「貴女は本物のインパクトさん……スーパーノヴァインパクトなんですか!?」
私は跳躍してから殴りかかった、吹き飛ばされたインパクトさんは爆破の魔法を放ち反撃してくるが当たらない。
思った以上に弱い、インパクトさんの戦闘映像は何度も見ているが、それと比べると魔法の使い方が下手だ。
戦闘映像の物より威力は高い、けれどそれだけ、インパクトさんなら爆破の魔法を活かし縦横無尽に飛び回り上手く立ち回ってくるはずだ、これなら余裕で勝てる。
「スーパーノヴァインパクト、その名前で呼ばれた記憶はあるよ、断片的な記憶しか思い出せないけど」
一部の記憶しか覚えていない……?
爆破の魔法を複数放ってくるが単調な攻撃なので余裕を持って回避する。
私が回避すると、その魔法は後ろへと飛んでいってしまうが、周りへの被害はルナちゃんの結界が防いでくれている、問題はない。
「スーパーノヴァインパクトさんとしての記憶があるなら何でこんなことをっ……!」
インパクトさんへと迫り蹴りを入れようとした、しかし爆破の魔法を使い移動されたことで躱される、さっきまでそんな器用なことはしてなかったはずなのにっ……!
「何で戦うかって?それは憎いからだよ」
インパクトさんが爆破で加速しこちらへと殴りかかってくる、私は勢いを殺して何とか受け止めた。
「憎い……?」
「私は非難されてそれでも人を助ける為に戦っていたというのに、今の魔法少女はアイドルだとかファンミーティングだとかで皆から愛されている、そんなのを見せられたら頭がおかしくなる!」
インパクトさんの周囲が爆発する、咄嗟に離れたものの回避しきれずそこそこダメージを受けてしまった。
昔と比べたら今の魔法少女の環境はとても良くなっている、その姿を見て嫉妬し憎いと思ってしまうのもおかしなことではないかもしれない。
『もっと早く来てくれなかったんだとか、酷い時には無能だとか、使えないとか言われたこともあるよ』
私がインパクトさんと出会った時に直接聞いた言葉だ、そのことは辛いとも言っていた。
これは実際にインパクトさんが抱えていた闇なのかもしれない。
私が出会ったインパクトさんとは雰囲気も何もかも違う、でも少なくとも能力と記憶は本物のインパクトさんで……。
「でも、私が憧れたインパクトさんなら辛くても、無関係の人を傷つけたりなんかしないはずです!人助けをしたいから戦う、そう言っていた貴女なら……!」
私は蹴りを放とうしたが、インパクトさんが加速し懐に入られて、そのまま殴りつけられ空中へと飛ばされる、体勢を整えようとしている私をいつの間にか私の上にいたインパクトさんが蹴りつけた。
「いっ……」
地面に叩きつけられることだけは避け、なんとか着地できたけど、この短時間でかなりのダメージを受けた、立っているだけでも苦しいくらいだ。
「昔の私がどんなことを言っていたのか全てを覚えているわけじゃないからわからないけど、そうやって理想を押し付けれれるのはムカつくな」
すぐ近くから声がする、気付けば私の目の前までインパクトさんが近づいていた。
腹部に強い衝撃が走り私は吹き飛ばされてしまった。
「強いとは知っていたけど、こんなに差がある……なんて……」
戦い方を思い出しているのか時間が経つごとに強くなっている、魔法少女時代より強くなった魔法と、今までの戦闘経験を組み合わせられたら勝ち目がない……。
「一思いに終わらせてあげるよ」
爆破の魔法を使い空中へと飛んだインパクトさんがこっちに向けて魔法を放ってくる、躱せない……!
