魔法少女リリカルなのはEXCEEDS〜RAVEN and DRAGON STRIVE〜   作:ΣiGMA

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この回から、なのは達登場です
\( ´・ω・`)┐しゅたっ


メディウス・ロクス連邦へ〈なのは視点〉

 長い次元航行を終えて、この私、高町なのはとフェイトちゃんはアルトランディアという世界にある国の一つ、〝メディウス・ロクス連邦〟へと降り立った。

 

 メディウス・ロクス連邦は幾つもある大陸の中で最も大きな大陸〝セントリア大陸〟のほぼ中心にある大国で、そして最も〝禍憑〟と呼ばれる危険な存在が多くいる国でもある。

 

 そのあまりの多さに連日国内のそこかしこで禍憑討伐が行われていて、その事からメディウス・ロクス連邦は他の国から〝禍憑戦域〟とも呼ばれているみたい。

 

 

「ついに着いたねフェイトちゃん」

 

「そうだねなのは。ここからは気を引き締めて行かないと」

 

「うん、降りた瞬間に禍憑と戦闘になるとなってもおかしくない状況だって、はやてちゃんも言ってたしね」

 

 

 そもそもここに来る事になったのは、この世界から協力要請が来たから。

 

 なんでもここ最近で禍憑が現れる数が莫大に増えているらしくて、未だにその理由が分かってないんだって。

 

 だから私達が所属している国連災害対策本部危険生物調査機関EXCEEDSに白羽の矢が立ったんだよね。

 

 

「はやても後から合流するみたいだし、先ずは機関のトップに挨拶に行かないと」

 

「優しい人だと良いね」

 

「聞いた話だととても厳しくて怖い人みたいだよ?」

 

「えぇ〜……なんだか会うの嫌になってきちゃったなぁ……」

 

「いえいえ、閣下は意外と話の分かる優しい方ですよ?」

 

「ひゃあっ?!」

 

 

 フェイトちゃんと話しながら次元航行機から降りたら、突然そう声をかけられて思わず悲鳴を上げちゃった。

 

 見ればそこには渋めのおじさんがいて、こちらに向かって深々と頭を下げてきた。

 

 

「お初にお目にかかります。本日よりあなた方のサポート役をする事になりましたダリル・エドウィンと申します。本来の役職は総統補佐ではありますが」

 

 

 なんとこの男性はすごく偉い人だった。

 

 そんな方にサポートして貰うことに思わず緊張してしまう。

 

 

「ははは、そう緊張なさらずに。それにしても今回は協力して下さり誠にありがとうございます」

 

「いえ、これが我々の仕事ですから」

 

「いいえ、まだその歳で危険な仕事を数々行ってきたと聞いております。誠に尊敬に値します」

 

「そう言って頂きありがとうございます。それより、そう畏まらずに私達には砕けて頂いても宜しいのですよ?」

 

「お気になさらず、どのような方にも丁寧に、そして敬い接するというのが私の信条ですので。それに閣下は常に傲岸不遜で御座いますから、私くらいはこのようにしないと相手を怒らせてしまいかねませんので」

 

 

 そう言って苦笑するダリルさん……どうやら相当な苦労人みたい。

 

 なんだかリインさんと話が合いそうな気がするなぁ。

 

 

「さて、立ち話もなんですから中へご案内いたします。それにいくらメディウス・ロクスの中心地といえど、全く安全という訳ではありませんからね」

 

「そうですね。禍憑は不意に現れるものだと聞き及んでおりますし」

 

「どうして現れるのか?いったいどのようにして現れるのか?そのメカニズムもまだ分かっていないんでしたっけ?」

 

「そうなのです。なので今は平穏に見えているこの地でも、一瞬にして禍憑に蹂躙される地獄と豹変する可能性もあるのですよ」

 

 

 そんな話をしていたからなのか、急に周囲が慌ただしくなり、待機していた兵士さん達が一斉に私達の周りを囲んだ。

 

 

「どうしましたか?」

 

「総統補佐、お逃げ下さい!飛行型の禍憑です!」

 

「なんですって?!」

 

 

 兵士さんの言葉にダリルさんが空を見上げ、それに続いて私達も空を見上げると、そこには翼を生やした異形とも言うべき存在がこちらへと向かって飛んできていた。

 

 

「もしかして……私達の次元渡航機が原因ですかね?」

 

