『予告状
本日未明。屋敷の一番の財宝をいただきに参ります
怪盗ルパン』
夜中ザントポート一の悪徳商家の屋敷に侵入し、厳重に保管されていた絵を強奪。
「この、泥棒!待ちやがれ!」
「待てと言われて待つ者は居ませんよ。後、私は泥棒ではなく怪盗です。怪盗ルパン。この名を覚えておいてください」
「結局物盗ってるんだから泥棒と何も変わりはしないだろうが!おい、逃がすな!」
「は!」
魔術に彩られる夜空のもと、ひらりと屋根に登り、空からさようなら。
「また会いましょう!」
「二度と来るな!」
『予告状
本日未明。屋敷の一番の輝きをいただきに参ります
怪盗ルパン』
同じ屋敷に侵入。保管されていた高そうな魔石強奪。その後屋根の一番上でスポットライト(自分で用意した)を浴びる。
「今宵はいい夜ですね。そうは思いませんかジェントルマン?」
「お前のような盗人が居なければな!何だお前!普通は日を空けるものじゃないのか!」
「そう言わずにどうです?この大きな魔石もこの月光のもとにあると輝きが増すとは思いませんか?」
「それも元々、儂ものだ!昨日盗んだものも含めて早く返せ!」
「では、また会いましょう」
「盗ったもの返して、二度と来るでない!」
『予告状
本日未明。伝来の書物をいただきに参ります
怪盗ルパン』
『予告状
本日未明。―――
怪盗ルパン』
『予告状
本日未明。―――
怪盗ルパン』
…………
毎日の様に屋敷に侵入して宝物をもらっていたら、悪徳商家の屋敷の宝がなくなったので、標的を変える。屋敷を探索していくなかで見つけた資料から分かった取り引き相手の中で人攫いをしているだろう組織や奴隷商、密輸組織に侵入することに。出来るだけ早く、聖獣を攫う組織の特定をしよう。お宝を貰いつつ。
うひょー!何かようわからん魔術書ゲット!……タイトルすら読めんのだけど何語よこれ。親友ペルギウスなら知ってるだろうか?今度持っていこう。
何だ、この人形?すっげえくねくねしてる。何モチーフ?……タコ?
ほー、凄い。日の下だと光らないけど、日陰だと光るのか……理屈は分からないけど綺麗だ。
そんな夜を過ごしていること数週間後。もうそろそろ、大森林が雨季になるということで
『予告状
本日未明。深き森の奥に住まう、救世の獣をいただきに参ります
怪盗ルパン』
この予告状を候補の組織七つにばら撒いた。
【この日は夜も更け、人々が眠りにつく筈であろう時間。ミリス大陸の北に位置する港ザントポートは昼と変わらぬ騒がしさであった。それは最近、人々の間で噂になっている黒髪の怪盗が原因である】
【その噂とは、何でも彼の者は貧者の味方であり、富者の敵。悪しきものを罰するために神が遣わした使者である。そういったこれまで宝物を奪われた悪徳業者を揶揄するものから、彼の仮面の下は整っているのだ、とか彼の者は天族か魔族であるといった容姿や種族を推察するものもある】
【で、何故人々が今日黒髪の怪盗に注目しているのかというと……】
「で、噂の怪盗は此処に来るかね?」
「さあ、どうでしょう?今回予告状が届いたのは全部で七箇所。此処を含めいずれも黒い噂の絶えない組織ではありますが……一つを除き他はブラフでしょう」
「まあ、さすがにそうか。数カ月間数々の屋敷から宝物を盗み出した怪盗様でも一夜にザントポート全域に散らばる屋敷に侵入することは無理だろうしな」
「距離の問題もありますが、煮え湯を飲まされて続けた方々が金とプライドをかけて私兵だけで無く、私達傭兵や冒険者を雇っていますから噂の怪盗の天下は終わりですよ」
「ルパン様ー!」
「今日はルパン様一番の活躍を見れるはずよ!なんて言っても七箇所に来てくれるのだもの!」
「族長」
「何だ?聖獣様の行方が分かったのか?」
「いえ、行方は未だに分からないのですが……。聖獣様の事を狙っている輩のことがわかりました。奴の名はルパン。最近ザントポートで名を上げている怪盗です」
【そうして、人々それぞれの思いで怪盗ルパンの事を狙っていたその時。予告状の届いた六箇所の上空がスポットライトで照らされ、その全てに怪盗ルパンが現れる】
「レディースアーンジェントルーメーン。こんなに大勢の方の姿が見えるのは初めてですね。今宵のショー楽しみにしていただけているようで」
「ルパンだ!ルパンが現れたぞ!」
「打て打て、打てぇー!今回は、今回こそはあやつを殺すのだぁー!」「金を払った分の働きはしろよ!愚民ども!」「我が財に傷がついてみろその時は報酬をなしにするからな!」
