ちょっと説明多め長め回かもしれません。
なんだかんだで見てくれてる人がいてありがてぇ……。
今日は茜さんが学校に行っている間にオムニスさんの実験を手伝う日だ、灯さんと共に車で調査研究部へ行き、十六夜さんに挨拶をしてから計測機器の揃えられた部屋へと入る。
「やほ、今日は午後から調査の予定があるんだ、それにも付き合ってもらうよ」
「はい、わかりました、でも一体何を?」
「まぁ見てのお楽しみってことで、まずは実験をしようか、ちょっと着てもらいたい物があるんだけど良いかな?」
「着て貰いたいもの……?」
オムニスさんが持ってきたのは黒いシスター風の衣装だった、装飾も多く魔法少女の衣装と言われても違和感がないようになっているようだ。
「これは?」
「君の使ってるコスプレ衣装を参考にしつつ、魔法少女の魔力を事前に流し込むことでそれを発することができるようにした特殊な衣装だよ、それにしてもあの衣装は何なのか?本当にコスプレ専門店で買ったの?店に問い合わせても知らないって言ってたし、近い衣装はあったんだけど色や細部が異なるんだよね」
俺の使ってる魔法少女コスプレ衣装、一目見た時からこれしかないと思ったし、着てみると妙にしっくりくるし俺の魔力にも良く馴染む、茜さんが後日調べても同じものが見つからなかったと言っていた不思議な衣装。
これをオムニスさんが調べた結果、オムニスさんも知らない、おそらくこの世界の物ではないと思われる謎の素材が混ざっていたことが判明した。
何となく心当たりはある、聖女としての正装、教会に取り上げられていた特殊な加護が施された装備。
あれは聖女である俺と特殊な繋がりがあり、聖女でなければ扱うことができない特殊な装備だ、ミスティが最後に使った転移魔法は魂の繋がりを利用して転移を可能にしたらしい、おそらく魂の繋がりがあるこの装備であればこちらに送り込むことは可能だろう。
教会を解体した後ミスティが回収し、こちらの助けになればと送ってきた可能性はある。
けれど姿形が魔法少女風の衣装になっている理由もわからない、俺が想像している物と同じ場合魔力を流せば反応があるはずなんだがそれも今のところ起きない。
世界を渡る過程で何らかの不具合があった可能性はある、感覚的にもあの衣装は聖女の正装と同じくらい馴染むんだけど現状では確証はない。
本当に異世界産の衣装だとしても茜さん以外には異世界のことを伝えていないのでオムニスさんには話せないけどね。
「そのはずですよ」
「不思議だね、もっと調べたくなるよ、まぁルナちゃんに聞いても答えは得られなさそうだし……とりあえずその服着てみて」
俗にいうウィンプル?に似ている被り物に加えて、白の衣装から黒の衣装になることでかなり印象が変わる。
それに加えてプラチナブロンド、白に近い金髪である髪色を魔法で少し黄色に寄せてみる。
「かなりイメージが変わるね、顔を近くで見られたり声を聴かれなきゃ別人に見えるかも、ちょっと貸して」
オムニスさんが軽いメイクと、髪を編んで三つ編みにしてくれた、以前貰った端末のインカメラで自分の姿を映す。
ここまで来ると顔を見られてもわからないんじゃないか?
「状況次第ではこちらの姿を使うのもありかもね」
オムニスさんがこの衣装にしばらく触れ、その後計測機器で何かを測る。
「ちょっと私に魔法を使ってみて」
オムニスさんがそう言ってナイフで自身の手を切った。
最初はビビったけど実験の時に良くやるのでもう慣れた。
オムニスさんに向かって回復魔法をかける、いつもと違って何か抵抗を感じる、これはこの衣装に阻まれている?何かが混ざっている?感じか?出力が落ちるというほどではないが初動は少し遅くなるし違和感はあるな。
「成功だね、ルナちゃんの魔法に衣装に仕込んだ魔力が混ざっているイメージかな、これなら魔法少女に魔法を使っても正体がバレにくいと思う、鋭い相手だとバレるかもしれないけど」
「この衣装、魔法少女に成りすませるってことですよね?これを普通の人や魔人が着たら不味いことになるんじゃ?」
「ルナちゃんと同じ方法で魔法を使える人がいるならそうだけど、一般人が着たところでそもそも魔法を使えないから問題はないと思うよ、魔人は魔力の性質的に使うことは不可能だしね」
その後、これを活かして魔人への攻撃手段にできないか聞いてみたが、理論上は可能だが難しいそうだ、それこそ膨大な魔力を持つ魔法少女とそれを貯め込めるだけの素材があれば別らしいが……。
一通り実験を終え、オムニスさんが頼んだデリバリーで昼食を済ませた後調査に同行する。
お試しという事で先ほどの衣装を着たままだ。
灯さんは書類仕事で忙しいらしく十六夜さんの車で移動する。
十六夜さん達は俺の見た目に最初は驚いたものの、使い道があるかもしれないと考え込んでいた。
「よし、着いたぞ」
辿り着いたのは魔法協関係の医療施設のようだ。
十六夜さんの後に続いて一つの部屋へと向かう。
魔法協関係ということで普通の病院とは違うのか、かなり広い部屋にカーテンでしきられたベットがかなりの数置いてあった。
「病室にしては部屋も広くて病床の数が多いですね」
「正確には病院ではないからな、魔法少女が回復魔法を効率的に使うためにこうなってる」
十六夜さんと会話をしていると、どこからか鈴の音が聞こえる……何だ?これは……魔法か?
