居場所をなくしたTS聖女は魔法少女と出会う   作:綺羅星瑠奈

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最初の方に設定だけ出すタイミングが無さそうだったアイドル魔法少女のライブに行く回です!


閑話『アイドル魔法少女と魔力の研究』

 俺と茜さんは来栖さん*1に呼び出されて調査研究部へとやってきていた。

 

「今日は何の用ですか?」

「とある物が入手出来てね、二人も一緒にどうかなと」

 

 来栖さんがスマホに映る画面をこちらに見せてくる。

 

「電子チケット……?」

「魔法少女ミラクル☆アイナ*2 のライブチケット、それも関係者席ですか!?普通のチケットでも入手するのが難しいらしいのに……」

「……?有名な人?」

「アイドル活動をしてる魔法少女で有名な子だよ!学校でも流行ってる!」

 

 テレビや動画等のコンテンツはアニメや書籍を見るのに忙しくて触れてなかったからなぁ、どんな子か気になって画像をスマホで検索する。

 この子か!魔法少女ミュージアムでコラボカフェみたいなコーナーがあった気がする、ゲームセンターや街中でも見かけたことがあるし、本当に有名な子みたいだ。

 動画サイトを調べてみると再生数が億を超えているMVもあって凄い。

 

「これもちゃんと仕事扱いだから安心して」

「えぇ……ライブ観に行くのが仕事ですか……?」

「これも研究の一環なんだ、理由は後で説明するよ」

 

 

 

 

 タクシーを使いライブ会場へと向かう、観客が三万人くらいは入る、規模の大きな会場だ。

 関係者席へと辿り着いた俺達は来栖さんが用意していたペンライトを受け取る。

 

「随分と用意周到ですね」

「実はこれ、ただのペンライトじゃないんだ、丁度良いからこれの説明も兼ねて何の為にここに来たのかを教えるよ」 

 

 これはペンライト型の魔力測定器で持っている人物の魔力を測定できるようだ。

 ミラクル☆アイナというアイドル魔法少女は、他者からの愛?を自身の魔力へと変換できる能力を持っていて、来栖さんは研究の為に定期的にライブを観に来ているらしい。

 

「自動で記録してくれるから二人は普通にライブを楽しんでくれれば良いよ」

「そうなんですね!ミラクル☆アイナのライブを生で見るのは初めてなので楽しみます!誘ってくれてありがとうございます!」

「気にしないで、アタシも研究の為に呼びたかっただけだからさ」

 

 そう言った来栖さんは俺の方を見てウィンクしてくる、要するに特殊な力を持つ俺が見た時にどんな反応が起こるのか確かめたいってことね、理解した。

 茜さんが楽しそうだし良いか、俺もどんな物なのか気になるし。

 

 

 しばらくして開演の時間になる。

 

「今日は来てくれてありがとう!配信で見ている人達も!皆の愛が伝わってくるよ~!」

 

 煌びやかな衣装に身を包んだ魔法少女、ミラクル☆アイナ。

 画面越しであれば事前に見たが、やはり実物はオーラが違う。

 聖女としての俺が纏う神聖な物とはまた別で、愛らしさとカリスマ性が同居しているというかなんというか。

  

「それじゃあ一曲目!行くよ!」

 

 実際のライブだが、彼女の曲を全く知らない俺でも楽しめた。

 まず単純にクオリティが高い、引き込まれるような声と高い歌唱力に加え、魔法少女の身体能力を活かしているのか、激しいダンスをしながらでも歌のパフォーマンスが全く落ちていない。

 

 加えてバックダンサーにも魔法少女を起用しているようで、演出に魔法が使われている、派手で見ていて楽しい上に技術的にも興味深い物だった。

 

 俺には魔法を歌や踊りと合わせてエンタメに利用するという発想はなかった、異世界でも特殊な儀式に歌や踊りを利用している人物や集団はいたけれど、エンタメとしてこれを行っている人物を俺は見たことがない。

 

 やる気はないけれど、俺の魔法を活かせられれば面白い演出が出来そうだ、光というのは視覚に大きな影響を与えられる、それに結界魔法も使い方次第では……。

 

 

 

 ライブも終盤に差し掛かり、アンコールからのMCパートがやってくる頃には、俺も周りのファンや茜さんと同じで彼女に夢中になっていた。

 

 

 最後の曲が終わり、観客達が徐々に退場していく。

 観客もほとんどいなくなったところで来栖さんが変身してから声をかけてきた。

 

「それじゃあデータの整理をするから付いてきて」

 

 オムニスさんに付いて行くと、何かの機材が置いてある部屋へと辿り着いた。

 

「ここでちょっと待ってて、まぁ二人にやってもらう事は特に無いんだけどさ」

 

 オムニスさんが部屋の奥に消えていった、俺達はやることも無く暇だったので茜さんとライブについての感想を語り合う。

 

「生で見ると迫力が凄かったね!」

「初めてだけど凄く楽しめたよ、帰ったらサブスクで改めて曲を聞こうかな」

「あ!家でなら前のライブ映像とかも見れるよ!」

「本当?それならちょっと見てみたいな」

「生ほどの感動は無いかもしれないけど、楽しめるはずだよ!」

「他のライブではどんな演出をしてたのか気になるな、今日は魔法の可能性というものを感じたよ、俺の魔法も面白い事できるかも!とか考えるのも楽しいし良い刺激になったなぁ」

 

 と話をしていると唐突に声を掛けられる。

 

「面白そうな話してるね!詳しく聞かせて!」

「へ?誰!?」

「ミラクル☆アイナさんですか!?どうしてここに?」

 