「必ずしもそうだとは言いきれませんが、可能性の一つとは言えるでしょうね。さて、お二人とも中に退避しますよ」

 

「兵士さん達は?」

 

「彼らは常日頃から訓練を受けております。私達を逃がしたあと、彼らもまた無理せず避難をしますよ」

 

「それではこちらで────」

 

 

 退避を開始した私達を案内しようと先頭に立った兵士さんの姿が一瞬で消えた。

 

 そして直後に頭上から悲鳴が聞こえ、見れば先程の兵士さんはあの翼を生やした異形に捕まれ連れさられていた。

 

 兵士さんは何やら叫びながらライフルで異形を撃つけれど、異形には全く効いていない様子だった。

 

 そうしている間に異形は敷地内にある建物の避雷針の上へと来ると、そこに兵士さんを突き刺した。

 

 

「「……っ!」」

 

 

 その光景に私とフェイトちゃんは揃って言葉を失う。

 

 そして隣にいたダリルさんは小さくこう呟いていた。

 

 

「なるほど……百舌鳥の禍憑ですか」

 

「あれが……禍憑……」

 

「禍憑の説明は後です。先ずは退避を────いえ……その必要は無くなりましたね」

 

 

 不意にダリルさんが言葉を変えてそう話す。

 

 どうしてなのかと不思議に思っていると、先程まで晴れていた空に徐々に重く暗い雲が現れ始め、数秒と経たないうちに空一面を覆った。

 

 

「〝鴉〟殿だ……〝鴉〟殿が来たぞ!」

 

「鴉……?」

 

 

 兵士さんの言葉に首を傾げると、空を見上げていたダリルさんが頼もしそうな人が来た安心感のような表情を浮かべながらこう言った。

 

 

「〝鴉〟……この国に数少ない特級討伐師の一人にして、人類最強とまで言われた人物でもあります。ふむ……この天気の変わりようからしてアレをするつもりでしょう。二人とも、急いでこちらを装着して下さい」

 

 

 ダリルさんはそう言いながら兵士さんから受け取った物を私達に手渡してくる。

 

 それはサングラスと耳栓だった。

 

 

「これは……?」

 

「急いで装着して下さい。後でちゃんと説明……いえ、見た方が早いですね」

 

 

 そう言いながら自身もサングラスと耳栓を着けるダリルさん。

 

 私達も困惑しながらそれらを装着すると、そのタイミングで雲に稲妻が走り始め、そして次の瞬間には一筋の巨大な落雷が激しい光と轟音を鳴らしながら空を飛んでいた禍憑に直撃した。

 

 サングラスをつけていても周囲が真っ白に染まり、耳栓をつけていても僅かに音が聞こえてくる程だから、直接見たり聞いたりしていたらきっと目が潰れて鼓膜が破けてたかもしれない。

 

 暫くして音と光が止んだあとにダリルさんはサングラスと耳栓をしながら話を始めた。

 

 

「いやぁ……何度見ても彼の〝轟天神雷(シャクラ・ヴァジュラ)〟は凄いものですね。先程の禍憑が一瞬で消し炭になりました」

 

「うそぉ……?」

 

「ほ、ほんとに……?」

 

 

 ダリルさんの言葉に私とフェイトちゃんは思わずそう口にしてしまう。

 

 あの禍憑は中々の大きさだった。

 

 事前に貰った資料に記されている〝巨獣〟程ではなかったにしろ、それでもゾウさんくらいの大きさはあった。

 

 

「いやはやオーバーキルな気もしますけどね」

 

「まぁ彼なりに手加減はしていたのでは無いですか?本気でアレを撃っていたら、今頃地面に大穴とまではいかぬものの、巨大なクレーターくらいは出来ていたでしょうし」

 

「確かにそれもそうですな……と、噂をすれば何とやら、英雄様がお越しになられましたよ」

 

 

 兵士さんがそう話す先、私達の目の前に一つの人影が落ちてきた。

 

 このままでは地面に激突してとてもお見せできるものではなくなってしまいそうな速度で落ちてきたその人影は、私達の前に見事に着地をすると、スっと立ち上がってダリルさんに声をかけてきた。

 

 

『危ういところだったな?犠牲者は?』

 

 

 ボイスチェンジャーかな?

