胃の中を全部出しきったのでザントポートを出発して聖剣街道を白虎で引っ張った車に乗って進んでいる。魔大陸では玄武だったけど森林だとやっぱり虎だよね。……街道だから獣道は進んでないけど。
「どうしたの?ルーデウス。少しくらいザントポートに居ても良かったじゃない」
「大森林を早くに抜けたいの。なんか今の時期は大雨が降る時期なんだって大雨降ったら道がぬかるんで進むのが大変だからその前にミリス神聖国に着いておきたい」
「ルーデウスの魔術でどうにかできないの?」
「出来はするけどそうしたら降るはずだった雨が降らなくなって生態系に悪影響になるからねー」
「ふーん」(よくわかって無い)
「あっでも大森林に滞在したいってなら一ヶ月くらいならいいよ。雨が降るのは一ヶ月ほど先らしいから」
「なんで滞在することになるのよ」
「獣人族の村があるんだって」
「行きましょう!!!」
「りょーかーいー」
そうしてエリスが満足するまで一ヶ月間はギレーヌの親戚であるドルディア族が治める地域に滞在する事にした。
始めにエリスがデドルディアという苗字からギレーヌの事を知っている?と聞いたらギレーヌの兄の口から出るわ出るわヤンチャ娘ギレーヌのやらかした話。凄いなもうこの村を出て十何年って経ってるはずなのに憎しみが声から伝わってくる。
ギレーヌはエリスとそっくりだったようだ何でも暴力で解決する出来てしまうそんな娘。だから何かあったら直ぐに暴力で解決。
正直俺はまあそうだろうなとしか思わなかった。だってあのパウロのわかり易い冗談でキレるギレーヌが子供の時に自制ができたか?って話。だがそんな事を思ったのは俺であってエリスはそうではなかった。
「うるさい! あなたにギレーヌの何がわかるのよ!ギレーヌは私の師匠よ!一番尊敬してる人なんだから!」
エリスは拳を握りしめて大声で叫ぶ。決して暴力は振るわない。ギレーヌが変わったってことを示すために、
「ギレーヌはすごいんだから!すごく、すごいんだから!助けてって言えば、すぐに来てくれるんだから!すごく足が早くて!すごく強いんだから!」
ただ尊敬し、信頼する姉を馬鹿にされたくない。そんな思いを込めた言葉の数々はエリスの人間語が分からない獣人にも伝わっている。獣人達は困惑している。
「ギレーヌは……ひっく……えぐっ……。そんなこと……言われるような……ひっく」
「この娘はギレーヌに懐いていてね。尊敬する姉がそんな罵倒されたら人ならば何か言いたくなる」
「いや、そんな……まさか、ギレーヌが……尊敬?そんな馬鹿な……」
と、そんな感じでファーストコンタクトは最悪。
一応、泊めてもらう為にまあまあの金額を払った後だったので滞在する許可はもらったけどそうじゃなければ追い出されていただろう。
だって、初日の周りの目線凄かったよ。田舎にパリピが来た時のジジババの目線だった。口には出さないけどお前さんらの居場所はないそう言っていたね。
まあ次の日の朝にエリスの魔術の授業をやっていると興味津々な子供が寄って来て子供とは仲良くなれたけど。
子供ってのは大人のことなんて全然考えてないもんな。でもそれでいいさ子供ってのは自由じゃないといけないからな。大人が守ってやればそれでいい。
大人達から嫌われ、聖獣にも会えず、子供達をモフリながら過ごしていた。子供達に好かれていたのは俺、ルイジェルド、エリスの順。
エリスはガシガシ撫でるから子供には嫌われちゃうよね。最近は手加減を覚えてるけど嫌な思い出があるから皆中々近づいてくれない。大好きな獣人が目の前にいるのにぬいぐるみを抱きしめる日々………可哀想。何人かエリスの事を気になっている子がいるからあと少し滞在すれば何か変わるかも。
ルイジェルドは子供好きだからか子供の扱いがうまく何人かの子供に絡まれている。頭がツルツルなのが気になった子たちにペチペチ叩かれていた。
俺が好かれる理由は単純に色んな物をくれるから。俺が好かれているわけではなく俺が魔術で出すものが好きなのだ。ま、そんなものだよ。
すると、今朝ルイジェルドが、
「ルーデウス、お前が仲良くしていた子供たちが襲われている。恐らく誘拐されようとしているのだろう。俺はあの子達を助けたい」
と言うと誘拐絶許のエリスが、
「な、なんですって!許せないわ!」
と言うと同時に飛び出したので現在。仲良くしてくれていた子どもたちが攫われそうになったので報復として全力で誘拐組織を壊滅させているところです。
一ヶ月仲良くしてくれていた子達を攫おうとしている不届き者がいるとなればエリスもルイジェルドもブチギレです。
ルイジェルドのレーダーで索敵。発見した方向にいる不届き者をエリスが斬る。そんな事をしていると4日過ぎました。助けた人数は50人近くになり、ザントポートまで帰って来てしまいました。
誘拐組織は全滅。魔大陸に巣食っているやつも含めて全員ぶち殺しました。慈悲はない。
でも、予定ではこの誘拐事件は未然に阻止している……もしくは、被害が少ないうちに解決するつもりだったんだけどなあ。全然上手くいかなかった。
人間が攫いに来ると思っていたからそればかり警戒していたのが失敗の原因かなぁ?まさか身内で聖獣やら子供やらを売る奴が居るとは思わないじゃん。
事前に解決出来なかったせいで雨季が来て大森林の滞在期間が3ヶ月伸びました。あらら。
誘拐事件を解決した功労で大人達との関係は改善され、むしろ歓迎してくれた。聖獣にも会えるようになったというか誘拐されそうになったのを助けたから信用度が大きく変化したのは間違いないだろう。聖獣は俺に懐いていたので恐らく原作通りかな?
