『フハハハハ、その程度の強さで我に立ち向かおうとはな!』
ブラッディエンペラーに向かって氷や炎、雷など様々な攻撃が降り注ぐ、しかし血で作られた盾が全ての攻撃を防ぐ、攻撃を放った魔法少女達は血が体に絡みつき拘束されていた。
ブラッディエンペラーの後ろに突如刀を持った魔法少女が現れる、そのまま背中に向けて刀を振るうが血で作られた剣に受け止められていた。
『なっ……!』
『貴様が背後から接近しているのは気付いていたさ、我でなければ通用したかもしれんな!』
ブラッディエンペラーが魔法少女の腹部に大鎌の柄を叩き付ける……。
「ルナちゃん!茜ちゃん!ちょっと何見てるんですか……」
「へ!?い、いやブラッディエンペラーさんと魔法少女達で行った模擬戦の映像データがあるって十六夜さんが教えてくれたので……」
急に後ろから話しかけられたからびっくりしちゃたよ。
「私達もっと強くなりたいんです!だから強い人の戦いを参考に見ようと思って……」
「そういうことなら、私に直接言ってくれれば良いのに……」
「え!?」
「私が鍛えてあげます」
黒井さんに連れられて、敷地内の少し離れた建物へと向かう、中に入ると壁が特殊な素材でできた体育館くらいの大きさをした空間が広がっていた。
「これは調査研究部の計測機器が置いてあった部屋に使われていた素材ですか?」
「はい、頑丈な素材なので模擬戦や訓練をするのに使われているんです、1か所空いていたので申請して借りてきました」
「ちょっと試してみても良いですか!?」
茜さんが変身して、拳を構える。
「う、うーん……ロゼちゃんメイデンと打ち合えるくらい強かったよね……?耐久テストをした時、あの子が100回くらい連続でハンマーで殴ったら壊れちゃったんだよな……まぁ一発くらいなら?」
「では!」
俺が支援魔法をかけてロゼさんが壁を殴りつける、増幅魔法を使った全力のパンチを受けた壁は拳サイズのへこみがついただけだった。
「あ、へこませちゃいました……」
「拳一発でこの壁がへこんだ?もしかしてメイデンのハンマーよりも威力が高い……?」
「えっと……威力は出るんですが制御しきれなくて、というかへこませちゃって大丈夫でした……?」
「まぁ報告しておけば大丈夫だと思います、これくらいなら稀にあるらしいので……穴を開けたり粉々にしたりしなければ修復できるみたいです」
「そこまではしないように気を付けます……」
「とりあえず、ロゼちゃんからにしましょうか、ルナちゃんは色々特殊な上にサポート型ですからね、どう鍛えたら良いのか……」
そうだよなぁ……。
俺は自分で改善していく必要性があるだろう、この世界の戦いに合わせて魔法の術式を調整したりできれば良いんだけど、異世界では魔力のゴリ押しで何とかなっていた部分もあるので知識が少ない、ミスティ*1が居れば喜んで教えてくれたかもしれないけどね……一人の時にでも色々試してみようかな。
「ルナちゃん、私とロゼさんに支援魔法をお願いします」
髪を変化させ大鎌を作り出し黒井さんは戦闘の準備を終えた、俺の支援魔法をかけた状態で模擬戦を行うようだ。
「ルナちゃん、どれくらいの怪我までなら回復魔法で治せます……?」
「四肢欠損くらいであれば後遺症なく治せます、流石に死んでしまうとどうにもなりませんが……」
「それなら……ロゼちゃん、全力で来てください、大丈夫、致命傷を避けるくらいならできますから」
自分の実力に自信がなきゃ出ないセリフだよなぁ……これ。
「わかりました!いきます!」
ロゼさんが加速して拳で攻撃するが、黒井さんは武器すら使わず回避し続けている、速度はロゼさんが勝っているが……。
「動きが単調で読みやすいです、これでは私くらい戦い慣れてる人には通用しません」
ロゼさんの足元に血の糸が巻きつきバランスを崩す、ロゼさんは力づくで血の糸を引きちぎってそのまま蹴りを放つが大鎌の柄で受け止められる。
「あの壁をへこませた時より力を抑えていますよね?私のことは気にせず全力で来て良いんですよ?」
ロゼさんの速度が上がる、廃工場で魔人を倒した時にも使ったらしい技だろう、しかし制御しきれていないようで無駄な動きが多い。
黒井さんは攻撃を見切ってかわし、ロゼさんの背中を大鎌の柄で叩きつけた。
「大体わかりました、模擬戦は一度終わりにしましょう」
「さっきのは身体能力とルナちゃんの支援魔法、両方に固有魔法の増幅をかけていたんですよね?」
「そうです!ただそれをやると制御しきれなくて……身体能力を増幅するだけなら慣れてきて扱えるようになってきたんですけど」
「では増幅するしないで明確に分けるのではなくて、強弱を付けましょう、両方を増幅させつつ魔力の流れを調節して倍率をいじるイメージで……最初は大変かもしれませんが慣れれば扱いやすくなると思います……」
