魔法少女リリカルなのはEXCEEDS〜RAVEN and DRAGON STRIVE〜   作:ΣiGMA

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第一章のタイトルを変更しました


機内にて〈鴉視点〉

 遠くの方で複数の落雷が発生するのを見ながら、俺は周囲の警戒にあたっていた。

 

 俺達を追っていた飛行型禍憑の一部は俺が屠り、残る禍憑達もあの二人によって今頃討伐されている頃だろう。

 

 そう思っていると不意に機体を叩く音が聞こえ、顔を向けてみれば一人の女性が窓から身を乗り出しこちらに手を振っていた。

 

 

『危ないから中に戻った方が良いぞ?』

 

「いや、もう安全そうやし、せっかくなら中にどうぞと思ってな」

 

『ふむ……周囲に他の禍憑の気配は感じないし、ここはお言葉に甘えるとするかな』

 

 

 そうして俺は女性が開けてくれていたドアから中へと乗り込む。

 

 中では数人の女性がこちらに向けて頭を下げていた。

 

 

「守ってくれてありがとな?それにしても一瞬であの巨体を燃やすなんて凄いわぁ」

 

『〝灼火炎獄(シュラジュ・ジュヴァラ)〟は本気を出せば太陽以上の高温を出す事が出来るからな。雷系統の法術はそれ以上に強力ではあるが、使うとこの機体にまで影響を与えかねん。よって今回はそちらの方を使った迄だ』

 

「流石は人類最強の討伐師やな」

 

『ほぅ……俺を知っていたとは驚きだ』

 

「ある程度の事前情報は入手済みや。協力をするのやからそれくらいの事は当然やね」

 

『確かにそれもそうだな。挨拶が遅れた、メディウス・ロクス連邦所属の国家討伐師の鴉だ』

 

「初めまして、国連災害対策本部危険生物調査機関EXCEEDS総督の八神はやてや。これから宜しゅう頼みます」

 

『八神はやてか……覚えた。それで八神総督、別に本来の姿に戻っても良いと思うのだが(・・・・・・・・・・・・・・・・・)?』

 

 

 俺がそう告げると、八神総督は驚いた様子で目を見開いてこちらを見ていた。

 

 

「な、なんで分かったんですか……?」

 

 

 どうして彼女の姿が本当の姿では無いのが分かったのか……それは俺の〝眼〟が特殊である事に他ならない。

 

 

『ここだけの話だが、俺の眼はちょいと特殊でね。対象の本質を見抜く力がある。まぁこれに目覚めたのは割と最近の話ではあるんだが……』

 

「そやったんですか……それなら……今だけはそうさせて頂きます」

 

 

 八神総督はそう言うと本来の姿へと戻った。

 

 その姿は俺の眼で見ていた通り、高町なのは達と変わらない少女の姿であった。

 

 

『やはりその容姿のままだと、組織の長として説得に欠けるか』

 

「そうですね……だからいつもはあの姿でおるんですよ」

 

『いつの世もどのような世界でも見た目で判断する輩がいるものだな。全く……〝人は見た目によらぬ〟という言葉を知らぬのか』

 

「あはは……私も本当にそう思います」

 

『ふむ……本来の姿を確認出来たのでな、またあの姿になって貰って構わない。そろそろ到着する頃合だろうし、その姿のままではやはり説得に欠けるだろうよ。しかしひとつ忠告するならば総統閣下に対してもそれは通じぬと心して置いた方が良い。あの人はそれこそ俺のような眼は持たずとも、それを見抜くだけの実力があるからな』

 

「はい、心に留めて起きます」

 

 

 八神総督はそう言うとまたあの姿へと変わる。

 

 

『よく見れば人ならざる者達ばかりだが、それでも信頼を置くに相応しい者達なのだろうな。お前さん達もこれから宜しく頼む』

 

 

 俺がそう告げると、他の者達もまた頷いて了承した。

 

 そのタイミングで窓を叩く音が聞こえ、見ればそこには高町なのはとフェイト・テスタロッサ・ハラオウンの姿があった。

 

 二人もまたドアを開けて中へと入り、八神総督達との再会を喜んでいた。

 

 

『どうやら無事に魔法は通じたようだな?』

 

「はい。これで私達も心置き無く戦えます」

 

 

 俺の言葉にフェイト殿がそう答える。

 

 まだ幼い身でなんと力強い眼差しを向けることか……。

 

 

『そう言えば八神総督殿。我らが総統閣下がお前さんが到着次第、学園での講演をお願いしたいと話していた。その辺り話を受けるだろうが、もしそうなった場合可能か?』

 

 

