『なるほどね~死体を操る魔法があればこの状況にも説明が付く、こっちに送られてきた魔獣の死体は生物の死体にしか見えなかったからね」
「仮説に過ぎないですけどね」
『可能性は高いと思うよ、普通の魔獣と同じように倒すことができたのも死体を操っている魔人の魔力を消滅させていたと考えれば納得できる、どうしてルナちゃんが
「あ、あはは……死体を操る術と術師をそう呼んだだけですよ、創作物ではそう呼称することが多いようですから」
『ふーん……まぁいいや、調査を続けるなら気を付けて、魔人を相手にするのは危険だからね』
迂闊に話しすぎたな、生活も落ち着いてきたからか気が抜けていたのかもしれない。
「という事ですがどうしましょうか」
「もう少し調べてみようよ!」
「そうですね、できれば魔人が関わってる確証も欲しいです……」
黒井さん、気弱そうな割に結構強気だな、ブラッディエンペラーだったという事を考えるとこれくらい普通なのか?
死霊を倒しながら森の奥へと進んでいく、死霊自体は支援魔法なしでも余裕で倒せるくらいには弱いが……。
「進めば進むほど死霊の数が増えてます……」
「奥に何か見えてきたよ!」
あれは……。
「洋館……?」
森の奥には、寂れた大きな洋館が建っていた。
「こんなところに洋館が建っていたなんて情報になかったです……」
「木に覆われているので空からも見えませんからね、知られていなくても仕方がないかと」
「こんな露骨な建物があるなんて、何かあるって言ってるようなものですよね!」
「中に入ってみます……?」
「行ってみましょう!本当に魔人がいるなら倒さないと!」
躊躇せずに入っていくなあの2人、まぁロゼさんなら魔人を倒しに行こうとするのは予想できていた、俺はそれを手伝うだけだ。
俺は洋館を見つけたという報告をオムニスさんにしてから、慌てて2人を追いかけた。
洋館の内部は暗く、視界が悪かったので魔法で光を灯す。
「魔人の魔力は感じますか?」
「うーん……魔人かどうかまではわからないけどあっちの地下から大きい魔力は感じるね」
ロゼさんが正面の少し下あたりを指さした、地下かぁ建物は入り組んでいるし手っ取り早く移動するなら……。
「ロゼさん、支援魔法をかけるので拳で壁を……」
「わかった!」
「え……?」
黒井さんが困惑しているが無視して壁をぶち抜いてもらいながら進んでいく、天井が崩れてきたりしているけれど結界魔法で防いでいるのでこちらに被害はない、建物は壊れるが最近使われているような形跡もないので構わないだろう。
「ここらへんの下から魔力を感じるよ!いくつか感じるから死霊かもしれないけど」
「床も壊せますか?」
「試してみる!」
「任せました、私は魔法の準備をしておきます」
「ちょっと……!?」
どうせ術師は死霊を使ってこちらの位置を把握している、それなら最短ルートをぶち抜いて準備をされる前に殴り込んだ方が早い、死霊術師のような奴らと戦うなら相手の策に嵌められる前に倒すに限る。
ロゼさんが拳で床を殴りつけると大穴が空き、俺達3人は落下していく。
「ロゼさん!」
「任せて!」
俺の身体能力で落下すると怪我をする可能性が高いのでロゼさんに抱えてもらう。
「ひっ……落ちるっ落ちるっ!」
黒井さんはビビっているが体勢は整っている、支援魔法も使っているので問題はないだろう。
無事に全員着地するとそこには広い洞窟のような空間が広がっていた。
「急に落ちることになるなんて……」
「黒井さんなら着地できると信じてましたよ、ブラッディエンペラーだったんですから」
「その信頼はなんなんですか……」
「2人共構えてください!来ますよ!」
周囲から腐敗した人型の死霊や人型の骨の死霊が数体現れる、ゾンビとスケルトンか……。
「やはり人に対しても死霊術を使っているんですね……」
「あれって元は人なの!?」
「ええ、おそらくは、だからといって倒すことを躊躇ってはいけませんよ、安らかに眠らせてあげることが彼等の為になるでしょうから……」
「というか囲まれちゃいましたよ!どうしましょう!」
この方法で突入すると決めた時点で囲まれる可能性は考えていた、勿論その対策も練ってある。
「私に任せてください」
ロゼさんに穴を開けて貰う前から準備していた魔法を起動させる。
「聖女にのみ扱える魔法……ここで1つお見せしましょう、
ゲーム風に言うなら自身の魔法にバフをかけ、周囲の敵にデバフを撒くフィールドを生成する。
聖域のデバフはこの世界の魔獣には通用しない、しかし死霊であれば話は別だ、死霊には浄化されたこの空間自体が毒になる。
