少し歩き、地下へと降りる階段を見つけた俺達だったが……。
「凄い冷気ですねこれは」
「魔人か魔法少女の仕業で間違い無いですね、魔人の気配は一つしか感じませんが……」
かなり寒いな異世界の雪山とかよりはましか……?壁や床も一部凍り付いているようだ。
2人は変身することである程度の耐性を得ているが、衰えていて簡易的な変身しかできていないらしい黒井さんはロゼさんよりも寒さの影響を受けているように見える。
念の為支援魔法の応用で寒さに対する耐性を上げてから先へと進むことにした。
「近づいている筈なのに魔人の反応が弱くなっている気がします……」
「……影など何らかの手段で移動を試みている可能性もありますね、急ぐ必要がありそうです」
コンパスは魔人と繋がっている限り魔力を消費し続ける上に、急造したもので魔力を再充填できない為溜め込んである魔力を使い切ると機能しなくなってしまうらしい、美咲にまで手を出した魔人は個人的にも許すことはできない、逃がす前に仕留めてみせる。
ロゼさんや黒井さんを頼りに魔人がいるであろう部屋へとたどり着く、魔人の反応がかなり弱まっているらしく、コンパスの挙動もおかしくなっている。
「この奥ですね……」
「扉も凍り付いているようです」
「とりあえず拳でこじ開けるね!」
ロゼさんが拳を構える、以前よりも上手くなった力の制御で扉だけを丁寧に壊した。
扉を壊した先は一面が氷に覆われていて、その奥には白と水色のドレスを着て頭にティアラのようなものを被っている白髪ロングの少女と、氷に閉じ込められている角が生えた女性型の魔人が居た。
「あら、貴女達は……確か調査研究部の方々でしたわね」
「エンプレスさん……?」
ロゼさんや黒井さんも知っている魔法少女らしい、有名な人物なのか?ここにいるという事は影使いの魔法少女と仲間なのか?と疑問に思っているとロゼさんが教えてくれる。
「魔法少女フロストエンプレスさん、スーパーノヴァインパクトさんと同じくらいの時代、5年前から活躍していた魔法少女で既に引退していたはずだけど……」
「そちらのブラッディーエンペラーさんと同じでアルバイトという形で関わらせていただいていますわ、魔法協に確認していただければ許可を得ていると分かりますわよ」
5年も前からつまり黒井さんよりも昔から活動している筈なのに黒井さんのように衰えている様子がない……?ロゼさんと同じように完璧な変身をしているように見える、衰え方にも個人差があるのか……?
それにどこか体に違和感があるように感じる、触れられればわかるかもしれないが……。
魔法協に許可は得ているようだが内通者がいる可能性を考えると油断はできない。
黒井さんが大鎌を構え警戒しながらもフロストエンプレスさんへと問いかける。
「エンプレスさんはどうしてここにいるんですか?」
「魔人がここに潜んでいると匿名の通報を受けたらしく、魔人を倒した経験もある
フロストエンプレスさんの言っていることが正しいのであれば敵対者ではないということになるが、色々と怪しいそもそもこの魔人が溜め込んだ魔力はどこへ?影使いの魔法少女は何故出てこない?
