魔法少女リリカルなのはEXCEEDS〜RAVEN and DRAGON STRIVE〜 作:ΣiGMA
これを励みにこれからも執筆頑張ります!
北部戦域────
メディウス・ロクス連邦北部の砦にて行われた禍憑氾濫の鎮圧作戦は後にそう呼ばれる事になる。
最初は禍憑の氾濫を沈める任務だと思われていたが、その最中に起きた〝不足の事態〟によりこの戦地は……否、この国は史上稀に見ない程の未曾有の危機を迎える事になる。
人類滅亡クラスの脅威を前に、景久達は果たして────
◇
〈アメリア視点〉
いよいよ禍憑氾濫に対する鎮圧作戦が今日行われる。
私達は首都を出て車に揺られて北部の街〝ガラン・ハイム〟へと到着した。
今回はここが首都と北部砦を繋ぐ補給地点であるらしく、私達が車を降りた時には街中にその為の拠点があらかた出来ていた。
「軍の人達がかなり居るね……」
「だって禍憑氾濫だよ?そりゃこんだけの人数は居て当然だって」
横に並んだミナはそう言いつつも、やはり少しだけその数に驚いてるような気がする。
(ここに兄様が……)
ニュースで兄様がこの北部に派遣される事が決まったと報道されていた。
それ程までに市民の兄様への信頼は厚い。
私としても兄様がいれば大丈夫だとは思っているけれど……。
(でも……なんだろう……何か胸騒ぎがする……)
禍憑が氾濫するという割には妙に静かである事もそうだけど、何処と無く空気そのものが異様な感じがするのは何故だろう。
例えばこの澄み渡った青空なのに、いきなり豹変して暴風雨が吹き荒れ始めてしまうかのような……そんな何とも言えない不安が私を襲う。
「リア……リアってば!」
「えっ?!あ、な、なに……?」
「〝なに?〟じゃないわよ!さっきから呼ばれてるのに全然反応しないんだもの……もしかして何処か体調が悪いの?」
「い、いや……ちょっと考え事しちゃって……」
「はぁ……しっかりしなさいよね?確かにこうして現地に来るのは初めてだから色々と不安とかあるけど、それでもうっかり荷物を落としたってなったら大変なんだからね?」
「うぅ……分かってるよぅ……」
「ならしゃんとしなさい。ほら、もう集合かかってんだからさっさと行くわよ」
「う、うん」
この胸騒ぎについては気になるけれど、確かにミナの言う通り今はそれを気にしていられる場合では無い。
そうして私がミナと共に集合している人達に合流したのだが、既に集まっていた人達から変に注目されてしまう。
(うぅ……視線が痛い……)
「なーんかボーッとしてたけどー、何かあったん?」
「あ、ちょっと考え事しちゃってて」
「何処か体調が優れないという訳では無いんですよね?」
「うん、昨夜もしっかり寝れてたから大丈夫」
「それは安心しました」
「コホン……それでは全員集まったようなので話を始めたいと思います」
兵士さんの咳払いで私達はお喋りを止めてそちらへと集中する。
「それではこれから皆さんにやって頂くことをご説明させて頂きます。皆さんには〝運搬組〟、〝配給組〟、そして〝補助組〟の三つに分かれてもらいます。運搬組は首都から届いた荷物を砦へと運ぶ輸送班、食事を作る糧食班、そして装備の管理等を行う補給班のそれぞれの所へ運んで頂きます。次に配給組は食事や軽食などを隊員達に配って頂きます。ちなみに人手が足りない時は調理のお手伝いもして頂くかもしれませんから、その時はお願いします。そして最後に補助組の役割は先程説明した運搬組と配給組の補助に回って頂きます。ここまでで何か質問等があれば是非」
「はい。男は基本的に運搬組に回った方が良いんですかね?」
「そうですね。運ばれてくる荷物の中には女性には重いものも御座いますから、男性の方は積極的にそちらに回った方が良いかもしれません。ですが女性の方でも力に自慢がある方はそちらに回って頂いても構いません」
その説明に私はどちらへ回るか悩む。
しかし兵士さんの次の一言でその悩みは無意味となった。
「あ、ちなみにそちらの学生さん達は補助組の方をお願いします」
「どうしてですか?」
「総統閣下より、まだ学ぶ事が多い時期なのだから補助組として色々とやらせた方が良いと言われておりまして。確かに総統閣下の言うことにも一理ありますから、なのでこれを機に補助組として方々お手伝いして頂いて色々と経験なさってみてください」
「そういう事でしたら分かりました」
私の質問に丁寧に答えてくれた兵士さんは他の参加市民達へ指示を出してゆく。
「それでは君達についてですが、丁度六人いますので半々に分かれましょうか?では君と君と君は運搬の方へ、残る三人は配給の方へ回ってください」
私はミナとキサラと一緒だった。
「うへー……運搬かー」
「まぁあたしらに重いもん運ばせたりはしないでしょ?」
「私は別に重いの平気なんだけど?」
「あんたは禍憑人で普通の人より力あるからでしょ」
「確かにそれはそうだけど……」
「とにかく怪我に気をつけてやろっか?特に腰をやらないように気をつけなさいよ二人共」
「なるべく小さいものだけ持つようにしよーっと」
そうして運搬組へと合流し、それぞれの運び先へと荷物を運んでゆく私達三人。
ちなみにキサラは小さい箱を運ぼうとしていたのだが、意外にも中の荷物は相当重かったらしく、その小さな箱の前で腰を抑えて悶絶している光景を目撃……それを見て私とミナは互いに顔を見合せながら揃って苦笑するのだった。
〈余談〉
「大丈夫、キサラ?」
「あーしの腰は頑丈ではなかった……」
「箱に〝車用バッテリー2個入り〟って書いてあんの気付かなかったの?」
「そこに書いてあることは重要では無い……あーしにとって重要なのは箱が大きいか小さいかだけなのさー」
「馬鹿じゃないの?」