巨大な魔法陣が展開され、周囲の空気が澄んでいく、それと同時にこちらに襲い掛かろうとしてきた死霊達の動きが鈍る。
「動きが鈍っている内に死霊を倒しちゃおう!」
動きが鈍った死霊達をロゼさんと黒井さんが片付けていく、支援魔法の効果も上がっているので動きがスムーズだ。
初めて支援魔法を受けた時ロゼさんは力を制御しきれていなかったが、黒井さんは……。
「フハハハハ、常世に縛られた死者の魂なぞ深淵より出でし闇の支配者たる我の敵ではない!」
ブラッディエンペラーとして活躍していた戦闘経験があるからだろう、力を使いこなして戦っていた。
ゾンビの懐に入り大鎌で切り裂き、背後から襲ってくるスケルトンの関節部を血の糸で縛り付け急所を突く、その後高く飛び上がって敵の攻撃をかわし、血の壁を蹴り加速、大鎌で3体の敵をまとめて切り裂いた。
大鎌という取り回しの悪い武器で無駄のない戦いをしている姿はとてもカッコ良い。
「ルナのおかげで全盛期の力を取り戻したかのようだ!これなら魔人なぞ敵ではないな!」
「話し方まであの頃のブラッディエンペラーさんに戻っちゃってる……ルナちゃんもキラキラした目で見てるし……」
ロゼさんと黒井さんによって周囲の死霊は片付いた。
「あぁ……やっちゃった、テンション上がって昔みたいに戻っちゃった……」
「カッコ良かったですよ?深淵より出でし闇の支配者、良いじゃないですか私もそんな二つ名が欲しいです」
「うぐっ……忘れてください……」
「落ち込んでる暇なんてないですよ!まだ魔人を倒してないんですから!行きますよ!」
俺達はロゼさんに続いて洞窟の奥へと進んでいった。
洞窟の奥に潜む魔人は焦っていた、手駒である動物型の死霊だけではなく、コレクションとして集め地下に隠していた人型の死霊まで倒されてしまったからだ。
この場所が特定されても良いようにと洋館内には無数の死霊や罠を仕込んでいた魔人だったが、壁を壊し最短距離で突き進んで来るのは全く予想ができていなかった。
「なんなんだあの魔法少女達は!前に戦った魔法少女たちとは強さが桁違いすぎる!特にあの白い奴だ、あいつがいると……」
「死者の魂を肉体に縛り付け傀儡にする魔法……試してみる価値はあるかもしれませんね」
魔人しかいなかった、空間に突如男の声が響く。
声がした方向には、中学生くらいの女の子を抱えたスーツの男と、黒いフードを被った背丈の小さい人物が立っていた。
「誰だ!どうやってここに侵入したんだ!それにそっちのフード奴は……!」
「そんなことはどうでも良いでしょう、私は貴方を助けに来たのです、勿論その後は私達に協力していただきますが」
「この状況でお前を信用するほど僕は馬鹿じゃないぞ」
「ですが、このままでは負けてしまいますよ?」
「それは……」
「協力を約束してくれるなら、力だけでなくこちらも差し上げますがどうしますか?」
そういうとスーツの男は抱えていた女の子を魔人の目の前に投げ捨てた。
「これは……!」
魔法少女協会調査研究部所属メンバーが(前回の時点で)揃ったのでキャラ紹介です。
・
部長、独り身の40代男性、他メンバーからは雑に扱われがちだが好感度は高い。
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茜の母親、実は副部長ポジションで書類仕事をほとんど担当している苦労人。
娘と同じ所属になったことで見守りやすくなったが、普通の魔獣退治より危険な仕事もあるので複雑な心境。
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魔法少女オムニスアイ(詳細は12話の魔法少女プロフィールNo.5を参照)、研究が好き、研究が絡まなきゃ比較的常識人。
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元魔法少女ブラッディエンペラー(詳細は13話の魔法少女プロフィールNo.4を参照)、魔法少女を引退後部長に誘われてアルバイトを始める。
気弱そうに見えるが……。
・
魔法少女ロゼインパクト(詳細は6話の魔法少女プロフィールNo.1を参照)、本作のもう一人の主人公。
調査研究部への転属は、問題を調査し解決することで多くの人を守ることに繋がるという理由で前向きにに捉えている。
・ルナ
魔法少女のコスプレをしている異世界の聖女兼TS転生者(詳細は7話の魔法少女プロフィール?No.2を参照)、本作の主人公。
茜を支えたいし護りたいと思っている、けれど本人の戦闘能力は低いし移動や落下するときはお姫様抱っこの体勢で抱えられる事が多い。