ロゼさんがスーパーノヴァインパクトを殴り飛ばし追いかけていった、近くで支援するために追いかけたかったが先にやることがある。
魔法で影を無くす様に光を放つ、するとその場に影使いの魔法少女が現れた。
「やはりいましたか」
「……バレてたんだ」
「ジャミングされている時点で貴女達が関わっている事はわかっていましたからね、もしかしたらと思いまして」
「まあ良い……私の目的は貴女だから」
魔人の相手をしているロゼさんも不安だがこいつが隠れていないかを確かめたかった、戦闘してる最中、魔法で急に動きを止められたりしたらそれだけで負けかねない。
でも目的は俺か……魔人は任せてこいつの足止めに徹するべきなのかもしれない、俺一人ではこいつに勝つことはできないけど時間を稼ぐくらいならできる。
……?こいつの声どこかで聞いたことがある気がする、顔はフードのせいで見えないけれど。
影使いの魔法少女が影でナイフを作り斬りかかってくる、直接戦闘することにはなれていないのか動きが単調で躱しやすい、とはいえ俺の身体能力だと身体能力を強化していても全てを躱すのは難しいが、傷を受けても回復すれば問題ない。
服に関しては後でオムニスさんに直してもらえば良いしね。
「思ったより弱いですね貴女」
「さっきから斬られまくっているのに……何でそんなに余裕そうなの」
「効いていませんからね」
嘘です!効いてます!痛いです!問題はないけどね!
効いてないと思いこませるのも駆け引きの内だ。
支援タイプなのかわからないが思っていたよりも相手が弱い、これなら普通に反撃すれば勝てるのでは?と思った俺は攻撃を躱した後、魔法少女の腹部を殴る。
「……何それ」
「……」
全く効いてないっすね……負けはしないけど勝つのは無理だなこれ、ロゼさんが勝ってくれるのを待つしか……。
ロゼさんが向かった方面から今まで以上に激しい爆発音が鳴る。
「ロゼさん……!」
大丈夫だと信じているが……不安で仕方がない。
動揺して隙が出来たのか俺の胸元までナイフが迫っている、流石にそこを刺されたら回復に時間がかかるので不味いことになる。
突如俺に迫っていたナイフが急に弾き飛ばされる、そこにあったのは見慣れた大鎌だった。
「黒井さん……!」
「お待たせしました!」
「黒井さん!ここは任せます!私はロゼさんのところに向かいます!」
「わかりました!外は避難も完了していたので結界魔法はもう解いても大丈夫……です!」
観客に被害が及ばないように、そして魔法少女同士の戦いが一般人に見られないようにと光や音も遮断できるように設定をした結界を張っていた、結界魔法は複数に同時展開できない為、それを解除して良いというのはかなりありがたい。
ロゼさんの元へと駆ける、すると目に入ったのはボロボロのロゼさん、そして魔法を放とうとしているスーパーノヴァインパクトだった。
「間に合え……!」
咄嗟に結界を展開、かなり大きな爆発が起こるがギリギリで魔法を防ぐことに成功した。
「ロゼさん!大丈夫ですか!?」
ロゼさんに近寄って回復魔法をかける、この傷だと完治するまで数十秒ほどだろうか。
周囲の様子は爆発による煙で見えない、逆に言えば相手からもこちらの様子は見えていないだろう。
「インパクトさんが、戦い方を思い出したのか段々強くなって……正直勝ち目が見えなくて……」
最初は強そうに見えなかったのも戦い方を忘れてたからだったという事か……。
ロゼさんは戦闘訓練を続けていて以前より格段に強くなっている、それでも勝ち目が見えないほどの実力差……。
「私がまだ見せていない奥の手があります、それを使えばこの状況を打開できるかもしれません、しかし私の奥の手は支援系の魔法、打開できるかどうかはロゼさんが使いこなせるか否かによって決まることにはなりますが……」
「やってみせるよ!というかこの状況だとやるしかないからね……!」
「わかりました」
久々に使うな、デメリットもあるけれどこの状況でそれを言う余裕はない。
「ではロゼさん、首を出してください」
「う、うん」
銀のロザリオをロゼさんの首元に掛ける。
長ったらしい正式名称を呼ぶのが面倒で俺が必殺技っぽい名前に名付け直した魔法。
心を通じ合わせた相手にしか使えない聖女専用の強力な支援魔法。
「
ロゼさんの首元に掛けた銀のロザリオへと俺の持つ魔力を全て流し込んだ。
技名や魔法少女名を考える度にネーミングセンスがないことに常々悩まされています。
メタ的な話をすると、神話って名前に使いやすいけど異世界産の名前に神話要素あったら変じゃない?って理由でこうなりました。
心を通じ合わせた相手にしか使えないという条件があるので、ある程度勇者パーティのメンバーと打ち解けて心に余裕が出来ていた時にその場のノリで命名しました。
この魔法の詳細は次回出す予定です!