チート悪転生トレーナー「お前らさぁ、いい加減卒業してくんない!?」 作:弥栄実
やっべ、予約投稿忘れてた。
「邪魔するでー」
「おや、モルモット2号くんじゃないか。カフェに何か用かい?悪いが今カフェはいないよ」
「んげっ、ここにくる分覚悟はしてたけどアグネスのヤバい方」
放課後に理科室を訪れ扉を開けると、その向こうにアグネスのヤバい方ことアグネスタキオンが姿を現す。アグネスはどちらもヤバいのは常識であるが。
こいつに関しては担当ではない。自分がたづなさんからにげおおせたり特異性を見た結果モルモットにしようとしてくるヤバいやつである。実際これまで何度か実験には巻き込まれている。
「おや?ここにデジタルくんはいないが」
「お前のことだよアグネスのヤバい方」
「しかしデジタルくんも大概じゃないかい?」
「それはそう。だがお前もヤバい」
「失礼だねぇ」
理科室の中に足を踏み入れるカフェのスペースで待機でもしていようかと思っていたが、その前に車輪のついた椅子で怪しいフラスコを持ったタキオンに接近される。
ちなみにこいつは担当ではない。担当ではないがたづなさんと追いかけっこしたりしてることや他にも特異な点からモルモット2号の扱いを受けている。
「ちょうど良いところに君がきてくれて助かったよ。ちょうど、君に試したい薬があったんだ。ぜひ飲んでくれたまえ」
「誰が飲むかマッドサイエンティスト」
「そういえば、たづなさんが恐怖すら覚えるような笑顔で君のことを探していたみたいだねぇ。あぁ、たまたまこんなところに君の居場所を校内に放送することのできるスイッチが」
「おいバカやめろ飲むから」
せっかくミスターシービーという尊い犠牲で逃げおおせたと言うのに。その犠牲をすぐ無駄にされてしまってはたまったものではない。
「で、そのフラスコの?」
「あぁそうさ。これはペーチクパーでAがBで」
「原理説明はいらんから注意点とかを簡潔に述べてさっさとよこせ」
「注意点はないから人のみしてくれたまえ」
いやいやそれを飲み干した瞬間、自分の体は黄色や緑色に光出した。やっぱ体光る薬かよ。原理どうなってんだ、聞いとけばよかった。聞いても理解できないだろうが。
「それは前にも飲ませたことがある薬で年齢によってそれの発光の色は変わるのさ。大体は炎の温度による色と同じでね。0歳や百歳以上なら可視光線ではなくなり見た目の変化はさしてない。君の場合は黄色や緑、それらが混ざっていることを踏まえるに30から60代かな?ふむ、本来はもっと範囲を絞る予定だったのだが。調整を失敗したかねぇ。以前君に飲ませた時は赤とオレンジだったが。10年とたたずにここまで変化をしていることを考えるとこの薬の調整を誤ったのかねぇ。だが他の人で試せばあっていたのだが。いいや違う、やはりモルモット2号くんは異質なのだよ。ウマ娘にも勝りうる速度、異常なまでの観察眼、どこかそもそも我々とはどこか根本から異なるような存在だからこそこの薬程度では測れないのか」
長い話なので短くまとめれば、光る色によって年齢を判別できるのだが、自分の場合は前に飲んだ時と今飲んだ時で色の変化が大きすぎる。薬が誤っている可能性もあるが、おそらくは自分が異質な存在だから。
すげぇな大正解である。薬は見事なまでに自分の実年齢を当てていた。以前飲んだ時は20代だったのに対し今や30を超している。彼女らにとってはまだトレセン学園を卒業もしていない短い期間であろうが。
「……なぁタキオン。お前だからこそ聞きたいことがある」
「む?なんだいあらたまって。君はカフェに用があったのであって私自身にはあまり興味はないとばかり思っていたが」
「カフェが主目的だったがお前は副目的だ」
「何気にひどいこと言っている自覚はあるかい?」
「ある」
「ある分悪質というべきかねぇ」
タキオンには肩をすくめている。こいつは担当ではないが遠慮も容赦もなく接するウマ娘の一人である。理由?言うまでもないだろう。モルモット2号扱いをしてくるやつに遠慮なんかいるか。
「時間ってなんだと思う?」
「ほう?どんな質問があるのかと思えば予想外に哲学的、科学的な質問じゃぁないか。多くの物理学者が探求しなお答えがわかっていないそれについて私に聞いた、まぁいいだろう答えてあげるさ。大変興味深い結果も得られたからねぇ、礼だと思いたまえ」
「この質問自体は本題じゃないから簡単にどういう認識してるか教えて欲しい」