 

 機械的な声でそう話すその人は黒一色の戦闘服を着用していて、帽子から覗く顔にはこれまた黒色のカラスの顔のような仮面を付けていた。

 

 

「一人犠牲になりました……彼の遺体は直ぐに回収し、遺族に還すように致します」

 

『そうか……もう少し来るのが早ければ救えた命だった』

 

「貴方も一人の人間です。出来ることに限りがあります。誰も貴方を責めはしないでしょう。それに犠牲者を一人に抑えることが出来たのは貴方のお陰ですから」

 

『そう言ってくれると、少しだけ救われるよ。それよりそちらの二人は?』

 

「こちらは本日より我々に協力してくれる事になったEXCEEDSのお二人です」

 

「高町なのはです」

 

「フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

 

『初めまして。俺は鴉……メディウス・ロクス連邦所属の国家討伐師だ、宜しく』

 

 

 そう言って手を差し伸べる鴉さん。

 

 私達は順に彼と握手を交したのだが、どことなく私達を見る鴉さんの目が何かを懐かしんでるように思えた。

 

 仮面着けてるからそんな感じがしたってだけだけど。

 

 

「それでは総統閣下の元へと向かいましょうか?鴉殿はどうされますか?」

 

『俺はこれから任務に向かうところでな。その矢先に襲われているのを見かけたので対処しただけだ』

 

「なるほど、それではお気を付けて」

 

『了解だ。それでは二人とも、次の機会にはゆっくり話でも出来ればと思う』

 

「はい、楽しみにしてます♪︎」

 

 

 私の言葉に鴉さんは頷くと、一瞬で私達の前から姿を消した。

 

 

「き、消えた……」

 

「あれは彼にしか使えぬ瞬間移動の法術、〝神出鬼没(ジャーナ・クシャナ)〟ですね」

 

「あの人にしか使えないんですか?」

 

「そうですね。数多の法術使いが会得を夢見て修行をしますが、未だ本当の意味で成功したのは彼しかおりません」

 

「凄い人なんですね」

 

「そうですね。なにせ昇格するまでに10年はかかると言われた特級討伐師の等級をたったの二年で至った人ですから」

 

「ほ、本当に凄い人なんですね……」

 

 

 改めて鴉さんの凄さを実感しつつ、私達はダリルさんに連れられ国際禍憑対策委員会及び国際討伐師協会の合同庁舎の中へと入った。

 

 中では職員さん達が慌ただしく動き回っていて、至る所から〝データが!〟とか〝電源が復旧してないところは〟とか聞こえてくる。

 

 いや待って……これ、きっとさっきの鴉さんの雷で庁舎に影響が出てる事による騒ぎだよね?

 

 

「やれやれ……まさかとは思いましたが、やはりこうなってましたか」

 

「知ってたんですか?」

 

「あれだけの落雷ですからね。何も影響が出てないはずがありませんよ。まぁそのお陰で危険に見舞われずに済んでいるのですから彼を責められませんよ。命あっての物種と言うやつです」

 

「あはは……そう言われると……確かに?」

 

 

 ダリルさんの言葉に苦笑しつつ先をゆくと、ダリルさんはそこにあったエレベーターの上昇ボタンを押す。

 

 するとお馴染みの音と共にそのドアが開いた。

 

 

「エレベーターは影響を受けていないんですね?」

 

 

 フェイトちゃんがそう質問をすると、ダリルさんは頷いてそれを肯定する。

 

 

「予備電源が御座いますから。それにエレベーターが使えなくなると最上階にいる総統閣下が閉じ込められてしまいますし」

 

「なんで最上階に執務室を置いたんですか?」

 

「そうすればそこからメディウス・ロクスを見渡せるから、騒ぎが起これば直ぐに分かるという理由です」

 

「一番高いところに部屋を構えるのは偉い人の象徴だ〜みたいな理由じゃなかったんですね」

 

「……それもあるでしょうね」

 

 

 そこは否定して欲しかったところだけど、まあ傲岸不遜な人らしいし、そういう理由もあったのかもしれない。

 

 そうしてエレベーターに乗って最上階へと到着した私達が執務室へと入ると、そこには数人の職員さん達に激を飛ばす女の人の姿があった。

 

 

「あそこにいるのが総統閣下です。その前にいる方々かは委員会や協会の重役達ですね」

 

 

 そう説明を受けながら見つめる先では、総統さんを前に完全に萎縮してしまってる重役さん達の姿があった。

 

 これだけでもどんな力関係か分かっちゃうなぁ……。

 

