居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

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戦闘描写難しいだなんだで難産でした。
視点がわかりずらいかもしれませんが、茜(ロゼインパクト)→黒井(ブラッディエンペラー)→ルナの順になっています。

後、章分けをしました!タイトルはしっくりこなかったら後で変えるかもしれません。


15話『魔法少女の再利用』

 魔人の魔力を感じる方向へと進んでいくが、今のところ死霊(アンデッド)が出てくる気配がない、しかしどこから見られている、そんな感覚だけがして気持ちが悪い。

 

「ずっと一本道ですね……」

「逃げ出すような道が無さそうなのはこちらとしては好都合です」

「そろそろなはずだよ」

 

 警戒しながら進んでいくと開けた空間にたどり着く、奥には顔の半分が黒く染まり額から角が生えた魔人がいた。

 

 魔人の元へ向かおうとすると、上空から灰色のドレスを着て虚な目をした少女が降ってくる。

 そのまま私達に向かい、巨大なハンマーで殴りかかってきた。

 私は拳で受け止めて押し返そうとする、しかし相手の力が強くてこちらが押され始めている。

 

「聖域(サンクチュアリ)!」

 

 ルナちゃんが魔法を展開すると相手の力が弱まり、なんとか押し返すことに成功した。

 

 ハンマーを持った少女は見覚えがある、衣装の色合いなどは異なっているが、あの特徴的なハンマーは間違いない、その強さや戦闘スタイルから白の狂戦士とも呼ばれていた……。

 

「魔法少女バーサクメイデン……」

「あの少女に心当たりがあるんですか?」

「2年前に魔人との戦いで亡くなった強力な魔法少女……そしてブラッディエンペラーさんと何度も共闘した事がある魔法少女だよ」

「本当に死霊術師(ネクロマンサー)は性格が悪いですね……魔法少女の死体、それもこちらの知り合いの物を利用してくるとはっ」

 

 黒井さんの様子が心配だけど……。

 

「貴様は我を怒らせた、我が友である白の狂戦士の尊厳を破壊するとはっ……!生きて帰れると思うなよ」

 

 戦意喪失はしていないようで助かった、怒ってはいるが冷静さを欠いている様子もない。

 

 

 黒井さんが魔人に向かって斬りかかろうとするが、メイデンがハンマーで受け止める、ルナちゃんの魔法があるとはいえ、魔力が衰え始めている黒井さんではメイデンの力には敵わず、受け流すので手一杯のようだ。

 

「チッ……相変わらずの馬鹿力だな」

 

 黒井さんがメイデンと戦っている間に、私は魔人に向けて殴りかかる、しかし魔人の後ろから持った体に縫い目が無数に付いている少女の死霊が現れ、左手から炎を放ち邪魔をしてくる。

 

「僕がそれしか連れてきていないと思ったのか?」

 

「メイデンだけじゃないだなんて……!」

 

 手から放たれる炎を警戒しながら死霊に殴りかかろうとする、しかし死霊の右手に生成された氷の槍で受け止められ、そのまま放たれた蹴りで吹き飛ばされてしまった。

 吹き飛ばされている私に向かって氷の槍が放たれる、ルナちゃんの位置からは死角になっていて気付いていない、今から結界を作ってもらおうとしても間に合わないだろう、このままだと……!

 

 致命傷だけは避けようと体を動かしたところで、大鎌が投げつけられて氷の槍が砕かれた。

 

「ありがとうございます!」

「気にすることはない、白の狂戦士は我に任せてお前達は魔人とそいつに集中しろ!」

 

 黒井さんはそう言いながら血の糸を器用に使って大鎌を回収した。

 メイデンを相手にしながらこちらのフォローまでできる黒井さんは本当に凄い……。

 

 しかしあの死霊は何故炎と氷という2つの魔法を使えるんだ?もしかしてルナちゃんと同じ……?

 

「なるほど……悍ましいことをしますね、流石は死霊術師、死体弄りもお手の物といったところでしょうか……」

 

 ルナちゃんの声からは強い嫌悪感を感じ取れた。

 

「あの死霊がなんだかわかるの?」

「おそらく魔法少女2人の死体をつなぎ合わせたのでしょう、縫い目もそうですし体に歪な部分が見られます、魔法が2つ使えるのもそれで説明がつきますからね、私の知る死霊術師(ネクロマンサー)の中にも獣と人間の死体を組み合わせて強力な死霊を生み出そうとしていた者がいました」

 

 魔人が得意げな表情でこちらに話しかけてくる。

 

「その通りだよ、元々は姉妹で魔法少女をしてた2人を僕が1つにしてやったんだ、良いだろう?死後も姉妹仲良く一緒に居られるんだからさ!」

「姉妹を……?狂っていますね貴方はっ」

 

 どこまで悪趣味なんだこいつは。

 

 ルナちゃんが光を死霊に向け放つ、死霊は一瞬動きが鈍くなるもののそのまま氷の槍を投げつけてきた。

 

