ホーリーベルさんのファンミーティングはトークメインに進んでいった。
「既に知っている人もいるかもしれませんが最近回復系魔法少女の後輩ができまして、これで4人目の後輩です、可愛らしくて良い子なんですよ」
と雑談の流れでホーリーベルさんが後輩についてというか俺について語っていた時もあった、観客の視点から知人が自分について話している姿を見るというのは何とも言えない複雑な気持ちになった、その話をしている最中にホーリーベルさんと目が合ったので俺が来ている事には気付いてわざと言ったんだろうな……。
今現在は抽選で当たった数名がホーリーベルさんへと質問できるコーナーをやっているんだが、なんと金森さんが見事に当選したようだ。
「あ、あのホーリーべルお姉様……」
「貴女はいつも来てくださっている方ですよね、大丈夫ですよゆっくり落ち着いて話してくださいね」
「に、認知されて……わっ、え、えと、最近の趣味は何ですか?」
限界オタクになってるじゃないか、これ絶対何を聞こうか事前に決めていたけど飛んでいった奴だろ。
「最近の趣味ですか、読書とお茶会、それととある後輩の勧誘ですかね」
「そ、そうなんですか、ありがとうございます!」
質問が終わった後の金森さんは放心状態でしばらくの間は、こちらから話しかけても反応が無かった。
しばらく経って、やっと金森さんが話せる状態まで戻ってきた。
「どうしましょう!ワタクシ、お姉様に認知されていましたわ……!」
「いや、これだけ推してたらねぇ……」
「ツーショット写真もこの前撮っていらっしゃいましたよね?認知されていてもおかしくはないと思いますよ……」
「そそそそうなんですわね!?」
そうこうしているうちに質問コーナーが終わり、最後のコーナーへと進むようだった。
「最後に私の鈴の音を皆様にお届けしたいと思いまっ……」
ホーリーベルさんは驚いたような表情で固まった。
すると隣にいた茜さんが突如変身し、小声で俺に話しかけてきた。
「ルナちゃん……不味いかも、魔人っぽい魔力がここに近づいてきてる……」
おいマジかよ、慌てて魔法少女用の端末で十六夜さんにメッセージを送ろうとしたが通信が繋がらない、ジャミングされている?
少し前にオムニスさんがジャミング対策を施してくれた調査研究部用の通信端末を取り出し連絡をしようとした所でステージの裏から大きな爆発音が鳴った。
天井が崩れていくのが見えた俺は慌てて結界魔法を展開しながら光で誤魔化し、黒いシスター服へと高速で着替えた。
煙で周囲が見えないが、周囲がパニックになっているのは音だけでわかる。
「めぐる!清乃ちゃん!私達は様子を見てくるから!」
「何かあっても私達が守りますから、慌てず騒がずスタッフさんに従ってくださいね」
「わかりましたわ!」
「うん、気をつけて」
ロゼさんに抱えてもらいホーリーベルさんの元へと向かってもらいながら、俺は十六夜さんへと連絡を取った。
「十六夜さん!繋がっていますか?」
『ん?どうしたんだ?急に』
「私と茜さんはホーリーベルさんのファンミーティングに来ているのですが、魔人がいるらしいです!おそらくジャミングも……」
『……わかった、他の部署や真那にも俺から伝えておく、とはいえ直ぐに増援を送ることは難しいかもしれないが……しばらくの間、魔人の対処はルナと茜に任せるぞ』
「わかりました」
ホーリーベルさんの近くへと着地、とりあえず会場全体を囲う様に結界を張っておく。
「ルナさんと、ロゼさんですね、貴女達が居て助かりました、ご協力お願いできますか?」
「もちろんです!」
「魔人の相手は私達に任せてください、ホーリーベルさんは観客達の避難を、ここに居る方々には貴女の言葉が必要でしょうから」
「わかりました!ここはお任せしますね」
そう言ってホーリーベルさんはステージを降り、観客達の元へと向かっていく。
ホーリーベルさんが見えなくなるのと同時に爆発により発生していた煙が晴れる。
そこに居たのは赤と黒が混ざったドレスを着た……魔法少女?いや魔人達につけられていた角が生えているから違うのか……?
