魔法至上世界の銃職人〜魔法が最強の世界で、魔法より強い銃を作って最強の戦士たちに提供したら、最強集団が出来上がってしまった〜 作:水葉わいん
「へへっ、遂に俺達の出番って訳か」
ルイは意気込むと、武器を手にする。
「クラインはどうする?」
「ん? 俺はいいかな。だって、普通に非戦闘職だし、こういうのは苦手なんだよ」
「わかった。なら、今回に関しちゃ俺達に任せてくれ。野盗ごとき俺達がとっちめてやるよ……!」
「そうか? なら、頼む」
「おう! じゃあ、行くぞ!」
ルイに続いて他の二人も馬車から飛び出していった。
そうして、俺は馬車の端で縮こまって戦いが終結するのを待っていたんだが――
「……案外、長いな」
数分経っても、剣戟の音は鳴り続けていた。
苦戦しているのだろうか。
俺は不思議に思って、窓の外を覗いてみた。
すると……外ではルイと野盗のリーダーらしき男が苛烈な戦いを繰り広げていた。
相手は随分の手慣れのようだ。
「大変そうだな……」
といっても、面倒ごとは嫌なので三人に任せるんだけどな。
途中までそのつもりだった。
しかし――
「ん? なんだ……? 火!?」
突然、野盗の一人が火の魔法を使い出したのだ。
火ということは……
「不味いっ! 荷台にある俺の銃が燃えるじゃないか……!」
銃には金属だけでなく木材も一部使っている。
もし、馬車に引火すれば……俺の銃は全焼……。
「それだけは絶対に許さん」
俺は腰に差していた一丁の魔銃を取り出す。
銃身はそこまで長くなく、いつも護身用に携帯している銃だ。
俺はそれを持って――馬車から飛び出した。
「な、なんだお前……っ!」
突然の俺の登場に火の魔法を使っていた野盗の一人が驚く。
「――馬車があるのに火を使うなぁぁぁぁッ!」
俺は無我夢中で、その野盗に銃をぶっ放した。
すると、ビリビリビリという雷撃音と共に野盗は膝から崩れ落ちる。
よしっ……これで俺の銃は守られた……!
しかし……このまま放置したら他の野盗も火の魔法を使い出すかもしれないしな……。
よし、ならば――
「ついでに全員、倒すか……!」
俺は銃を構え、もう一人の野盗めがけて銃をぶっ放した。
すると、同じく電撃によって膝から崩れ落ちていった。
この銃は雷撃銃だ。
射程距離はかなり短いが、相手を無力化するのには打ってつけなのである。
「なんだこいつ……! 一瞬で二人を倒しやがった……!」
すると、俺が一瞬で二人を無力化したのを見ていた野盗の一人が、俺めがけて魔法を放とうと詠唱を始めた。
なんだ、魔法か。
「――ちんたら魔法の詠唱してくれて助かるぜ」
そう言いながら、すぐに引き金を引く。
野盗は詠唱の途中で膝から崩れ落ちていった。
「んじゃあ、次は……」
俺は辺りを見渡すと……いつの間にかに、戦闘は終わっていた。
そして、三人が呆れた様子で俺を見つめていた。
ルイはため息をつくと、俺に話しかける。
「あのなぁ……銃一丁で馬車から飛び出して、三人も野盗を倒して、どこが非戦闘職だよ……」
「い、いやぁ、火の魔法を見たら銃が燃えるかもしれないと思って……いつの間にかに……」
「結局、動機は銃かよ……」
またしてもルイは呆れた様子でそう言うと――
「でも、ありがとよ。クラインが三人もやってくれたお陰でこっちも野盗の頭に集中できたからな」
「そりゃあ……どうも?」
とはいっても、俺は銃を守りたくて飛び出しただけなんだよなぁ……。
そう思いながら、俺たちは野盗たちの処分をし、また馬車に戻るのであった。
それからは野盗やモンスターに襲われることなく安全な旅が続き……三日が経過した。
――◇――◇――◇――
「ふぅ……ようやく着いたかぁ……」
俺は目的地の街に着き、大きな伸びをした。
流石に三日間の殆どを小さな馬車の中で座って過ごしていたから、開放感が凄い。
「クライン、ありがとうな。色々と話が聞けて面白かったぜ」
「ああ、ルイ」
この三日でわかったのだが、ルイは案外、悪い奴じゃなかった。
ただ……ルイは考えたことがすぐに口に出るみたいだった。
「じゃあ、俺は姫騎士とやらを探しにいくから」
「おう、ここでお別れだな」
そうして、俺はルイたちと別れ、姫騎士を探しに向かった。
えっと……姫騎士って奴は冒険者なんだよな。
じゃあ、冒険者ギルドに行けば居るかもしれない。
「そうと決まれば、まずは冒険者ギルドに向かうか」
しかし……ここで問題が発生した。
冒険者ギルドの馬車がわからないのである。
「くっ……こんなことなら、ルイに冒険者ギルドの場所を聞いておけば良かったな……」
仕方がない。
誰かに聞くか。
俺は通行人の中から、話しかけやすそうな人を探す。
その途中だった。
「……ん?」
通りかかった路地裏から物音がしたのだ。
思わず俺は振り向くと路地裏には――男に口を押さえられ、今にでも誘拐されそうな少女がいた。
「……うげっ」
振り返るんじゃなかった……。
俺は辺りを少し見渡す。
周りには……俺以外に助けようとする人はいない。
つまり、俺がここで見捨てれば、あの子は誘拐される――
「……俺、非戦闘職なんだけどなぁ……」
俺は腰から銃を抜き、路地裏へ歩みを進める。
「おい」
「あン? なんだ、てめェ……」
少女の口を押さえつけていた大柄の男は、俺を睨みつける。
反対に少女は涙目で懇願するように見つめてきていた。
「その子のこと、離してくれませんか?」
俺は魔銃を男に突きつけた。
「っ……へえ、魔銃如きで何ができるっつうんだ?」
ニタニタと笑みを浮かべ――男は少女を突き放し、俺に向かって拳を振り上げる。
「――ラッキ〜!」
俺は容赦無く引き金を引いた。
「あがッ……」
次の瞬間、電撃によって男は崩れ落ちていった。
「はぁ……この子を手放してくれて助かったぜ……」
お陰で少女へ感電する心配をしなくて良くなった。
所詮、魔銃だと侮ってくれたのが功を奏したのだ。
「さて……」
俺は地面に座り込み、震えている少女に視線を移す。
年齢は15歳くらいに見えた。
服装を見るに、孤児やスラムの子ではなく、それなりに裕福な家の子供だろう。
「君……家は? 送っていくよ」
「あ……え……」
少女は俺の顔を見つめて、表情を強張らせると――
「――うわああぁぁぁん!」
突然、泣き出した。
「へっ!? ど、どうした……」
俺って、そんなに怖い顔してたのか……?
それとも、緊張の糸が切れて、泣き出したのか……。
「うーん……どうしよう……」
俺が頭を抱えていると――
突然、背後から嫌な気配を感じた。
なんだこれ……? 殺気……?
それも背中がピリピリするくらいの強大な殺気だ……。
「誰だ?」
俺は銃を構えながら、振りかった。
……が、背後には誰もいない。
俺は不思議に思い、無意識に瞬きをした。
――その瞬間。
「がふっ……」
誰かの膝が俺の
思わず視線を上げると――俺のすぐ目の前には、いつの間にかに白銀の鎧に身を包み、剣を腰に差した銀髪の女性が立っていた。
それが、意識が途切れる前に見た最後の景色だった。