「ちっ、やはり魔法少女を元にした死霊に対しては浄化が効きにくいですね……私はサポートに徹します、ロゼさんは攻撃を」

「わかった!任せて!」

 

 

 

 

 

 

 

「後輩に花を持たせてやるとしようか」

 

 血を操り回収した大鎌を横に振りながら私は呟いた。

 

 白の狂戦士の異名を持つ魔法少女バーサクメイデン、私の数少ない魔法少女の友人であった彼女とこんな形で対峙することになるとは思ってもみなかった。

 かつての友人をこのような姿にされたことは許せることではない、今すぐあの魔人をズタズタにしてやりたいと思うくらいには怒っている。

 しかし戦況を考えると私が魔人を倒しに行くべきではない、一番の強敵であるメイデンを引き付けて魔人は2人の後輩に任せるべきだ。

 

 

 私はメイデンとの模擬戦で勝ったことがない、その上今の私は魔力も衰えて昔のように魔法を扱えない、身体能力こそルナちゃんのおかげで全盛期と同等以上になってはいるが、厳しい戦いになるのは間違いないだろう。

 

「魔人の傀儡に成り果てていようとも馬鹿力と戦闘経験は引き継がれているようだな、だがお前が死んでからも我は鍛錬を積み続けてきた!今までのように勝てるとは思わないことだな、今回の戦いは我等(・)が勝たせてもらう!」

 

 メイデンのハンマーによる攻撃を血の糸を使って勢いを殺してから大鎌で受け流す、後輩達が集中して戦えるように、大鎌で斬りかかってメイデンの意識をこちらに向ける。

 血の糸を天井に貼り付けて上空へ飛び、血の壁を蹴って高速で移動する、2人から離れつつ、メイデンからは離れ過ぎない距離を保つ。

 メイデンの攻撃は強力で一撃貰うだけでも戦闘不能になる可能性がある、慎重に回避して今は時間を稼ぐことだけを考える。

 

 ここからは持久戦、2人が魔人を倒すまで耐えきってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく死霊と戦闘していてわかったことがある。

「この死霊、炎は左手から、氷の槍は右手からしか出せないようですね、無理矢理合わせられた弊害なのかもしれません」

「それが分かれば対処しやすいね!」

「ロゼさん私に考えがあります合わせてください!」

 

 最近はロゼさんとの連携も上手くなってきた、最低限の言葉と視線で合わせることができる。

 ロゼさんが死霊の左手側から殴りかかる、炎で反撃してくるのを俺が結界で防ぐ、ロゼさんは結界を使い拳の勢いを殺し、結界の下に空いた隙間から死霊の足を払った。

 死霊は右手に生成した氷の槍を支えにして立ち上がるが、立ち上がった瞬間ロゼさんが腹部に蹴りを入れる。

 蹴りを入れられ床を転がった死霊に俺も浄化の光を当てて追い打ちをかけた。

 

 

 魔法少女の服に守られていない部分や、繋ぎ目の部分に当てると浄化の通りも良いようで、死霊の動きもかなりぎこちなくなっている、フラフラと立ち上がるがこちらに手を伸ばす力さえ残っていないように見える。

 

 両手をこちらに向けて炎と氷の槍を同時に放ってくるが、勢いが弱く、ロゼさんが華麗にかわし、死霊の顔に回し蹴りを決めた。

 

 蹴り飛ばされた死霊を見ると、変身が解除され裸になっていた。

 

「死霊は片付いたようですね、魔人も片付けてしまいましょうか、黒井さんもまだ戦ってくれているようですし」

 

「僕の最高傑作をよくも……!あの男から貰った魔法少女も役に立たないじゃないか!衰えて引退した魔法少女一人すら倒せないなんて!」

 

 魔人はメイデンと黒井さんが戦っている方を見つめるが、メイデンは黒井さんに抑えられていてこちらに来ることはできないようだ。

 

「そうだ!見ているんだろう!?お前が欲しがっていた女の正体が分かった!取引しようじゃないか、それを教える代わりに僕を!」

 

 魔人が空に向けて話しかけている、この場にまだ誰かがいるのか……?そういえばこの場に魔法少女以外の死霊はいなかった、洞窟を進んでいる時に感じた視線の正体は?

 

「ロゼさん!嫌な予感がします!早く魔人にトドメを!」

 

 ロゼさんが魔人に向かい殴りかかろうとする、しかしその拳が魔人へと届くことはなかった。

 




魔法少女プロフィールNo.6

魔法少女バーサクメイデン 本名:轟(とどろき) 白亜(はくあ)

固有魔法:『超身体強化(すーぱーぱわー)』……身体能力をめっちゃ上げる。

戦闘スタイル:巨大なハンマーで殴る。

好きな物:力、拳で語り合うこと。

メモ:白の狂戦士の異名を持つ魔法少女、2年前に魔人との戦闘で亡くなった。
 某深淵より出でし闇の支配者(ブラッディエンペラー)を気に入っていて、よく模擬戦を申し込んでいた。
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