御影さんと会話をしてから1週間ほど経過した、俺の仕事や御影さんの体調不良があるからか、あれ以来御影さんとは顔を合わせていない。
今日は茜さんも俺も仕事がないため、2人揃って登校した。
その昼休み、茜さんや篠宮さんと話しているところに金森さんがやってきた。
「皆様!今週の土曜日!予定は空いていらっしゃいますか!?」
「うわっ、びっくりした何さ、空いてるけど」
「仕事の予定は無い筈だから空いてるよ!」
「茜さんと同じく空いてますよ」
「これを見てくださいまし!」
電子チケット、これちょっと前に別件で似たような流れがあったな。
「ホーリーベルお姉様のイベントですわ!それもなんと4人分!友人が仕事の都合で行けなくなったらしく譲り受けることができましたわ!」
メディア戦略部に所属する魔法少女達は様々な形で広報に関わっている、前に出会ったアイナさんのようにアイドルと活動している人もいれば、Vtuber?とかいう2Dや3Dのアバターを使った配信活動をしている人もいるようだ。
ホーリーベルさんは特殊派遣部とメディア戦略部を兼任していて、特殊派遣部の仕事がない時にモデル活動などをしているらしいので、それ関係のイベントということだろう。
俺を除いた5人の回復系魔法少女の内、3人がメディア戦略部を兼任していて何かしらの活動をしているとホーリーベルさんは話していた。*1
特殊派遣部としての治療だけでもかなりの仕事量らしく、その上でメディア戦略部を兼任して広報の活動をするというのはそれなりに負担が大きいだろう。
しかし回復系魔法少女を広報に使いたいという気持ちは理解はできる、回復系魔法少女は治療をするという都合上人前に出ることは避けられない上に希少な存在だ、広報活動をしていなくても目立ってしまう、それに加えて人を癒して回っているので一般人からの好感度も高い、魔法少女のイメージ向上という意味では適任だろう。
まぁ負担は大きいだろうけど、強制されているわけではなく、本人が納得してやっているのなら止める理由もないんだけどね、それが体調を崩すレベルなら問題だけれどそんなこともないようだし。
それに異世界で聖女として活動していた俺も似たようなものだったしね。
勇者パーティに入るまでは、回復魔法による治療に加え、教会上層部の奴らに連れられて各地で聖教の象徴のような物として*2扱われたりはしていた、大勢の前に出て注目されている中で魔法を使ったり会話をするのは肉体的にも精神的にもかなりきつかった。
それでも誰かの助けになれるという多少の達成感はあったし、良い環境を用意してくれた教会への恩返しにもなると思ってなんとか頑張ったんだけどね。
まぁ今考えると、教会の奴らが俺に良くしてくれていたのは善意でも何でもなく、俺の持つ力や魔力を都合が良いように使いたかっただけだったんだろうけど……。
「どんなイベントなんですか?」
「ファンミーティングですわね!」
「ホーリーベルさんってそんなこともしてるんだね!」
「でもルナ*3ってファンどころか仕事で顔合わせるような仲なんじゃ……」
金森さんを交えて話をしているので篠宮さんにも自然と回復系の魔法少女だという事やホーリーベルさんとも仕事をしていることがばれてしまっている。
しかし、あまり広く知られたいことではないというのは理解してくれているからか、気を遣って篠宮さんは小声で聞いてくる。
「頻繁に会って会話はしていますし、連絡先も交換している程度には関係がありますね」
「それは羨まし……じゃなくて!イベントにはイベントの良さがあるんですわ!それに学校のお友達と一緒にというのも憧れますし……」
「まぁ別に断る理由もないですからね、それにどのような事をしているのかも気になりますし」
「私も行けるよ!その日は今のところ仕事もないしね!」
「私も行こうかな、この2人以外の魔法少女がどんな感じなのか気になるし」
そして迎えた週末、金森さん以外の3人でK県M市のイベント会場最寄りの駅へとやってきた。
偶然だが冥界電話を調査する際に何度も来たことのある駅だ。
「金森さんは現地で合流すると言う予定ですが……」
「皆様!おはようございますわ!」
金森さんは、気合の入ったゴスロリ衣装に、ホーリーベルさんの缶バッジを大量に使った痛バ を持って現われた。