「こちらの魔人、戦闘能力は低いのですがかなりの魔力を溜め込んでいるようでして倒すのに時間がかかってしまっていますの、ですがもうじき終わりますわ」
「待ってください、その魔人に聞きたいことがっ……」
「申し訳ありませんが、それはもう叶わない願いですわね……」
その言葉と同時に氷漬けにされていた魔人が消滅し、そこには大きな氷だけが残ることになった。
魔人を倒せたのは良いが、影使いの魔法少女やその裏にいる存在の手がかりが一切得られていないのは……。
フロストエンプレスさんが内通者の可能性もあるので、黒井さんやロゼさんも大鎌や拳を構えたまま警戒を続けているが、今のところ攻撃してくる気配はない。
「皆様は魔人も既に消滅したというのに何を警戒していらっしゃるのですか?」
「それは……」
「ふふ、意地悪な質問をしてしまいましたわね、私は匿名の依頼を受けただけですわよ、この件に他の魔法少女が関与していたとしても私のあずかり知らないことですわ」
魔法少女が関与していると知っているかの様な発言だな……。
「さて、私は目的を果たしたことですしお暇致しますわね、魔法は解除しましたので直に氷は解けますわ、ここを調べたいのならご自由にどうぞ」
怪しいので追いたい気持ちはあったが、相手に正当な理由があり、実力行使することもできない為追うのはやめてこの場を調べることにした。
「フロストエンプレスさんは影使いの魔法少女の仲間なのでしょうか」
「そうではないと思いたいけど、わからない……」
「匿名の通報者が影使いの魔法少女で、エンペラーさんは仕事をしただけな可能性も……」
「でも魔法少女が関与しているという事は知っていそうでしたけれど……」
「色々気になりますが、まずはこの場を調査しましょうか」
俺達は氷が解けていった部分*1から調査を進めていくが目ぼしいものは見つからなかった。
残すところは魔人が氷漬けにされていた部分だけだが……。
「お!ここも解けたね!思ったより早かったみたい」
「魔法でできたものなので、自然にできた氷とは違うんだと思います」
その場所を見ると床には何かが落ちていて……。
「水晶?でしょうか」
半透明の水晶、人工的に作られたかのように整えられている形で自然に出来るものではないように感じられる……。
「オムニスさんに見せたら何かわかるかも!」
その後も周囲を調べたがそれ以上の情報は無かった為、今日は水晶を調査研究部に持ち帰り、オムニスさんに調べて貰うことになった。
フロストエンプレスさんについても、十六夜さんに調べて貰ったところ、許可を得てアルバイトをしているというのは本当だったようだ。
フロストエンプレスさんに今回の件を任せた人物が誰なのかも調べてみると言っていたので任せることにした。
後は2人の報告を待つということで解散することになった。
美咲に関してだが、目を覚まし今のところ体調にも問題はないという連絡を高宮さんから黒井さんが貰っている。
無事ならこちらから会いに行く必要も……ないだろう、美咲の事を考えるともう会いに行くべきではないのかもしれない。
家に帰った後、茜さんが俺に問いかけてくる。
「美咲さんには会いにいかないの?」
「それは……美咲が幸せでいてくれるなら俺が会いに行く必要もないかなって、それに信じてくれてるかもわからないし……」
「……いくら私が行っても中々会おうとしてくれそうにないなぁ」
その後茜さんは少しやることがあると言って離れていったので、俺は先に寝ることにした。
魔法少女フロストエンプレスとして活躍している少女、
「魔力を溜め込んだ魔人の処理に困って私にこんな仕事まで任せるだなんて……最近の彼は派手に動きすぎていますわね、今回も慎重に動いていればバレることもなかったでしょうに……」
「処理に時間がかかったせいで、彼女達と鉢合わせて下手な芝居を打つことになってしまいましたわ、今後のことを考えるのであれば疑念を抱かせたくはなかったのですが……とはいえ彼が焦る気持ちも理解できます、私の体もいつまで持つかわかりませんから……」
優華は一瞬苦しそうな顔をした後、微笑み優希の頭をそっと撫でる。
「彼の行動が世間にとって良いものではないというのは理解していますわ……それに彼と協力していても時間を稼ぐことしか……となると……」
魔法少女プロフィールNo.10
魔法少女フロストエンプレス 本名:
固有魔法:『凍結』……物体を凍らせる魔法、使い方によっては概念的なものを凍らせるまたは停止させることもできるらしい、オムニスアイ曰く理論上時間を止めることも可能らしいが必要な魔力量が多すぎて実現はできないようだ。
好きな人物:妹
メモ:黒井真那と同じく引退した後アルバイトとして活動しているが、何故か全盛期と姿が変わっていない、その為名乗りもそのままである。
妹の
次話は妹の美咲視点の予定です!ちょっと間が空くかもしれないし空かないかもしれません!今章はバトル控えめ感ありますが次章はある程度させようという気持ちはあります。