【狙ってくださいと言わんばかりにスポットライトで照らされているため、六箇所に現れたのにきちんと集中砲火を浴びる事となる外目から見ると花火のように夜空が照らされている。とはいえそれらの攻撃は一つも的中すること無く、意味をなしていない。晴れた土煙の中から無傷の怪盗が優雅に地上に降り立ち……】
「おや、熱烈な歓迎ありがとうございます。ですが、すみませんプレゼントは事務所を通してください」
「お前にやるのは、地獄への切符だけだ!!!」
「おや、手厳しい」
【それからは六箇所で様相は異なる。例えば、大規模な私兵を抱えていた大商会では怪盗による魔術に翻弄され捕らえることが出来ずに扱っていた商品や書類がばら撒かれ市民に盗まれてしまっている】
「ほらほらキチンと私の方を見ないと当てられるものも当たりませんよ」
「クソッ!何処だ!!!」「何よ、このキラキラした幕は全然見えないわよ!」
「お気に召しませんか?あぁ、その幕には触れない方が良いですよ。上級以上の魔術なので」
「盗るな!盗るな!金払え!儂の商品じゃぞ!お前ら買おうと思うても買えんものなんじゃぞ!」
「怪盗様々だな!ヒャッホー!」「ねえ、見てこの魔石とても綺麗」「こっちの洋服私にどう?似合ってるわよね?」
「おい!お前ら顔覚えたからな!絶対に金払ってもらうからなーー!」
「旦那、まずはこの書類についての話を聞こうか?」
「な、何じゃ憲兵早くあやつらを捕まえろ!……そ、それは!?」
「アンタの裏取引の書類さ。さぁ今夜は寝られないな俺もアンタも、この町皆がだ」
【その他5つの場所でも名のある傭兵、冒険者が居たが結局怪盗を捕らえることが出来ずに翻弄され、これまでの悪事が暴かれる事となった。そして、スポットライト当たっていない最後の一人の怪盗は港の波止場にあるとある倉庫にいた……】
さて、合言葉はあっているのかな?
「よう、スティーブ。渚のジェーンは元気かい?」
「ついてこい」
やっとザントポートでやりたかった事が出来そうだ。聖獣様は俺に懐いてくれるのかね?
今回俺は陽動として六人の怪盗を町にばら撒いた。いずれも魔術で作った俺のマネキンを遠隔操作しているだけ、流石に分身はまだ出来ない。いずれ出来るようになりたいとは思ってるけど。
倉庫の奥に足を向けた案内人に続く。倉庫の奥には、人が五人ぐらい入りそうな大きな木箱。案内人はその中から松明を一本取り出し、箱を動かすと、下には階段があった。その先は湿った空気からして地下洞窟か下水道か?下水道はやだな絶対臭いもん。
じめじめとした洞窟を歩く事およそ1時間遂に洞窟を抜けると、森の中に出た。つまりは町の外そりゃあ町中を探しても密輸品が見つからないわけだ。
そこからまたしばらく歩くと、木々に隠れるように、一軒の大きな建物があった。 倉庫らしくない見た目で、金持ちの別荘と言った方が近い。あれが保管場所か。
「わかっていると思うが、ここの事は他言するな。他言すれば……」
「うーん。どうしようかな?まあとりあえず君はもう用済みだ。そこらで寝といて」
「なっ!――……んっゔぅ」
さぁ、服を着替えてザントポート最後の大泥棒の始まりだ。
「レディースアーンジェントルメーン!今宵の月はとても綺麗だ。ですのでそんな暗いところで引きこもらずに外に出よう!」
こんな屋敷なんて吹っ飛んでしまえ!……アレ?建物の中に捕らえられている人なんて一人もいないな。怪しい奴らしかいない。見当違いの家ぶち壊したのか?んー?あー、地下に幽閉されているのか。
そんじゃ、失礼しまーす。
まずは聖獣様以外をどうにかしようかな。幼獣とはいえ聖獣だし一匹でもしばらくは大丈夫だろ。
そうして見つけたその部屋は暗かった。暗闇の中で、全裸の少年少女が不安げな顔で身をよじっていた。 それぞれ違った獣耳をしている。つまり別々の集落から攫われたのだろう。……やっぱりコイツら殺すか? 子供ばかりが七名。少女が四名、少年が三名。歳は俺と同じもしくはその前後。
全員が全裸+手錠+猿轡+獣耳orエルフ耳。 全員が後ろ手に手錠を掛けられ、身を縮こませている。手錠猿轡を破壊。それから回復魔術をかけたり、魔術で服を作って着させていると、
「あ、あの……あなたは……?」
「君たちを助けに来たただの紳士さ。お嬢さん体は大丈夫かい?」
「うん、大丈夫。で、でもこんな事をしてお兄さんは大丈夫なの?」
「大丈夫だよ私は強いからね。さぁ、家に帰ろう」
子供達を倒壊した屋敷の敷地の外で待ってもらい聖獣様を助けに向かう。
……やっべー聖獣様吹き飛んでるわ。死んでないよな?