「ふむ、一言で表せば時間というのは連続的な変化やその関係性き対して錯覚的に見出した便利な概念かねぇ」
「ふむ」
科学者として、感覚のみに頼らない彼女に聞けばどうなるだろうか。
彼女はこの違和感に気づいてくれるのだろうか。
トンチキなもん作ってたまに学園全体を巻き込む大騒動を起こす彼女ならばこんな異常事態さえも解決してしまうかもしれない。そんな期待を向けている。
「サザエさん時空って知ってるか?」
「ん?あー、たしか国民的アニメで時間が進んでいるがキャラの年齢などが一切変化していない、そんな現象を言い表した言葉だと把握しているが」
「概ねその認識でいい。自分はそれが今それに似ていることが起こっていると認識している」
「……ほう?特段さんなことは起きていないと思うが」
「少なくとも、自分の認識の上では起こっている。中高合わせて6年の学園にいる期間。その中で自分だけはそれから外れて二桁の歳をとっている」
「ふむ。あぁ、先程の薬の結果はそういうことか。私の認識の上ではそこまで時間の経過はしていないが、君の認識では時間は大きく進んでいる。これは興味深いねぇ」
ようやくサザエさん時空的なものであることを認識してくれる存在が現れた。否、ルドルフやシービーでも認識自体はしていたかもしれない。その上で、それは何もおかしなことではないと考えをおろしていたのかもしれない。
「ひとつ聞きたいんだが、これは矛盾したおかしなことか?」
「君自身の認識が幻でないことを前提とした返答をするなら、そんなことはない。先ほども言っただろう?時間というのは物事の変化、その関係性に対して錯覚的に我々が見出したものだ。実体はないのさ、年号というのも地球を何周したという過去を記録づけたものでしかない。だが、今回の君の話では君だけが成長し、我々は止まっているということだろう?時間的に言えば、我々の認識の上で間違っていないのであればそれは正しいのだよ。君の認識の上で間違っているのなら、それは誤りとなっている。詰まるところ、認識の上でしか存在しないのだからそれに正誤を求めることはできないのだよ」
「誕生日何回も迎えてるのに年齢増えないのはどうなのよ」
「それはそういうものだということさ。少なくとも、私は今現在疑問には思っていないよ。疑問に思っていないことこそに疑問を持つと言うのも面白いとは思うがね。今は他の研究をしているのさ」
タキオンも突き詰めていけばご都合サザエさん時空に囚われているにすぎなかったか。いや、囚われている上でそれをおかしいものとは思えていない。
しかし、タキオンの話は興味深いところもあった。認識でしか正解はない。どう考えても自分が正しいとは思うが、彼女の言うことによれば時間にはそれぞれの正解があると言うこと。……正解かどうかなんて関係ない。そもそも自分の目的はうまぴょいである。それができない時間の進みは誤りでしかないのだ。
間違っているのは俺ではない、世界の方だ。そう心に決めておこう。そうしないとようやく問題解決に動き出した自分が前のように戻ってしまう気がする。
実際自分も年齢の経過を見る前はこんなに動いてはなかったし。
「ところでモルモット2号君。質問を2回したんだ、今度はこちらを飲んでくれたまえ」
「……やらかした。時間の概念なんて聞かなければよかった」
「時間について聞いたからこそ今回の話ができたのさ。ささ、これを飲みたまえ。今回は特別にグレープの味付けはしてあるから飲み心地は悪くないはずだよ?」
タキオンの持つそれは明らかに人が飲むボキではない紫色の何かだった。
「……これが最後だ、もう飲まないからな」
「その言葉を私はこれまで何回、これから何回聞くことになるんだろうねぇ」
タキオンの戯言を流し聞きしながらも薬を飲む。簡単に薬を飲むのを引き受けるからモルモット2号と呼ばれるのだぞ自分はそう思いながらもそれを飲み干せばその瞬間に意識が途絶えた。
「おや、これは想定外」
ガララ。扉の開く音
「タキオンさん、私のトレーナーさんに何してるんですか」
「ん?カフェ!?このタイミングできちゃうのかい!?誤解というやつだよ、あくまでも彼に許可をとった上で飲んでもらったのだからあくまでも彼の自己責任で」
「問答無用です、あなたは私を怒らせた」
「待てっ!わかるぞ!さては君私におともだちを差し向けてぴぎゃぁーっ!!」
オリ主豆知識〜。同じ世代のウマ娘を二人担当しておきながら同じレースに出したことがある