反射で結界魔法を使おうとしたがオムニスさんが手で制してきたので止める。
すると音のした方向から、ロングスカートの白いドレスを着て鈴を持った、普段の俺と似た髪色の少女が歩いてきた。
「ようこそおいでくださいました、十六夜さん、オムニスさん、それと……」
「あーこいつは最近ウチに来た新人で」
今、いつもと衣装が違うけど普通に名乗って良いのか?十六夜さんやオムニスさんの顔を伺うがわからない……まぁ止められないなら名乗るしかないか。
「ルナと申します、よろしくお願いいたします」
初対面の相手なことや隣に茜さんがいないこと、相手側が丁寧に接してきたことなどもあってこちらもカーテシーをしながら丁寧に返す。
「ご丁寧にありがとうございます、
「それで、ここにいる患者達を調べれば良いの?」
「ええ、昏睡状態にあるのですが医師が調べても原因がわからないようで、体が徐々に衰弱していくのを私の魔法で繋ぎとめているのが現状です、衰弱していく速度には個人差があるのですが……」
「わかった、ちょっと見せてもらうね、ルナちゃんもついてきて」
ベルさんに案内されて比較的症状が重いらしい人物が眠っているベッドへと向かう、そこには眠っている男性が一人、オムニスさんが手をかざしながら男性のことを見つめている。
オムニスさんは消耗こそ激しいが解析や鑑定ができる魔法を持っているらしいのでそれを使っているんだろう。
「ルナちゃんはどう思う?」
「触れて良いなら調べることは可能ですが……」
ちらりと後ろにいるベルさんの方を見る、頷いているので良いんだろうな。
とりあえず調べてみるか、男性の肌に触れ回復魔法を使う要領で魔力を流し体の様子を調べる……肉体にダメージはない?何だろうかこの感覚は。
「これは何処かに生命力か何かを吸い出されている?」
異世界で言うなら夢魔の能力や呪いの類が近いだろうか、その2つが合わさったような物か?呪いのような物で何処かと繋がれていて、それを媒介に何かを吸い出されているような……。
「アタシも同じ見解かな、魔力を他者から得るという方法は魔法少女でも前例があってねそれと似たような物だと思うよ、まぁそっちは無理矢理吸い出すようなことはしていないけど……とても興味深いねこの現象を突き詰めていけば魔力というものの本質に……」
オムニスさんは考え込むと長いから放置するとして、症状について考える、この症状であれば……。
「これなら私の魔法で治せそうですね……」
「……試して頂いてもよろしいでしょうか」
「わかりました」
解毒や解呪の要領で絡みついている繋がりを解く、回復魔法で衰弱した体も治してあげれば……。
「これで治せたはず、そのうち目を覚ますと思いますが……」
ベルさんは少し驚いたような表情をしている。
「もう少し様子を見て問題がなければ他の方の治療もお願いしても?」
「ええ、もちろん」
その後目を覚ました男性から事情を聞くのは十六夜さんに任せて、俺は他の人達の治療に回った、十数人ほど治療して大半は治すことができたが、一部の人は治すことができなかった。
衰弱の速度とも関係性がないらしく理由がわからない、感覚としては魔法を拒絶されているような感じだが……十六夜さんが聞いているであろう情報と合わせて考える必要がありそうだ。
魔法少女プロフィールNO.8
魔法少女ホーリーベル 本名:
固有魔法:『
(ベルは程度にはよるが骨折を治すのに30分くらいかかる、ルナであれば四肢欠損していても2~3分程度で治すことが可能)
普段の仕事:基本的には魔法協関係の医療施設で回復魔法を使っている、要請があればゲートリンカーなどの転移魔法を利用して他のところへ行くこともある。
好物:紅茶、お茶菓子
メモ: 極めて裕福な家庭で暮らしている少女、恵まれた環境で育ち力も持っている自分は、人々の為にその力を使う責任があると考えている。
精神性はルナより聖女っぽいかもしれない子、魔法の方向性に差はあれど回復系能力を持つ魔法少女の平均値。
メタいことを言うと話し方が猫を被ってるときのルナと被ってややこしいので出番はそんなに多くない予定。