 

「先程も言ったであろう!現場にリソースをさけばさくほど状況改善に大きく貢献するのだと!」

「なに?内部勤務への経費を増やして欲しいだと?馬鹿者!中でパソコンと睨めっこしているだけの連中にこれ以上経費を増やして何になる!そんな金があったら現場職に差し入れの一つでもくれてやった方がまだ有意義であろうよ!」

「休日出勤を増やしたと言ったな?貴様、休日というのがどれ程ありがたい事なのか分からぬ愚物か!休日があるからこそ人は頑張れるのだ!わざわざ疲労を取る日を減らすな愚か者めが!」

「服装を統一して欲しいとな?貴様、今はうだるような暑さが続く時期だと知ってそう言っておるのか?ならばその湧いた頭を冷水に突っ込んで出直して来い!そして職員達に告げるよ良い。熱中症で身体をやられては元も子もない。よって夏場の服装は涼しければ何でも良いとな!」

「貴様らの古く凝り固まった固定観念を押し付けて来るのはやめよ!今一度何を優先すべきか考えて出直して来るが良い!」

 

 

 そうして重役さん達は両肩を落としながらゾロゾロとエレベーターに乗り込んで行った。

 

 かなり憔悴しきっていたので、見ているこっちが可哀想に思えてしまうくらいだった。

 

 

「む、来たか?ダリル、後で鴉めに伝えておけ!次にアレを撃つ際は事前に報せよとな!毎度毎度電気系統がやられて騒ぎになるのは勘弁願いたいところだからな!」

 

「はい、しっかりと伝えさせて頂きます。実は内心では感謝している旨もしっかりとね」

 

「そこは伝えんで宜しい!それよりもその小娘共が例の人員か?」

 

「こ、小娘……」

 

 

 総統さんの酷い言い草に思わず表情が引きつってしまう。

 

 けれど総統さんはそんな私達に構わず挨拶を始めた。

 

 

「初めましてになるな。我はリサンデラ・ギルナス。国際禍憑対策委員会及び国際討伐師協会の総統である」

 

「え、EXCEEDS所属の高町なのはです」

 

「同じくフェイト・テスタロッサ・ハラオウンです」

 

「うむ。今回協力して貰う上でこの世界とそして蔓延る輩共について我自ら説明したい気持ちは山々なのだが、生憎と我は今急がしい身である故な……その辺の説明はダリルに任せる。という事で挨拶も済んだのでさっさと退室すると良い」

 

「え、えと……」

 

「ダリル、その二人を会議室へと連れて行き、諸々の説明をしてやるが良い。任せたぞ」

 

「はい、かしこまりました。それではお二人とも行きましょう」

 

「え?あ、はい……」

 

「そ、それでは失礼します?」

 

 

 困惑のまま、またダリルさんに連れられるように執務室を後にする私とフェイトちゃん。

 

 すると踵を返したその背後から総統……リサンデラさんのこんな言葉が聞こえてきた。

 

 

「この度の協力誠に感謝する、次元世界の魔導士達よ。しかと励むが良い。我々も貴殿らへの協力は惜しまぬ故な」

 

 

 その言葉に思わず私とフェイトちゃんは振り返るけれど、リサンデラさんはそんな私達に顔を向けることなく目の前の書類に目を通していた。

 

 そしてエレベーターに乗った後にダリルさんから一言。

 

 

「あぁ見えて、本当に心から感謝しているのですよ彼女は。ただ面と向かって素直にそれを伝えられない不器用な性格ですけれどね」

 

「クス……なんだか分かるような気がします」

 

「そう言って頂けると幸いです」

 

 

 そうしてエレベーターが着いた先、その階の数ある会議室の中で〝小会議室〟と書かれた札が貼られている部屋に私とフェイトちゃんは通される。

 

 そしてダリルさんはパソコン等を準備してから部屋の電気を消すと、プロジェクターを起動して私達の前に画像を映し出した。

 

 

「すみませんね。あなた方のようにこれらを使わずに映像などを出せれば良いのですが、未だにそれ程の技術が無いのですよ」

 

「大丈夫ですよ。私もフェイトちゃんもそういうのが無い世界で生活してましたから」

 

「ありがとうございます。それでは説明を始めることに致しましょう」

 

 

 こうして私達はこの世界についてと、そしてこの世界が直面している危機についてダリルさんから説明を受けるのであった。

 

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