 オムニスさんに待機するように言われていた場所に先程までライブしていた魔法少女ミラクル☆アイナが何故か現われた。

 

「キミ達がオムニスちゃんの後輩ちゃん達かな?知っていると思うけれど私は魔法少女ミラクル☆アイナ!アイドル魔法少女!よろしくね!」

「え、あ、ルナです……よろしくお願いします」

「あ、茜!星野茜です!よろしくお願いします!」

 

 本人に話を聞くと、オムニスさんの研究に協力する為にここにやって来てくれたようで、オムニスさんがライブに使える様な技術を提供する代わりにアイナさんは研究に協力するような関係らしい、長く付き合っている内にそこそこ仲良くなったと本人は言っていた。

 オムニスさんは事前に後輩を連れていくと話していたようで、それに興味を持ったアイナさんが会わせてほしいと伝えたおたみたいだけれど……。

 それなら先に言ってくれれば良かったのでは?いやオムニスさんはサプライズにしたかったのか……?

 

「オムニスちゃんが連れてくる後輩ちゃんがどんな子達か楽しみにしてたんだよね、それで来てみたら面白そうな話をしてたから聞きたくて!」

「面白そうな話ですか?何のことだか……」

 

 厄介ごとの気配を感じたので話を逸らす。

 

「演出についてのお話、面白そうだなって、私にも聞かせてくれない?」

 

 逃げれそうにもないので、使える魔法が一つではない事はバレないように工夫して話すことにした。

 

「え!ルナちゃんってそんな魔法が使えるんだ!確かにそれなら面白い演出が出来そう!ちなみにその魔法ってこういう使い方もできるのかな?」

 

 距離感めっちゃ近いなこの人、でも話していて悪い気がしないというか、俺の話を聞きながらも、茜さんにも話を振っていてトーク力というか場を回す能力が高い。

 余計なことまで話しそうになることが多々あった、アイナさんの話が上手いだけで、俺がチョロいわけではない。

 

 

「その演出なら……今以上に話題になるライブができる!バズれる!お願い!今度ライブを手伝って!」

「へ?え?」

「その演出を使うならあそこの会場が良いかな、あの曲を使って……」

「やるって言ってないんですけど?」

 

 やる方向性で考えてそうなアイナさんをなんとか止めようとしていると、データを整理し終えた*3らしいオムニスさんが帰ってきた。

 

「お待たせ、アイナさん毎回時間取ってもらって悪いね」

「お互い様って奴だよ!私もオムニスちゃんの技術にはお世話になってるからね!オムニスちゃんのおかげでこの前のライブも大成功!ファンの皆も喜んでたし、私の人気も更に上がって良い事だらけだよ~!」

「それは良かった、アタシもアイナさんから得たデータは活用させてもらってるからね」

「それに後輩ちゃん達も可愛くて良い子達だね!それにルナちゃんの魔法は演出に最適!茜ちゃんも素質がありそうなんだよねぇ、今度一緒にお仕事したいなぁって」

「それはアタシが決めることじゃないから部長に掛け合ってみてよ、後は本人の意思次第かな」

「ちょっとやってみたいかも……」

 

 なんか不穏な言葉が聞こえた気がするな……?

 

「私はその仕事、受けませんからね」

「ホーリーベルだけじゃなくてアイナさんにも目を付けられるなんて、ルナちゃんも大変だね」

「他人事みたいに言ってますけど、今回はオムニスさんが連れてきたんですからね?」

「ルナちゃんが要らないことまで話したりしたんじゃないの?ルナちゃんの魔法は特殊で優秀なんだから、こうなる可能性も考えておくべきだったんだよ」

 

 そこを突かれると痛い、魔人だと思われないように魔法少女に見える姿になってから魔法を使うくらいのことは意識している、けれどそれ以上のことができているかというと怪しい。

 異世界では魔力だけで特別なのがバレていたからあまり力を隠すというのに慣れていないんだよね。

 勿論戦闘の駆け引きとして敵に情報を与えないというのはある程度意識しているし、奥の手も隠していたりはする、とはいえ戦闘に影響しない使い方や広く知られている物は遠慮せずに使っていた、というかむしろ聖女としての力を見せる為に意図的に使う事*4の方が多かった。

 要改善という事で……多少は意識するようにしよう。

 それに今回の件は俺がちゃんと断れば良いだけの話だからね!*5

 

*1:
珍しく変身していない

*2:
20話後書き 魔法少女プロフィールNo.9参照

*3:
測定した結果ルナからも一般人と同程度の魔力が発生した模様

*4:
わざと神々しい光を出して周囲を安心させる聖女的演出

*5:
茜がやりたいといった場合に断ることができるのかは不明




光を操れるような魔法って上手く使えば光学迷彩、質量のない分身など戦闘でも利用できるでしょうし。
戦闘以外でもプロジェクションマッピングや空中に浮かぶモニターみたいな使い方もできると思うんですよね、というか視界に関することなら大体できる可能性もある。
どの程度まで出来て正確に操れるのかは作品によっても違うとは思いますが。

アイドル魔法少女の演出手伝いないしはバックダンサー枠も今後の閑話とかにできるかもしれないと思っていますが、すぐに出すような予定はないです!
前話でも出せそうなネタがあったり異世界の回想もしたい気持ちがあるんですけど脱線ばかりするのは良くないだろうという気持ちです。
完結してから書くかもしれないですし間に挟む可能性もありますが。

とりあえずは今まで通り章の最後に閑話2つと掲示板回やって次の章に行く流れにしようとは思っています!
ということで次は掲示板回の予定です!

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