居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

31 / 51
お気に入り数が1000いってて本当にありがたい……初心者のこのような文章を読んでくれる人がいるというだけでも本当に感謝しかないです!
投稿初めて2作目とかなので正直これだけ見てもらえるとは思っていなかった……。


21話『オカルト調査と影の魔法少女』

 俺の元実家や今住む茜さん達の家、それに加えて魔法協の主要施設も存在するT都から片道で1時間弱かけてK県M市の駅へとたどり着く、都会ほどではないがそこそこ栄えていてそれなりに人通りも多い。

 H山にはここからバスで15分から30分程度かかるようだ。

 

 バス停に向かおうとしたとき、フラフラと路地裏に向かう顔色の悪い男性が視界の端に映った、説明は難しいが一昨日治療した人々と同じような雰囲気を纏っている気がする、何人か治療したことで感覚を掴めたからわかったのかもしれない。

 

「ちょっと待ってて」

「どうしたの?」

「ちょっと様子のおかしな人がいて、もしかしたら被害者なんじゃないかと思ってさ、ちょっと様子だけ見てくるよ」

「最寄り駅だからそういう人が居てもおかしくないかもね、私もついて行こうか?」

「ん~……とりあえず一人で話を聞いてみるよ、何かあったら出てこれるように傍で待機してて」

 

 物陰で着替え、その男性に近づく。

 

「あの……」

 

 怪訝な表情で見つめられる、まあそれはそうだろう、魔法少女に見えなくもないが、魔法少女が一般人に話しかける理由なんてないし、今の俺は通りすがりの金髪シスター服コスプレ少女でしかないからね。

 ここは神聖な雰囲気を纏い異世界で培った聖女ロールプレイで乗り切ろう。

 

「急にお声がけしてしまい申し訳ありません、貴方に邪気のような物が纏わりついているのを感じまして、私に祓わせていただけないかと…… 」

 

 銀のロザリオを取り出し軽く光らせる、雰囲気作りだね、この姿なら魔法少女にも見えるだろうから大きな問題にもならないだろう、多分。

 

「えっ……?あっ……」

 

 困惑している隙に手を握って魔法を使った。

 魔力を流した時点でわかったことなんだけれど、やはり一昨日治療した人たちと同じ症状みたいだね。

 

「あれ?なんか物凄く体が楽になりました、ありがとうございます……?」

「礼には及びません、それで……少しお尋ねしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「は、はい」

 

 男性から話を聞いたが、やはり予想通りで冥界電話の噂を聞いて、数日前に実際に掛けたらしい。

 男性が話してくれた情報も基本的に既に知っていることばかりで調査に進展はなかったので、話を聞かせてくれたお礼を言って別れ茜さんと合流し、バスに乗ってH山へと向かった。

 

 

 

 バスを降りて山を歩きながら噂の電話を探すけれど見つかる気配はない。

 

「まだ倒れていないような被害者も結構いるのかな?」

「その可能性は高いね、倒れて見つからないままの人もいるかもしれないし、普通の病院に通っている人もいるかもしれない」

「できるだけ早く解決したいけど……」

「魔力を集めているんだとしたら、それを何に使おうとしているのかも警戒しないといけないしね」

 

 

 全然見つからない……魔法も駆使しているし異世界での旅の方がきつかったから体力的には問題ないんだけど、あてもなく歩き回るだけってのも大変だ。

 

「魔人の魔力みたいな物は感じない?」

「感じないかなぁ……」

 

 ここに本体が居座っているわけではないのか?それか魔力が微弱すぎて感じ取れないとか?でも大量の魔力を集めているんだよな……?

 

 帰りは灯さんが車で迎えに来てくれるということで、迎えに来てくれるまで探し続けたけれど今日は何も見つからなかった。 

 

 

 それから茜さんや黒井さんと数日調査したが、駅前などで数人治療はしたものの肝心の電話を見つけられず調査は行き詰っていた。

 今日は茜さんも黒井さんも都合が悪く、俺は戦闘能力が無いため一人で現地調査もできない、かといって何もしないのも嫌だったので調査研究部でパソコンを使いネットで情報を漁っていた。

 

「見つけた場所に戻ったけど無くなっていた、黒い電話が写った写真と同じ場所に向かったが見つからなかった、かぁ……現われたり消えたりしている?電話自体も幻覚?わからない……本体はあそこにはいないのか……?ひゃっ」

 

 考えている俺の頬に冷たい何かが触れる、その方向を見るとオムニスさんが缶コーヒーを差し出してくれていた。

 

「コーヒー飲める?」

「飲めます、いただきます」

 

 ……苦っ、これブラックではないよな?微糖か、男の頃ならブラックも飲めてたはずなんだけどなぁ。

 転生に伴って味覚が変化しているからか前世以上に甘味を美味しく感じれたりはしていたんだけれど、逆に苦手なものも増えている感じなのかな……?

