に扉があったので吹き飛ばす。鍵がかかっていたらどうせ吹き飛ばすんなら最初から吹き飛ばした方がいい。
最奥の部屋には、ケージが並んでいた。所狭しと並べてある。その中には、大量の動物が閉じ込められていた。犬や猫、見たこともない動物まで。学校の教室くらいの大きさの部屋に、ぎっしりと。
これを見ると廃業になったペットショップの方が近いかな。
「……なによ、これ……」
エリスが慄いた声を上げている。
「ルイジェルド。ミーちゃんはいる?」
「いる。あいつだ」
ルイジェルドが指した先に居たのは黒豹。……?まあ、魔大陸のペットはこういうのが主流なんだろう。
ケージから出して逃げ出したら大変だからこのままメルセルの所に持っていこうかな?と考えていると人が近づいて来た。
「むっ」
ルイジェルドが入り口の方へと顔を向けた。エリスも気づく。
「誰か入ってきたわ」
「捕まえよう。此処のこと話してもらわないと」
数分後。俺は部屋の隅に転がる三人の男女を見下ろしていた。男2人に女1人。ルイジェルドが一瞬にして気絶させた。
俺は全員を土魔術で手首を拘束した後に、水をかけて目を覚まさせた。
目が覚めると一人ギャーギャー騒ぐ奴がいたので口に石を入れる。騒ぐなよ。頭が痛くなるだろ。
一人喋れなくなったので他二人に質問する為に進んだら蹴られた。煩かった奴に。
痛い。ぐるりと回転して、頭を後ろの壁に打った。……精霊達の制御は大丈夫か。ふぅ。油断していた。足枷も付けるべきだった。
「え!?ちょ、ちょっと!やめなさいよ!」
エリスが叫ぶので目を向けると、ルイジェルドが煩かった奴の喉元を貫いていた。エリスはそれを見て目を丸くしている。
「ルイジェルド。槍そのままにして」
「何故だ」
「それ以上傷をつけられたら治せないから」
「何故治す必要がある?此奴は悪党だ」
「ソイツの持ってる情報が必要かもしれないから」
「どんなのだ?」
「ペットを何処から攫ってきたのかとか。この数だし三人で手分けして攫ってきたのもいるだろ」
「ふむ、確かにそうだな」
引き抜かれた所からドバドバ血が出る前に中級魔術で治す。急所とはいえ傷が大きくなかったから今の俺でも治せた。セーフ。脊髄とかも外していたから何とかなった。ホントギリギリ。
「ルイジェルド直ぐに殺したら得られるものも得られなくなる。わかった?」
「ああ」
「それじゃ、質問」
一人はしばらく目を覚まさないから此奴は衛兵に任せよう。
「此処は何?」
「そ、その辺で…拾ったのを……おいて…おく部屋」
「………死にたいの?」
「ち、違う!此処は!攫ってきたペットを閉じ込めておく部屋!私達は冒険者で!ペットを攫って、捜索願いの出たペットを、探しだしたフリをして返して報酬を貰っていたの!」
「ふーん。そっちのお姉さんは利口だね。それちゃんと、ギルドでも言える?」
「う、うん言える!言えます!だから殺さないで!」
「君は?」
「い、言えます」
その後はミーちゃんの入ったゲージをメルセルのとこにルイジェルドが運んで俺とエリスが衛兵とギルド職員を隠れ家に連れてきて三人を引き渡し、残りのペットの事を任せた。
メルセル完全にルイジェルドに惚れてる。ルイジェルドなら何とかしてくれると信じて前もって依頼完了にしていたんだって荒んだ心が癒されるね。
今日リカリスに着いたのは六人。まだまだだな。
ルーデウス バットステータス
過度な魔力消費による白髪化
広範囲の探知(大体半径75キロ)により脳の負荷大
救助の為の精霊召喚(偽)による魔力消費も追加され使える魔術に制限がかかる。最大出力が中級までに
寝不足(四日寝てない)によるイライラ