居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

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新キャラ多め回です。
章分けした方が良いかどうか悩んでいます、分けるとしたら掲示板回のところかなとは。


12話『魔法少女協会調査研究部』

 灯さんの車に乗り、魔法協の施設に辿り着く。

 

「今後の扱いについて話すためにもルナさんに会ってもらいたい人が2人いるの、ある程度はルナさんの事情も話してあるわ」

 

 灯さんには事前に信用できる人物に事情を話して良いか相談されていたので、許可してある。

 

「どのような人物かお聞きしても?」

「一人は私の上司、もう一人は仕事仲間の魔法少女、どちらも口が硬くて信頼はできる人達よ、性格については……見てもらうのが手っ取り早いと思うわ」

 

 

 灯さんの案内に従ってたどり着いたのは、様々な実験器具が用途不明の機械が並べられた大きな部屋だった。

 

「よく来たな!俺は魔法少女協会調査研究部部長の十六夜(いざよい)響(ひびき)だ、よろしく!」

 

 俺達を出迎えたのは40代くらいの体格の良い男性。

 

「ルナです、よろしくお願いします」

「星野茜です!よろしくお願いします!」

「未来(みらい)!新入りが来たぞ!」

 

 

 十六夜さんが呼びかけると部屋の奥から銀の装飾が付いた白衣のような衣服を着た黄緑色の髪の少女が現れた。

 

「部長?変身してるときはその名前で呼ぶなっていつも言ってるよね?あ、アタシは魔法少女オムニスアイ、本名は来栖(くるす)未来(みらい)よろしく、そっちの名前は聞こえてるから自己紹介は要らないよ」

「「よろしくお願いします!」」

 

「全員揃ったことだし本題なんだけれど、ルナさんと茜には今日からこの調査研究部に所属してもらいたいの、良いかしら?メンバー全員の許可は得ているわ」

「えっとこの部署ってどのようなことをする部署なの?魔獣討伐はどうなるの?」

「そうね、まずはこの部署についての説明を先にするべきだったわね」

 

 灯さんがこの部署に関する説明をしてくれた。

 調査研究部は魔法に関する研究や、この前起きた魔獣出現予測のズレなどイレギュラーの調査を行っているらしい。

 メンバーはここにいる3人とアルバイトの元魔法少女が一人、戦闘向きの魔法少女が居ないので他所の魔法少女の助けを借りて調査をすることもあったが、部署内にも戦える人員を置いておきたいというのが表向きの理由だ。

 

 裏の理由は俺の存在、魔法少女ではない俺が活動するのに都合が良いのがこの部署という事だろう、灯さんが在籍していて尚且つ少人数なので融通が利くらしい。

 

 こちらに所属するとこちらでの仕事がメインになるため、今までのような魔獣討伐をする必要はなくなるが、イレギュラーの調査中にも魔獣と戦う機会は多いようだ。

 

 俺と茜さんで倒したとはいえ、魔獣出現予測のズレは魔人が原因だった、その魔人に指示を出していた存在もまだ見つかっていない、そんな状況でのイレギュラー調査は魔獣討伐より危険な可能性もあるだろう。

 

「私やるよ!この前みたいな問題を解決するのは多くの人を助けることにも繋がると思うから!」

 

 茜さんが受けるなら俺も断る理由はないな。

 

「私もこちらに所属させていただきます、よろしくお願いします」

 

「よし、決まったなこれからよろしく!」

「よろしく~って訳でルナちゃん、アタシに魔法を見せてよ」

 

 来栖さん、いや変身しているからオムニスさんか、オムニスさんが至近距離まで迫って来る、けれど直ぐに灯さんに引き離されてしまった。

 

「ちょっと待って、ルナさんにはもう一つ大事な話があるの」

 

 まだ何かあるのだろうか、心当たりはないが……。

 

 

 

 

「ルナさんは戸籍を持っていないでしょう?」

「あっ……そうでしたね」

「戸籍は部長に何とかしてもらうつもりなんだけれど……ルナさんの名字を聞いていなかったから」

 

 名字か、今の俺に名字はない、孤児として生まれ聖女になる過程で姓を得ることはなかった、名乗るとすれば小鳥遊……これはダメだな。

 

 

「すいません、名乗れる名字がなくて……」

「ごめんなさい、聞かれたくないことを聞いてしまったみたいね」

「名字なんて変な物じゃなきゃ何でも良いぞ!なんなら俺の養子になっても構わん!どうせ独り身だからな!」

 

 養子か、選択肢としてはありだけどこの人の事を全く知らないんだよなぁ。

 

「お母さん、ルナちゃんを私の妹に……」

「それも考えたんだけれど、お父さんにも相談しないといけないでしょう?それに本人の意思が一番大事だと思うから」

 

 選択肢は3つ、何かの苗字を名乗るか、灯さんか十六夜さんの養子になるか……。

 

