カラカラと聖剣街道を進んでいるとミリス神聖国の首都ミリシオンが見えて来た。自然の緑と川の青が調和している美しい街並み。
エリスとルイジェルドはその風景に対する感動を口をぽかーんと開けたり、目を細めたりとそれぞれに表現している。そして、
「すげえだろ?」
と何故かギースが自慢気。そして町についての説明をしてくれる。が、そんな事を関係ないエリスが、
「はやく行きましょうよ!」
とワクワクしながら急かすので馬車を進める。
俺達は町をぐるりと回って冒険者区画と言われる地区からミリシオンに町中に入った。何でもよそ者は冒険者区画以外から入ると検査に時間がかかるらしい。
町に入ってすぐにギースとは馬屋で別れた。何でも、
「さてと、俺はアテがあるから、ここらで失礼するぜ!」
とのこと。別れるときにエリスが料理を教えてもらおうと交渉していたが惨敗。料理くらい俺が教えるってのに。俺の料理もギースほどじゃないけど美味しいはずなんだけど。俺の料理は口に合わないのかな?
宿は何時ものようにまあまあいいところのを選んだ。俺が原価ゼロの宝石商のような事をしているのでお金にはかなりの余裕がある。なのでエリスよ金の心配はしなくていいぞ。
さて、パウロがこの街にいるとロキシーから聞いたから探そうかな聞いてから4ヶ月経っているから別のところに行ったかも知れないけど多分いるだろう。
「久々に人の領域に来たから明日は自由行動で」
「ルーデウスは何をするの?」
「転移事件の捜索隊がこの街で組まれていると師から聞いたからその人たちと情報の共有をしに行くの。二人は?」
「私は、ゴブリン討伐をしてくるわ!」
「俺は知り合いと会ってくる」
「じゃ、明日は好き好きに楽しむってことでおやすみ」
ゴブリン討伐……エリスが記憶の神子に会う奴だよな。バレない程度の奴をエリスにつけとこうか。やっぱり神級魔術はほしいし。
朝エリスとルイジェルドと分かれて俺は町でパウロを探していた。まず、冒険者ギルドに行ったがいなかった。えー、どうしよう?一応受付に伝言は頼んでおいた。
次に行ったのは露天商。こういう所に店を構えている人は情報通だったりする。ので、話を聞いていた。そしたら、
「で、アスラのよそ者が転移だか、何だか知らないがお貴族様にちょっかいをかけていて今ピリピリしてんだよ」
「へーそうなんだありがとうおっちゃん。これとこれ頂戴あと話してくれたお礼」
「あいよー」
ワンワン
「メリーどうしたんだい?急に走り出したりして………もしかしてルーデウス君?」
「あれ?どうしてこんな所にロールズさん」
パウロより先にシルフィのお父さんに会った。
「そうか……魔大陸にボレアスのお嬢様と一緒に……大変だったんだろう?なんか色々と変わったよ君」
「そうですか?まあこの通りピンピンしてますから魔大陸でもいつも通りでしたよ」
「だとしても魔大陸は中央大陸やミリス大陸よりは随分と危険な大陸だ。強力な魔物もいるし、言葉も違うだろう?」
「その点はほら、師が優秀なお方でしたから」
「あー、ロキシーさんね。確かに彼女は凄い魔術師だった。そういえばパウロにはもう会ったかい?まだなら案内するよこの時間に何処に居るかは大体分かるから……さ」
「そうですか?では案内お願いします」
そうしてロールズの後を歩くと着いたのは酒場。……昼間から酒を飲むのはダメだぜパウロ。ノルンにダメな姿見せんなよなー。
「パウロまた昼間から酒か」
「何だよ、ロールズ。また小言か?」
バシャ
「うわ、冷た、何すんだ!」
「久しぶり、父さん。まだ昼だぜ?お酒を飲むには早いんじゃ無いかな」
「……お前………ルーデウスか。どうしたんだ……その髪」
「そんな事今気にする?」
「あ、ああ。そうだな、そうだよな。久しぶりだなルディ。会いたかった。会いたかったんだ……」
「久しぶり、父さん。俺も会いたかった」
そうして感動のハグ。………コイツ、酒くせえ。
さて、親子の感動の再会は終わり。俺達はこれまでの話もだがこれからの話をしなくちゃいけない。というわけで話し合いの席が設けられた。
場にいるのはパウロ、ロールズ、ヴェラ、そして俺。計4人とメリュジーヌの一匹。ヴェラってのは薄着の女剣士。捜索団の一員らしい。
「さて、誰から話します?」
「まずはお前のことだ、ルディ。さっきは流されたけどそうはいかねえその頭どうしたんだ。お前の髪はゼニス譲りの茶髪だったろ」
「ああ、これ?魔力を使い過ぎたの」
「………は?」
「いや、だから魔術を使い過ぎちゃったらこうなったの。まあ、そんな大したことじゃないよ」
「………お前ほどの魔術師が魔力を限界まで使い込むなんて魔大陸はそんなに危険な場所だったのか?」
「いや、どちらかというと転移した人を助ける為に無理をしすぎた。あーそうそう。魔大陸に転移した人達は三大都市に避難させているから余裕が出来たら魔大陸に迎えに行ってあげて大体で100人ほどいるはずだから」
「ははっ流石だな……ルディ」
「一年ほどの時間をかけて魔大陸を出てからはしばらく大森林で大雨を凌いでその後にミリス神聖国に来たって感じかな。じゃあこっちは話したし、そっちはどうだったの?父さん」
