幸せだった頃の話があった方が、今との落差で整うと思うんですよね。
あと、女の子に可愛がられるTSっ娘は良いぞ!
茜さんと共にお風呂に入っていると、異世界で仲間達と冒険した時のことを思い出す。
あれは、エリオ達と魔王討伐の旅に出て、1年くらいが経った頃だっただろうか。
魔王の力を削ぐ為、魔王軍の幹部を2人打倒した俺達は、3人目の幹部が居るとされている荒野を目指して山を登っていた。
うへぇ……山登りきっつ……いくら魔法があるとはいえまだ11歳の幼子にやらせることか!?
まぁ仕方ない、俺は聖女泣き言を言える立場でもない。
仲間達に前世のことを打ち明けたからか、ちょっと甘えが出てきてダメだね。
「ミスティ、転移魔法で飛べたりしないのかな?ルナもきつそうな顔してるし」
俺を心配しているのも事実だろうが、エリオにも結構疲れが見える。
「転移魔法は高度な魔法で準備にも相当な時間がかかる、それに転移先の座標を特定するのが難しいからワタシとしてはオススメできないな」
「転移魔法は結界を張るだけでも妨害できるから、こういう場面では使わないほうが良いと思う、まぁ…俺は回復魔法もあるし平気だからさ、それより見るからにインドア派なミスティが疲れてなさそうなのに驚くんだけど」
「風属性と闇属性をかけ合わせた魔法で移動を楽にしているのさ」
「全く気付かなかった、流石天才魔法使いを自称するだけのことはあるな…」
そりゃあしんどいわけだ、俺は疲れては癒しての繰り返しで何とかしてるだけなんだから。
俺は神聖魔法以外使えないからなぁ……。
エリオも風魔法で多少は楽にしてるっぽいし……あれ?魔法を一切使えないのに汗を一切かいていないレイナって何者?化け物?
「エリオもルナちゃんも疲れてる見たいですし、もう少し進んだら休憩にしましょうか~」
「正直助かるかな……」
「僕も結構疲れてるからありがたいよ」
「そうそう、この前助けた村の住人に聞いたんですけど、この先に温泉があるらしいんですよ~」
「温泉!?入れるの!?」
「ルナちゃんは本当お風呂が好きですね~今日は温泉の近くで野宿をしようと思っているので思う存分満喫できますよ」
「やった!」
「温泉は特殊な魔力が流れている場所もあるという、研究者として是非入っておきたいものだね」
「温泉かぁ、ルナも喜んでるみたいだし行こうか」
この世界は魔法で済ませられるからかお風呂に入る文化がそこまで発展していない。
前世では毎日入れたお風呂も、この世界では滅多に入れない、つまり俺は風呂に飢えている。
そんな俺が久々に入浴できる機会を得た、それも温泉となれば喜ばないわけがない!
こうしてテンションが上がり勢いのまま進んだ俺達は温泉へとたどり着いたのであった。
小さい立て看板に、脱衣所を兼ねていると思われるこぢんまりとした木製の建物……。
「天然物の温泉だ!秘湯って感じでワクワクする!」
「雰囲気があって良いですよね~聞いておいて良かったです」
「男湯と女湯は分かれていないみたいだね、僕は後で良いから先に入って良いよ、ルナも待ちきれなさそうにしてるし」
「じゃあ先に入らせてもらうとするよ」
先に入って良いと言われたので何かの術式を構築しているミスティを置いて建物に向かい、速攻で服を脱ぎ温泉に向かう。
景色も良くて最高!
