いくつか情報を手に入れられたので調査研究部でオムニスさん、茜さん、黒井さんに俺の4人で一度話し合うことになった。
「影使いの魔法少女と、魔人の魔力が宿った電話ねぇ……陰に潜ってからもしばらくは魔力を感じられたみたいだけれど、それはどんな感じだった?徐々に離れていったりした?」
「少しずつ離れていってその途中で消えてしまった感じです、遠ざかっていく速度の方が早くて追いつけなさそうでした……」
「途中で消えた……感知できる範囲から離れてしまった?それとも魔力を遮断する手段を持っているのでしょうか……徐々に離れていったというのであればおそらく転移のように長距離を一気に移動することはできないと思いたいのですが……」
しばらく皆で考え込んでいると、オムニスさんが口を開いた。
「H山でまだ冥界電話の被害者が増え続けるかどうか様子を見る必要もあるかもしれないね、影使いの魔法少女も交戦を避けているようだし、魔力を集めるだけであれば既に見つかっていて邪魔が入るH山に留まる理由はないと思うからね」
「逆にH山で被害が出続けるのであれば、そこでなければいけない、または大きく動くことができない理由がある可能性が高いということでしょうか」
「そういうこと、もしそうなら魔人も近くにいる可能性が高いだろうしね」
話し合った結果オムニスさんが今までの研究成果から何か追跡できるような道具を作れないか試してみるということで、しばらくはH山付近を調べたり、被害者を治療しつつ様子を見る方向性に決まった。
それから数日間、俺達はH山付近で調査を続けたが、未だに被害者は出ているようで何人か治療をした。
黒井さんが影使いの魔法少女を見つけた日以降に冥界電話を見かけたと言っている人も1人見つけられたので、相手はまだH山付近で活動しているということがわかった。
話し合ってから1週間ほど経ったタイミングで、オムニスさんから道具が完成したという連絡を受けたので、全員で調査研究部に集まった。
「これだよ、技術開発部の知り合いに頼んで何とか完成させられたんだ」
そう言ったオムニスさんの手の中には……なんだこれ?時計?いやコンパスか……?
それに何か差し込めそうな穴が付いている?
「ルナちゃんはロザリオを通しても魔法を使えるでしょ?つまりルナちゃんのロザリオは魔法少女の武器と似たような役割を持っているといえるんだ、その性質を利用して使うのがこのコンパスで……」
オムニスさんの話を要約すると、このコンパスは俺のロザリオを穴にセットして使う物らしく、このコンパスにセットしたロザリオを通して俺の魔法を使い、被害者と魔人の繋がりを解くことで動くらしい。
解いた物がコンパスに繋がって、被害者の感情エネルギーや生命力の代わりに中に溜め込まれている魔力が向こうへと少しずつ流れていくという仕組みらしく、それを利用して相手の位置を特定できるようだ。
「あとは治療できる被害者を見つければ良いというわけですね」
医療施設に残っている被害者たちは繋がりを解くことができないので新たに被害者を見つける必要はあるけれど、1日か2日に1人くらいのペースで見つけられているので、すぐ見つかるだろう。
いよいよ魔人を見つけられるかもしれないという事で、黒井さん、茜さんそして俺の3人で調査する。
黒井さんがネット掲示板などで情報を漁った時に、金髪のシスターが幽霊を祓っている?みたいな噂がされているらしく、被害者側から寄ってくる可能性があるという事でシスター服のまま調査をすることになった。
しかし駅前やH山で調査を続けるが被害者を見つけられず3日が経った、通信機で連絡を取りつつ今日は駅付近で様子のおかしい人がいないかを探している。
『もう少しで魔人に辿りつけるかも!ってところなのに……』
『全然見つかりません……』
「こうなったら何か派手にアピールでもするべきでしょうか……」
何か効率よく見つける手段がないか考えていた俺に向かって大学生くらいの女性が駆け寄ってきた。
「あの!冥界電話のことで話が……」
……来たか?でもこの女性からはあの変な雰囲気を感じないんだよな。
「冥界電話ですか、どのような用件ですか?」
「えっと、冥界電話で憑いた霊を祓っているっていう金髪のシスターさん……で合ってますか?」