「やってみます!」
ロゼさんが変な挙動で周囲を走り回ったり空気を殴ったりしているが、徐々に動きが良くなっているように見える。
「そんな感じです!あとは攻撃するときに全力を込めたり、加速減速も調整できると良いですね」
これ魔力を調整して動きを変えてるんだよな、魔力かぁ……相手の魔力を感知できれば、もう少し立ち回りやすくなると思うんだよな、異世界であれば魔力を感知することで索敵や魔法の発動を察知することができた、この世界の魔力は性質が違うからか、直接流し込まれたりしないとわからない。
「黒井さんは魔力をどうやって感じ取っているんですか?」
「え?うーん魔人や魔獣の魔力なら本能的にわかるというか、嫌な感じがして直ぐにわかるんだけど、魔法少女の魔力は直接流されでもしないとわからないんだよね」
そこは魔法少女でも難しいのか、そもそも魔法少女は対魔法少女を想定していないだろうから感じ取る必要もないのかもしれない。
魔獣や魔人の魔力はわかるようだしそれで十分なんだろうなぁ……。
これは俺が感覚を掴んでいくしかないんだろうね。
「ロゼさん、もう一度模擬戦しましょうか」
「はい!」
ロゼさんの激しい攻撃を黒井さんがいなし続ける、ロゼさんが力の扱いに慣れてきたからか、少しずつ黒井さんの余裕が消えて、大鎌や血を使う頻度が上がっている。
ロゼさんの蹴りが黒井さんの足にヒットしたところで模擬戦は終了した。
「思いっきり蹴りすぎました!黒井さん!大丈夫ですか!?」
「全力で来てと言ったのは私の方ですから……でもこれからの試合はお互いに致命傷は避けたり寸止めするようにした方が良いかもしれないですね、あ……ルナちゃん回復魔法を」
「今かけますね」
うわっ、足のダメージが酷いな衰えてるとはいえ元魔法少女に対してこれかぁ……俺とか一撃貰ったら死んじゃいそう、まあそもそも結界魔法があるから当たらないけど。
「ありがとうございます、やはりルナちゃんの回復魔法は、かなり強力ですね、このレベルの怪我を短時間で治せる魔法少女を私は知りません……」
回復魔法持ちの魔法少女を知らないからなんともいえないんだよなぁ……。
まぁ異世界基準でも強力ではあるけれどね。
そもそもの話、こっちも
「黒井さん!いや師匠!この後はどうしますか?」
「し、師匠!?えっと、そろそろここを借りられる時間も終わるから今日は終わりにしましょう」
「今日はってことはこれからも付き合ってくれるんですか?」
「はい、私も教えられることは教えたいと思っているので……」
「ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!」
今日はこれで解散という事になったが、黒井さんはこれからも空いてる時間に協力すると言ってくれた、実戦経験が豊富な黒井さんとの訓練はロゼさんに良い影響を与えてくれるだろう。
俺が奥の手として取ってある魔法、デメリットもあるが味方に絶大な力を与える魔法だ、エリオ*2でも使いこなすのに時間がかかった代物で今のロゼさんに使っても制御することは不可能だろう。
これは希望的観測かもしれないが、このまま実力をつけてくれたらいつかは使えるときが来るかもしれない。
分かりずらい魔力とかの設定部分を一応書いておきますが、飛ばしても大丈夫です。
同じ魔力と呼称していても異世界出身のルナが扱う魔力と魔法少女や魔人が扱う魔力は似て非なる物です。
魔法少女と魔人の魔力は正と負の関係で、互いに反応しあうので魔法少女は魔人の、魔人は魔法少女の魔力を感じ取ることができます、作中で索敵とかに使われているのは基本的にこれです。
また魔人や魔獣は肉体が負の魔力で構成されているため、魔法少女の正の魔力を当てて倒すことで消滅します。
ルナの魔力や、同じ性質の魔力は直接流し込まれたりしなければ感じ取れません、しかし魔法少女同士で戦うようなことはほぼなかったので困っていなかった感じですね。
必要性ができて意識的に感じ取ろうとすれば感じられるようになるかもしれません。
ルナの扱う魔法は異世界の敵対勢力である魔族に特攻を持っているような物も多く、こちらの世界ではそれが通用しない為、異世界にいた頃と比べると弱体化している状態です。
また、魔法少女や魔人は固有魔法という一つの魔法しか使えない場合がほとんど(武器や変身はまた別)で、魔法少女に覚醒した)または魔人として生まれた)瞬間にある程度の魔法の使い方が感覚的にわかるイメージです(応用とかはまた別として)
それに対して異世界の魔法は適性のある属性が人それぞれ分かれていて、知識を学び術式を組むことで魔法を扱う感じですね(天才タイプは感覚で使えたりもする)
異世界人の中でも聖女であるルナの魔力は特殊ですが、異世界のことは語る機会があればその時にという感じです。