 戻って来てから色々と食べてはいるが、網羅できてるわけではないから把握しきれていないんだよね、異世界の食事はこちらとは違いすぎたし……。

 

「苦手みたいだね、他のものを買ってこようか?」

「い、いえ大丈夫です」

「アタシは缶コーヒーが好きでさ、研究で考えがまとまらない時とかに良く飲むんだ、ここの冷蔵庫に常備してあってね」

 

 そう言いながら、オムニスさんはブラックの缶コーヒーを飲んでいる、俺には常備されてる中でできるだけ甘いものを渡してくれたのだろうか。

 

「調査、行き詰まってるみたいだね」

「そうなんです、茜さんや黒井さんも魔人の魔力のようなものは感じないらしくて……魔人自体はどこか遠くにいる可能性もあるのではないかと」

「その可能性はあるけれど、少なくともその電話を仕込む時には近くにいると思うんだよね、電話を生み出して運ぶのは別の誰かに任せている可能性もあるけれど」

「影使いの魔法少女ならできるかもしれませんね……」

「あれも何でも運べるほど便利な魔法ではないと思いたいけどね」

 

 

「後は魔人が持つ魔力が微細で感知できないという可能性もあるとは思うのですが、魔力を大量に集めているならそれもどこかへ隠さないといけないですし……」

「そうなんだよね、それだけ膨大な魔力を溜め込んでいれば見つけやすいはずなんだけど」

「魔法協の技術には魔力を隠して感知できなくするようなものはないんですか?」

「アタシの知る限りでは存在しないね、とはいえ今まで研究してきたものを流用すれば作ることは可能だろうけど……」 

 

 今回もあの影使いの魔法少女やその上司?ボスとやらが関わっているのかはわからないけれど、魔法協内部に内通者がいるのであればその研究成果を横流しすることは可能か……?

 

「そのような技術を相手が持っている可能性もあるということでしょうか」

「内通者がいるなら無いとは言い切れないね」

「厄介ですね……簡単には見つけられなさそうです」

「アタシも何か手はないか考えてみるよ」

 

 

 

 翌日、調査する時間帯を変えようと、黒井さんと共に深夜のH山で調査していた時の事だった。

 何かを追いかけるように走っている20代前半くらいの男性が視界に映った、黒井さんには待機してもらい、着替えてから支援魔法を自身に使って男性に近づき呼び止める。

 今まで治療して来た人達ほどではないが薄っすらと生気が吸われているような雰囲気を感じる。

 

「突然呼び止めてしまいすいません、貴方に何か悪い物が憑いている様に見えまして……」

「え、ああ……金髪シスターって本当に居たんだ……」

「すこし診させて貰いますね」

 

 ロザリオを取り出し手に触れて、軽く光らせて雰囲気を作る、魔力を流したがやっぱり同じ症状だった。

 

「これで大丈夫です、貴方も冥界電話というものを使ったのですか?」

「ああ、そうだよ」

「冥界電話について伺ってもよろしいですか?」

「うん」

 

 男性に話を聞いたが、何とついさっき冥界電話を掛けたばかりらしい、今から向かえば見つけられるかもしれない、場所を聞き出しお礼を言って離れ、黒井さんにも支援魔法を使いその場所へと向かう。

 

 身体能力が高い黒井さんに先に移動してもらい、俺は少し遅れて追いかける。

 目的の場所にたどり着くと、黒井さんが大鎌を取り出していたが周りに敵はいないようだ。

 

「黒井さん?」

「この前見た影使いの魔法少女が居たんです!でも、影に潜られて逃げられました……」

 

 その言葉を聞いて辺りに魔法で光を放ったが出てくる気配はない、この場からは完全に離れてしまっているようだ。

 

「すいません私がもう少し早く辿り着いていれば……黒井さんに抱えてもらうべきだったでしょうか……」

「ルナちゃんを抱えて走っていたら、私が辿り着くのが遅くなって、結果的に敵の姿を見ることすらできなかったかもしれませんから……それに他のも情報は得られましたよ、黒い電話からは魔人の魔力を感じました!影に潜られてからしばらくすると消えてしまいましたけど……」

「逃げられてしまいましたが黒井さんのおかげで情報が手に入ったのはありがたいですね、自分一人では間違いなく得られていなかったです」

 

 今日はあいつらがまた絡んでいるとわかったことと、電話自体に魔力が宿っていたという事がわかっただけでもかなりの前進だ、このまま魔人を見つけられれば良いんだけれど……。

 




 癖の話を少しさせていただくので全然飛ばしてもらって構わない後書きです。

 自分はTS好きでとりあえずTSはさせたいから書き始めた人なんですが、TSって旨味を感じる部分が人によって違うので難しいと思ったりもしますね、自分はTSしてるってだけでも美味い!って思うくらいには雑食です。
 内面に関しても男っぽいのが良いか徐々に変わっていくのが良いのかとかで好みが分かれそう(自分はどれも好き)、今作は男っぽい所もありつつ転生してから年月も経ってるので多少は慣れて順応もしているくらいのつもりではいます。


 後、元ブラッディーエンペラーの黒井真那はTS以外の自分の好きな要素を結構詰め込んでいるキャラだったりします。
 大鎌使いの黒衣装、力が衰えているが故の部分的な変身、衰えている部分を技量と経験でカバー、元中二少女でたまに再発する、とか諸々が結構好みの要素です。
 血を駆使した戦い方も現役時代は派手に槍とかを作っていたところを、力が衰えたことで糸のように操るテクニカルな戦い方に変わっていたりとか自分の好みがかなり入ってるキャラですね。
 とはいえ主役に添えるようなキャラでもない感じで、量産機とか型落ち機体で活躍する癖強猛者パイロットみたいなそういう枠です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。