居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

30 / 51
誤字報告本当助かってます、ありがとうございます。
感想含めた反応もとても嬉しいです、ありがとうございます。


20話『魔人と冥界電話』

「まさか調査研究部の新人さんが回復系の魔法少女だとは……それにルナさんの回復魔法はかなり強力なようですね、是非とも私達の部署に欲しい逸材です」

 

 ホーリーベルさんも含めた回復系の魔法少女は基本的にゲートリンカーさんと同じ特殊派遣部に所属しているらしいので、同じく回復系の魔法少女(に見える)俺が調査研究部に所属しているということ自体が特殊ではあるんだろう、それに回復系の魔法少女は数が少ないので喉から手が出るほど欲しい人材なんだとは思うが……。

 事情が事情なので他の部署に行くことはできない、そもそも茜さんがいる部署から離れたくはないし……。

 

「ごめんね、この子色々と特殊でさ、アタシの研究にも協力して貰ってるから」

「ふふ、冗談ですよ、何か事情があることくらいは察しています」

「そ、そうですか……」

 

 こういう表情から本音が読めないタイプとの会話は難しいよ!異世界でもそんな場面は多々あったけどさぁ……。

 

「できることは終わったしアタシ達は戻るね、何かわかったら連絡するよ」

「ええ、本日はありがとうございました」

 

 

 

 ホーリーベルさんと別れ十六夜さんと合流し、車へと戻る。

 道中や車内で、俺とオムニスさんは十六夜さんから、意識を取り戻した人達が話してくれたという情報を教えてもらった。

 

 今回昏睡していた人達には冥界電話と呼ばれる電話をかけていたという共通点があった。

 その電話をかけた後から故人と思わしき人物が見えるようになり、次第に体調が悪くなって……という流れのようだ。

 また目覚めた人達は皆揃って、記憶はあいまいだけど眠っている間に夢で故人と出会っていた気がするという発言もしていたらしい。

 

「今回も魔人の仕業なんですかね?」

「十中八九そうだね、アタシの魔法で見た時に一部の人からは薄っすらと魔人の魔力が残っているのを観測できたんだ、きっと何か魔法をかけられた残滓的な物だと思うよ」

「心霊現象という訳ではないんですね」

「今回の件に関しては違うと思うよ、まぁ幽霊が存在するのかはわからないけど」

「おい未来、この前までは幽霊なんて存在するわけがないって言ってたじゃねぇか」

「死体を操るような魔人も現われたんだから、存在しないと断定することはできないでしょ?」

「今回の件も死霊術師のように、魔人の魔法によって故人の魂を呼び出し利用している可能性もありますからね、個人的には違うとは思いますが」

 

 少なくとも被害者からは死者の気配は感じなかった、呪いの媒介などに使っているのであれば治療する過程で魔力を流し込んだ時に察知することができると思うので、今回の魔法が死者の魂を利用している可能性は低い。

 

 

「ルナちゃんは、今回の魔人がどのような魔法を使ったんだと思う?」

「うーん……呪いのような何かで繋がりを作っているんでしょうけれど、故人が見えるということと繋がらないんですよね、電話をかけることがトリガーになっている可能性は高いと思うんですが」

 

 電話をかけるという行為自体が対象と縁を結んでしまうきっかけになってしまう、怪異やオカルトじみた考えだが、今回の魔人が使う魔法が呪術や儀式に近しい魔法だとすればあり得ない話ではない。

 

「魔人はその繋がりを利用して被害者から魔力を集めているんだろうね、被害者から魔力のようなものがどこかへ抜けていくのは私の魔法でも確認できた」

 

 ということは魔人の目的は魔力を集めることなんだろうか。

 

 

「他者から魔力を得るというのは前例があってね、他者から向けられた愛を魔力に変換できる子が魔法少女に居るんだ、その子の魔法を調べて得られた情報から魔人や魔法少女の魔力というものは、感情の持つエネルギーからも生み出すこともできるはないかという仮説が立てられていてさ」

 

 異世界とは魔力の在り方が全然違うんだよなぁ、異世界では体内に魔力路と呼ばれる物があって*1それが魔力を溜め込んだり生み出したりしているんだけど……。

 

「アタシの推測だけど、故人、特に思い入れの深い人物の幻覚または夢を見せることで感情を揺さぶり、無理矢理魔力を吸い出しているんじゃないかと思ってね」

「それが本当なら魔人って悪趣味な奴ばっかですね……」

「生命力も魔力を無理矢理吸い出した結果巻き込まれる形で吸い出されている可能性もあると思うよ、これも魔力へと変換している可能性はあるけれど前例はないね」

「感情を元に魔力を吸い出せるなら、被害者には長く生きて貰って魔力タンクになってもらった方が良いでしょうし、意図できてはない可能性もあるでしょうね」

「そういうこと、それにアタシ達も生命力が吸い出されていなきゃ気付くのはもっと遅くなっていたはずだからね、バレるリスクを負ってまで生命力を奪う必要性はあまりないと思うよ、まぁ生命力の方が効率よく魔力を集められるという可能性もあるけれど」