「う、嘘……」
ロゼさんが酷く動揺している。
「なんで……インパクトさんが……?」
インパクト……ロゼさんがその名前で呼ぶ魔法少女を一人知っている、スーパーノヴァインパクト、行方不明になったとされていたロゼさんが憧れている魔法少女……。
「インパクト……君は私のことを知ってるんだ、まぁあまり関係ないか……」
スーパーノヴァインパクトがこちらに手をかざす、激しい爆発が起こるが結界魔法のおかげでこちらには届かない。
「これは、あれだよね?死霊術って奴だよ……ね?」
困惑しながらもロゼさんが聞いてくる……どう答えるべきだろうか、おそらくこれは死霊術ではない、じゃあ何なのかと言われたら俺にはわからないが……。
死体ではなく本人である可能性もあるとなったら戦えなくなるのでは……?ここは嘘だとしても肯定するべきなんだろうか……。
「えと……それは……」
「大丈夫、その反応でわかったよ、違うんだね……」
「……はい、あれだけ流暢に話せている時点で可能性は低いでしょう、それに死霊特有の気配というかそういったものは感じられませんので」
「……そっか」
無理して戦う必要はない、と言いたい所だがそれが許される状況ではないだろう。
警備のスタッフに混じって魔法少女も数名居るようだが実戦慣れはしていなさそうで魔人と戦えるレベルではないだろう、ロゼさんに戦ってもらうしかない。
ロゼさんはスーパーノヴァインパクトに向かって殴りかかるがいつもより勢いがない、ギリギリでかわされ、腹部を爆破させられてこちらへと吹き飛ばされてきた。
スーパーノヴァインパクトが追撃を放つがそれはこちらの結界で何とか防ぐ。
「防がれたか、面倒だね」
ホーリーベルさん達が避難させている一般人に被害が出ないように立ち回る必要があり難しい。
結界による防御をしながらロゼさんの回復をした。
「ありがとう、ルナちゃん」
「いえ……」
「見た目はそっくりだし同じ魔法を使ってくる、だけど魔人の魔力を感じる……あれはインパクトさん……なのかな?それとも別の……」
「わかりません、私はスーパーノヴァインパクト本人と出会ったことはないので……ただ死霊ではない事だけは確かでしょう」
死霊ではないが何故魔人の魔力を纏い動いているのかはわからない
スーパーノヴァインパクトは消息不明だったと聞いた、生きている本人である可能性もゼロじゃない。
けれど黒井さんより前から魔法少女として戦っていたのに衰えた様子がないのはおかしいのではないか?フロストエンプレスさんという例があるのでありえないとは言い切れないが……。
バーサクメイデンの死霊は魔法少女時代の力を使っていた、魔法少女の力を扱うのに必要な魔力は魔人の魔力で代用できるのか……?
スーパーノヴァインパクトが再び魔法を使う、結界魔法のおかげで一般人への被害は防げてはいるが、かなり派手で攻撃範囲の広い魔法だ、このまま防ぎ続けることができるかはわからない。
「もしアレが……本物だったら……」
「……本物ならば尚更止めるべきなのではないでしょうか、正気ではない可能性もありますしね」
「そう……だよね、私が止めないと」
憧れている人物、それも命の恩人だ、躊躇してしまっているんだろう。
なら俺は、思い切って戦えるように背中を押そう、美咲と仲直りさせてくれた時の茜さんのように。
「生きてさえいれば私が治します、ですから全力で戦って止めてあげてください!」
「うん!わかった!サポートは任せるよ!」
そう言ってロゼさんは駆け出した。
衣装の色が少し変わり角が生えているものの、インパクトさんと殆ど同じ姿で、同じ魔法を使う魔人、それを目にして私は動揺してしまった。
それに加えて、説明はできないけれど、どこか普通の魔人とは違う、そう感じて攻撃を躊躇してしまっていた。
以前戦ったバーサクメイデンと同じ死霊なんじゃないかと考えたがルナちゃんが言うには違うらしい、尚更何なのかわからない。
もしかしたら操られたりしている本人なのでは?そう思うと全力を出せなかった。
「……本物ならば尚更止めるべきなのではないでしょうか、正気ではない可能性もありますしね」
冷静に考えればその通りだ、私の憧れた魔法少女が一般人を傷つけようとしている、見過ごせる状況じゃない。
「生きてさえいれば私が治します、ですから全力で戦って止めてあげてください!」
私が躊躇していることがわかったのか、ルナちゃんがそう声をかけてくれた。
「うん!わかった!サポートは任せるよ!」
倒した後のことはルナちゃんに任せて、今は全力で戦おう、インパクトさん本人かはわからない、でもインパクトさんと同じ魔法が使えるのであれば、全力を出さないと勝てないだろうから。
私は駆け出した、私が憧れた魔法少女へと立ち向かうために。
緩めの回とシリアスめの回とバトル要素とどれが需要あるんやろな~って思いながら書きたいものを書いているみたいなところはあります。
シリアスもしたいが日常生活でワチャワチャもさせてぇ!って奴です。