 ふと彼女達が来る前に総統閣下が話していた事を思い出し八神総督にそう訊ねる。

 

 八神総督はキョトンとしていたが直ぐに頷いて了承した。

 

 

「必要とあれば是非」

 

『そう言って頂けるとありがたい。ついでに高町殿達も同席を求められるだろうが……どうだろうか?』

 

「私達も大丈夫ですよ〜♪︎」

 

「私も同じく」

 

『うむそれは重畳。総統閣下も喜ばられる事だろう』

 

「鴉さんは同席しないんですか?」

 

 

 不意に高町なのはからそう訊ねられ、俺は思わず顔を背ける。

 

 

「鴉さん?」

 

『俺は……行けば騒ぎになるだろうから同席は無理だな』

 

「騒ぎ?」

 

『ダリル殿から聞かされたのだが、どうやら巷には俺のファン倶楽部なるものが存在しているらしい。学園にもその会員がいるらしく、よって俺が来たとなれば騒ぎが起こるのは必然だと言うことだ。正直、俺はそういった騒がしいのはあまり苦手でな』

 

『残念ながらその際はお主にも当然同席してもらう事になるぞ』

 

 

 突然聞こえてきた総統閣下の声に思わず身体が反応する。

 

 

『総統閣下?』

 

『うむ、状況確認の為に通話を繋げてみたら丁度その辺りの話が聞こえてきたのでな。思わず声をかけるのを忘れて聞き入ってしまった。許せ。いや許さなくとも無理矢理許させるがな。それよりもこの通話をスピーカーモードにしろ。我もそこにいるであろう八神はやて総督と話がしたい』

 

 

 有無を言わさぬこの物言い……本当にこの人はどうにも仕方の無い人だ。

 

 俺は言われた通りスピーカーモードにすると、インカムを外して手のひらに置く。

 

 

『あーあー、聞こえるか八神はやて総督?』

 

「はい、聞こえとります。初めましてですね、リサンデラ・ギルナスティス総統閣下」

 

『うむ、しっかりと総統閣下と付ける辺り、そこのサイドポニーの小娘とは違うな』

 

 

 総統閣下の言葉に全員が一斉に高町なのはへと顔を向け、高町なのはは〝あはは〜〟と乾いた笑いを溢しながら視線を明後日の方向へと向けていた。

 

 

『コホン……先程、鴉が話していた通り貴殿には学園での講演会をお願いしたい、という話は今はさて置き、到着早々に巨獣に襲われるとは災難であったな』

 

「はい……事前情報として巨獣に関するデータも確認しておりましたが、まさかあれ程の大きさとは思っておりませんでした」

 

『そうであろうな。あれ程の大きさの巨獣を見たのは我としても久しいものであった。かつてのリノ・ギガスを超えるほどの大きさであった……なぁ、鴉よ?』

 

『……そうだな』

 

 

 思わずあの日の事を思い出してしまい、少し声音が変わってしまった俺。

 

 そんな様子の俺に八神総督達は疑問符を浮かべていたが、俺のことをダリル殿から聞いていたなのはとフェイトは悲痛な表情となっていた。

 

 だから二人が気に病むことでは無いと言っただろうに……。

 

 

『よって我々はあの巨獣に〝鯨飲の巨獣ファスティトカロン〟という名を付けた。かつて伝承で語られし全てを飲み込む巨大な鯨にあやかってだ。そもそもあの巨獣自体、鯨であったそうだしな』

 

『あの巨獣はどうも他の禍憑を捕食していなかった様子……しかし何処と無く航空機の容姿にも似ていたと思われるが……』

 

『その海域では度々旅客機が消息を絶つという事件が多発していた場所だ。きっとファスティトカロンめが飲み込んでおったからだろうよ』

 

『なるほど……だからあの姿か。まぁこちらは全員無事だし、目立った被害もなく、確認できる限りの全ての禍憑の討伐は完了した。もう少しで帰還する』

 

『良い働きだった。それでは到着を待っている。あぁそれと鴉よ』

 

『なんだ?』

 

『講演会の件、忘れるn────』

 

 

 総統閣下が言い終える前に通話を切る。

 

 高町なのは達が〝切っちゃって良かったのか〟という視線を向けて来たが、まぁ帰還後にまた性懲りも無く言ってくるだろうから大丈夫だろう。

 

 そうして合同庁舎の滑走路が見え始め、俺達を乗せた船は着陸態勢へと移行するのであった。

 

 ちなみに予想通り、到着するなり総統閣下から講演会の件と途中で通話を切った件で文句を言われたが、俺は右から左へと聞き流し、隊員寮の自室へと戻ったのだった。

 




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