 灯さんを選べば、茜さんとの繋がりが深くなる、より長い時間を共に過ごせるだろう、けど灯さんやその家族に迷惑がかかる。

 十六夜さんの養子になるのは迷惑をかける人も少なくて無難ではあるが、十六夜さんがどんな人物なのかまだわからない。

 何か苗字を名乗るのはありだが……。

 

 直ぐに決められる問題じゃないよなぁこれ。

 

「しばらく考える時間をいただけませんか?」

「そうね、急にこんなこと聞かれても困るわよね、一旦保留にしましょう」

 

 

 

 話が終わったところでオムニスさんが再び近づいてくる。

 

「話は終わったみたいだし、魔法見せて?」

「良いですよ」

「奥に計測機器が置いてある部屋があるからそっちに行こう、着いてきて」

 

 オムニスさんに従い、部屋の奥へ進む。

 魔合金*1に似た素材で出来た扉を開けた先は、計測機器と思われる物がいくつか置かれている広々とした空間だった。

 

「この扉、普通の素材ではないですよね?何で出来ているんですか?」

「簡単に説明すると魔力の通りが良くて耐久性も高い合金ってところかな、様々な素材を混ぜ合わせてやっとできた物なんだ」

 

 オムニスさんは技術開発部という部署と協力して様々なものを作っているらしい、これもそのうちの1つということだろう。

 

 

 オムニスさんが何かの計測機器を持ってくる。

 

「それじゃあ魔法使ってみて」

「わかりました」

 

 結界魔法でオムニスさんと俺の間に光の壁を張る、光を調整しているので視覚的にもわかりやすいだろう。

 オムニスさんは光の壁を興味深そうに叩いている。

 

「魔法は使われているのに魔力の反応はない、面白いね」

「他にも使える魔法があるのですが、そちらもお見せしましょうか?あ、回復魔法を見せた方が良いでしょうか」

「じゃあお願い、もうちょっと深く調べたい」

 

 回復魔法を使うために、結界魔法を解除しオムニスさんに触れる……目立って治すようなところもなさそうなんだよな、まぁ肌と髪の痛みを治して疲れを取るくらいの感じで……。

 

「魔力に似た何かが流れ込んできているけれど、アタシ達が扱う魔力とは違う、アイでも分からないこの力は何?この世界の理から外れている……?」

 

 オムニスさんは小声で何か独り言を呟いているが聞き取ることはできそうにない。

 

「えっと、大丈夫ですか?」

「あぁ、ごめんね集中してた、聞いていた通りルナちゃんの魔法は魔法少女とも魔人とも違うみたいだね、この魔法を研究することができればより良い何かが生み出せるかもしれない」

 

 オムニスさんが俺の顔を至近距離でのぞき込んでくる、目が怖い、人を見る目じゃないよこれ。

 

「近い!近いですよ!」

「ごめん、新しい研究素……仲間が出来て嬉しくて、歓迎するよルナちゃん」

 

 こいつ研究素材って言おうとしてただろ、その後で歓迎されても嬉しくないんだが?

 手つきも怪しいし変な道具まで取り出してる……。

 

 オムニスさんが離れた隙に結界魔法で壁を作って俺は部屋から脱出した。

 

 

 

 

 

「戻ってきたか、どうだった?」

「魔法を観察されましたが……その後研究素材と呼ばれましたよ」

「研究素材!?ルナちゃん大丈夫だった?変なことはされてない?」

「変なことをされる前に逃げ出してきたので大丈夫です、変な道具も持っていたので何かしようとしていたのは間違いないと思いますが」

「あいつは相変わらずだな……研究のことになると回りが見えなくなる、あいつにはやりすぎないように言い聞かせておくから、気が向いたときにでも研究に付き合ってやってくれ」

「協力するくらいなら構いませんが……」

 

 戻ってきたオムニスさんが俺に魔法をもっと見せてくれとせがんできたが、十六夜さんに止められると大人しくなった。

 

「顔合わせも終わったし今日は解散で良いぞ!」

「じゃあ帰りましょうか」

「はい、これからよろしくお願いします」

「お願いします!」

 

 帰り支度をして部屋から出ようとしたタイミングで後ろから声を掛けられる。

 

「言い忘れてたが、お前たちに任せたい調査がある!初仕事ってやつだな、詳細は後で灯に送っておくから聞いてくれ!」

 

 帰り際に言う事か?この上司と人を研究素材扱いする先輩……これからが不安だ……。

 

*1:
ルナの居た異世界に存在した魔力を良く通す合金、装備品や魔道具など多種多様なものに使われていた。比較的安価で製作が可能




魔法少女プロフィールNo.5

魔法少女オムニスアイ 本名: 来栖(くるす) 未来(みらい)

固有魔法:『アカシック・アイ』……解析鑑定系の能力だと思われている、詳細不明。強力な魔法だが扱いが難しいらしい。

普段の仕事:魔法や魔力に関する調査や研究を行っている、技術開発部と協力し魔獣の出現予測システムを作り上げた。

趣味:研究

メモ:調査研究部所属の中核を担う魔法少女、魔法協の技術面を支える優秀な魔法少女だが、研究のことになると周りが見えなくなる悪癖がある。
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