どことなく和を感じるのだけは疑問だけれど、野良の転生者でも居たんだろうか……まぁ偶然の一致だろう。
「ルナちゃん、ちゃんと先に体を洗わないとダメですよ~」
「分かってるよ」
「ほら、ルナちゃんこちらへ」
椅子に座ったレイナが膝を軽くたたきながら呼び掛けてくる。
このメンバーでお風呂に入る時はいつもレイナに体を洗われていたんだけど……。
「えっと……今日もするの?」
「勿論そのつもりですけど、嫌になりました?」
「嫌ってわけじゃないけど……前世は17歳の男だったってこの前言ったばかりだよね?それでも良いの?」
そもそも一緒にお風呂に入っても良いのかって疑問もあるけど、俺が先に入ってるところに何も言わずに入ってきたからそれは平気だと思う。
「前世が何であろうと私にとってはルナちゃんはルナちゃんですからね」
「そ、そう?レイナが良いなら……お願いしようかな」
中身17の男なのに何甘えてるんだって話ではあるんだけど、レイナって本当に洗うのが上手いんだよね、心地よくて癖になっちゃってるというか……。
「ルナちゃんは本当に洗ってて楽しいというか触り心地が良いんですよね~、これからも私に洗わせてくださいね」
「俺も心地良いから、これからもお願いしたい……」
「恥ずかしがってて可愛いですね~」
揶揄われるのは恥ずかしいけれど、前世の話をしても態度が変わらないのは正直助かる。
それに本当に洗うのが上手い、気持ち良い……。
「はい、終わりましたよ~私は自分の体を洗っちゃうので先に入っててください~」
「ありがと!」
レイナを置いて湯船に浸かる。
あぁ~、めっちゃ気持ち良い、やっぱ温泉って良いなぁ、疲れが取れていく感じがする。
一人で温泉を堪能しているとミスティがやってきて俺の隣に入る。
「ルナ、ここの温泉は凄いね、魔力によって様々な効能が発揮されるようになっている、きっと大地に流れている魔力が水流と混ざり合ってこのような効果が表れているんだろう、旅が終わったら研究の為に温泉巡りをしても良いかもしれない」
「温泉巡りかぁ俺も行きたいなぁ」
「付いてくるかい?」
「良いの!?行きたい!でも俺は聖女だからなぁ……そこまで自由にさせてくれるかわからないんだよね」
「聖女といえど、魔王を討伐して世界情勢が落ち着いたら多少の旅行くらい許してもらえるだろうさ」
「だと良いけどなぁ……」
「温泉巡りはキミの予定が空くまで取っておくとよ、一人で回るよりキミと回る方が楽しそうだからね」
「わかった、頑張って予定空けてもらう」
「魔王討伐後の約束ってやつだね、楽しみにしておこう」
「そうだね、俺も楽しみにしてる」
ミスティの魔法に関する雑学を聞いたり、俺が前世の科学技術の事を教えたりしていると、レイナもやってきて俺の隣に入ってきた。
「温泉は良いですね~体の疲れが取れていきます、何処かの温泉の近くに訓練場でも建てたいですね~」
「訓練場の近くにお風呂を作るとかならまだ簡単なんじゃない?」
「温泉の魔力的効能がなければ意味がないんじゃないか?」
「汗をかいた後に水浴びして湯につかる、これだけでも気分はかなり変わると思うけど」
「お風呂もありですね~でもできれば温泉が良いです、温泉ならそれを目当てに二人が来てくれるかもしれませんし」
「確かにレイナの訓練場の近くに温泉があったら、レイナに会いに行くって建前で温泉に行くかもしれない……」
「私の方が建前なんですか~?」
3人で他愛のない事を話しながら温泉を楽しんでいると、外から騒がしい物音と共にエリオの声が聞こえてきた。
「まずい!ゴーレムが暴走してそっちに!おい!ちょっと待て!ミスティ!これ止めて!」
魔法の発動を感知したので咄嗟に魔法で結界を張る、強い風が吹くと同時に砂埃が舞い上がって視界が塞がれた。
砂埃も収まり、視界が開けるとそこには倒された壁と聖剣を構えたエリオが居て…。
「あ、違っ……覗くつもりなんかじゃなくて……!」
「ゴーレムなんてどこにもいないじゃないですか!」
「確かにいたんだよ……」
「いつまで見ているんですか!この変態!」
「うわぁ!師匠ごめん!ルナとミスティも本当にごめん!」
エリオは焦って走り出すが滑ってしまい……回転しながら綺麗に飛んで立ち上がっていたレイナの胸元へダイブした、そうはならんやろ……。
エリオは体質なのかわからないけれどこういうイベントが頻発するんだよね。
俺たちの旅がラノベやゲームだった場合間違いなくエリオが主人公だね、そもそも勇者だし。
あぁ俺?俺も何度かそういう目にあったことはあるよ着替えを覗かれたりとかさ、元男だしまだ11歳だからそんなに気にはしてない……けど。
エリオがいちいち大げさに反応するせいで多少……恥ずかしくなったりはする……。
まぁエリオを主人公とするなら、今はレイナルートを攻略中だから俺とどうこうってのもないしね、そこは安心している。
「ルナ、後はレイナに任せてワタシ達はここから出て着替えようか、咄嗟に消したが防衛用のゴーレムを試しに作っていた事がバレたらワタシも怒られることになるからね」
「……ミスティは怒られた方が良いと思うけど、でもこのままなのは恥ずかしいから着替えちゃおうか」
この関係がいつまでも続くと思っていた、けれどミスティとの約束を果たすこともできず別れることになってしまった……一緒に温泉巡り、したかったな……。
TSや転生物の精神年齢や精神的な性別がどうなるかというのは作品によって違って個性が出るところですよね。
回想は終わりで、次に試しに書いてみた掲示板回挟んでから本編に戻ります!