「凄い気合が入ってますね」
「それはもちろん!ホーリーベルお姉様に会えるのですから気合を入れないわけがありませんわ!」
「清乃ちゃんはホーリーベルさんのことが本当に好きだよね!」
「当り前ですわ!」
「まだ結構時間に余裕があるけどどうする?」
「この近くにオススメの喫茶店がありますわ!行きますわよ!」
物凄い勢いで進んでいく金森さんに付いて行き喫茶店へと入る、レトロで良い雰囲気だ。
「オススメはパンケーキですわ!でもショートケーキも美味しくて……」
茜さんがパンケーキにクリームソーダ、篠宮さんがチョコレートケーキにアイスコーヒー、金本さんがパンケーキにアイスティーで、俺はショートケーキにミルクティーを注文した。
「ホーリーベルさんのファンミーティングってどんなことをするんですか?」
「お姉様の物は、トークが中心ですわね、過去には抽選で質問ができるコーナーや軽いミニゲーム、魔法の実演などもありましたわね」
「魔法の実演なんてあるんだ」
「ええ、体の疲れが取れたり、不調が治ったりするので好評でしたわね」
「イベントでそのように魔法を使うというのもありなんですね」
「ルナちゃんも普段から色々と使ってるし別に良いんじゃないかな?」
「え?何それ気になる」
「普段から髪や肌のケアにも回復魔法を使ってるらしいし、食事のバランスが悪かったり食べ過ぎても魔法があれば何とかなるとかも言ってたね、後は何だっけ……掃除も魔法でしてるんだっけ?」
「え?何それ回復魔法ってそんなこともできるの?」
「物凄く便利そうで羨ましいですわね……」
「実際便利ではありますね、こういったものは応用してあげれば案外色んな事が出来たりするんですよ」
「私もたまに髪や肌に魔法を使ってもらうけど結構効くよ!」
「え、羨ましいなぁ」
掃除は流石に回復魔法じゃできないが、応用すれば色々と出来るのは嘘ではない、術式を弄ったりすれば多少のことはできるようになる、尤も俺は特殊だし、他の魔法少女が応用とかができるのかどうかはわからないが。
そういった話をしているとケーキが届く。
「まぁその話は置いといて、届いた物をいただきましょうか」
魔法について話しすぎたかなぁ、仲良くなったからか口が軽くなってしまっている気がする。
とはいえ組織の内部事情とかを話しているわけでは無いし、俺自身の魔法の話だからまぁ自己責任ではあるんだが。
そんなことを考えながらケーキを口に運ぶ。
「ん~っ!美味しい!」
上品な甘さで、飲み物とも良く合う、口当たりも良くてこれならいくらでも食べれそうだ。
金森さんのオススメがここまでの物だとは思っていなかった、今度個人的に来ても良いかもね、茜さんとまた来たり美咲を誘っても良さそうだ、とても気に入った。
「ルナちゃん凄く美味しそうに食べてるなぁ……私も食べよっと、お!美味しい!」
茜さんも美味しそうに食べるんだよなぁ、俺よりも良食べる量も多いしいつも見ていて気持ち良いんだよね。
「うん、結構美味しいねここ」
「気に入っていただけたようで何よりですわ」
喫茶店での食事を終えた俺達は、丁度良い時間になったのでイベント会場へと向かった。
会場のキャパシティは4~500人程度だろうか、流石にアイナさんのライブと比べたら圧倒的に少ないけれど、これが多い方なのか少ない方なのかはわからない。
「楽しみですわね!」
「そうだね!」
「これだけのファンが集まってると思うと凄いですね」
ステージにホーリーベルさんが現れる。
「皆様本日はお集まりいただきありがとうございます」
周囲から歓声が上がる、会場がファンで埋まってるだけのことはあるな、凄い熱量だ。
「このイベントを通じて皆様との仲をより深めることができればと思っています」
ちょっと前までは魔人絡みの仕事ばかりしていたけれど最近は平和で良いな、こうやって友人と共に過ごす時間というのも心地が良いものがある。
影使いの魔法少女やその仲間は間違いなく何かを企んでいるんだろうけれど……オムニスさんや十六夜さんは今のところ追加の情報を得られていないようだし、こちらも動きようがない。
まぁこんな場所で連中が仕掛けてくるとも思えないし、今日はその事を忘れて楽しむことにしよう。
そろそろバトル展開にしたい!と思ってはいます。
早ければ次かその次くらいには……。