「ええ、私で間違いないと思います、ですが貴女は祓う必要がないように見えますが……」
「えっと……私じゃなくて冥界電話を探すのに付き合ってもらった友達が居て、その子が電話を掛けちゃったんです!それから憑りつかれちゃったのか最近どうも顔色が悪くて……私のせいなんです!何でもしますしお金なら幾らでも払います!私の友達を助けてくれませんか!?」
「お金も何も要りませんよ、対価が欲しくて人を助けているわけではありませんから……」
女性は少しほっとしたような表情になった、きっと自分のせいで友達が危ない目に合ってしまって後悔していたし焦ってもいたんだろうな、自分のせいで大切な人を傷つけてしまう辛さは俺にもよくわかる……。
「よろしくお願いします!」
治療したらコンパスを使って魔人のところへ向かわなければならない、女性の友人の元へ向かうなら茜さんと黒井さんも一緒に連れて行かないと……。
「すいません、2名ほど同行させていただきたいのですがよろしいでしょうか」
「えっと……良いですけれど、どのような方なんですか?シスター仲間とかなんでしょうか」
言うべきか……?どうするべきだ……?悩んでいると、繋いだままだった通話から状況を察したのか黒井さんと茜さんが話しかけてくる。
『もう魔法少女だと伝えちゃった方が早いんじゃないかな!』
『隠しているわけでもないのでそれでも問題ないと思います……』
「えっと、同行させていただきたいのは魔法少女で……」
「魔法少女ってことはまさか……」
「おそらく貴女の想像通りで、魔人が絡んでいます」
その後黒井さんと茜さんが合流し、人気のない所で茜さんが変身して、魔法少女であるということを見せたうえで、3人揃って友人の元へと案内してもらうことになった。
女性が車で来ているらしく、それに乗せてもらう形だ、移動にある程度時間がかかるので、車内で自然と会話をすることになる。
「そういえば自己紹介してませんでしたね!私は星野茜!よろしくお願いします!」
「私も名乗るのを忘れてた……高宮千夏です」
「ルナです」
「あ、黒井真那です……」
軽い世間話をしながら移動する、事情が事情なだけに暗い雰囲気になりそうなものだが、高宮さんも友人を助けられる目処がたったからか最初に見た時より落ち着いているし、茜さんが明るく話を振っているので、お互いに打ち解けている気がする。
「お友達の家はこの近くなんですか?私達が住んでる所とそう遠くないかも!私少し前までこの付近で魔獣討伐を担当してたんです!」
「そうだよ、私が住んでるところはここら辺じゃないんだけどね」
……物凄く見たことがある道だ、とても嫌な予感がする。
「すいません、高宮さん差し支えなければ教えていただきたいのですが、ご友人はどのような方なのですか?」
「そういえば教えてなかったよね……私がオカルト好きで心霊スポットとかをよく巡ってるんだけど、なんだかんだで誘うと着いてきてくれるんだ」
それで今回の件に繋がったわけか……。
「高校に入学した時、前の席にいたのが美咲でね、出会ったばかりの頃はどこか寂しそうというか消えちゃいそうな子でさ、それで放っておけなくて色々と話しかけたり連れ回したりしてるうちに仲良くなったんだ」
美咲って言ったか?偶然だよな?
「えっと……その美咲さん?の名字を教えていただけないでしょうか……?」
「え?名字……?まぁこれから会うことになるんだし言っても問題ない……かな?」
「その子の名字は小鳥遊、小鳥遊美咲だよ」
……嘘だろ、同姓同名の別人じゃないよな?間違いなく俺の知る美咲だよな?
だとしたらどんな顔して会えば良いんだ?というか素直に事情を話したら治療させてくれるのか?
でも今の姿なら前に出会った俺と同じとはバレないかもしれない……。
今日はコスプレ衣装に着替えて直ぐに魔人の討伐へ向かえるようにということで、メイクや髪型は弄っていない、けれど髪色と服装は違うしバレないんじゃないか……?
でも、もしバレてしまったら……拒絶されたり怯えられてしまうんだろうか……。
考えてる話的には折り返しは超えてると思います!とはいえ変わる可能性もゼロではないので読めないところではありますが、これからもお付き合いいただけるなら幸いです。