雨季に入ってから一週間経った。魔術を使える事は皆分かっているので雨をどうにかできないかと頼まれたが出来ないと言っておいた。
その代わりに水溜まりに落ちて溺れそうになった子供を助けたり、湿気でベタついた毛並みを整えたりしてあげる。嘘ついてるんだからそれくらいはしないとね。
ブラッシングは女性男性問わず大人気。エリスが恨めしそうにこっちを見ていたのでエリスもブラッシングを仲良くなったお友達にしてあげている。
そう!エリスにもやっと友達が出来た。やっぱり自分のことを助けてくれたヒーローには子供は憧れるもの。友達の名前はトーナとテルセナというらしい。最近は毎日仲良く皆で遊んでいる。何して遊んでいるのかは知らないけど友達と遊ぶのはいいことだ。
聖獣をなでなでしている所にギレーヌ兄であるギュエスが謝罪に来るなどのイベントもあったが大したことじゃないのでカット。
魔物の狩りを手伝う事になって、ルイジェルドが獣人の戦士が変わったことに嘆いていたがスペルド族を受け入れてくれているんだからいいじゃない。魔大陸ではいなかったよ?スペルド族を泊めてくれる種族なんて。時代の変化ってのはいい面と悪い面があって当然。
3ヶ月ほとんど家の中での滞在となると暇を持て余すということで俺はブラッシングと魔物狩りをしていない時は魔術を使って遊んでいた。
一番よくやっていたのは子供達へのプレゼント作り。特に大森林の外について興味を持っている子が多かったから魔大陸で見た魔族や魔物、旧キシリカ城などを作ってあげた。ルイジェルドは10体は作ったはずなのにまだ欲しがる子がいる。どんだけ人気なのよ。
個人的にサーフィンっていうのに憧れていたので波を魔術で再現してボートを作って遊んでいた。かなり楽しい。何より自分で好きな高さの波を作れるってのがいい。
「ヒャッホーー!」
「何を楽しそうなことを一人でしてるのよ!私達も混ぜなさい!」
「混ぜなさいニャ!」
「混ぜるのよ!」
まあ、はしゃいでいたら見つかるのは世の常。やり方を教えて皆で遊んだ。流石エリス。流石獣人。直ぐにコツを掴んで大きな波にも乗れるようになった。
そんな風に雨の中も気にせずに遊んでいると3ヶ月っていうのはあっという間に過ぎ去るもので雨が止み村を出る事になった。
エリスと二人の友達が別れるということでギスギスしていたがそれは三人で解決したらしい。友達何だからまた会いにくればいいと伝えるとエリスは、
「うん」
と笑顔で頷いた。
出発しようと準備をしているとサル顔の男がやって来た。彼の名前はギース。パウロの元パーティメンバーで大森林で転移事件について調べていたらしい。
俺の名前を聞いてパウロの息子かと思ったらしいが髪の色で違うと判断したよう。まあ髪色全然違うから仕方ないのかも。
「いやー、そろそろミリスまで戻ろうかと思ってた所だ。ちょうど良かったぜ。俺も乗せてってくれよ」
「あらギースじゃないの」
「お前も付いてくるのか?」
パーティの誰からも反対意見が出なかったため荷台にギースを乗せて出発。
ミリス神聖国に着くまでギースは様々な小話をしていた。聖剣街道の誕生秘話だとか、俺は前にルイジェルドに助けてもらったとか俺は料理を女に教えないとか七大列強のこととか色んなこと。
七大列強………龍神どうしようかなあーー!!!このままだとぶつかるよなーー!!!死にたくねーー!!!