 

 

 故人の幻覚、または夢を見せるというのが魔人の魔法であるなら、目覚めない人がいた理由として考えられるのは……。

 

「被害者本人が夢から目覚めたくないと思っているから、治療することができなかったという可能性は考えられるのでしょうか?」

「あり得ると思うよ、特に今回の魔法は感情というものが深く関わっているから……」

「となると目覚めさせるには魔人を倒すしかないんですかね」

「だろうね、とはいえ探すのは骨が折れそうだけど……」

 

 まぁ、目覚めない人たちもベルさんのおかげで今のところ命の危険はないらしいので、多少探すのに時間がかかっても問題ないだろう、魔力を集めているということだけは不安要素だけれど……。

 

 

 

 

 

 その日は解散し、翌日茜さんと共に冥界電話について調べることになった。

 十六夜さんがまとめてくれた被害者達から得た情報によると、K県M市のH山という場所に黒い電話があって、それを使って故人を思い浮かべながら電話をかけるとその人物に会えるという話らしい。

 

「ネットで調べても十六夜さんが言ってた事以上の情報は見つかりませんね……」

「現地に行って調べてみようよ!」

「そうですね、灯さんか十六夜さんに頼んで車を……」

「2人共忙しそうだし、ここなら電車でも行けるんじゃない?」

「確かに今日は特に忙しそうにしてますね……今日向かうならその方が良いかもしれません」

 

 電車で出かけようと準備をしていると、オムニスさんが小さなバッグを持ってやってきた。

 

「衣装を軽く改良したから持って行って、着替えやすいように色々と仕込んでみたんだ」

 

 改良したという黒いシスター服を着てみたが、確かにこれは着替えやすい、変な挙動をしているし仕組みは分からないけれど、私服の上から着ても違和感がないし、着脱にも時間がかからない。

 車移動なら事前にコスプレ衣装を着ておけば良いけど、流石に電車などを使う時にそのまま乗るのは悪目立ちしすぎるから私服で移動する必要があった、かといって向こうで魔法を使う事になった場合私服で扱うのは誤解を生むし良いことではない。

 けどこれであれば光学迷彩擬きの魔法を使って誤魔化している内に即着替えることができる。

 

 戦闘はあちらの服と比べると少し劣るので、着替える余裕がちゃんとある場合や激しい戦闘が想定される場合はあちらの服を着るべきだろうけれど、こういった調査の場面で気軽に着替えられる衣装としてはかなり便利なのでは?

 

 

「これは使いやすそうですね、ありがとうございます」

 

 ついでに昨日のように髪やメイクを整えてもらって……今回は髪色を黒にしよう。

 

「ルナちゃん凄い雰囲気変わったね!可愛いよ!」

「そ、そうかな……」

 

 異世界でも容姿を褒められることはあったし慣れているつもりだったんだけれど、向こうではあまりお洒落というものをしてこなかったからだろうか、こうやって姿が変わった自分を面と向かって褒められるのは少し恥ずかしいものがある。

 

 それに元男としての視点で自分の容姿を見ると可愛いというのが理解できるから複雑だ、これが自分じゃなければ色々と着飾ってあげたいと考えていた事だろう。

 

 でも茜さんに褒められていること自体は嬉しいし、喜んでくれるのであれば色々と弄ってみるのも良いかも……?

 自分でも自分の考えが良くわからない、これが複雑な乙女心って奴なのかもしれない、俺のことを乙女といって良いのかはわからないけれど。

 

 

 

 

 色々と考えながらも準備を済ませた俺達は電車を乗り継ぎK県M市へと向かうのであった。

 

*1:
物理的に存在しているわけではない




魔法少女プロフィールNo.9

魔法少女ミラクル☆アイナ 本名:七瀬(ななせ) 愛乃(あいの)

固有魔法:『皆来愛採(ミラクルアイドル)』……自身へと向けられた愛を魔力に変換、それを使用して身体強化をしたりビームを放つことができる。
一人一人から得られる魔力は少ないけれど多くの人々から集めることで膨大な魔力になる。

好きな物:ファンのみんな

メモ: メディア戦略部所属の魔法少女、アイドル活動や動画配信をしている。
承認欲求が強い本人の性格とイメージアップを図りたいメディア戦略部、それに加えて本人の持つ魔法の性質までもが噛み合っている魔法少女である。
他者から魔力を集められるというのは珍しいので、オムニスアイも注目している。


設定だけは最初の方に作っててどこかで出したかったけど今のところ出せそうな場所がない、あっても閑話とかかも。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。