「俺が転移したのはアスラ王国南部……リーリャの故郷だった。そこにノルンと一緒に転移した。俺は初め夢だと思った。だってそうだろ?家の中に居て次の瞬間には原っぱに居たんだからな」
「俺はすぐに家に戻ろうとした。だがノルンに無理をさせてしまってな途中で体調を崩してしまって予定より遅れてフィットア領に着いた。だが、そこには何もなかった。ただ草原だけが広がっていた」
「そこからわかったのはあの日転移したのは限られた人ではなくフィットア領全域だということ。そして、フィットア領はサウロスやフィリップではなくフィリップの兄が領主となっているが保身ばかりだ。そこから俺はフィリップの執事であるアルフォンスと協力して難民キャンプとフィットア領捜索団を組織した」
そこまで話すとパウロは一息ついて水で口を潤す。
「その後俺は此処ミリスに来た。転移した人の中には奴隷にされた人もいた。奴隷を無理矢理解放するのはもちろん御法度だ。だか、そんなこと俺には……俺達には関係なかった。兎に角全員救おうと必死に動いていた」
「けど、最近は難民の発見より、死亡報告が増えてる。俺の知り合いだって何人も……。それで俺は酒に逃げるようになってあの醜態さ」
流石にサウロスの件は貴族じゃないからどうしよもう無いとはいえそうか……やっぱりサウロスも貴族ってことか……
「……ちょっと話を変えるわ俺の目変わったでしょ?」
「――確かになそれがどうかしたのか?」
「魔界大帝って知ってる?魔眼をくれるっていう。彼女に俺の家族の場所について先生、ロキシーが聞いてくれてさ」
「そ、それで!どうだ!?」
「皆の居場所わかったよ。リーリャ母さんとアイシャはシーローンに、ゼニス母さんは迷宮都市ラパンにいるって。皆生きてるよ」
「そうか!そうか……生きてるか。皆……ありがとうルディ。話してくれて生きていてくれて」
「ルディ、お前はこれからどうするんだ?」
「まずはシーローン王国でリーリャ母さんとアイシャに会ってその後にエリスをフィットア領に送ろうかなって考えてる」
「そうか……」
「俺も捜索団に参加した方がいい?」
「いや、その必要はない。どの道、ボレアスの血縁はアスラ王国に送り届けなきゃいけないからな。それでミリシオンはどれぐらいで発つんだ?」
「発つのはすぐだと思う。エリスがわがままを言わない限り」
「金はあるのか?いくらかはアルフォンスから貰ってる。そうだよな?」
「どれくらいだったかな……確か王札二十枚くらいだったと思う」
「というわけだ」
答えたのはロールズだけど。
「ルディ今日これから予定あるか?」
「ん?ないよ」
「じゃあ付き合え」
それからは夜が更けてルイジェルドが迎えに来るまで俺はパウロと他愛もない話をした。
パウロからは、ゼニスとリーリャとの関係だったり、シルフィの村での暮らしだったり、メリュジーヌのこれまでの活躍だったり、そんな中で俺がいつの間にかエリスの婚約者になっていたのは驚きだった。
やべぇシルフィに殺される。
俺からもエリスとの関係値だったり、ギレーヌが初級魔術師になったことだったり、十歳の誕生日に
「そういえば、シルフィが十歳の誕生日を迎えてから高そうな指輪をつけるようになったんだよなあ」
「へ、へぇ。そうなんですかぁ」アセアセ
「誰に貰ったって聞いても答えてくれなくてなあ。あと、ノルンとアイシャの魔術がとても4歳の腕じゃないんだが。何か言うことはないか、ルディ?」
「―――」アセアセアセアセアセアセ
「こんな所にいたのかルーデウス」
「どうしたの、ルイジェルド!紹介します!お父さん、こちら俺のパーティメンバー、ルイジェルドさん、です!」
「あ、おいルディ逃げるな。あー俺はソイツの父親のパウロ・グレイラットって言うんだ」
「そうか。ルーデウスにはいつも世話になっている」
「それでどうしたんですか?」
「夜になってもお前が帰って来ないからエリスが心配している。だから迎えに来た。だが親子の語らいを邪魔したのであるなら悪かったな。エリスには俺から伝えておく、久しぶりの再会だろう」
「いや、今日はもうお開きにする予定でしたので!ちょうどいいタイミング。それじゃ!またね!父さん!」
「おい!待て!!!ルディ!!!次はノルンも一緒に飯を食おう!」
「わかったーー!」
「ルーデウス!何処をほっつき歩いていたの!」
「ルーデウスは父親と会っていたんだ」
「そうなの!それなら夜遅くまで外にいたのを許してあげる。それじゃ今日の私の活躍を聞きなさい!」
俺はそれからエリスのクリフっていう魔術師がウザくて思ったゴブリン討伐が出来なかったことと教皇の暗殺集団に襲われていた子供を助けた事を聞かされた。
ありがとうエリス。おかげで記憶の神子の居場所がわかったよ。
ロールズはメリュジーヌ(精霊犬)のおかげで夫婦共に生存。その後、フィットア領にて捜索団の事を知って奥さんをフィットア領に残してミリス神聖国にてパウロと合流。
メリュジーヌが参加したことにより、原作より救助できた人が増加、奴隷攫いで死ぬ人も出ませんでした。(メリュジーヌならそもそも水だし、万が一傷を負っても水で回復できるので)