バイトが忙しくて帰ってきたらバタンキューな毎日です(泣)
ではどうぞ!
深雪の答辞は、予想した通り見事なものだった。
この程度のことで友人が躓くなどと、土御門は微塵も考えていなかったが。
「皆等しく」とか「一丸となって」とか「魔法以外にも」とか「総合的に」とか、結構際どいフレーズが盛りだくさんであったが、それらを上手く建前でくるみ、棘を一切感じさせなかった。
その態度は堂々としていながら初々しく慎ましく、本人の並外れて可憐な美貌と相乗して、新入生・上級生の区別なく、男たちのハートを鷲掴みだった。・・・一人を除いて。
深雪の身辺は、明日から、さぞかし賑やかだろう、と土御門はまるで他人事のように思った。
それはまた、いつものことだ。
土御門と達也と深雪は中学の頃から一緒の学校に通っていた。
その頃から深雪の美貌に惹かれた男やたまに女生徒が、常に深雪を取り巻いていた。
(この様子だと、高校でも変わらなそうだにゃ~)
とのんきに思っていると、
「美人ですね、司波さん」
土御門が深雪を眺めていたのを勘違いしたのか、結がジト目で見てくる。
「あ〜、確かに美人だな。でも結ちゃんも負けてないにゃー」
「なっ、何を馬鹿な、はぐらかそうとしたって無駄です。土御門君は実際に司波さんに見蕩れていましたよね?」
「んー、みとれてたって言うより眺めてたの方が近いにゃー、つか中学一緒だったから慣れちまったぜぃ」
「あ、そうだったんですか。す、すいません。」
「別に気にしてないからいいぜぃ。ま、実際会場の男共の視線は深雪に釘付けだしな。」
「と、ところで土御門君は何組でした?」
照れ隠しで話を変えたのはバレバレである。
「ん?A組だが」
「本当ですか私もA組です!」
「おぉ~、とりあえず1年間よろしくだぜぃ」
「はい!ところでホームルームに行ってみませんか?」
結が土御門の顔を見上げてそう訊ねた。
古い伝統を守り続けている一部の学校を除いて、今の高校に担任教師という制度はない。
事務連絡にいちいち人手を使う必要はなく、そんな人件費の無駄使いをする余裕のあるところも少なく、全て学内ネットに接続した端末配信で済まされる。
個別指導も、実技の指導でなければ、余程のことでない限り情報端末が使用される。それ以上のケアが必要なら、専門資格を持つ複数多分野のカウンセラーが学校には必ず配置されている。
では何故ホームルームが必要かというと、実技や実験の授業の都合だ。実技や実験を時間内に終わらせ、かつ余剰時間を作らないようにするためには、人数を一定のレベルに保つ必要がある、ということだ。(それでも居残りは日常的にも発生してしまうのだが)
それに、自分用の決まった端末があった方が、何かと利便性が高いという理由もある。どんな背景があるにせよ、一つの部屋で過ごす時間が長ければ、自然と交流が深まる。
担任制度が無くなることで、クラスメイトの結びつきはむしろ強くなる傾向にあった。
なにはともあれ、新しい友人を作るのならばホームルームへ行くのが手っ取り早い。が、土御門は結の誘いに頭をふった。
「悪いな、友達と待ち合わせてるんだ」
先程達也に「式が終わったら深雪とご飯食べに行くんだが来ないか?」と誘われていたのだ。
「あ、そうなんですか」
目に見えて元気がなくなった結に土御門は
「結ちゃんも来るかにゃー?」
結はこの誘いを受けて悩んでいた。
(土御門君は悪い人じゃないってわかるんだけど・・・見た目不良だし、土御門君の友達も不良なのかな・・・。)
「ん?女の子もいるから安心してくれ」
「ん?女の子で友達?ってことは、新入生総代の司波さんですか?」
「へぇ・・・よくわかったな。」
土御門は素直にこの羽衣結という少女に感心していた。
(先程のくだらない会話を覚えていて、そこから答えを導き出したのか、頭の回転が早いのか、まぁバカではないな。・・・バカといえば青ピが懐かしいにゃ~、あいつ今どうしてるんだろうか・・・入学式か。)
と、少々現実逃避的なことをしていると
「待ち合わせしているのなら早く行ったほうがいいのでは?」
「そうだな、じゃあ行くか」
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