居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

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2章 新人調査員のTS聖女は先輩魔法少女と調査する
10話『束の間の休日』


 魔人との戦いを終えた翌日、茜さんの筋肉痛を回復魔法で治療していた。

 

「いつもありがとう、ルナちゃんのおかげで魔人も倒せたし、本当に助かるよ」

「治るからといって無茶をするのは好ましくはないけどね」

「それで、お母さんに言われたんだけどこれから1週間魔法少女の活動はお休みなんだって、ルナちゃんが目立ちすぎたから今後の扱いを決めたいらしくて……私が無理しすぎたのも理由らしいけどね」

 

 目立ちすぎた……か、回復魔法が異世界以上に貴重らしいからなぁこの世界は。

 

「……やっぱ回復魔法はあまり使わないほうが良かったかもね」

「でも、誰かを助ける為に力を使ったのは良いことだと思うよ!」

「まぁ、俺も悪いことをしたとは思ってないけどさ」

 

「それで、せっかくお休み貰ったし、ルナちゃんとお出かけしたいなって思って、最初の買い物と魔獣討伐以外あまり出かけてないでしょ?」

「確かにどこかに行くには良い機会かも」

「ルナちゃんは行きたいところとかある?」

 

 って聞かれると悩むなぁ……回転寿司?焼肉?これじゃ行きたいところっていうより食べたいものばっかだな、他だと……。

 

「映画館に行きたいなぁ」

 

 ここのPCを借りてネットを見てた時に知ったんだけど、昔好きで見ていたアニメの続編にあたる映画がリバイバル上映がやってるらしいんだよね、まさかあの作品の映画が公開されているとは思わなかったので気になってたんだよね、ネタバレは踏んでない。

 

「映画!定番だね!行こっか」

「後、焼肉食べたい……」

「ルナちゃんって好みとか話し方とか男の子みたいだよね!」

「あ、あはは……そんなことないと思うけど……ね?」

 

 

 そんな会話をした翌日、朝から茜さんが選んだ服を着て一緒に出掛けていた。

 ミニスカートは慣れないなぁ……聖女としての正装は丈が長かったしね、魔法少女のコスプレも正装程ではないけれどここまで短くないからなぁ、ちょっと恥ずかしい。

 

「足出すぎじゃない?」

「これくらい今時普通だよ!似合ってるし可愛いよ!」

 

 俺も元男だ、客観的に見て可愛いのは分かるんだが……。

 聖女として活動してた時とはまた違った意味で周囲に見られているように感じるしなぁ。

 

「とりあえずさっさと行こう!」

 

 そのまま足早に映画館へと向かった。

 

「どの映画を観たいの?」

 

 今回俺が観たいのはとあるロボットアニメの映画である、TVアニメから約20年の後に映画が公開されたらしいが、俺が死んだ後に公開されていたので観たことはない。

 TVアニメも観ていないだろう茜さんに付き合ってもらうのは申し訳ないけど、どんな結末を迎えてるのかをどうしてもこの目で観たかった。

 

「これを……」

「男の子っぽいの選ぶんだね!こういうの好きなの?」

「うん……好き、これでも良い?」

「良いよ!観よっか」

「ありがとう!」

 

「茜さんは映画観るときに何か食べ物買う派?」

「いつも無難にポップコーンと飲み物を買ってるよ!ルナちゃんも何か食べたい?」

 

 悩む……前世の俺なら迷わず買っているんだけれど、この後お昼に焼肉を食べる……あまり食べすぎるとお昼を楽しめないかもしれない……。

 

「ポップコーン1個だけ買ってシェアしよっか」

「うん、ありがとう」

 

 茜さんに気を遣わせてしまった、茜さんいつもこちらの意図を理解してくれるんだよね、俺がわかりやすいのかなぁ……?

 でもこの茜さんの絶妙な距離感が一緒にいて心地良いんだよね……。

 

「よし、観に行こう!」

 

 ポップコーンと飲み物を買った俺達は、チケットの席へと向かった、比較的空いていていて良い席を買えたのも運が良かった。

 

 

 

 

 久々に観た映画は最高だった……!

 TVアニメの続編映画として完璧な出来栄えだったよ!しっかりとキャラも活躍しているし、挿入歌と共に無双していく姿は見ていて気持ちよかった……!

 機体もカッコよかったからプラモデルも欲しいなぁ……。

 

 映画に夢中で俺はポップコーンにほとんど手をつけなかったけど、しっかり無くなってるあたりは流石茜さんだね。

 

「迫力があって凄かったねぇ、続編みたいだし前作を見てたらもっと楽しめたのかな?」

「ごめん一人で楽しんじゃって、単体でも楽しめる映画にするべきだったよね」

「大丈夫だよ!ルナちゃんが楽しそうにしてるのを見れたから私も楽しかったし、ルナちゃんが好きな作品にちょっと興味も出てきたかな」

「そう!?TVアニメで合計100話くらいなんだけどもし良かったら一緒に見よう!あ、サブスクとかで見れるのかな?」

「帰ったら調べてみよっか!」

「そうだね!茜さんのオススメとかも知りたいな」

「家で時間ある時にでも色々見よっか!」

 

 好きなものを語るのってとても楽しいよね、異世界じゃここと違って娯楽が少なかったからなぁ……。

 でも自分が好きなのを語るだけじゃなくて茜さんの好きな物も知りたいな。

 

 

 

「よし、じゃあお昼食べに行こっか!」

「行こう!」

 

 焼肉は事前に予約しておいたのでスムーズに入ることができた、食べ放題のお店みたいだからたくさん食べたいけれど俺の体だと厳しい……茜さんが俺の分も食べてくれるだろうけど。

 

「色々頼んじゃうね!ルナちゃんも好きに頼んで!」

 

 茜さんめっちゃ頼むな、俺は小さいご飯と海鮮を少し頼んでおこう。

 

「魔法少女ってそんなにたくさん食べるのが普通なの……?」

「魔法少女はあんまり関係ないかな、私が良く食べるってだけ!」

 

 何もなくてこれか凄いなぁ……何か理由があるって言われた方が納得できるよこれ。

 

 俺はあまり食べられないので肉を焼いては茜さんに渡してるんだけれど……茜さんは何人前食べてるんだ?

 

「私ばっか食べちゃってごめんね!」

「お金も出してもらってるし、食べ放題だから気にしなくて良いよ、茜さんが食べてる姿を見るのも楽しいし」

「でも、さっきからルナちゃん焼いてばっかじゃない?これ美味しいから食べてみて!」

 

 そうやってどの部位かわからない肉を箸で摘んで俺の前に差し出してくる。

 食べさせてくれるってこと?

 前は体がボロボロだったから食べさせてもらってもそんなに気にならなかったけど、今それをやるのはちょっと恥ずかしい、けど女の子同士なら普通?

 レイナもよくやってくれてたし普通なのかな……?

 恐る恐る口を開き肉を食べる。

 

「美味しい」

「でしょ!もっと食べて!」

「ちょっと待って!そんな食べられないから!」

 

 焼肉ってこうやって誰かと一緒に肉を焼いて食べるという体験にも価値があると思うんだよね、いや一人焼肉もそれはそれで楽しいと思うけどさ。

 

 茜さんに拾われてなければこのように映画や食事を楽しむこともなく死んでいたかもしれないんだよな……。

 俺のことを拾ってくれて、心の傷を埋めてくれている茜さんには感謝してもしきれない……。

 

「あの日俺のことを救ってくれて本当にありがとう」

「私も命を助けて貰ったからお互い様だよ!」

「それでもお礼が言いたくてさ」

「それなら、ちゃんと受け取っておくよ、これからもよろしくね!」

「うん、よろしく」

 

 

 

 食事を終えた俺達は、そのまま家電量販店へ向かいタブレット端末を買ってもらい帰路に就いた。

 

「こんな物まで買ってもらっちゃって良かったの?」

「あると便利でしょ?スマホでも良かったんだけど、それはお母さんに相談してからの方が良いと思うし」

「流石に高価で気が引けるというか……」

「大丈夫!魔法少女で稼いでるからさ!それに魔人を討伐したから追加で報酬も貰えるみたいなんだ、魔人のを討伐できたのはルナちゃんのおかげでもあるしそれを使うって考えたら問題ないでしょ?」

 

 調べた情報によると魔法少女として2、3年普通に活動するだけでも、贅沢しなければ一生暮らせる金額が手に入るらしいし、成果を上げると追加報酬も貰えるならこれくらい余裕なのか……?結構性能が高いモデルで高かったけどなぁ……。

 この状況が続くと将来的にヒモになりそうで怖い、それに茜さんの金銭感覚も心配だ。

 でも茜さんが言う事にも一理あるしなぁ。

 

「まぁそういう事なら受け取っておくよ、ありがとう」

 

 

「休みもまだあるし、またどこかに出かけようよ!」

「毎日だと大変だけど、何日かは出かけても良いかも、今度は茜さんが行きたいところにも行ってみたいな」

「それならルナちゃんに見せたいところがあるんだ!付き合ってくれる?」

「うん、もちろん」

 

 茜さんが見せたいものが何なのか、気になるなぁ。

 




今のところ触れていませんが、学校はちょうど夏休み期間という感じです!

茜は学校に通いながら魔法少女をしています、魔法少女活動と学業が両立できるような制度は用意されているので、今後タイミングがあれば触れたいと思っています。
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